採用代行 / 費用・契約・法務
採用代行と採用コンサルティングの違い
採用がうまくいかないとき、外部に頼る選択肢は二つあります。設計を助けてもらうか、実行を手伝ってもらうかです。採用コンサルティングは前者、採用代行は後者を提供します。ただ、この二つは境目がはっきりしないまま提案されることが多く、契約してから「思っていたのと違う」となりやすい領域でもあります。どちらが必要かを見分ける順番で整理します。
提供されるものが違う
| 採用コンサルティング | 採用代行 | |
|---|---|---|
| 提供されるもの | 現状の分析、設計、助言 | 業務の遂行 |
| 主な成果物 | 診断結果、採用計画、要件定義、選考設計 | 求人原稿、送信、応募対応、日程調整、レポート |
| 期間の性質 | 区切りがある(設計が終われば終わる) | 継続する(運用が続く限り) |
| 費用の性質 | プロジェクト単位、または期間 | 月額・時間単価・成果報酬 |
| 実行するのは | 自社 | 受託者 |
| 残るもの | 考え方と設計図 | 運用と成果物 |
一番の違いは、実行を誰がやるかです。コンサルティングは「こうすればよい」を作るところまで。実行は自社が担います。代行は実行を担いますが、設計そのものは範囲外であることもあります。
この境目が曖昧なまま契約すると、設計を頼んだのに実行が進まない、あるいは実行を頼んだのに設計から必要だった、という食い違いが起きます。
どちらが必要かを症状で見分ける
自社の状況を、次のどれに近いかで見ます。
何をすればよいか分からない。採用がうまくいっていないが、原因が特定できていない。母集団の問題なのか、要件なのか、選考フローなのかが見えていない。この状態なら、分析と設計が先です。実行を外に出しても、間違った方向に労力が使われます。
やることは分かっているが手が足りない。要件も母集団の作り方も決まっていて、あとは手を動かすだけ。この状態なら実行の支援が効きます。設計を頼んでも、既に分かっていることが再確認されるだけになります。
やることは分かっているが、やり方が分からない。スカウトを使うと決めたが運用の経験がない、といった状態です。ここは代行が噛み合うことが多い領域です。運用の型を持っている相手に任せることで、設計と実行が同時に進みます。
社内の合意が取れない。要件をめぐって経営と現場の意見が割れている。この場合、外部の分析と第三者の視点が合意形成に効くことがあります。実行を外に出しても、社内が割れたままでは進みません。
エラベルの見解
採用コンサルティングで作った設計が、実行されずに終わることがあります。理由は提案の質ではなく、実行する人が社内にいないからです。
診断も設計も的確で、やるべきことが明確になった。ところが、それを実行するには媒体の運用も、文面の作成も、日々の応募対応も要る。それを担う人が社内にいなければ、設計図は棚に残ります。採用の設計は、実行の手数が伴って初めて意味を持ちます。
だから、設計を外に頼むときは実行の担い手を同時に決めておくことをおすすめします。社内の誰がやるのか、時間は確保できるのか。確保できないなら、設計と実行をセットで考える必要があります。
逆に、実行だけを外に出すときは、設計が固まっているかを自分で確かめることです。要件が一枚に落ちているか、落とす理由が言葉になっているか。これがない状態で実行を外に出すと、代行側は判断を確認するたびに止まります。順番を間違えると、どちらに頼んでも効果が出ません。
併用と一体型
実務では、設計と実行を分けずに提供する形も増えています。代行会社が要件の整理から入り、そのまま運用まで担う形です。
一体型の利点は、設計と実行のあいだで情報が落ちないことです。設計した人が実行するので、意図が正確に伝わります。運用しながら設計を修正することもできます。
一体型で確認することは、設計の費用がどこに含まれているかです。初期費用として別建てなのか、月額に含まれるのか。初期費用の考え方は初期費用・オンボーディング費用は必要かにまとめています。あわせて、設計の成果物を受け取れるかどうかも確認します。受け取れないと、代行会社を替えたときに設計からやり直しになります。
分けて頼む場合は、設計を担った側と実行を担う側のあいだの引き継ぎが要ります。設計の意図が伝わらないまま実行に移ると、形だけがなぞられることになります。設計の成果物を、実行する側が読める形で受け取っておきます。
費用の性質が違う
コンサルティングの費用は、プロジェクト単位か期間で決まります。分析と設計にかかる工数に対して払う形なので、成果は納品物として現れます。終わりがある費用です。
代行の費用は、運用が続く限り発生します。範囲と稼働量に応じて決まり、継続的な支出になります。料金体系の整理は採用代行の費用相場で扱っています。
比べるときの注意は、コンサルティングの費用に実行の費用が含まれていない点です。設計だけを買って、実行を社内で担う場合、社内の稼働が必要になります。その時間を金額にして足さないと、総額の比較になりません。
商談で聞くこと
どちらのサービスかを見分けるための質問です。名称ではなく、中身で判断します。
- 契約期間中に、どこまでを納品物として受け取れますか
- 実行は誰が担いますか。自社が担う場合、どのくらいの時間が必要ですか
- 設計の後、運用の支援もお願いできますか。その場合の費用はどうなりますか
- 診断や分析には、どのくらいの期間がかかりますか
- 作った設計や資料は、編集できる形式で受け取れますか
- 設計と実行で、担当する人は同じですか
最後の質問への答えは、意外と分かれます。設計はシニアの担当者、実行は別のメンバー、という体制は珍しくありません。その体制自体は合理的ですが、実行を担う人が誰かは確認しておく価値があります。
エラベルの見解
設計と実行を分けて考えるとき、実務で効いてくるのは設計の粒度です。「スカウトを強化する」という設計と、「この職種はこの条件で検索し、こういう文面で、週にこれくらい送る」という設計では、実行に移せるかどうかが変わります。
粒度の粗い設計は、実行の段階で判断が必要になります。誰かが条件を決め、文面を書き、送信の量を決める。その判断ができる人が実行側にいなければ、そこで止まります。粒度の細かい設計なら、実行は作業として進められます。
だから設計を頼むときは、どこまで細かく落としてもらえるかを先に確認するほうがよい。診断と方向性までなのか、実行できる手順まで落ちるのか。ここで期待がずれると、納品を受け取った後に「これをどう実行すればよいのか」という状態になります。
そして、実行の担い手を選ぶ段階では、粒度の粗い設計でも動ける人かどうかを見ます。判断ができる担当者なら粗い設計でも回り、作業に徹する担当者なら細かい設計が要る。設計と実行は、担当者の性質とセットで考えると噛み合います。
まとめ
- コンサルティングは設計と助言、代行は実行。一番の違いは実行を誰がやるか
- 原因が特定できていないなら設計が先。手が足りないだけなら実行の支援が効く
- 設計が実行されずに終わるのは、実行する人が社内にいないとき
- 設計を頼むときは、実行の担い手を同時に決める
- 一体型では、設計の費用の所在と成果物の受け取りを確認する
- コンサルティングの費用には実行が含まれない。社内の稼働を足して比べる
- 設計の粒度が、実行に移せるかどうかを決める
よくある質問
採用代行に設計から頼むことはできますか
対応している会社は多くあります。要件の整理、チャネルの設計、選考フローの組み立てまでを立ち上げ期に行い、そのまま運用に移る形です。この場合、設計にかかる工数が初期費用として別建てになるか、月額に含まれるかを確認します。あわせて、設計の成果物を編集できる形式で受け取れるかも決めておきます。
コンサルティングを受けた後、実行だけを別の会社に頼めますか
できます。その場合、設計の成果物を実行側が読める形で渡せるかが鍵になります。要件定義書、チャネルの設計、選考フローが文書として残っていれば、実行側の立ち上げは短くなります。逆に、口頭のやりとりが中心だった場合は、実行側で設計を再構成する時間が必要になります。
どちらも頼む予算がない場合はどうすればよいですか
原因の特定を自社で行い、実行だけを外に出すのが現実的です。原因の特定は、工程ごとにどこで止まっているかを見るだけでも進みます。母集団が薄いのか、書類が通らないのか、面談に至らないのか。ここが分かれば、外に出すべき工程も決まります。判断が難しい部分だけを相談する形もあります。