採用代行 / 大企業
大企業が採用代行で失敗するパターン
大企業の採用には、社内に人事のチームがある、部門が多く要件がばらつく、既存の制度と手順が整っている、決裁の階層が多い、という条件があります。人事の人数も仕組みもあるのに、代行を使うと失敗する。それは、人数と仕組みがあるからこそ起きる失敗の形があるからです。結論を先に書くと、大企業の失敗は「社内の人事チームと代行の役割の線を引かずに、代行を『人が足りない分の補充』として入れる」ことから起きます。線がないと、役割が重なって押し付け合い、部門の要件が丸ごと渡って混乱し、既存の手順に合わせる作業が二重になり、決裁で待ち、成果を巡って社内と衝突します。代行に出す前に、「社内の人事チームが持つ工程と、代行が持つ工程を、工程の名前で分ける」ことをしておけば、失敗の大半は避けられます。この記事では、五つのパターンを、症状・原因・先に打つ手の順に整理します。大企業に向く代行の条件は大企業に向く採用代行の条件に、上場企業の統制の観点は上場企業が採用代行で失敗するパターンに、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
失敗のパターン一:社内の人事チームと代行の役割が重なって押し付け合う
症状。社内の人事チームが「それは代行がやる」と言い、代行は「それは社内の担当と聞いている」と言い、候補者への連絡が両方から行くか、どちらからも行かない。人事チームは「代行が入って仕事が増えた」と感じ、代行は「社内が協力しない」と感じる。
原因。代行を「人が足りない分の補充」として入れると、代行の役割が「人事チームの誰かがやっていたことの一部」になり、どこまでが代行かが曖昧になります。人事チームの側にも、「自分の仕事が代行に取られる」という警戒があり、渡す工程を絞ったり、渡した後も手を出したりします。
先に打つ手。契約の前に、採用の工程を一覧にし、「社内の人事チームが持つ工程」と「代行が持つ工程」を、工程の名前で分けて書面にします。「連絡は代行、判断は社内」のように、同じ工程を分け合う形は避け、工程ごとに一方が持つ形にします。人事チームには、代行に渡した後に人事チームが何に時間を使うかを、人事の責任者が先に伝えます。人事が一人の会社の考え方が参考になり、人事が一人の会社が採用代行で失敗するパターンに、社内の担当者を育てる考え方は社内の採用担当を育てるに整理しています。
失敗のパターン二:部門ごとに違う要件を一つの代行に丸ごと渡して混乱する
症状。営業、技術、企画、管理と、部門ごとに要件も選考の流れも違うのに、人事チームが「全部門の採用を代行に」と一つの契約で渡す。代行は部門ごとの違いを把握しきれず、営業の型で技術を探し、技術の流れで企画を回し、どの部門も「うちの採用が分かっていない」と言う。
原因。大企業では、部門ごとに採用の要件と流れが違い、それを人事チームが部門ごとの担当で吸収しています。代行に丸ごと渡すと、部門ごとの担当が代行の側にいない限り、違いが吸収されません。
先に打つ手。代行に出すときは、部門を絞るか、部門ごとに代行の担当者を分けるか、「部門を問わず同じ工程」(日程調整、記録、連絡)だけを出すかのどれかにします。全部門の全工程を一つの契約で渡す形は避けます。部門ごとの要件は、社内の人事チームの部門担当が持ち続け、代行はその要件で運用を回します。要件の決め方は採用要件の定義を代行に出すに、複数社の考え方は採用代行を複数社に同時発注してよいかに書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「人事チームがいるから、代行は人事チームの指示で動けばよい」というものです。実際には、人事チームの指示で動く代行は、人事チームの誰かの手足になり、その人が忙しいと指示が来ず、指示が来ても細切れで、代行の稼働が空いたまま月額が出ていきます。大企業で代行が効くのは、人事チームの手足としてではなく、「工程の名前で分けた範囲を、人事チームの指示を待たずに回す」形です。人事チームは指示を出す側ではなく、要件と判断を持つ側に回り、代行は運用を持つ側に回ります。この分け方をしないと、人事の人数が多いほど、代行は指示待ちで止まります。
この見方で代行を選ぶと、見るべき点が決まります。契約の前の面談で「社内の人事チームの方が、今どの工程を持っていて、渡した後に何をされますか」と聞いてくる担当者は、役割の重なりの構造を知っています。「人事の方の指示で何でも動きます」から入る担当者は、指示待ちで止まります。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、大企業の人事チームと並走してきた担当者に、工程の線を引くところから入る形で頼めます。
失敗のパターン三:既存の制度と手順に代行が合わせられず、社内が二重に動く
症状。大企業には、採用の稟議、面接の評価の項目、内定の承認、入社の手続きの手順が既にあり、代行がその手順を知らずに動く。社内の人事チームが、代行の動きを既存の手順に「翻訳」する作業に追われ、代行に出した工程の分だけ、翻訳の仕事が増える。
原因。既存の制度と手順は、社内の人事チームの頭の中と社内の仕組みにあり、代行には見えません。手順を教える時間を最初に取らないと、代行は自分の型で動き、社内が合わせ直します。
先に打つ手。契約の最初に、既存の手順(稟議の流れ、評価の項目、承認の階層、入社の手続き)を代行に教える時間を、まとまった形で取ります。手順の資料と、社内の仕組みの操作を、人事チームの誰かが一度通して見せます。代行が既存の手順の中で動ける形にしてから、工程を渡します。手順を変えるかどうかは、代行の意見を聞いたうえで人事チームが決めます。採用管理の仕組みの運用はATS(採用管理システム)の運用は代行に出せるかに、代行に渡す前提情報は代行会社に渡す前提情報の整理に整理しています。
失敗のパターン四:決裁の階層で代行が待ち続ける
症状。代行が「この候補者を進めますか」「この条件で出しますか」と聞いても、人事チームの担当者から課長、部長、事業部長と決裁が上がる間に数週間かかる。候補者が他社に決まる。代行は「決裁を待っています」としか言えず、社内は「代行が遅い」と感じる。
原因。大企業の決裁の階層は、統制と組織の設計としてあり、代行には短くできません。問題は、候補者ごとに決裁を上げる形になっていることで、枠の中の判断まで階層を通しています。
先に打つ手。採用を始める前に、「人員の枠」「条件の幅」「役職」の決裁をまとめて取り、候補者ごとの判断は「枠の中なら人事チームの担当者と部門の責任者で即決」に変えます。枠を超えるときだけ階層を通します。代行には、決裁の見込みの日数を伝え、待つ間の候補者への連絡を持ってもらいます。経営者に状況が伝わらないときは経営者に採用の状況が伝わらないに、条件提示は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに書いています。
失敗のパターン五:代行の成果が社内の人事の評価と衝突する
症状。代行が入って採用の数が増え、選考の速さが上がると、社内の人事チームの成果と代行の成果の区別がつかなくなる。人事チームは「代行の成果として報告されると、自分たちの評価が下がる」と感じ、代行の成果を小さく報告するか、代行に協力しなくなる。代行は「成果を出しているのに評価されない」と感じる。
原因。大企業では、人事チームの評価が採用の成果と結びついており、代行の成果がその評価に影響します。代行を入れるときに、人事チームの評価を「採用の数」から「代行を含めた体制を設計して回した成果」に変えていないと、衝突します。
先に打つ手。代行を入れるときに、人事の責任者が、人事チームの評価の軸を「自分で採った数」から「体制を設計し、代行を含めて回し、要件と判断の質を上げた成果」に変えると、人事チームに伝えます。代行の報告は「代行の成果」ではなく「体制全体の成果」として出し、人事チームがその体制の設計者である形にします。品質の見方は品質管理採用を代行に出す判断基準に、契約にKPIを入れる考え方は採用代行の契約にKPIを入れるべきかに整理しています。
エラベルの見解
同じ料金・同じ業務範囲でも、大企業で結果が分かれるのは、担当者が「社内の人事チームを、指示を出す人ではなく、体制の設計者として立てられるか」です。人事チームの指示を待つ担当者は、指示が来ないと止まり、指示が来ると手足になり、成果が出ると人事チームと衝突します。人事チームに「要件と判断と体制の設計は皆さんが持ち、運用は私が持ちます。成果は体制の成果として皆さんの名前で報告してください」と最初に示す担当者は、人事チームの警戒を解き、指示を待たずに動け、成果を巡って衝突しません。大企業の採用代行は、採用の技術より、人事チームとの関係の設計で差が出ます。
見るべきは、契約の前の面談で、担当者が「人事チームの皆さんは、代行を入れることをどう受け止めておられますか」と聞いてくるかどうかです。聞いてくる担当者は、人事チームの警戒を知っています。聞かずに「人事の方と連携します」とだけ言う担当者は、警戒に気づかないまま入り、押し付け合いになります。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、大企業の人事チームと並走してきた担当者に、人事チームを設計者として立てる形で頼めます。人事チームがいる会社ほど、担当者を選べることの意味は大きくなります。
まとめ
- 大企業の代行の失敗は、役割の重なりで押し付け合う・部門の要件を丸ごと渡して混乱・既存の手順に合わせず二重に動く・決裁で待ち続ける・成果を巡って衝突の五つの形で起きる
- 原因の多くは、社内の人事チームと代行の線を引かずに、代行を「人が足りない分の補充」として入れること
- 契約の前に、工程の名前で「社内が持つ工程」と「代行が持つ工程」を分けて書面にする。同じ工程を分け合わない
- 部門ごとの要件は社内の人事チームの部門担当が持ち続け、代行には部門を絞るか、部門を問わず同じ工程だけを出す
- 既存の手順を契約の最初にまとまった時間で代行に教え、決裁は枠をまとめて取って候補者ごとの判断を即決にする
- 人事チームの評価の軸を「自分で採った数」から「体制を設計して回した成果」に変えると、人事の責任者が先に伝える
よくある質問
人事チームが「代行は要らない、人を増やしてほしい」と言っています
人を増やすか代行を入れるかは、「増やした人に何をしてもらうか」で決めます。要件と判断と部門との調整に人が要るなら、社内の人を増やすほうが合います。連絡と日程と記録と媒体の運用のように、量が変動して繁忙期に集中する工程なら、代行のほうが合います。人事チームには、「人を増やす工程」と「代行に出す工程」を分けて示し、代行に出した工程の分だけ、人事チームが要件と判断に時間を使えることを伝えます。人事チームの反対を押し切るより、人事チームが渡す工程を選ぶ形にします。大企業に向く代行の条件は大企業に向く採用代行の条件に、副業人材と代行会社の使い分けは副業人材と代行会社の使い分けに整理しています。
部門ごとに別の代行を入れたほうがよいですか
部門ごとに要件と流れが大きく違い、それぞれの部門の採用に特化した代行があるなら、分ける形も取れます。ただし、代行が増えると人事チームの管理の工程が増え、契約の条件と報告の形がばらつきます。「部門を問わず同じ工程(日程、記録、連絡)は一つの代行」「部門に特化した探す工程だけ部門ごと」と分けると、管理が一つで済みます。分けるなら、人事チームが標準(契約、報告、定例)を一つ作り、全部の代行に適用します。複数社の考え方は採用代行を複数社に同時発注してよいかに、体制の作り方は大企業の採用体制の作り方に書いています。
代行の成果を、経営会議でどう報告すればよいですか
「代行の成果」ではなく「採用の体制の成果」として報告します。「人事チームが要件と判断を持ち、代行が運用を持つ体制にした結果、応募から内定までの日数がこう変わり、決まった数がこう変わった」と、体制の設計者として人事チームが報告する形にします。代行の費用は、体制の費用の一部として、業務の量と結果と一緒に一枚で示します。この形にすると、人事チームの評価と代行の成果が衝突しません。定例で見る数字は採用代行との定例会で見るべき数字に、費用の処理は採用代行費用は経費でどう処理するかに整理しています。