採用代行 / 大企業
大企業の採用体制の作り方|社内に残す役割
大企業が採用代行を使うとき、決めるべきことは「人事チームの誰の仕事を代行に渡すか」ではなく、「人事チームを、代行に指示を出す人から、代行を含めた体制を設計する人に、どう変えるか」です。大企業には人事チームがあり、部門が多く、既存の手順と決裁があります。代行を「人が足りない分の補充」として入れると、人事チームの手足になり、指示待ちで止まります。結論を先に書くと、人事チームに残す役割は「体制の設計者」「部門ごとの要件と判断の担当」「既存の手順と決裁の管理」の三つで、代行には工程の名前で分けた運用を出します。人事チームは指示を出す側から、要件と判断と設計を持つ側に回り、代行は指示を待たずに運用を回します。失敗の形は大企業が採用代行で失敗するパターンに、大企業に向く代行の条件は大企業に向く採用代行の条件に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
大企業で、人事チームの時間はどう使われているか
体制を作る前に、大企業の人事チームの時間がどう使われているかを見ます。
| 人事チームの役割 | 時間の使い方の現実 | 代行に出せるか |
|---|---|---|
| 部門ごとの担当(部門の要件、面接官との調整、部門の責任者への報告) | 部門との調整で埋まる。最も大切だが、運用に押される | 出さない。人事チームの核 |
| 採用の運用(連絡、日程、記録、媒体の運用、ATSの入力) | 量が多く、繁忙期に集中する。部門担当がこれに追われる | 出せる |
| 既存の手順と決裁の管理(稟議、承認、手続き) | 手順を知っている人が限られ、その人に集中する | 出さない。手順の管理は社内。運用の下書きは出せる |
| 全体の設計(体制、標準、外注先の管理、数字の報告) | 責任者が持つが、運用と調整に押されて時間がない | 出さない。人事チームの責任者の役割 |
| 採用以外(制度、労務、育成) | 採用に押されて遅れる | 採用とは別 |
この表で、人事チームの時間を最も食っているのは「採用の運用」で、最も大切なのに押されているのは「部門ごとの担当」と「全体の設計」です。代行を入れる目的は、運用を出して、部門ごとの担当と全体の設計に人事チームの時間を移すことです。この移し替えを、契約の前に人事の責任者が人事チームに言葉で伝えます。
人事チームに残す役割一:体制の設計者
中身。採用の工程を一覧にし、「社内が持つ工程」と「代行が持つ工程」を工程の名前で分ける。代行を使うときの標準(契約、報告、定例、記録の形)を一つ作る。部門をまたぐ工程と部門ごとの工程を分け、代行の担当者の配置を決める。代行を含めた体制の成果を、経営に報告する。
誰が担うか。人事チームの責任者です。設計は、部門担当の誰かに任せると、その部門の視点に寄ります。責任者が全体を見て設計し、部門担当と代行に渡します。
なぜ残すか。体制の設計は、社内の人事チームにしかできません。代行に設計を任せると、代行の型で体制ができ、社内の手順と部門の違いに合わなくなります。代行の意見を聞くことはできますが、決めるのは責任者です。
時間の目安。最初の設計にまとまった時間、標準を作る時間、その後は月に一度、体制が回っているかを見る時間です。運用を出して空いた責任者の時間を、ここに使います。上場企業の統制の観点は上場企業の採用体制の作り方に、複数社の考え方は採用代行を複数社に同時発注してよいかに書いています。
人事チームに残す役割二:部門ごとの要件と判断の担当
中身。担当する部門の責任者から「半年後にやってほしいこと」を聞き取り、要件にする。部門の面接官との調整、面接で見る点の擦り合わせ。代行が出してきた候補者を「進めるか」と判断する。部門の責任者への報告。部門の採用の優先順位を、代行との定例で伝える。
誰が担うか。人事チームの部門担当です。大企業では、部門担当がこの役割と運用の両方を持っていて、運用に押されています。運用を代行に出して、この役割に時間を移します。
なぜ残すか。部門ごとの要件と、部門の責任者との関係と、部門の面接官の癖を知っているのは、部門担当だけです。代行に渡すと、部門の違いが吸収されず、どの部門も「うちの採用が分かっていない」と言います。
時間の目安。要件を決めるときにまとまった時間、週に一度の代行との定例、部門の責任者への報告の時間です。日々の運用は代行が持ち、部門担当には「進めるか」の判断と、要件の更新だけを聞く形にします。要件の決め方は採用要件の定義を代行に出すに、現場への説明は現場に採用代行の導入を説明するに、面接官の育て方は面接官トレーニングは代行に出せるかに整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、人事の責任者が人事チームに「代行に運用を渡した後、皆さんには部門との調整と要件と判断に時間を使ってほしい。それが今より価値のある仕事で、評価もそこで見る」と、言葉で伝えることです。相談で見ていると、この一言がない会社では、人事チームが「自分の仕事が代行に取られる」と感じて渡さず、渡しても手を出し、代行が指示待ちで止まります。この一言があった会社では、人事チームが自分から渡す工程を選び、代行が最初の月から動き、部門担当が部門との調整に時間を使えるようになっています。
順番としては、まず責任者が人事チームに渡した後の役割と評価の軸を伝え、次に工程の一覧を人事チームと一緒に作って線を引き、最後に既存の手順を代行に教える時間を取ってから、契約に進みます。この順番を逆にして、代行と契約してから人事チームに「渡してほしい」と言うと、人事チームは「聞いていない」と感じ、押し付け合いが始まります。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、大企業の人事チームと並走してきた担当者が、契約の前に責任者と一緒に人事チームへの伝え方を整理するところから入っています。
人事チームに残す役割三:既存の手順と決裁の管理
中身。採用の稟議、承認の階層、評価の項目、入社の手続きといった既存の手順を、代行に教える。決裁を「人員の枠」「条件の幅」「役職」でまとめて取り、候補者ごとの判断を枠の中で即決できる形にする。手順を変えるかどうかを決める。
誰が担うか。人事チームの中で、手順を知っている担当者です。大企業では、この人が限られており、その人に運用も集中しています。運用を代行に出して、手順の管理と教えることに時間を移します。
なぜ残すか。既存の手順は社内の人にしか分からず、決裁は社内の人にしか取れません。代行は、教えられた手順の中で動き、決裁の見込みの日数を候補者に伝える側です。
時間の目安。代行に手順を教えるときにまとまった時間を一度、決裁の枠を取る時間、その後は手順の変更があったときに代行に伝える時間です。採用管理の仕組みの運用はATS(採用管理システム)の運用は代行に出せるかに、条件提示は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに、代行に渡す前提情報は代行会社に渡す前提情報の整理に書いています。
代行に出す工程と、部門をまたぐ工程・部門ごとの工程の分け方
三つの役割を人事チームに残したうえで、代行に出す工程を、部門をまたぐものと部門ごとのものに分けます。
| 工程 | 部門をまたぐか | 代行の配置 | 人事チームとの線 |
|---|---|---|---|
| 応募者と候補者への連絡 | またぐ(全部門で同じ) | 一つの代行が全部門を回す | 選考の結果は部門担当が決め、代行が伝える |
| 面接の日程調整 | またぐ | 一つの代行 | 面接官の予定は部門担当が出す。代行が面接官と直接組む |
| 面接の記録と進捗の一覧 | またぐ | 一つの代行、標準の形で | 記録の形は責任者が決め、部門担当と責任者が読む |
| 求人票の原稿 | 部門ごと | 部門ごとに担当者を分けるか、部門担当が要件を出して代行が書く | 何を書くかは部門担当、候補者の言葉に直すのは代行 |
| 媒体の運用とスカウト | 部門ごと(職種で経路が違う) | 部門か職種ごとに代行の担当者を分ける | 誰に送るかの基準は部門担当 |
| 一次面接 | 部門ごと | 部門ごとに見る点を決めて出す | 見る点は部門担当、最終は部門の面接官 |
| ATSへの入力、決裁の下書き | またぐ | 一つの代行 | 決裁そのものは手順の管理の担当 |
分け方の要点は、「部門をまたぐ工程は一つの代行が標準の形で回し、部門ごとの工程は部門担当の要件で代行の担当者を分ける」ことです。全部門の全工程を一つの契約で丸ごと渡す形と、部門ごとに別の代行を入れる形の、どちらでもない中間の形にします。日程調整は面接の日程調整は代行に出せるかに、採用管理の仕組みへの権限は採用代行に渡すATSの権限範囲に、定例で見る数字は採用代行との定例会で見るべき数字に整理しています。
エラベルの見解
外に出してよいのは、連絡・日程・記録・進捗の一覧・原稿・媒体の運用・スカウト・一次面接・ATSへの入力・決裁の下書きまでで、「体制の設計」「部門ごとの要件と判断」「既存の手順と決裁の管理」「部門の責任者との関係」は人事チームに残します。大企業は、人事チームの人数が多いので、運用を出さなくても回っているように見えますが、部門担当が運用に押されて部門との調整に時間を使えていない構造は、人数では解けません。出すのは、人事チームが本来の役割に時間を使えるようにする運用です。
担当する側から見ると、大企業で結果が分かれるのは、担当者が「人事チームの指示を待たずに、工程の名前で分けた範囲を回せるか」です。指示を待つ担当者は、部門担当が忙しいと止まり、「代行が動いていない」と言われます。「この工程は私が持ちます。判断が要るときはまとめてお聞きします」と、線の中で自分から動く担当者は、部門担当の時間を実際に減らし、部門担当から「初めて部門との調整に時間が使えた」と言われます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「工程の名前で線を引きましょう」と提案してくる担当者を選べば、この形になります。
まとめ
- 大企業で人事チームに残す役割は、体制の設計者(責任者)・部門ごとの要件と判断の担当(部門担当)・既存の手順と決裁の管理(手順を知る担当)の三つ
- 代行を入れる目的は、運用を出して、人事チームの時間を部門との調整と要件と判断と設計に移すこと。移し替えを責任者が言葉で伝える
- 人事チームを指示を出す側から、要件と判断と設計を持つ側に変える。代行は指示を待たずに線の中で運用を回す
- 工程は部門をまたぐもの(連絡、日程、記録)は一つの代行が標準の形で、部門ごとのもの(原稿、探す、一次面接)は部門担当の要件で分けて出す
- 既存の手順は契約の最初にまとまった時間で代行に教え、決裁は枠をまとめて取って候補者ごとの判断を即決にする
- 人事チームの評価の軸を「自分で採った数」から「体制を設計して回した成果」に変えると、責任者が先に伝える
よくある質問
人事チームの部門担当が、運用を代行に渡すことに抵抗しています
抵抗は自然な反応で、押し切らずに、渡した後の役割を先に伝えます。「運用を渡して、部門の責任者との調整と、要件と、判断に時間を使ってほしい。評価もそこで見る」と責任者が言葉で伝えます。渡す工程は、部門担当が「これなら」と言うものから一つだけ出し、部門担当の時間が実際に減ったことを確かめてから、次を考えます。部門担当が自分で渡す工程を選ぶ形にすると、抵抗は減ります。人事が一人の会社の考え方が参考になり、人事が一人の会社の採用体制の作り方に、社内の担当者を育てる考え方は社内の採用担当を育てるに整理しています。
部門の責任者が「代行ではなく人事チームに直接やってほしい」と言います
部門の責任者にとって、人事チームの部門担当は顔が見える相手で、代行は見えない相手です。「部門担当は変わらず皆さんの窓口で、要件と判断を持ちます。代行は部門担当の後ろで運用を回し、皆さんの前には部門担当が立ちます」と、部門の責任者から見た窓口が変わらないことを伝えます。日程の調整で代行が面接官と直接やり取りする場面は、部門担当が最初に紹介し、「日程は代行から連絡が行きます」と先に伝えておきます。現場への説明は現場に採用代行の導入を説明するに、大企業に向く代行の条件は大企業に向く採用代行の条件に書いています。
既存の手順が複雑で、代行に教えるのに時間がかかりすぎます
手順の全部を教えるのではなく、「代行が持つ工程で触れる手順」だけに絞ります。連絡と日程と記録を出すなら、その工程で触れる手順(記録の形、ATSの入力、日程の承認)だけを教え、稟議や入社の手続きは社内が持ちます。手順の資料を渡すだけでなく、社内の仕組みの操作を一度通して見せる時間を取ると、教える時間は短くて済みます。手順そのものが複雑すぎるなら、代行の意見を聞いたうえで、人事チームが手順を見直す機会にもなります。採用管理の仕組みの運用はATS(採用管理システム)の運用は代行に出せるかに、引き継ぎの項目は採用代行を切り替えるときの引き継ぎ項目に整理しています。