採用代行 / デザイナー

デザイナー採用を代行に出す判断基準|任せられる工程と残す工程

公開 2026-09-16

デザイナーの採用を代行に出すとき、「デザインができる人」という依頼になりがちですが、デザイナーと呼ばれる職種の中には、領域の違う仕事が含まれます。画面やサービスの使い勝手を設計するUI・UXデザイナー、広告や印刷物やSNSの素材を作るグラフィックデザイナー、会社やサービスの世界観を作るブランドデザイナー、プロダクトの企画から関わるプロダクトデザイナー。領域が違えば、経歴もポートフォリオの見方も市場も違います。結論を先に書くと、デザイナー採用で代行に出せるのは「探す・届ける・一次対応する・進捗を回す」で、「どの領域のデザイナーを採るかの決定・社内でのデザインの位置づけの設計・ポートフォリオと実技の評価」は社内に残すのが線です。領域と位置づけが決まっていない募集は、代行に出しても、経歴の肩書で探すことになり、ポートフォリオを見ても判断できません。開発エンジニアの代行の線はエンジニア採用を代行に出す判断基準に、採用代行そのものの整理は採用代行(RPO)とはにまとめています。

デザイナー採用が他の職種と違う点

一つ目は、領域が分かれていることです。UI・UX、グラフィック、ブランド、プロダクト、さらに動画や3Dなど。一人で全部をこなす人は少なく、求人票で「デザイナー募集」だけだと、全部の領域の人が応募し、自社が求める領域の人は一部です。

二つ目は、ポートフォリオが評価の中心だということです。経歴書より、作った物を見て判断します。ただ、ポートフォリオを見て「自社に合うか」を判断するには、デザインの分かる人が要ります。人事だけで見ると、見た目の好みで判断し、実務の力(制約の中で設計できるか、目的に合っているか)が分かりません。

三つ目は、社内でのデザインの位置づけが採用を左右することです。デザイナーが企画から関わって意思決定に加わるのか、決まったものを指示どおりに作る役なのか。この位置づけで、求める人も、候補者が応募するかも変わります。位置づけが曖昧だと、意思決定に関わりたい人が入社後に「作るだけ」と感じて離れます。

四つ目は、制作会社と事業会社で働き方が違うことです。制作会社で多くの案件を短期で回してきた人と、事業会社で一つのサービスに長く関わってきた人では、得意なことも、希望する働き方も違います。自社が事業会社なら、事業会社の働き方に合う人か、制作会社から移りたい人かを見ます。

この四つから、代行に出せる工程が決まります。

工程ごとの「任せられる・残す」

工程任せられるか理由
領域の決定(UI・UX、グラフィック、ブランド、プロダクト)残す自社が何を作るかで決まる
デザインの位置づけの設計残す意思決定に関わるか、作る役か。経営と事業側で決める
要件の決定残す領域と位置づけから。外部は整理を手伝える
求人票の作成任せられる(領域と位置づけが決まっていれば)決まったものを候補者に伝わる言葉にする
媒体の選定と運用任せられるデザイナーに届く媒体と経路の経験があれば
スカウトの検索と送信任せられる領域に合わせた検索と、ポートフォリオを見た個別化
応募者への一次対応任せられる連絡、日程、流れの案内
書類とポートフォリオの一次絞り条件付き領域の分類は任せられる。デザインの質の判断は残す
ポートフォリオと実技の評価残すデザインの分かる人が見る。外部は評価の型作りと記録
合否の判断残す会社の判断
条件の決定と提示残す会社の判断
内定後の対応任せられる辞退を防ぐ連絡

線の要点は、「領域・位置づけ・評価する人の三つが、募集の前に社内で決まっているか」です。この三つが決まれば、代行は探す・届ける・回す工程で力を出せます。

エラベルの見解

相談で多いのは、「デザイナーを募集しているが、ポートフォリオを見ても良し悪しが分からない」というご相談です。社内にデザインの分かる人がおらず、経営者や人事が見た目の好みで判断し、面接で「なぜこのデザインにしたか」を聞けない。候補者から見ると、「デザインの話が通じない会社」で、経験のある人ほど見送ります。代行に出しても、代行がポートフォリオを評価する形になると、自社の好みや目的とずれます。

見ていて差がつくのは、「ポートフォリオを見る人を、社内か外部に用意しているか」です。社内にいなければ、外部のデザインの分かる人(デザインを委託している会社の担当、知人のデザイナー、顧問)に、ポートフォリオの確認と面接の同席だけを頼む。評価の型(目的に合っているか、制約の中で設計しているか、説明できるか)を作れば、見た目の好みではなく、実務の力で判断できます。エラベルでは、デザイナーの案件をお受けする前に、依頼側に「ポートフォリオを見る人」がいるかを伺い、いなければ用意することをお伝えしています。

代行に出す前に社内で確認すること

代行に出す前に、社内で揃えておくことを六つ挙げます。

六つのうち、二つ目と四つ目が最も重要です。位置づけが決まっていないと、意思決定に関わりたい人と作る役でよい人のどちらを採るかが決まらず、評価する人がいないと、誰を採っても判断の根拠がありません。

デザインの分かる人がいない会社の組み方

社内にデザイナーがおらず、一人目を採る会社は多い。組み方を三つ示します。

一つ目は、デザインを委託している会社や個人がいれば、その人にポートフォリオの確認と面接の同席を頼むことです。自社の作るものを知っていて、「どういう人が入れば自分たちとの分担がうまくいくか」を言えます。ただし、委託先が採用を決めるのではなく、評価の材料まで。

二つ目は、外部のデザインの分かる人(知人のデザイナー、顧問)を、評価だけに入れることです。評価の型を一緒に作り、ポートフォリオを見て、面接で「なぜこのデザインにしたか」を聞いてもらう。

三つ目は、一人目のデザイナーに「デザインの仕組みを作るところから」と正直に書くことです。デザインの分かる人がいない会社に一人目として入ることは、裁量が大きい一方で、相談相手がいない不安があります。正直に書き、それに魅力を感じる人(一人目として仕組みを作りたい人)を探します。

どの組み方でも、「ポートフォリオの評価を代行に任せない」ことは同じです。

代行を選ぶときの確認項目

確認項目聞き方見るポイント
デザイナー採用の経験「デザイナーの採用で、どの領域の募集を担当しましたか」領域の区別が付いているか
ポートフォリオの扱い「ポートフォリオはどう見ますか」「領域の分類まで。質の判断は御社で」と答えるか、「こちらで評価します」と答えるか。後者は注意
位置づけの理解「当社のデザイナーの位置づけを、候補者向けの言葉にするとどうなりますか」意思決定に関わるか、作る役かを言えるか
媒体と経路「デザイナーに届く経路は何ですか」デザイナー向けの媒体、ポートフォリオを公開する場、コミュニティを知っているか
制作会社と事業会社の違い「制作会社出身の方を事業会社に紹介するとき、何を確認しますか」働き方の違いを分かっているか
担当者「担当する方の経歴を教えてください」デザイナーか近い職種の採用経験があるか。担当者の経歴を確認する

確認の要点は、「ポートフォリオの扱い」の答え方です。「こちらで評価します」と答える代行は、自社の目的や好みと違う基準で絞る可能性があります。

代行に出したあとに起きること

起きること戻し方
領域の違うデザイナーが応募してくる求人票の一行目で領域を示す。検索の条件を領域で分ける
ポートフォリオを誰も評価できず、選考が止まる評価する人を用意する。評価の型を作る
面接で「デザインの最終判断は誰が」と聞かれ、答えられない位置づけを決め、求人票とスカウトに書く
制作会社出身の人が入社後に「一つのことに長く関わるのが合わない」と離れる面接で働き方の違いを伝え、事業会社に移りたい理由を聞く
代行がポートフォリオの良し悪しを判断し始める「評価は社内で」と戻す。代行は領域の分類まで

戻し方の要点は、「評価する人と位置づけを、募集の前に決める」ことです。決まっていないまま応募が来ると、選考が止まります。

エラベルの見解

担当する側から見ると、デザイナーの採用で最も時間がかかるのは、依頼側の「デザインの位置づけ」を引き出すことです。依頼側は「デザインを良くしたい」と言いますが、デザイナーに企画から関わってもらうのか、決まったものを作ってもらうのか、最終判断を誰が持つのかは、決まっていないことが多い。ここが曖昧なまま募集すると、意思決定に関わりたい人が来て、入社後に「作るだけ」と分かって離れます。

エラベルでは、デザイナーの案件をお受けするとき、依頼側に「領域」「位置づけ」「ポートフォリオを見る人」の三つを先に伺っています。決まっていれば、担当者は最初の週から領域に合う経歴を探せます。決まっていなければ、担当者の最初の仕事は、この三つを整理する打ち合わせの進行になります。

まとめ

よくある質問

社内にデザインの分かる人がいません。ポートフォリオはどう見ればよいですか

外部のデザインの分かる人(デザインを委託している会社の担当、知人のデザイナー、顧問)に、ポートフォリオの確認と面接の同席を頼みます。評価の型を一緒に作ります。見るのは、見た目の好みではなく、「目的に合っているか」「制約(納期、技術、予算)の中で設計しているか」「なぜそのデザインにしたかを説明できるか」の三つです。この三つは、面接で候補者に「このデザインの目的と、制約と、判断の理由」を聞けば、デザインの分からない人でも、答え方から一定の判断ができます。外部の評価を一度は入れることをお勧めします。

「UIもグラフィックもブランドも」できるデザイナーを一人採りたいのですが

全部を高い水準でこなす人は市場に少なく、いても条件が高い。「全部」で募集すると、全部の領域の人が応募し、どの領域も中途半端な人か、一つの領域が強く他は弱い人が来て、面接で「求めているのと違う」となります。自社がいま最も必要な領域を一つ決め、その領域を必須に、他は歓迎にします。一人目で一つの領域を採り、他の領域は委託や二人目で補う形のほうが、現実的です。「全部」を求めるなら、それぞれの領域の水準をどこまで求めるかを決め、面接でそれぞれのポートフォリオを見ます。

制作会社出身のデザイナーは、事業会社に合いますか

合う人と合わない人がいます。制作会社では、多くの案件を短期で回し、クライアントの要望に応える働き方で、事業会社では、一つのサービスに長く関わり、自ら課題を見つけて改善する働き方です。制作会社から事業会社に移りたい人の中には、「一つのものを育てたい」「自分で判断したい」という動機の人がいて、その人は合います。面接で、事業会社の働き方(長く関わる、自ら課題を見つける、関係者と調整する)を正直に伝え、「それを望んでいるか」を確かめます。制作会社の働き方が好きな人が、条件だけで事業会社に来ると、入社後に離れます。