IPO準備企業が払える採用代行費用の目安|上場までの日程から管理部門の採用を逆算し、労務の整備と並べて予算を組む
IPOの準備に入った会社は、事業を伸ばすための採用と、上場に耐える社内の体制をつくるための採用を、同時に進めることになります。経理、法務、内部監査、労務など管理部門の人は、上場までの日程の中で、決まった時期までにそろえる必要があります。事業の採用と同じ物差しで費用を考えると、管理部門の採用が後回しになり、日程そのものが遅れることがあります。結論から書くと、IPO準備企業の採用代行(RPO)の費用は、上場までの日程から管理部門の採用の期限を逆算して予算を置き、事業の採用とは別の物差しで比べると判断しやすくなります。
採用代行の料金は会社や業務の範囲によって大きく異なり、公的な統計もないため、この記事では相場の金額は扱いません。自社の日程と数字から予算を出す手順を書きます。IPO準備企業で代行をどう使うかはIPO準備企業の採用代行の使い方で書いています。
この段階で採用に割ける体制
IPO準備の段階では、管理部門の責任者が、上場の準備の作業と採用を並行して担っていることがよくあります。規程の整備、監査への対応、決算の早期化などの作業に追われる中で、候補者を探し、面接をし、条件を詰める時間を確保するのは難しくなります。そのうえ、管理部門の経験者は対象の人が限られ、上場の準備の経験がある人となると、さらに限られます。
この段階で採用代行に期待されるのは、管理部門の責任者が面接と判断に集中できるよう、候補者を探す作業と選考の段取りを受け持つことです。費用の予算も、この役割と、上場までの日程から考えます。
上場までの日程から逆算する
管理部門の採用の予算は、次の手順で出せます。
- 上場までの日程を並べる:上場の申請や審査に向けて、いつまでにどの体制を整える必要があるかを、主幹事の証券会社や監査法人と確かめて並べる
- 体制に要る人を出す:経理、法務、内部監査、労務など、体制ごとに要る人数と経験を出す
- 採用の期限を決める:入社してから業務に慣れるまでの期間を見込み、それぞれの採用の期限を決める
- 間に合わない場合の影響を並べる:期限までに採れない場合に、日程がどれだけ遅れるか、外部の専門家に頼む費用がどれだけかかるかを出す
- 予算を置く:間に合わない場合の影響と比べて、採用にかけてよい額を決める
管理部門の採用では、1人あたりの採用の費用が高くても、日程の遅れや外部の専門家への支払いと比べれば、採る価値があることが多くなります。反対に、期限に余裕がある体制は、時間をかけて1人あたりの費用を抑える進め方も選べます。
エラベルの見解
IPO準備企業からの相談で多い失敗は、管理部門の採用を事業の採用と同じ予算の中で扱い、後回しにすることです。事業の採用は売上に直結するため優先されがちですが、管理部門の体制が整わなければ、上場の日程そのものが遅れます。後になって急いで採ろうとすると、対象の人が限られる中で人材紹介に頼ることになり、1人あたりの費用が上がります。
担当者を選ぶときは、管理部門の職種の要件を、上場の準備に必要な経験の言葉に言い換えて候補者を探せる人かどうかを見てください。「経理経験者」ではなく、どの規模の決算を、どの期限で締めた経験が要るのかまで要件を詰められる担当者のほうが、少ない候補者の中から合う人に届きます。
事業の採用と管理部門の採用で物差しを分ける
IPO準備企業では、事業の採用と管理部門の採用で、費用を何と比べるかが違います。
| 区分 | 主な職種 | 費用を比べる相手 |
|---|---|---|
| 事業の採用 | エンジニア、営業、カスタマーサクセスなど | 1人が生む売上の見込み、事業計画の達成 |
| 管理部門の採用 | 経理、法務、内部監査、労務 | 上場の日程の遅れ、外部の専門家に頼む費用 |
事業の採用は、売上の計画と結びつけて予算を考えます。管理部門の採用は、上場の日程と結びつけて予算を考えます。二つを同じ予算の枠で競わせないよう、別の枠として管理してください。
人材紹介を使う場合、職業安定法第32条の3により、有料職業紹介事業者の手数料は、厚生労働省令で定める種類・額か、届け出た手数料表に基づくものに限られています。管理部門の経験者を紹介で採る場合は、日程の遅れの影響と並べて比べてください。
エラベルの費用は、採用が決まったときに1名につき10万円(税別)です。採用が決まらなければ費用はかかりません。管理部門の職種を少人数採りたい場合の選択肢の一つとして比べてみてください。
労務の整備と採用を並行させる
IPOの準備では、労務の管理が整っているかも確かめられます。採用で人を増やす前に、受け入れる側の労務の仕組みを整えておく必要があります。労働安全衛生法第66条の8の3は、事業者に、面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握することを求めています。また労働基準法第36条は、時間外労働の限度時間を一箇月について四十五時間、一年について三百六十時間とし、臨時的に限度時間を超えて働かせる必要がある場合でも、時間外労働と休日労働を合わせて一箇月について百時間未満、時間外労働は一年について七百二十時間を超えない範囲とすることなどを定めています。
採用で人を増やしても、労働時間の把握や時間外労働の協定が整っていなければ、入社した人の働き方を正しく管理できません。労務を担う人の採用を、ほかの採用より先に進めることも考えてください。労務の整備の具体的な進め方など個別の判断は、社会保険労務士・弁護士にご確認ください。
エラベルの見解
もう一つ見てほしいのは、IPO準備企業の採用費は、選考の記録の残し方で後から効いてくるということです。上場の準備では、採用の手続きが社内の規程どおりに行われているかも見られることがあります。誰がどの基準で採るかを決めたのか、労働条件をどう示したのかの記録が残っていないと、後から整える手間がかかります。
採用代行に任せるときは、候補者の記録、面接の評価、労働条件の提示の記録を社内の環境に残すことを契約で決めてください。採用の手続きを最初から規程に沿った形で残しておくことは、後から整える費用を減らし、上場の準備の負担を軽くします。
まとめ
- IPO準備企業の採用代行の費用は、上場までの日程から管理部門の採用の期限を逆算して予算を置く
- 管理部門の採用は、日程の遅れや外部の専門家に頼む費用と比べる
- 事業の採用と管理部門の採用を、別の予算の枠で管理する
- 労働時間の把握や時間外労働の協定など、受け入れる側の労務を採用と並行して整える
- 選考と労働条件の提示の記録を、社内の環境に残す
よくある質問
IPO準備企業の採用代行の費用の相場はいくらですか
採用代行の料金は、任せる業務の範囲や料金の形によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。上場までの日程から管理部門の採用の予算を逆算し、その範囲で同じ業務範囲の見積もりを比べてください。エラベルの場合は、採用が決まったときに1名10万円(税別)です。
管理部門の採用はいつから始めるべきですか
入社してから業務に慣れるまでの期間と、採用にかかる期間を見込み、上場の日程から逆算して始めてください。対象の人が限られる職種ほど、早めに始める必要があります。日程は主幹事の証券会社や監査法人と確かめてください。
上場の準備の経験者でなければ採るべきではありませんか
経験者がいれば準備は進めやすくなりますが、対象の人は限られます。決算や規程の整備など、準備に必要な経験の中身を分けて考え、経験の一部を持つ人を採って、外部の専門家の支援と組み合わせる形もあります。
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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