採用代行 / IPO準備企業
IPO準備企業が採用代行で失敗するパターン
ここでいうIPO準備企業は、上場の審査に向けて管理体制を整える途中の会社です。経理、法務、労務、内部監査といった管理部門の採用が急に要り、人事は規程や評価や労務の制度作りで手一杯、経営陣は監査法人や証券会社との対応で時間が消え、事業側は成長を続けて採用も増え、採用の運用そのものがこれから審査で見られる対象になります。この状態で採用代行を使うと、スタートアップにも上場した後の会社にも起きない失敗の形が出ます。結論を先に書くと、IPO準備企業の失敗は「統制がまだ無い途中で、採用だけが先に増える」ことから起きます。管理部門の採用は事業側と候補者層も経路も違い、人事は制度作りで窓口になれず、決裁と記録の流れは作られておらず、条件は「上場後」に寄りかかり、審査期間中の採用の方針は経営陣の中で揺れます。この五つが重なると、代行は動いても決まらず、決まっても審査の前に整え直しになります。代行に出す前に、「管理部門と事業側の採用を分けて設計する」「人事とは別に採用の窓口を置く」「代行を入れるときに決裁と記録の流れを一緒に作る」「現金の条件を先に決める」「審査期間中の採用の方針を経営陣で一枚にする」の五つを決めておけば、失敗の大半は避けられます。この記事では、五つのパターンを、症状・原因・先に打つ手の順に整理します。上場した後の会社の失敗は上場企業が採用代行で失敗するパターンに、急成長の会社の失敗は急成長フェーズの会社が採用代行で失敗するパターンに、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。
失敗のパターン一:管理部門の採用を事業側と同じ型で回して、決まらない
症状。経理の責任者、法務、労務、内部監査の担当を急いで採る必要があり、事業側のエンジニアや営業を採ってきた代行に同じ形で頼む。代行は転職サイトとスカウトで探すが、上場企業や監査法人の経験がある候補者はスカウトに反応しにくく、来ても要件が「上場準備の経験」で絞られて見つからない。時間だけが過ぎ、経営陣は「代行は管理部門を分かっていない」と感じる。
原因。管理部門の採用は、候補者の層も、経路も、見る点も、事業側と違います。経験者は紹介会社経由や知人の紹介で動くことが多く、要件も「上場準備の経験」より「何を作れるか」で分けないと、市場にいない人を探し続けます。事業側の型をそのまま当てると、経路と要件の両方がずれます。
先に打つ手。代行を入れる前に、管理部門の採用と事業側の採用を分けて設計します。管理部門は、要件を「上場準備の経験」ではなく「入る時点で持っていないと困ること(決算の締め、規程の整備、労務の手続き)」と「入ってから監査法人や証券会社と一緒に身につくこと」に分け、経路は紹介会社と知人の紹介と、経営陣や監査法人からの紹介を先に使います。代行には、管理部門の採用を支援した経験があるかを聞き、事業側と同じ担当者で回すなら、経路と要件の違いを最初に共有します。経理の採用は経理採用を代行に出す判断基準に、法務は法務採用を代行に出す判断基準に、労務は労務採用を代行に出す判断基準に整理しています。
失敗のパターン二:人事が制度作りで埋まり、代行の窓口が空く
症状。人事は就業規則や評価制度や労務の整備、監査法人や証券会社からの指摘への対応で手一杯で、代行からの確認に返事ができない。代行は経営陣に聞くが、経営陣も審査対応で不在。候補者は返事を待つ間に他社に決まり、代行は「誰に聞けばよいか分からない」と言い、人事は「採用まで見られない」と言う。
原因。IPO準備の期間は、人事の仕事が「採用」から「制度と労務の整備」に移り、採用の窓口が空きます。代行を入れる前と同じ人事を窓口にすると、その人事は制度作りで埋まっています。経営陣も同じ時期に最も忙しく、代わりになれません。
先に打つ手。代行を入れる前に、人事とは別に「採用の窓口」を置きます。事業側の管理職か、経営企画の担当か、人事の中で制度作りを持たない一人で、「自分で決めてよい範囲」(書類の見送り、日程、面接の案内、紙の中の候補者を進めること)と「経営陣に上げる範囲」(採るかどうか、条件)を紙にします。経営陣への確認は週に一度にまとめ、審査対応の予定を避けた曜日に固定します。窓口の作り方は専任の人事がいない会社の採用体制の作り方に、専任人事に全部が乗る失敗は従業員百名規模の会社が採用代行で失敗するパターンに、経営者への出し方は経営者に採用の状況が伝わらないに書いています。
エラベルの見解
同じ料金・同じ業務範囲でも、IPO準備企業で結果が分かれるのは、担当者が「管理部門の採用と事業側の採用は別物だ」と最初から分けて設計できるかどうかです。パターン一と二は、どちらも事業側の採用の型と体制を、そのまま管理部門の採用と制度作りの時期に当てはめたことから起きています。相談で見ていると、うまくいく担当者は、契約の前に「管理部門はどの職種を、いつまでに、誰が決めますか。人事の方は今、制度作りにどれくらい時間を取られていますか」と聞き、管理部門の採用は紹介会社と経営陣の知人の経路を先に動かし、事業側の採用は型の中で回し、窓口を人事から切り離す形を最初に提案しています。
契約の前の面談で「経理と法務の採用は、エンジニアと同じ経路では動きません。紹介会社と紹介の経路を先に整えましょう」と言う担当者と、「まとめてスカウトで探します」と言う担当者では、半年後に管理部門が埋まっているかどうかが違います。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、上場準備の会社で管理部門の採用を支援してきた担当者を、最初から選べます。
失敗のパターン三:採用の決裁と記録の流れを作らないまま代行が動き、審査の前に整え直す
症状。代行が候補者の連絡と日程と記録を回しているが、誰が採用を決裁したか、条件を誰が承認したか、候補者の個人情報をどこに置いたか、労働条件をいつどう通知したか、の記録が代行の手元とチャットに散っている。審査の準備で「採用のプロセスの証跡」を求められ、過去の採用を遡って整え直す。代行は「言われていなかった」と言い、社内は「採用も見られるとは思わなかった」と言う。
原因。上場した後の会社には統制の手順がありますが、準備の途中の会社には、まだありません。代行は目の前の運用を回すことに集中し、社内も採用の運用が審査の対象になることを後から知ります。作られていない流れに、代行は合わせようがありません。
先に打つ手。代行を入れるタイミングで、「採用の決裁と記録の流れ」を一緒に作ります。誰が要件を承認し、誰が採用を決裁し、誰が条件を承認するか。候補者の個人情報をどこに置き、誰がアクセスし、いつ消すか。労働条件をいつどう通知し、その記録をどこに残すか。代行との契約は委託先の管理の対象になりうるので、秘密保持と個人情報の扱いを契約書に入れます。何を証跡として残すべきかは、監査法人や証券会社の指摘と法令の整理に沿い、個別の判断は専門家に確認してください。代行には、記録を代行の手元ではなく社内の共有の場所に置いて更新する形を最初から頼みます。監査に耐える記録の考え方は上場企業が採用代行で失敗するパターンに、個人情報の扱いは採用代行と個人情報保護法に、契約で確認する項目は採用代行の業務委託契約書で確認する10項目に整理しています。
失敗のパターン四:「上場したら報われる」で条件を語り、現金の条件が曖昧で辞退が続く
症状。候補者に「上場を目指している」「株式で報われる可能性がある」と語り、現金の給与の幅や、株式報酬の具体的な扱いを曖昧にしたまま面接が進む。オファーの段階で現金の条件が候補者の期待に届かず辞退が続く。入社した人も、株式報酬の条件を後から知って「聞いていた話と違う」と感じる。代行は条件を語れず、面接での説明が経営陣ごとに違う。
原因。IPO準備の会社は、上場の期待で候補者を惹きつけられると考えがちですが、候補者が生活で見るのは現金の条件です。株式報酬は制度の設計と税務の扱いが会社ごとに違い、面接で口頭で語ると期待とずれます。条件を「上場後」に寄せることで、現金の条件を決める作業が後回しになります。
先に打つ手。代行を入れる前に、職種ごとの現金の給与の幅と勤務の形を決め、それだけで候補者が来る条件かを代行に聞きます。株式報酬は、制度がある場合も、面接で口頭で語らず、条件提示の段階で書面の説明と専門家の確認を経た内容だけを伝えます。「上場を目指している」は事実として伝えてよく、「上場したら報われる」は伝えません。面接官全員が同じ説明をできるよう、条件の説明の一枚を作ります。株式報酬の設計と税務は専門家に確認してください。条件の伝え方は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに、内定辞退が続くときは内定辞退が続くときに見直す3点に、辞退の理由は内定辞退の理由を正しく集める方法に書いています。
失敗のパターン五:審査期間中に事業側の採用を続けるか止めるかが揺れて、代行が振り回される
症状。経営陣が「審査期間中は管理部門だけに絞る」と言い、事業側の採用を止める。数週間後に事業の責任者が「人が足りない」と言い、「やはり事業側も」と再開する。また数週間後に「費用を抑えたい」と止める。代行は要件と経路を切り替え続け、候補者への連絡が途中で止まり、事業側の候補者が去る。代行の稼働は増減の対応で消える。
原因。IPO準備の期間は、費用の見え方と、事業の成長と、審査の対応が同時に動き、採用の方針を経営陣で一枚にしていないと、その週の声で揺れます。代行は方針に従うしかなく、揺れるたびに立ち上げ直しになります。
先に打つ手。代行を入れる前に、経営陣で「審査期間中の採用の方針」を一枚にします。管理部門は何を、いつまでに。事業側はどの職種を、どの人数まで、続けるか、止めるか、絞るか。変えるときは誰が決め、いつ代行に伝えるか。この一枚を代行に渡し、月に一度、経営陣が一枚を見直す場を持ちます。事業側の採用を絞るなら、「止める」ではなく「進行中の候補者は最後まで進め、新しい募集を止める」と分けます。優先順位の場は急成長フェーズの会社の採用体制の作り方に、採用計画は採用計画の設計は代行に出せるかに、急な増員への対応は急な増員要請に対応できないに整理しています。
エラベルの見解
これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、代行と契約する前に、経営陣が「管理部門と事業側の採用の設計を分ける」「人事とは別の採用の窓口を置く」「決裁と記録の流れを代行と一緒に作る」「現金の条件を先に決める」「審査期間中の採用の方針を一枚にする」の五つを決めることです。五つのパターンは、全部この五つのどれかが空いていることから起きています。決まらない失敗は設計が分かれておらず、窓口が空く失敗は窓口が人事のままで、整え直す失敗は流れがなく、辞退の失敗は現金の条件がなく、振り回される失敗は方針が一枚になっていないからです。
五つを決めるのに要るのは、経営陣の時間で一度だけ、半日です。審査対応で最も忙しい時期にこの半日を惜しんで「とにかく管理部門を急いで」と頼むと、代行は事業側の型で探して決まらず、窓口がなくて待ち、記録が散って審査の前に整え直し、条件で辞退され、方針の揺れで振り回されます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「管理部門は経路が違います。決裁と記録の流れも一緒に作りましょう」と言ってくる担当者を選べます。何を証跡として残すかの個別の判断は、監査法人や証券会社の指摘と専門家の確認に沿ってください。
まとめ
- IPO準備企業の失敗は、統制がまだ無い途中で、採用だけが先に増えることから起きる
- パターン一は設計の分け方。管理部門の採用は候補者層も経路も見る点も事業側と違う。要件を「上場準備の経験」でなく「入る時点で持っていないと困ること」で分け、紹介と知人の経路を先に使う
- パターン二は窓口。制度作りで埋まる人事とは別に採用の窓口を置き、決めてよい範囲を紙にし、経営陣への確認を週に一度に固定する
- パターン三は決裁と記録の流れ。代行を入れるときに一緒に作り、記録は社内の共有の場所に置く。代行との契約は委託先の管理として秘密保持と個人情報を入れる。証跡の個別の判断は専門家に
- パターン四は現金の条件。職種ごとの給与の幅を先に決め、株式報酬は口頭で語らず書面と専門家の確認を経た内容だけを伝える
- パターン五は方針の一枚。審査期間中の採用の方針を経営陣で一枚にし、変えるときは誰が決めていつ伝えるかを決める
よくある質問
管理部門の採用は、代行より紹介会社に頼んだほうが早いですか
経験者の多くは紹介会社経由で動くので、紹介会社を使うのは合っています。代行が役に立つのは、複数の紹介会社への依頼書を同じ版で出し、推薦の受付と日程と記録を回し、経営陣への確認を週に一度にまとめ、決裁と記録の流れを作る部分です。紹介会社だけだと、推薦が経営陣に直接届いて返事が止まり、記録が散ります。代行と紹介会社は両立でき、代行が窓口として紹介会社との日々の連絡を持つ形が、この時期には合います。経理の要件は経理の採用要件の作り方に、紹介会社との折衝は人材紹介会社との折衝は代行に出せるかに、代行と紹介の違いは採用代行と人材紹介の違いに整理しています。
代行に候補者の個人情報を渡すこと自体を、法務や監査法人が止めています
止める理由は、代行との契約が委託先の管理の対象になりうるからで、代行を使えないという意味ではないことが多くあります。契約書に秘密保持と個人情報の扱い(どこに置き、誰がアクセスし、いつ消すか、再委託の可否)を入れ、記録を代行の手元ではなく社内の共有の場所に置く形にし、代行の側の管理の体制を書面で出してもらえば、法務や監査法人と話せる材料になります。委託先として何を求めるべきかは、法令の整理と監査法人の指摘に沿い、個別の判断は専門家に確認してください。個人情報の扱いは採用代行と個人情報保護法に、渡す情報の範囲は採用代行に渡す候補者情報とNDAの範囲に、職業安定法との関係は採用代行と職業安定法に書いています。
上場した後は、代行との関係をどう変えればよいですか
上場すると、統制の手順が確定し、採用の運用はその手順の中で回ることになります。準備の期間に作った決裁と記録の流れが、そのまま手順の土台になるので、代行との関係は「流れを一緒に作る」から「決まった手順の中で回す」に変わります。稟議と予算の手順で代行の契約自体が止まりやすくなるので、準備の期間のうちに契約の形と委託先の管理を整えておくと、上場後の更新が楽になります。上場した後の失敗は上場企業が採用代行で失敗するパターンに、上場企業の体制は上場企業の採用体制の作り方に、体制の作り方はIPO準備企業の採用体制の作り方に整理しています。