採用代行 / IPO準備企業

IPO準備企業の採用体制の作り方|社内に残す役割

公開 2026-09-22

ここでいうIPO準備企業は、上場の審査に向けて管理体制を整える途中の会社です。経理、法務、労務、内部監査といった管理部門の採用が急に要り、人事は規程や評価や労務の制度作りで手一杯、経営陣は監査法人や証券会社との対応で時間が消え、事業側は成長を続けて採用も増え、採用の運用そのものがこれから審査で見られる対象になります。この会社が採用代行を使うとき、決めるべきことは「代行に何を任せるか」ではなく、「統制がまだ無い途中で、採用の運用を最初から審査で見られる形にしながら、管理部門と事業側の二本立てを誰が持つか」です。結論を先に書くと、社内に残す役割は「管理部門の責任者」「人事とは別の採用の窓口」「事業側の責任者」の三つで、管理部門の責任者は管理部門の要件と決裁の流れの設計を持ち、採用の窓口は決めてよい範囲と記録の所在を持ち、事業側の責任者は成長の採用の要件と審査期間中の優先順位を持ちます。代行は、運用と記録と紹介会社との日々の連絡を、社内の共有の場所に記録が残る形で持ちます。上場した後の会社は決まった統制の手順の中で代行を回しますが、準備の途中の会社は手順を作りながら回すので、体制の作り方が違います。この記事では、三つの役割の中身と、二本立ての設計、決裁と記録の流れ、代行との契約を委託先として整える考え方を整理します。失敗の形はIPO準備企業が採用代行で失敗するパターンに、上場した後の体制は上場企業の採用体制の作り方に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。

この時期に、採用に関わる人の状態

体制を作る前に、この時期に採用に関わる人が、それぞれどんな状態にあるかを見ます。

状態採用に割ける時間の現実
経営陣監査法人と証券会社との対応で時間が消える。管理部門の採用は自分で決めたい最終の面接には出られるが、日によって予定が変わる
管理部門の責任者(CFOか管理部長)自分も採られたばかりのことが多い。管理部門の要件を最も知っている決算と審査対応の合間。要件を言葉にする時間は取れる
人事就業規則、評価制度、労務の整備、指摘への対応で手一杯採用の窓口にはなれない。制度の観点で採用の運用を見る時間は要る
事業側の責任者成長を続けていて、人が足りない。審査期間中の採用の方針が分からない一次面接は出られる。優先順位は自分の部門しか見ていない
法務、監査法人、証券会社採用の運用も含めて、決裁と記録と委託先の管理を見る採用に時間は使わないが、整っていないと止める

この表から、この時期に最も空きやすいのは採用の窓口で、最も知られていないのは「採用の運用が審査の対象になること」で、最も揺れやすいのは審査期間中の採用の方針です。体制は、この三つに合わせて、窓口を人事から切り離し、記録の流れを最初から作り、方針を経営陣で一枚にする形で作ります。

社内に残す役割一:管理部門の責任者

中身。管理部門の採用の要件を、「入る時点で持っていないと困ること(決算の締め、規程の整備、労務の手続き)」と「入ってから監査法人や証券会社と一緒に身につくこと」に分ける。管理部門の採用の経路(紹介会社、知人、監査法人や証券会社からの紹介)を経営陣と決める。採用の決裁の流れ(誰が要件を承認し、誰が採用を決裁し、誰が条件を承認するか)を設計し、記録の所在を決める。代行との契約を委託先として整える(秘密保持、個人情報の扱い、再委託の可否)。管理部門の候補者の面接に出て、実務の見極めを持つ。

なぜ残すか。管理部門の要件を言葉にできるのは、管理部門の責任者だけです。事業側の型で探すと、経路も要件もずれます。決裁と記録の流れは、審査で見られる対象なので、社内が設計し、代行はその流れの中で動きます。委託先の管理も、社内が決めることです。

時間の目安。最初に一度だけ、要件と経路と決裁の流れと契約の形を決める半日(代行が同席して紙にする)。その後は、管理部門の候補者の面接と、週に一度の確認です。何を証跡として残すべきかは、監査法人や証券会社の指摘と法令の整理に沿い、個別の判断は専門家に確認してください。経理の要件は経理の採用要件の作り方に、法務は法務の採用要件の作り方に、労務は労務の採用要件の作り方に、契約で確認する項目は採用代行の業務委託契約書で確認する10項目に書いています。

社内に残す役割二:人事とは別の採用の窓口

中身。代行の一つの窓口になる(事業側の管理職か、経営企画の担当か、人事の中で制度作りを持たない一人)。自分で決めてよい範囲(書類の見送り、日程、面接の案内、紙の中の候補者を進めること)を持ち、経営陣に上げる範囲(採るかどうか、条件)を週に一度、審査対応の予定を避けた曜日にまとめて上げる。記録の所在を持つ(要件の紙、候補者の一覧、面接の記録、決裁の記録、条件の通知の記録を社内の共有の場所に置き、代行が更新する形を守る)。人事とは、制度の観点で採用の運用を月に一度確認する場を持つ。

なぜ残すか。この時期の人事は制度作りで埋まり、窓口になれません。窓口が空くと、代行の確認が経営陣に届いて止まります。記録の所在を社内が持つことで、代行を替えても止めても、審査に出す記録が残ります。人事を切り離すのは採用から外すためではなく、制度の観点で運用を見る役割に集中してもらうためです。

時間の目安。週に数時間で、週に一度の代行との確認と、経営陣への確認をまとめる時間と、決めてよい範囲の判断と、記録の所在の確認です。運用そのもの(連絡、日程の往復、紹介会社との日々の連絡)は代行が持ちます。窓口の作り方は専任の人事がいない会社の採用体制の作り方に、専任人事を守る考え方は従業員百名規模の会社の採用体制の作り方に、経営者への出し方は経営者に採用の状況が伝わらないに整理しています。

エラベルの見解

これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、代行と契約する前に、管理部門の責任者が「採用の決裁と記録の流れ」を紙にし、代行との契約を委託先として整えることです。相談で見ていると、この時期に体制が回らない会社は、「管理部門を急いで」と代行を入れ、代行が回した記録がチャットと代行の手元に散り、審査の準備で「採用のプロセスの証跡」を求められて、過去の採用を遡って整え直しています。逆に、契約の前に流れを紙にし、記録を社内の共有の場所に置いて代行が更新する形にした会社では、審査の準備で記録をそのまま出せ、上場した後の統制の手順の土台にもなっています。

順番としては、まず管理部門の責任者が半日で要件と経路と決裁の流れと契約の形を決め、次に人事とは別の窓口を置いて決めてよい範囲を紙にし、最後に経営陣で審査期間中の採用の方針を一枚にしてから、代行の契約に進みます。この順番を逆にして、代行と契約してから流れを作ろうとすると、代行は流れのない中で動き、記録が散ります。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、上場準備の会社で記録の流れを一緒に作ってきた担当者が、契約の前に流れを紙にするところから入っています。何を証跡として残すかの個別の判断は、専門家に確認してください。

社内に残す役割三:事業側の責任者

中身。成長の採用の要件を「半年後にやってほしいこと三つ」に落とし、条件と並べる。審査期間中の採用の方針(どの職種を、どの人数まで、続けるか、止めるか、絞るか)を経営陣と一枚にし、月に一度見直す。自分の部門の候補者の一次に出て、見送りの理由を要件の言葉で窓口に戻す。面接の枠を週に固定する。代行への依頼は、直接ではなく窓口を通す。

なぜ残すか。事業側の要件と優先順位は、事業側の責任者にしか決められません。審査期間中の方針が一枚になっていないと、その週の声で採用が止まったり再開したりして、代行が振り回されます。事業側の採用を絞る場合も、「止める」ではなく「進行中の候補者は最後まで進め、新しい募集を止める」と分ける判断は、事業側の責任者が持ちます。

時間の目安。最初に一度だけ、要件を落とす一、二時間と、経営陣で方針を一枚にする場。その後は、一次面接の回数と、月に一度の方針の見直しと、見送りの理由を戻す短い時間です。日程は代行が枠に直接入れます。優先順位の場は急成長フェーズの会社の採用体制の作り方に、要件の作り方は採用要件の定義は代行に出せるかに、採用計画は採用計画の設計は代行に出せるかに書いています。

二本立ての設計と、代行に出す工程

三つの役割を社内に残したうえで、管理部門と事業側の二本立てで、代行に出す工程を決めます。

工程管理部門の採用事業側の採用記録の所在
要件を紙にする管理部門の責任者の半日に代行が同席し、聞き出して整える事業側の責任者の一、二時間に代行が同席要件の紙(社内の共有の場所)
経路紹介会社への依頼書(全社に同じ版)、知人と監査法人や証券会社からの紹介の受付。転職サイトとスカウトは補助転職サイト、スカウト、社員の紹介を型の中で運用経路の一覧、依頼書
応募者と候補者への連絡、日程出す。経営陣の枠は審査対応を避けた曜日に固定出す。事業側の責任者の枠に直接入れる連絡の記録
面接の記録出す(型の作成と記入。実務の見極めは管理部門の責任者)出す(型の作成と記入)記録(社内の共有の場所)
決裁の記録窓口が流れのとおりに残す。代行は下書きと催促同じ決裁の記録
条件の提示と通知現金の条件の幅は経営陣が先に決める。株式報酬は書面と専門家の確認を経た内容だけ。代行は日程と書面の準備同じ通知の記録
紹介会社との日々の連絡出す(条件の交渉は経営陣)急ぎの職種だけ依頼書、推薦の記録
月に一度の一枚管理部門の職種ごとの進捗事業側の職種ごとの進捗と方針との差一枚の型

二本立ての要点は、「管理部門は経路と要件が違うので別の設計にし、記録の流れは両方で同じにする」ことです。同じ代行の同じ担当者が回す場合も、経路と要件の違いを最初に共有し、記録の流れは一つにします。記録は代行の手元ではなく、最初から社内の共有の場所に置いて代行が更新する形にすると、審査の準備でそのまま出せ、代行を替えても残ります。個人情報の扱いは採用代行と個人情報保護法に、渡す情報の範囲は採用代行に渡す候補者情報とNDAの範囲に、条件の伝え方は条件提示・オファー面談は代行に出せるかに整理しています。

代行との契約を、委託先として整える

この時期の代行との契約は、採用の運用の契約であると同時に、審査で見られうる委託先の契約です。契約の前に、次を整えます。

秘密保持の範囲(候補者の情報、会社の事業と財務の情報、上場準備の事実そのもの)。個人情報の扱い(どこに置き、誰がアクセスし、いつ消すか、再委託の可否と条件)。代行の側の管理の体制(担当者の範囲、社内の情報の持ち出しの制限、事故が起きたときの報告)を書面で出してもらうこと。記録の所在(社内の共有の場所に置き、契約が終わっても社内に残ること)。これらを整えておくと、法務や監査法人が「代行に情報を渡すこと」を止める場面で、話せる材料になります。委託先として何を求めるべきかは、法令の整理と監査法人や証券会社の指摘に沿い、個別の判断は専門家に確認してください。上場した後は、この契約の形がそのまま統制の手順の中の委託先の管理になるので、準備の期間に整えておくと更新が楽になります。契約で確認する項目は採用代行の業務委託契約書で確認する10項目に、職業安定法との関係は採用代行と職業安定法に、上場した後の統制の線は上場企業の採用体制の作り方に書いています。

エラベルの見解

外に出してよいのは、要件を紙にするときの問いと整理・紹介会社への依頼書と日々の連絡・紹介の受付・連絡と日程・記録の型と記入・決裁の記録の下書きと催促・条件の書面の準備・転職サイトとスカウトと社員の紹介の運用・月に一度の一枚までで、「要件の中身」「決裁の流れの設計と決裁そのもの」「採るかどうかと条件」「株式報酬の説明の中身」「審査期間中の方針」「委託先としての契約の形」「実務の見極め」は社内に残します。この時期は人事が制度作りで埋まり、経営陣も審査対応で埋まるので、決裁の流れの設計も代行に頼みたくなりますが、審査で見られるのは社内の流れであり、代行が設計した流れは審査で説明できません。代行は、社内が決めた流れの中で、記録が残る形で回します。

担当する側から見ると、この時期に結果が分かれるのは、担当者が「記録が残る形で回すこと」を最初から当たり前にできるかです。目の前の運用を速く回すことだけを考える担当者は、記録をチャットと手元に散らし、審査の準備で会社に整え直しをさせます。要件の紙、候補者の一覧、記録、決裁の記録、通知の記録を社内の共有の場所に置いて更新し、管理部門は紹介の経路から動かし、事業側は方針の一枚の中で回す担当者は、審査の準備で「採用の記録はそのまま出せる」と言われ、上場した後も続けて頼まれます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「記録は御社の場所に置いて更新します。決裁の流れを先に決めさせてください」と言ってくる担当者を選べば、この形になります。

まとめ

よくある質問

人事を採用から外すと、人事が「採用も自分の仕事だ」と反発します

外すのではなく、役割を分けます。人事はこの時期、制度と労務の整備で審査に直接関わる仕事を持っており、採用の窓口まで持つと両方が止まります。人事には「制度の観点で採用の運用を見る」役割(労働条件の通知の形、規程との整合、記録の残し方)を持ってもらい、月に一度、窓口と一緒に運用を確認する場を置きます。上場した後に統制の手順が確定したら、窓口を人事に戻す形も選べます。人事の採用要件を作る考え方は人事の採用要件の作り方に、専任人事に全部が乗る失敗は従業員百名規模の会社が採用代行で失敗するパターンに整理しています。

管理部門の責任者がまだいません。誰が管理部門の要件を持てばよいですか

管理部門の責任者そのものの採用(CFOや管理部長)は、代行の範囲ではなく、経営陣が紹介会社と知人と監査法人や証券会社の紹介で動くものです。その間の管理部門の採用は、経営陣の一人が要件を持ち、監査法人や証券会社に「今この時期に要る人は何ができる人か」を聞いて要件に落とす形にします。責任者が入ったら、要件と決裁の流れの設計をその人に移します。代行は、要件を聞き出して紙にし、紹介会社への依頼書を同じ版で出すところを持ちます。経理の採用は経理採用を代行に出す判断基準に、紹介会社との折衝は人材紹介会社との折衝は代行に出せるかに書いています。

上場した後、この体制はどう変わりますか

統制の手順が確定し、採用の運用はその手順の中で回ることになります。準備の期間に作った決裁と記録の流れが手順の土台になり、代行との関係は「流れを一緒に作る」から「決まった手順の中で回す」に変わります。窓口は人事に戻すか、採用チームを置くかを選び、事業側の責任者は要件と判断の主体として残ります。稟議と予算の手順で代行の契約自体が止まりやすくなるので、準備の期間に委託先としての契約を整えておくと、更新が楽になります。上場した後の体制は上場企業の採用体制の作り方に、その順番は上場企業の採用代行に、規模と代行の相性は会社規模と代行会社の相性に整理しています。