採用代行 / 費用・契約・法務
稼働時間の精算方法(上限・繰越・超過)
時間単価で採用代行を契約すると、毎月の請求額が変動します。変動幅を管理するのが、上限・下限・繰越・超過の四つのルールです。これらを決めずに始めると、予算が読めず、月末に想定外の請求が来ることになります。この記事では、四つのルールの決め方と、月をまたぐ作業の扱いを整理します。
四つのルールを決める
一.上限。月あたりに稼働できる時間の上限です。予算の上限がそのまま決まるので、置いておく項目になります。上限に近づいたときに連絡が来る運用にしておくと、超過を事前に判断できます。
二.下限(最低稼働)。月あたりの最低時間です。代行側が稼働枠を確保する対価として置かれることがあります。採用が止まった月も、この分は発生します。
三.繰越。使わなかった時間を翌月に持ち越せるか。持ち越せると、月ごとの波を吸収できます。
四.超過。上限を超えた場合の扱い。同じ単価か、割増か、そもそも超えない運用にするか。
この四つがそろうと、月ごとの請求額の幅が読めます。下限から上限までの間に収まるので、予算はその幅で置けます。
上限の決め方
上限は、業務量から積み上げて置くのが基本です。
- 依頼する工程を並べる
- それぞれに想定される月あたりの件数を置く
- 件数あたりの所要時間を代行側に出してもらう
- 掛けて合計する
- 立ち上げ期は、設計と文面作成の分を上乗せする
代行側が所要時間を出せるかどうかも、判断材料になります。件数あたりの目安を持っている会社は、社内で実績を管理しています。出せない会社は、見積もりの根拠が薄い可能性があります。
上限は、職種が増えたときに見直す前提で置きます。契約時の想定より募集が増えれば、当然時間も増えます。上限の変更手続きを、契約に書いておきます。
繰越をどう扱うか
繰越には利点と難しさがあります。
利点。採用の業務量には波があります。募集を開始した月は多く、選考が落ち着けば減る。繰越があれば、少ない月の時間を多い月に回せます。
難しさ。代行側から見ると、繰越された時間は先の稼働の約束です。担当者の枠を空けておく必要があるため、無制限には認められません。
現実的な設計は、繰越の上限と期限を置く形です。繰り越せるのは一定時間まで、有効期限は翌月まで、といった形にします。無期限の繰越は、代行側が受け入れにくい条件になります。
繰越を認めない契約なら、使い切る運用を意識します。月末に時間が余りそうなら、普段できていない改善作業を依頼する。求人原稿の見直し、検索条件の整理、レポートの様式改善。使わなかった時間は消えるので、価値のある使い道を用意しておきます。
エラベルの見解
稼働時間の精算で、実際にもめるのは上限や繰越ではなく、何を稼働に数えるかです。ここが曖昧なまま精算の話を詰めても、根本は解決しません。
数えるかどうかで判断が分かれるのは、定例会の時間、その準備と議事の作成、報告書の作成、自社からの質問への回答、媒体の管理画面を見て状況を確認する時間、候補者の返信を待つ間の待機。
このうち、報告書の作成と定例会は、合計するとまとまった時間になります。数える契約なら、月の稼働の一部がここに使われます。実務の時間が想定より少ないと感じるなら、この部分を確認してみてください。
決め方に正解はありません。数えない契約にすると、代行側は定例会を短くする動機を持ちます。必要な会話まで削られると、かえって実務が滞る。数えるが、頻度と時間を設計するという形が現実的です。
そして、どちらに決めるにせよ、両者が同じ理解でいることが精算の前提です。契約書に書かれていないなら、運用ルールの文書に書いておいてください。
超過の扱い
上限を超えそうなときの手順を決めます。
事前連絡の運用。上限の一定割合に達した時点で連絡が来る形にします。連絡があれば、範囲を絞るか、超過を認めるかを判断できます。
超過分の単価。同じ単価とするか、割増とするか。割増にすると、代行側は上限内に収める動機を持ちます。ただし、業務量が実際に増えている場合は、上限そのものを見直すほうが筋が通ります。
承認の手続き。誰が超過を認めるか。担当者レベルで判断できる範囲と、上長の承認が要る範囲を決めておきます。
事後報告を認めない。連絡なく超過した分の請求は受け付けない、という取り決めを置く形もあります。厳しすぎると運用が硬直するので、緊急時の例外を書いておきます。
月をまたぐ作業の扱い
締め日と作業の区切りが合わないときの扱いです。
締め日を決める。代行会社の締め日と自社の締め日を確認します。ずれていると、月をまたぐ稼働の計上が問題になります。
進行中の作業をどう計上するか。文面の作成が月末にかかった場合、実際に稼働した分をその月に計上する形が一般的です。
成果物の納品が翌月になる場合。稼働は発生月、成果物は翌月。この扱いを決めておかないと、請求の根拠が分かりにくくなります。
端数の扱い。分単位か、時間単位で切り上げるか。細かい話ですが、決めておくと精算が単純になります。
会計上の計上時期については、経理部門や税理士にご確認ください。経費の扱いの一般的な整理は採用代行費用は経費でどう処理するかにまとめています。
エラベルの見解
時間単価の精算を管理するときに、時間だけを見ないでください。時間と成果物の量を並べて初めて、精算の妥当性が判断できます。
たとえば、上限いっぱいまで稼働した月があったとします。時間だけを見ると、しっかり動いてもらった月に見えます。しかし、送信件数も調整件数も前月より少ないなら、時間の使われ方が変わっています。理由があるかもしれません。立ち上げの作業をした、要件の変更で作り直しが発生した。
理由が説明できるなら問題はありません。説明が出てこないときに、中身を確認します。
そして、この確認は責める作業ではありません。時間がかかっている工程が分かれば、そこを効率化する相談ができます。手順を変える、テンプレートを増やす、自社側の情報提供を早くする。時間の使われ方を一緒に見るという形にすると、精算の会話が改善の会話になります。
稼働報告に工程ごとの内訳と成果物の量が並んでいれば、この会話はすぐできます。報告の項目はレポートに入れてもらう項目にまとめています。
まとめ
- 決めるのは上限・下限・繰越・超過の四つ。これで請求の幅が読める
- 上限は業務量から積み上げる。代行側が所要時間を出せるかも判断材料
- 繰越は上限と期限を置く。無期限は受け入れられにくい
- 繰越がないなら、使い切る運用を意識する。改善作業を用意しておく
- 実際にもめるのは、何を稼働に数えるか。書面に残す
- 超過は、事前連絡の運用と承認の手続きを決める
- 締め日、月をまたぐ作業、端数の扱いを決めておく
- 精算では時間と成果物の量を並べる。時間だけでは妥当性が判断できない
よくある質問
上限を低めに設定しても問題ありませんか
問題はありませんが、業務量に対して低すぎると、月の途中で稼働が止まります。選考が進んでいる時期に止まると、候補者への対応が滞ります。低めに置くなら、超過の手続きを軽くしておき、必要なときにすぐ延長できる形にしておきます。
使わなかった時間の返金はありますか
契約によります。下限(最低稼働)が設定されている場合、使わなくてもその分は発生する形が一般的です。返金や繰越を求めるなら、契約時に取り決めておきます。運用開始後の交渉は、契約更新のタイミングになります。
稼働時間が正確かどうかを確認できますか
時間そのものの検証は難しいので、成果物の量と突き合わせる方法が実務的です。送信件数、調整件数、処理件数を稼働報告に並記してもらい、月ごとの推移を見ます。時間が増えているのに処理量が増えていない月があれば、理由を確認します。