採用代行 / 人事が1人の会社

人事が1人の会社の採用体制の作り方|社内に残す役割

公開 2026-09-21

人事が一人の会社で採用代行を使うとき、決めるべきことは「代行に何を出すか」ではなく、「人事の一週間を、代行を入れた後にどう組み替えるか」です。人事が一人の会社の人事は、手を動かす工程と、考える工程と、社内の調整を、全部一人でやっています。代行を入れて手を動かす工程を出しても、組み替えをしないと、空いた時間が代行の管理で埋まります。結論を先に書くと、人事に残す役割は「要件を決める」「判断を整理する」「代行を管理する」の三つで、「手を動かす工程」と「現場と代行の間の伝言」は外に出します。そのうえで、人事が詰まっても採用が止まらないよう、「人事を通さない線」を一つ作ります。失敗の形は人事が一人の会社が採用代行で失敗するパターンに、専任の人事がいない会社の体制は専任の人事がいない会社の採用体制の作り方に、代行の全体像は採用代行(RPO)とはにまとめています。

人事が一人の会社で、人事の一週間はどうなっているか

体制を作る前に、人事の一週間の現実を見ます。人事が一人の会社では、人事の時間は次のような形になっています。

工程人事の時間の使い方の現実代行に出せるか
求人票を書く、媒体に出すまとまった時間が取れず、後回しになる出せる
スカウトを送る送りたいが、送る時間がない出せる
応募者に連絡する、日程を組む毎日、細切れに時間を取られる。最も多い出せる
一次の面接に出る時間は取れるが、他の工程を止めて出る出せる(最終は残す)
現場の責任者と要件を擦り合わせる大切だが、時間がなくて口頭で済ませる出さない。人事の仕事
経営者に判断を仰ぐ材料を整える時間がなく、「どうしますか」だけ聞く出さない。人事の仕事
労務、評価、総務など採用以外採用に押されて遅れる採用とは別
記録を残す、数字を見る残らない、見ない出せる(読むのは人事)

この表で、人事の時間を最も食っているのは「連絡と日程調整」で、最も大切なのに時間が取れていないのは「要件の擦り合わせ」と「判断の材料づくり」です。代行を入れる目的は、前者を出して、後者に時間を移すことです。この移し替えを、契約の前に人事と経営者で言葉にしておきます。

人事に残す役割一:要件を決める

中身。配属先の責任者から「半年後にやってほしいこと」を聞き取り、要件として言葉にする。要件を、代行が探す条件と求人票に落とすときに、ずれていないかを見る。採用の途中で現場の「違う」が出たら、要件のどこがずれていたかを直す。

なぜ人事に残すか。要件は、現場の言葉を知っていて、会社の中の力関係と過去の採用の失敗を知っている人でないと決められません。代行は聞き取りの型を持っていますが、現場との関係は持っていません。人事が一人の会社で、人事が最も価値を出せるのはここです。

週にどれだけの時間が要るか。要件を新しく決めるときはまとまった時間、決めた後は週に一度の確認で足ります。連絡と日程調整を出して空いた時間を、ここに移します。要件の決め方は採用要件の定義を代行に出すに、現場との擦り合わせは現場に採用代行の導入を説明するに書いています。

人事に残す役割二:判断を整理する

中身。代行が出してきた候補者の情報と、進めるべき理由を見て、経営者か配属先の責任者が短い時間で決められる形に整える。「この三人のうち、この一人を進めたい。理由はこの二点」と、判断の案を付けて出す。決まったことを代行に戻す。

なぜ人事に残すか。経営者の判断の癖、現場の責任者の見方、過去に決まらなかった理由を知っているのは人事だけです。代行は材料を整えられますが、「この経営者にはこう出すと決まる」までは知りません。人事が「どうしますか」ではなく「こうしたいがどうか」と出せるようになると、判断が速くなります。

週にどれだけの時間が要るか。代行からの報告を見て、判断の案を付ける時間で、週に一度、まとまった短い時間で足ります。判断そのものは経営者か配属先の責任者がしますが、人事が案を付けることで、その時間が短くなります。数字の見方は採用代行との定例会で見るべき数字に整理しています。

エラベルの見解

これをやる前に、先に決めておかないと効果が出ないことがあります。それは、経営者が人事に「代行を入れた後、人事に何をしてほしいか」を、言葉で伝えることです。相談で見ていると、経営者が「代行を入れたから人事は楽になるはず」と思い、人事が「自分の仕事が減って評価が下がる」と感じている会社では、人事が工程を渡さず、代行が待ち、月額だけが出ていきます。「手を動かす工程を渡して、要件と判断の整理に時間を使ってほしい。それが今より価値のある仕事だ」と経営者が伝えた会社では、人事が自分から渡す工程を選び、代行が最初の月から動きます。

順番としては、まず経営者が人事に渡した後の役割を伝え、次に人事が「渡してよい工程」を一つ選び、最後に代行との定例の頻度と報告の形を決めてから、契約に進みます。この順番を逆にして、代行と契約してから人事に「渡してほしい」と言うと、人事は「聞いていない」と感じ、抱え込みが始まります。エラベルでは、依頼側が担当者の経歴を見て選ぶ仕組みなので、人事が一人の会社を支援してきた担当者が、契約の前に人事の役割の組み替えを一緒に整理するところから入っています。

人事に残す役割三:代行を管理する

中身。代行との定例(週に一度)で、進捗と数字を見て、次の週の優先順位を伝える。代行の報告の質と、候補者の質を見て、ずれていれば直す。契約の範囲と期間と担当者の変更を把握する。

なぜ人事に残すか。代行を管理する人がいないと、代行は依頼された範囲をそのまま続け、社内の変化(要件の変更、優先順位の入れ替わり)に追いつきません。人事が一人の会社では、この管理も人事の仕事ですが、「管理で手一杯」にならないよう、形を絞ります。

週にどれだけの時間が要るか。定例を週に一度、まとまった短い時間に固定し、それ以外の確認は「緊急のみ」にします。日々の細かい確認は、代行の側で一覧にまとめて定例に出す形にします。報告は「一分で見られる一枚」の形にしてもらい、読み込む時間を減らします。管理の時間が、出した工程で減る時間を上回るなら、出し方を見直します。フィードバックの伝え方は代行へのフィードバックの伝え方に、品質の見方は品質管理採用を代行に出す判断基準に書いています。

外に出す工程と、「人事を通さない線」

人事に三つの役割を残したうえで、外に出す工程と、人事が詰まっても止まらない線を決めます。

外に出す工程出す理由人事を通さない線
応募者への連絡と日程調整人事の時間を最も食っている面接の日程は、代行が現場の面接官と直接組む。人事は結果を見るだけ
媒体の運用とスカウトの送信まとまった時間が取れず後回しになる「誰に送るか」の基準は人事が決め、送る作業は代行が回す
求人票の原稿書く時間がない「やってほしいこと」は人事が出し、候補者の言葉に直すのは代行
一次の面接(必要なら)他の工程を止めて出ている代行が面接し、記録を人事と現場の両方に直接送る
内定の後の連絡と手続きの案内抜けやすい代行が候補者と直接やり取りし、条件の変更だけ人事に戻す
記録と数字の集計残らない、見ない代行が集計し、人事は読む。経営者も直接見られる場所に置く

「人事を通さない線」の要点は、「日程は代行と現場が直接」「記録と数字は経営者も直接見られる」の二つです。この二つがあると、人事が休んだ週も面接は進み、経営者は人事に聞かなくても状況が分かります。人事を通さない線は、人事の権限を減らすものではなく、人事が詰まっても採用が止まらないための保険で、人事の了解を得たうえで作ります。日程調整の詳細は面接の日程調整は代行に出せるかに、一次面接は一次面接は代行に出せるかに、採用管理の仕組みはATS(採用管理システム)の運用は代行に出せるかに整理しています。

エラベルの見解

外に出してよいのは、連絡・日程・送信・原稿・一次の面接・手続き・集計までで、「要件を決める」「判断を整理する」「代行を管理する」の三つは人事に残します。人事が一人の会社は、人事が忙しいので、この三つも代行に渡したくなりますが、渡すと、数年後に人事は代行の管理しかできない人になり、代行を替えようとしたときに社内に何も残りません。三つを人事に残すことは、人事を守ることでもあります。

担当する側から見ると、人事が一人の会社で結果が分かれるのは、担当者が「人事を通さない線」を提案できるかどうかです。人事に気を遣って全部を人事経由にする担当者は、人事が詰まった瞬間に止まり、「代行が動いていない」と言われます。人事の了解を得て、日程は現場と直接、数字は経営者も直接、という線を作った担当者は、人事が休んでも面接が進み、経営者から「初めて採用が見えた」と言われます。エラベルでは、依頼側が担当者を選べるので、契約の前の面談で「人事の方が不在のとき、誰に返事をもらえばよいですか」と聞いてくる担当者を選べば、この線が最初から入ります。

経営者と現場の責任者の役割

人事に三つの役割を残すとき、経営者と現場の責任者にも役割があります。

役割時間の目安
経営者人事に「渡した後の役割」を伝える。採るかどうか、条件をどうするかを決める。数字を直接見る週に一度、人事が整理した判断の案を見て決める短い時間
現場の責任者「半年後にやってほしいこと」を人事に伝える。面接に出る。代行と日程を直接組む面接の時間と、要件の擦り合わせのまとまった時間を最初に一度
人事要件を決める、判断を整理する、代行を管理する週に一度の定例と、週に一度の判断の整理

経営者の役割で最も大切なのは、最初に人事へ「渡した後の役割」を伝えることで、これがないと人事は工程を渡しません。現場の責任者の役割で最も大切なのは、代行と直接日程を組むことを受け入れることで、これがないと人事が伝言役から降りられません。社内の担当者を育てる考え方は社内の採用担当を育てるに、費用の見方は採用代行は月額型と成果報酬型のどちらが得かに整理しています。

まとめ

よくある質問

人事が「人事を通さない線」に反対しています。自分の仕事を取られると感じているようです

反対は自然な反応で、押し切らずに、線の目的を伝えます。「人事の権限を減らすためではなく、人事が休んでも採用が止まらないための保険で、要件と判断の整理は人事にしかできない」と、残す役割の価値と一緒に伝えます。線は、人事が「これなら」と言うものから一つだけ作り、人事が不在の週に実際に回ったことを確かめてから、次を考えます。人事が自分で線を選ぶ形にすると、反対は減ります。失敗の形は人事が一人の会社が採用代行で失敗するパターンに、担当者が替わるときの考え方は採用代行の担当者が替わるときのリスクに整理しています。

人事が採用以外(労務、評価、総務)も持っていて、要件と判断の整理の時間も取れません

その場合、代行に出す工程を増やすより、採用以外の工程を見直すほうが効きます。労務の手続きを社労士に、総務の一部を外に出して、人事の時間を採用の「考える工程」に寄せます。それでも取れないなら、副業の人事経験者に「要件と判断の整理」を一時的に担ってもらい、人事は代行の管理だけを持つ形もあります。人事の時間の使い方を、採用だけでなく全体で見直します。副業人材と代行会社の使い分けは副業人材と代行会社の使い分けに、中小企業に向く代行の条件は中小企業に向く採用代行の条件に書いています。

将来、人事を二人にする予定です。それまでの体制として代行を使うときの注意はありますか

二人目が入ったときに引き継げるよう、代行に「要件の型」「進捗の表」「記録」「数字の集計の型」を残してもらうことを契約に入れます。二人目の役割を「手を動かす工程を社内に戻す人」にするのか、「要件と判断の整理を分担する人」にするのかを、今から決めておくと、代行に出す工程の範囲も決まります。前者なら、代行は二人目が入るまでの一時的な形で、後者なら、代行は続けて、人事二人で考える工程を分担します。引き継ぎの項目は採用代行を切り替えるときの引き継ぎ項目に、引き継ぎ資料は引き継ぎ資料に含める内容に整理しています。