採用代行 / 介護職

介護職の採用要件の作り方|必須と歓迎を分ける基準

公開 2026-09-17

介護職の採用要件を作ると、「介護福祉士」「実務者研修修了」「介護経験三年以上」「夜勤ができる方」「同じ業態の経験」「普通自動車免許」「体力に自信のある方」「思いやりのある方」と膨らみます。任せる業態と施設と業務と夜勤の方針と、経験者を採るか未経験を採るかを決めずに、施設長や本部が「理想の介護職」と「配置と加算に有利な資格」を一律に要件にしてしまうことが原因です。膨らんだ要件は、母集団の中心である未経験の層をまるごと外し、限られた経験者を施設同士で取り合うことになり、「夜勤ができる方」で地域の主婦層やシニアを外し、「体力に自信のある方」で身体的負担への不安を持つ人を外します。結論を先に書くと、介護職の要件は「任せる業態と施設と業務と夜勤の方針」と「経験者の枠か未経験の枠か」から決め、経験者の枠の必須を「任せる業態に近い経験」「勤務地に通え、夜勤の方針を受け入れられること」「配置や業務上必要な資格(要るなら)」の三つに、未経験の枠の必須を「勤務地に通えること」「夜勤の方針を受け入れられること」「人と関わる仕事への意欲」の三つに絞り、それ以外の資格・同じ業態・年数・免許は歓迎に回すと、該当する人が現れ、面接で確かめるべきことも決まります。施設の実態と方針の整理は介護職採用を代行に出す判断基準に、母集団形成は介護職の母集団形成にまとめています。

介護職で要件が膨らむ理由

介護職の要件が膨らむ理由は、三つあります。

一つ目は、経験者を採るか未経験を採るかを決めずに要件を作ることです。「介護職が足りない」で募集を始めると、経験者の要件(資格、経験年数、業態)と未経験の要件(意欲、通えること)が混ざり、「資格があって経験があって、なおかつ未経験歓迎」という矛盾した要件になります。経験者の枠と未経験の枠を分ければ、それぞれの要件が決まります。

二つ目は、配置と加算に有利な資格を、一律に必須にすることです。介護福祉士や研修の修了者の割合は、配置基準や加算に関わります。ただし、施設全体で割合を満たせばよく、採る人全員に資格を必須にする必要は無いことが多い。働きながら資格を取ってもらう道筋を作れば、無資格で採って割合を満たすことができます。配置基準と加算の要件は、法令と制度で定められているので、専門家にご確認ください。

三つ目は、「夜勤ができる方」「体力に自信のある方」「普通自動車免許」を一律に必須にすることです。夜勤の枠と日勤の枠を分ければ、日勤の枠では夜勤を要件にしなくて済み、地域の主婦層やシニアが母集団に入ります。身体的負担は、機器と手順で減らすもので、「体力」を要件にすると、負担への不安を持つ人を外し、腰を痛めて辞める人を増やします。免許は、送迎や訪問がある業務だけで必須にします。

三つを合わせると、「経験者と未経験を分けずに、配置に有利な資格と夜勤と体力と免許を一律に並べ、形容詞を足す」のが、膨らむ構造です。

必須と歓迎を分ける基準

基準は、「その要件が無いと、任せる業態と施設と業務を回せないか」です。回せないなら必須、あれば早いなら歓迎です。経験者の枠と未経験の枠で、必須が変わります。

要件経験者の枠未経験の枠理由
任せる業態(特養・老健・有料・グループホーム・デイ・訪問)に近い経験必須要件から外す経験者の枠では業態の近さが効く。未経験の枠では経験を問わない
勤務地に通え、夜勤の方針(夜勤の枠か日勤の枠か)を受け入れられること必須必須介護職は施設に通い、夜勤の体制で働き方が決まる。枠を分けて、それぞれで必須に
配置や業務上必要な資格必須(配置を担う場合)/歓迎(施設全体で割合を満たせる場合)要件から外す(入職後に取得の道筋を)配置基準と加算は施設全体の割合で見ることが多い。専門家に確認
人と関わる仕事への意欲面接で確かめる必須(面接で確かめる)未経験の枠では、経験の代わりに意欲を面接で確かめる
介護福祉士・実務者研修・初任者研修歓迎(配置を担う場合は必須)要件から外す取得の支援の道筋を書く
同じ業態の経験歓迎要件から外す業態の違いは指導者の配置で補える
経験年数歓迎要件から外す年数より、業態の近さと利用者との関わりのほうが効く
夜勤ができること(日勤の枠の場合)要件から外す要件から外す日勤の枠を地域の層で埋めるなら、夜勤は要件にしない
普通自動車免許歓迎(送迎や訪問が業務の中心なら必須)歓迎(同左)送迎や訪問が無い業務なら要らない
「体力に自信」「思いやり」「協調性」要件から外す要件から外す体力は機器と手順で補う。形容詞は面接で施設長が確かめる項目

表の要点は、「経験者の枠」と「未経験の枠」を分けて要件を作ることです。一つの要件に両方を入れると、矛盾するか、未経験の層を外します。もう一つの要点は、「資格」「夜勤」「体力」「免許」を一律に必須にせず、配置と業務と枠から決めることです。配置基準と加算の要件は、専門家にご確認ください。

エラベルの見解

相談で多いのは、「介護職の要件を『介護福祉士または実務者研修修了、介護経験三年以上、夜勤可、普通自動車免許、体力に自信のある方』にしたが、応募がまったく来ない。未経験歓迎とも書いているのに」というご相談です。任せる業務と方針を聞くと、特養の日勤の人手が最も足りず、夜勤は既存の職員で組めていて、資格者の割合は施設全体で満たせていて、送迎は無いとのことでした。それなら、未経験の枠の要件は「通えること」「日勤で働けること」「人と関わる仕事への意欲」で足り、資格も経験も夜勤も免許も体力も、日勤の枠を埋める上では該当者を減らしているだけでした。

見ていて差がつくのは、「経験者の枠と未経験の枠を分け、夜勤の枠と日勤の枠を分けてから要件にしているか」です。「特養の日勤の枠を未経験で埋める」→必須は「通えること」「日勤で働けること」「意欲(面接で確かめる)」、資格は入職後に取得の道筋を、夜勤と免許と体力は要件から外す。「夜勤の枠」は別に募集し、経験者の枠では「業態に近い経験」と「夜勤の方針を受け入れられること」を必須に。ここまで分ければ、日勤の枠には地域の未経験の層が該当し、夜勤の枠には経験者と夜勤を望む層が該当します。エラベルでは、介護職の担当者に、要件を書く前に「経験者の枠か未経験の枠か」「夜勤の枠か日勤の枠か」を施設長と本部に決めてもらっています。

必須を三つに絞る手順

手順は四つです。

一つ目:任せる業態と施設と業務と夜勤の方針を決め、経験者の枠か未経験の枠かを決める。 どの施設で、どの業務を。夜勤の枠か日勤の枠か。経験者で埋めるか、未経験で埋めるか、両方か。未経験で埋めるなら、迎え入れる仕組み(指導者、期間、最初に任せる業務、資格取得の支援)を先に作ります。

二つ目:その業務を回すために、無いと困る経験や条件を、枠ごとに書き出す。 経験者の枠なら「業態に近い経験」「夜勤の経験」「資格」など。未経験の枠なら「通えること」「日勤で働けること」「意欲」など。書き出したら、「これが無いと本当に回らないか」を一つずつ問い、「指導者と研修で補えるか」を施設長に確かめます。

三つ目:法令に関わる要件と、夜勤の枠と日勤の枠を決める。 配置基準と加算に関わる資格者の割合を施設全体でどう満たすか、採る人が配置を担うかを専門家に確認し、資格を必須にするか歓迎にするかを決めます。夜勤の枠では「夜勤の方針を受け入れられること」を必須に、日勤の枠では夜勤を要件から外します。

四つ目:残りを歓迎に回し、形容詞を外す。 資格(配置を担わない場合)、同じ業態、年数、免許(送迎や訪問が無い場合)は歓迎に。「体力に自信」「思いやり」「協調性」は要件から外し、体力は機器と手順で補い、形容詞は面接で施設長が確かめる項目に移します。

手順の要点は、二つ目で「本当に回らないか」と「指導者と研修で補えるか」を問うことです。「介護福祉士」は、施設全体で割合を満たせるなら「回らない」ではありません。「夜勤ができる」は、日勤の枠なら「回らない」ではありません。「体力」は、リフトと機械浴と手順があれば「回らない」ではありません。問うたびに必須が減り、三つに近づきます。

経歴で確かめられる要件と、面接で施設長が確かめる要件

要件を、経歴(職務経歴書、応募の記入、紹介会社の推薦状)で確かめられるものと、面接で施設長が確かめるものに分けます。

経歴で確かめられるのは、「資格の有無と種類」「担当した業態と施設の種類」「担当した業務(身体介護、認知症ケア、看取り、送迎)」「夜勤の経験と回数」「勤務地と通える範囲」「免許の有無」「前職の種類(未経験の場合)」「何年か」です。書類の段階で、経験者の枠の必須はここで確かめます。未経験の枠では、「通えること」「日勤で働けること」を確かめ、「意欲」は面接で確かめます。

面接で施設長が確かめるのは、経験者には「介護の姿勢(利用者の尊厳をどう考えているか、できることを奪わない介助をしているか)」「利用者と家族との関わり(拒否のある利用者にどう関わったか、家族から厳しい言葉を受けたときどうしたか)」「他の職員との関係(忙しい時間帯をどう回したか、報告と相談)」「困難な場面(転倒、急変、看取り)でどう動いたか」「一人で担当できるか、まだ指導者が要るか」です。未経験者には「人と関わる仕事への意欲(なぜ介護を選んだか、前職で人と関わった場面)」「できないことを言えるか(分からないときどうするか)」「体力と夜勤への理解(機器と手順と夜勤の時期を説明した上で、受け入れられるか)」「続けられそうか(通勤、家族の理解、時間の制約)」です。要件の「思いやり」「協調性」は、この項目に翻訳して、施設長が確かめます。

確かめる方法は、具体的な場面を聞くことです。経験者には「介助を拒否する利用者さんに、どう関わりましたか」「転倒の場面はありますか。どう動きましたか」。未経験者には「前職で、人と関わって嬉しかった場面と困った場面を教えてください」「分からないことがあったら、どうしますか」。答えの中身より、具体的な場面が出てくるか、できないことを言えるか、を見ます。施設見学の途中で、未経験から入った職員と話す場を作ると、未経験者の意欲と適性が見えます。施設長の時間の確保は現場が採用に協力してくれないに、面接の設計は面接の構造に書いています。

経路ごとの要件の書き方

介護職の候補者は、経路によって持っているものが違います。要件の書き方も、経路を意識して変えます。

経路経歴で確かめる面接で施設長が確かめる要件に書くときの注意
介護の経験者(同じ業態)担当した施設と介護度と業務、夜勤の回数、資格介護の姿勢、利用者との関わり、体制の違いへの適応経験者の枠の必須がそのまま該当しやすい。転職の理由(夜勤、負担、施設長、離職)を聞く
介護の経験者(別の業態)担当した業務、夜勤の有無業態の違いへの適応(デイから特養なら夜勤と介護度、特養からデイなら送迎とレクリエーション)「同じ業態」を必須にすると外れる。指導者の配置で補えるかを施設長と決める
異業種からの転向(接客、販売、製造、運輸)前職の種類と人と関わった場面意欲、できないことを言えるか、体力と夜勤への理解未経験の枠で。前職の経験が活きることを求人票に書く。資格は入職後の道筋を
地域の主婦層・シニア家族の介護の経験、時間の制約意欲、続けられそうか、身体的負担への理解未経験の枠で、日勤の枠で。「夜勤可」「体力」を必須にすると外れる。短時間から始められることを書く
子育て中でパートを希望する人担当している仕事と時間帯続けられそうか、急な休みへの対応の理解未経験の枠か経験者の枠で、日勤の枠で。時間帯の相談ができることを書く
職業訓練・研修の修了者修了した研修、実習先意欲、施設の実態への理解基礎がある。未経験の枠の中で、指導の期間を短くできる
外国人(受け入れの形が決まっている場合)母国での経験、日本語の程度、在留資格日本語での意思疎通、生活の支援への理解受け入れの形と施設側の要件は制度で決まる。専門家に確認した上で要件を作る

表の要点は、「経験者の枠」と「未経験の枠」で、確かめることが違うことです。経験者には介護の姿勢を、未経験者には意欲とできないことを言えるかを確かめます。未経験の枠を作らないと、母集団の中心を外します。

要件が決まらないときの原因

要件を作ろうとして決まらないとき、原因は要件ではなく、その前にあります。

一つ目は、経験者を採るか未経験を採るかが決まっていないことです。決めずに要件を作ると、「資格があって経験があって、未経験歓迎」の矛盾した要件になります。枠を分けて、それぞれの要件を作ります。

二つ目は、未経験を迎え入れる仕組みが無いことです。指導者、期間、最初に任せる業務、資格取得の支援が無いと、未経験の枠を作っても、採った人が早期に離職します。仕組みを先に作り、それを要件と求人票に書きます。

三つ目は、夜勤の枠と日勤の枠を分けていないことです。一律に「夜勤可」を必須にすると、地域の主婦層やシニアと子育て中の層を外します。夜勤の体制を組める人数が既存の職員でいるなら、日勤の枠を分けて募集します。配置基準と夜勤の体制の要件は、専門家に確認します。

四つ目は、施設長が要件に関わっていないことです。本部だけで作ると、「理想の介護職」になります。施設長に「この施設の日勤を回すのに、最低限何が要るか」を聞くと、「通えて、日勤で働けて、人と関わる意欲があれば、あとは一か月で教えられる」のように、要件が下がることが多い。

四つのどれかが決まっていないなら、要件より先にそれを決めます。

代行に出せる工程

要件作りの工程を、社内で持つものと外に出せるものに分けます。

工程社内で持つ外に出せる
任せる業態と施設と業務と夜勤の方針の決定、経験者の枠か未経験の枠かの決定施設長と本部が決める配置する施設の業務と体制と、最も足りない枠を整理する
未経験を迎え入れる仕組みの決定施設長と本部が決める仕組みの中身の整理、他施設の例を示す
法令に関わる要件と、夜勤の枠と日勤の枠の決定法令上の必要から決め、専門家に確認考え方を示す。枠を分けた募集の設計
必須と歓迎の振り分け最終判断(施設長の意見を入れる)枠ごとの基準に沿った振り分け案。「理想の介護職」になっている要件を指摘
経歴で確かめる項目の設計経歴の見方(業態・業務・夜勤・資格・前職の読み方)、スカウトの検索条件への変換
面接で確かめる項目の設計施設長が確かめたいこと経験者と未経験で分けた質問の翻訳。施設長の時間を最小にする段取り
求人票・スカウト文面への反映確認経験者向けと未経験向け、夜勤の枠と日勤の枠を分けて書く

分け方の要点は、「枠の決定、迎え入れる仕組み、法令に関わる要件、施設長の意見は社内で決め、翻訳と振り分けと段取りは外に出せる」ことです。介護の分かる人は社内にいるので、外に出すのは「施設長の意見を聞き取って枠ごとの要件に落とし、経歴を読み、面接の段取りをする」役です。担当者に福祉業界の経験があると、経歴の読み方と施設長との話し方が変わります。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。

エラベルの見解

担当する側から見ると、介護職の要件で最も効くのは、「経験者の枠と未経験の枠を分ける」ことと、「夜勤可」「体力」「資格」を一律の必須から外すことです。介護職の母集団の中心は未経験の層で、一律の要件はその層をまるごと外します。任せる業務と最も足りない枠を決め、施設長に「最低限何が要るか」を聞くと、日勤の未経験の枠の要件は「通えて、日勤で働けて、人と関わる意欲がある」に近づくことが多い。

エラベルでは、介護職の案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で「経験者の枠か未経験の枠か」「夜勤の枠か日勤の枠か」「未経験を迎え入れる仕組み」を施設長と本部に決めてもらい、「最低限何が要るか」を聞き取り、そこから枠ごとの必須三つを作るところまでをお願いしています。配置基準と加算の要件、外国人の受け入れの制度は、専門家にご確認いただくようお伝えしています。

まとめ

よくある質問

資格者の割合を満たさないといけないので、資格を必須にしたいのですが

配置基準と加算に関わる資格者の割合は、施設全体で見ることが多く、採る人全員に資格を必須にする必要は無いことが多い。いまの割合と、採る人が入ることでどう変わるかを専門家に確認した上で、「配置を担う人」の枠だけ資格を必須にし、それ以外の枠は「入職後に取得の道筋」にします。無資格で採って働きながら資格を取ってもらえば、割合は時間とともに上がります。資格を一律に必須にすると、母集団の中心である未経験の層を外します。配置基準と加算の要件は、専門家にご確認ください。

「体力に自信のある方」と書かないと、腰を痛めて辞める人が増えませんか

「体力に自信のある方」と書いても、腰を痛める人は減りません。減らすのは、リフトと機械浴と移乗の手順と腰痛予防の研修です。「体力」を要件にすると、身体的負担への不安を持つ人(地域の主婦層やシニア、異業種からの転向者)を外し、体力に自信のある人だけを採って、その人が無理な介助で腰を痛めます。要件から外し、求人票に「移乗はリフト、入浴は機械浴、腰痛予防の研修」と書き、面接で機器と手順を説明した上で「受け入れられるか」を確かめます。

「介護経験三年以上」は書かないほうがよいのですか

経験者の枠でも、年数だけの要件は、同じ施設で三年働いた人と、二年で複数の業態と夜勤を経験した人を、逆に評価します。書くなら「特養か老健で身体介護を担った経験」のように、業態と業務で書きます。未経験の枠では、年数は書きません。両方の枠を一つの求人票に書くなら、「経験者の方:〇〇。未経験の方:〇〇」と分けて書きます。「経験三年以上、未経験歓迎」と並べると、矛盾した求人票として、どちらの層にも届きません。