採用代行 / MR
MR向けスカウト文面の型|刺さる訴求と外す訴求
MRにスカウトを送っても返信が来ない会社の文面には、共通点があります。「MRを募集しています」「医薬情報担当者としてご活躍ください」「MR認定をお持ちの方歓迎」「大手製薬企業との取引があります」と書かれていて、領域と製品と施設、担当エリアと転勤、評価の仕方、会社のMRに対する方針が無い。業界で人員の見直しが続く中、MRの経験者はスカウトを読むとしたら「領域と製品が自分の経験と合うか」「どこに住むことになるか」「この会社はMRを続けるか」を最初に見ます。どれも無い文面は、閉じられます。結論を先に書くと、MRへのスカウトは、領域と製品と施設とエリアで対象を絞り、一行目で候補者が担当してきた領域と施設の一点に触れ、自社の領域と製品と施設・担当エリアと転勤・評価の仕方・会社のMRに対する方針・実態と工夫・営業所長がどういう人かを、情報提供の規範に沿った表現で先に書き、形容詞を使わず、会社の紹介は後ろに回す型にすると、返信が変わります。母集団形成の全体はMRの母集団形成に、代行に出す工程の線はMR採用を代行に出す判断基準にまとめています。
MRがスカウトを読まない理由
他の職種と共通する理由(定型文は読まれない、一行目が会社の話だと閉じられる)に加えて、MRに特有の理由があります。
一つ目は、「この会社はMRを続けるか」を最初に確かめることです。業界で人員の見直しが続き、自分か周囲がその対象になった経験を持つMRは多い。会社のMRに対する方針(この領域で人員を維持するか、デジタルとどう分担するか)が無い文面は、「次も同じことが起きる会社」と読まれます。
二つ目は、領域と製品と施設が合わないと自分向けでないと判断することです。スペシャリティの新薬を大学病院で担当してきた人にプライマリーの文面、開業医中心の人に大学病院の文面が届くと、「肩書の『MR』だけを見て送っている」と読まれます。
三つ目は、担当エリアが生活を決めることです。MRは、担当エリアに住み、車で回り、転勤があれば家族ごと動きます。エリアと転勤が無い文面は、「どこに住むか分からない」で閉じられます。
四つ目は、「大手製薬との取引」「安定」「やりがい」「MR認定歓迎」に、実態の無さを感じることです。「大手との取引」は、コントラクトMRには「どのプロジェクトか分からない」と読まれ、「MR認定歓迎」は、認定を持っている経験者には「当たり前のことを訴求にしている」と読まれます。
五つ目は、「処方を増やす」「売上を伸ばす」を前面に出す文面を、規範を分かっていない会社の印と読むことです。医薬品の情報提供には業界の自主規範と法令があり、それを知っているMRほど、この種の文面を警戒します。
この五つから、文面の型が決まります。担当してきた領域と施設に触れる一行目、自社の領域と製品と施設を具体的に、エリアと転勤を実態の形で、評価と方針を正直に、規範に沿った表現で、形容詞を使わない。
先に決めるのは対象:領域と製品と施設とエリアで絞る
文面の前に、誰に送るかを決めます。MRでは、「自社の領域と製品と施設とエリア」と「それに合う経路」の決定が、対象の絞り込みです。領域と製品と方針の整理はMR採用を代行に出す判断基準に書いています。
領域と製品と施設で絞ります。スペシャリティの新薬なら「〇〇領域」「新薬」「大学病院」「市中病院」と疾患名、プライマリーなら「生活習慣病」「開業医」「長期収載品」、後発品なら「後発品」「薬局」「卸」。「MR」の肩書だけで検索すると、領域と製品が混ざります。
エリアで絞ります。住んでいる場所、出身地、担当してきたエリア。自社のエリアに住める人、戻りたい人に絞ります。転勤の無い募集なら、転勤のある会社にいる人が動く理由になります。
経路で分けます。製薬企業の直接雇用のMR、コントラクトMR、後発品メーカーのMR、人員の見直しで市場に出た人、MR以外の医療系営業からの転向。それぞれ持っているものと、動く理由が違います。
| 経路 | 一行目で触れる一点 | 訴求 |
|---|---|---|
| 製薬企業の直接雇用のMR(同じ領域) | 担当した領域と製品と施設 | 同じ領域で、エリアと転勤が良いこと、評価が情報提供の質であること、会社の方針が明確なこと |
| 製薬企業の直接雇用のMR(別の領域) | 担当した施設の種類と、情報提供で工夫したこと | 領域を広げられること、教える体制、新薬の立ち上げに関われること |
| コントラクトMR | 担当したプロジェクトの領域と製薬企業の種類 | 直接雇用であること、プロジェクトの期間に縛られないこと、転籍の実績(コントラクトの募集なら、次のプロジェクトへの移行と転籍の可能性) |
| 後発品メーカーのMR | 担当した施設と、薬局や卸との関係 | 新薬の情報提供に移れること、施設の種類が変わること(正直に)、教える体制 |
| 人員の見直しで市場に出た人 | 担当した領域と製品と施設 | 会社のMRに対する方針を最初に。同じ領域で続けられること、エリアが合うこと |
| MR以外の医療系営業からの転向 | 担当した医療機関と製品 | 医療機関との関係が活きること、認定の取得の支援、情報提供の規範を学ぶ体制 |
対象を絞ると、送る数は減ります。MRは経験者の母数が比較的多く、絞っても対象は残ります。絞らずに「MR」の肩書全員に送ると、領域の違う人からの返信と、無反応が増えます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「MRにスカウトを送っているが、返信が来ない。経験者はたくさんいるのに」というご相談です。文面を見ると、「MRとして、これまでのご経験を活かしていただけるポジションです。大手製薬企業との取引があり、安定した環境でご活躍いただけます。MR認定をお持ちの方歓迎」と書かれていて、候補者の領域にも、自社の領域と製品にも、エリアにも、方針にも触れていない。MRの経験者は、この文面を「領域も方針も分からない、経歴も読んでいない」と読み、返信しません。
見ていて差がつくのは、「一行目で候補者の領域と施設に触れ、二行目で自社の領域と製品とエリアを具体的に書き、三行目で会社の方針を書いているか」です。「〇〇領域の新薬を市中病院で担当されたご経歴を拝見しました。当社も同じ領域の新薬で、〇〇エリアの市中病院と開業医を担当していただきたく、転勤は〇〇圏内で数年に一度です。評価は面談の内容と情報提供の質を主に見ます。この領域ではMRの人員を維持する方針で、デジタルは面談の補完として使います」と書けば、経歴を読んだこと、領域と製品が合うこと、エリア、評価、方針が一度に伝わります。エラベルでは、MRの担当者に、送る前に「候補者の領域に触れているか、自社の領域とエリアと方針が書かれているか、規範に沿った表現か」を一通ずつ確かめてもらっています。
文面の型:一行目は候補者の領域と施設、二行目は自社の領域と製品とエリア
型は、上から順に六つです。
一行目:候補者の経歴の一点。 担当した領域と製品の種類、担当した施設の種類と規模、情報提供で工夫したこと(規範に沿った内容で)のどれか。「〇〇領域の新薬を市中病院で担当されたご経歴を拝見しました」。「ご経歴を拝見し」だけでは、読んでいない印になります。何を見たかを一つ書きます。
二行目:自社の領域と製品と施設と、担当エリアと転勤。 「当社も同じ領域の新薬で、〇〇エリアの市中病院と開業医を担当していただきたく、転勤は〇〇圏内で数年に一度、家族の事情は配慮しています」。領域と製品と施設を具体的に、エリアと転勤を実態の形で。MRの候補者が最初に確かめる項目なので、二行目に置きます。
三行目:評価の仕方と、会社のMRに対する方針。 「評価は面談の内容と情報提供の質を主に見ます。この領域ではMRの人員を維持する方針で、デジタルの情報提供は面談の補完として使います」。評価は規範に沿った表現で、方針は開示できる範囲で正直に。コントラクトの募集なら、プロジェクトの期間と契約終了後の扱いと転籍の実績をここに書きます。
四行目:実態と、会社の工夫。 「担当施設は〇〇程度で、一日の訪問の形はこう。学会や講演会の対応は月に数回。転勤の際は家族の事情を聞いて配慮しています。情報提供の資材は本社が整備しています」。「による」「あり」で済まさず、実態と工夫を書きます。
五行目:営業所長がどういう人かと、会社の紹介。 「営業所長は〇〇領域を長く担当してきた人で、同行と指導はこういう形です」。会社の紹介は三行で足ります。MRの候補者は、会社の紹介より、領域とエリアと方針を先に読みます。
六行目:次の行動。 「担当施設の引き継ぎの区切りに合わせて話せます。まずは三十分、営業所長が当社の評価と方針の実態をお話しします」。応募ではなく、実態を聞くことを提案し、引き継ぎの区切りに配慮します。
型の要点は、三行目の「方針」です。他の営業職では書かない項目ですが、MRには「この会社はMRを続けるか」が最初の判断材料で、方針が無い文面は読まれません。一般的な文面の構造はスカウト文面の構造に、営業職の共通の文面は営業向けスカウト文面の型に書いています。
刺さる訴求と、外す訴求
MRの経験者に刺さる訴求と、外す訴求を分けます。
刺さる訴求は、「担当してきた領域と施設を読んで触れていること」「自社の領域と製品と施設が具体的に書かれていること」「担当エリアと転勤が実態の形で書かれ、家族への配慮があること」「評価が情報提供の質を主に見ると、規範に沿って書かれていること」「会社のMRに対する方針が開示されていること」「担当施設の数と訪問の形が書かれていること」「営業所長がどの領域を担当してきた人か分かること」「引き継ぎの区切りに合わせられること」です。どれも、MRの経験者がいまの会社で持てていないものか、確かめたいものの裏返しです。
外す訴求は、「MR業務全般」「大手製薬との取引」「安定した環境」「やりがい」「MR認定歓迎」「即戦力」「転勤あり」だけの転勤です。MRの経験者は、これらを「どの会社も書いている」「具体的に書けない会社」と読みます。とくに「安定」は、業界で人員の見直しが続く中で、方針を書かずに使うと「根拠の無い言葉」と読まれます。
もう一つ外すのは、「処方を増やす」「売上を伸ばす」「トップセールス」を前面に出すことです。医薬品の情報提供には規範と法令があり、これを知っているMRほど、この種の文面を「規範を分かっていない会社」と読み、場合によっては問題にもなります。評価に売上の要素があるなら、「補助的に見る」のように規範に沿った形で書きます。使ってよい表現は、専門家にご確認ください。
送った後の運用
返信が来てからの運用で、MRの候補者の判断が変わります。候補者は複数の会社を同時に見ていて、人員の見直しで市場に出た層はとくに、返信の速い会社から決まります。
返信への返信は、その日です。翌日では遅いことがあります。
最初の面談は、営業所長かエリアマネージャーが出ます。候補者が最初に確かめたいのは、評価と方針がスカウトに書かれたとおりか、エリアと転勤の実態、営業所長がどういう人か、です。本社の人事だけの面談では、候補者は判断できません。営業所長が「うちの評価は面談の内容が主で、売上だけで詰められることは無い。ただ、担当施設は多い。転勤は去年〇人で、家族の事情は聞いた上で決めた」と話すと、候補者は「正直な会社」と判断します。
面談では、スカウトに書いた「領域と製品・エリアと転勤・評価・方針・実態」をそのまま話します。スカウトで正直に書き、面談で同じことを話す。ここで言うことが変わると、候補者は離れます。
面談で聞くことと聞かないことは、規範に沿って決めます。前職の担当医師の個別の情報や、前職の製品の詳細を聞くことは避け、担当した領域と施設で情報提供をどう工夫したか、医師との関係をどう作ったかを聞きます。専門家に確認します。
担当施設の引き継ぎの区切りを確かめ、それに合わせた日程を組みます。内定後は、現職の引き止めがあるので、入社日まで連絡を続けます。
代行に出せる範囲
スカウトの工程を、社内で持つものと外に出せるものに分けます。
| 工程 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 領域と製品と施設・エリアと転勤・評価・方針の開示範囲・実態の確定 | 営業本部と経営者が決める | 聞き取って言葉にする。規範に沿った表現に(専門家の確認を挟む) |
| 対象の絞り込み | 領域と製品と施設とエリアと経路の方針 | 領域と製品とエリアで分けた検索、候補の経歴の確認、候補の一覧化 |
| 文面 | 領域と製品・エリア・評価・方針・実態の中身 | 担当してきた領域に触れた一行目の個別化、型に沿った文面作成、規範に沿った表現の確認 |
| 送信と一次対応 | ― | 送信、返信への当日対応、日程調整 |
| 最初の面談 | 営業所長が出る | 訪問の合間の予定の確保、事前の経歴の整理、聞くことと聞かないことの整理(専門家の確認を挟む)、面談後の連絡 |
| 内定後 | 条件の提示 | 引き継ぎの区切りに合わせた入社日の調整、入社日までの連絡 |
| 数の管理 | 判断 | 返信率の集計、文面の改善案 |
分け方の要点は、「領域と製品・エリア・評価・方針・実態は営業本部が出し、文面と運用は外に出せる」ことです。営業の分かる人は社内にいるので、外に出すのは「候補者の経歴を確認して一行目を書き、当日返信し、営業所長の予定を押さえる人」の役です。担当者に製薬業界の経験があると、領域と製品の読み方と、規範に沿った表現の判断が変わります。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、MRへのスカウトで最も効くのは、「会社のMRに対する方針を、三行目に書く」ことです。業界で人員の見直しが続く中、MRの経験者は「この会社はMRを続けるか」を最初に確かめていて、方針が無い文面は、領域が合っていても読まれません。「この領域では人員を維持する。デジタルは面談の補完」の一文で、返信が変わります。
エラベルでは、MRの案件で担当者を紹介するとき、最初に営業本部と経営者から「領域と製品と施設」「エリアと転勤」「評価の仕方」「MRに対する方針の開示範囲」「実態と工夫」を聞き取り、規範に沿った表現を専門家に確認した上で、文面の二行目から四行目に置くところから始めてもらっています。候補者の経歴を確認して一行目を書く工程は、担当者が一通ずつ行います。
まとめ
- MRがスカウトを読まない理由は「この会社はMRを続けるか」を最初に確かめる・領域と製品と施設が合わないと閉じる・エリアが生活を決める・「大手」「安定」「認定歓迎」を信じない・「処方を増やす」を規範を分かっていない印と読むの五つ
- 先に領域と製品と施設とエリアで対象を絞る。「MR」の肩書全員に送らない
- 文面の型は一行目で候補者の領域と施設の一点→自社の領域と製品と施設とエリアと転勤→評価と会社の方針→実態と工夫→営業所長がどういう人かと会社の紹介→引き継ぎの区切りに合わせた次の行動
- 刺さる訴求は経歴への言及・領域と製品の具体性・エリアと転勤の実態と家族への配慮・規範に沿った評価・方針の開示・担当施設の数と訪問の形・営業所長がどの領域の人か・区切りに合わせる。外す訴求は業務全般・大手・安定・やりがい・認定歓迎・即戦力・「処方を増やす」「売上を伸ばす」
- 返信後はその日の返信・営業所長が最初の面談に出て評価と方針とエリアの実態を話す・スカウトと同じことを話す・聞くことと聞かないことを規範に沿って決める・内定後は入社日まで連絡
- 領域と製品・エリア・評価・方針・実態は営業本部が出し、文面と送信と当日の対応と予定の確保は外に出せる。規範に関わる表現は専門家の確認を挟む
よくある質問
会社のMRに対する方針が、まだ決まっていません。何を書けばよいですか
決まっていないなら、「決まっている範囲」を書きます。「この領域では当面、MRの面談を中心に置く。デジタルの情報提供は補完として使っている」のように、いまの方向を書けば、候補者は判断できます。「安定した環境」「将来性のある」のような根拠の無い言葉は、方針が無いことを隠していると読まれます。方針そのものが決まっていないなら、採用の前に経営者が方向を決めるのが順番です。それが無いと、人員の見直しで市場に出た層は、誰も応募しません。
コントラクトMRに送るとき、何を書けばよいですか
直接雇用の募集なら、「直接雇用であること」「プロジェクトの期間に縛られないこと」「同じ領域を続けられること」を書きます。コントラクトMRの募集なら、「プロジェクトの領域と製薬企業の種類(開示できる範囲で)」「期間」「契約終了後の扱い(次のプロジェクトへの移行の実態)」「製薬企業への転籍の可能性と実績」を書きます。コントラクトMRが最初に確かめるのは「このプロジェクトが終わった後どうなるか」で、それが無い文面は読まれません。転籍の実績が無いなら無いと書き、次のプロジェクトへの移行の実態を書きます。
「トップセールス募集」「処方拡大に貢献」と書いてはいけないのですか
医薬品の情報提供には業界の自主規範と法令があり、「処方を増やす」「売上を伸ばす」を前面に出す表現は、規範を知っているMRほど「規範を分かっていない会社」と読み、場合によっては問題にもなります。評価に売上の要素があるなら、「評価は面談の内容と情報提供の質を主に、売上は補助的に見る」のように、規範に沿った形で書きます。使ってよい表現と使えない表現は、専門家にご確認ください。