採用代行 / 総務
総務向けスカウト文面の型|刺さる訴求と外す訴求
総務にスカウトを送っても返信が来ない会社の文面には、共通点があります。「総務担当を募集しています」「総務業務全般をお任せします」「会社を支える縁の下の力持ちを求めています」「幅広い業務に携われます」と書かれていて、庶務中心なのか仕組み化なのか移転なのか、兼務の範囲はどこまでか、庶務に埋もれないか、経営者が委ねる範囲はどこまでか、が無い。総務の経験者はこれを読んで、「何でも屋」「庶務に埋もれる」「兼務で全部が来る」と判断し、閉じます。結論を先に書くと、総務へのスカウトは、中身と転向元で対象を絞り、一行目で候補者が回した移転や総会の規模、仕組み化した業務の一点に触れ、自社の総務の中身・最初の一人に求める役割・兼務の範囲と専門家との分担・庶務との分担・いまの総務の状態を先に書き、形容詞を使わず、会社の紹介は後ろに回す型にすると、返信が変わります。母集団形成の全体は総務の母集団形成に、代行に出す工程の線は総務採用を代行に出す判断基準にまとめています。
総務がスカウトを読まない理由
他の職種と共通する理由(定型文は読まれない、一行目が会社の話だと閉じられる)に加えて、総務に特有の理由があります。
一つ目は、「総務業務全般」を、何でも屋の印として読むことです。総務の経験者ほど、「全般」と書かれた募集で入社して、庶務から機関運営から人事労務まで全部を一人で抱えた経験があります。「全般」の文面は、「経営者が総務に何をしてほしいか決めていない」「入ったら全部が自分に来る」と読まれます。
二つ目は、庶務の扱いを最初に確かめることです。総務の経験者が最も避けるのは、「仕組み化や移転を期待されているのに、日々の備品と来客と郵便物に埋もれて、仕組み化する時間が無い」状態です。庶務との分担が書かれていないと、「庶務も自分だろう」と読まれます。
三つ目は、兼務の範囲を確かめることです。総務と人事労務、総務と経理、総務と情報システム。兼務が書かれていない文面は、「入ってから兼務が増える」と読まれ、兼務が書かれていても専門家との分担が無い文面は、「専門領域の実務全部が来る」と読まれます。
四つ目は、「縁の下の力持ち」「幅広い業務」「会社を支える」「アットホーム」といった言葉に、実態の無さを感じることです。総務向けのスカウトは、この種の言葉で埋まっていることが多く、経験者は読み飛ばします。「縁の下の力持ち」は、総務の経験者には「評価されない役」と読まれることがあります。
この四つから、文面の型が決まります。最初の役割を一つ書く、庶務との分担を書く、兼務の範囲と専門家との分担を書く、いまの状態を正直に書く、形容詞を使わない。
先に決めるのは対象:中身と転向元で絞る
文面の前に、誰に送るかを決めます。総務では、「自社の総務の中身と最初の役割」と「それに合う転向元」の決定が、対象の絞り込みです。中身と役割の決め方は総務採用を代行に出す判断基準に書いています。
中身で絞ります。移転が中心なら「オフィス移転」「レイアウト」「業者選定」の経験、機関運営なら「株主総会」「取締役会」の運営経験、契約管理なら「契約書の管理」「規程の整備」の経験、安全衛生なら「衛生委員会」「防災」の経験、庶務の仕組み化なら「業務の標準化」「マニュアル化」「外部委託の切り出し」の経験。「総務」の肩書だけで検索すると、庶務中心の人と仕組み化の経験者が混ざります。
転向元で分けます。事業会社の総務、営業事務やアシスタント、秘書、施設管理や不動産、人事労務、総務の副業や業務委託。それぞれ持っているものが違い、一行目で触れる一点と訴求が変わります。
| 転向元 | 一行目で触れる一点 | 訴求 |
|---|---|---|
| 事業会社の総務(一人目の経験あり) | 一人目として作った仕組みと、その会社の規模 | 同じ状態の会社で、もう一度仕組みを作れること。前回の経験がそのまま活きること |
| 事業会社の総務(総務部の一員) | 担った中身(移転、総会、契約管理)と規模 | 一人目として役割を持てること。チームでは持てなかった判断の範囲。一人で回す不安を先に解く |
| 営業事務・アシスタント | 社内の実務に慣れていること、仕組み化に関わった場面 | 総務として役割を持てること。教える体制があること(正直に)。庶務から始めて仕組み化へ |
| 秘書 | 経営者との距離、調整の場面 | 経営者に近い総務であること。調整の力が活きる中身であること |
| 施設管理・不動産 | 担った移転や増床の規模 | 移転を最初から任せられること。移転の後は仕組み化へ広げられること |
| 人事労務 | 担った労務の範囲 | 総務と人事労務を兼ねる役割で、労務の経験が活きること。専門家との分担 |
| 総務の副業・業務委託 | 複数社を並行して見てきた経験 | 一社に深く関われること。委託では持てなかった権限 |
対象を絞ると、送る数は減ります。総務は、事業会社の経験者に加えて転向層の経路が多く、絞っても対象は残ります。絞らずに「総務」の肩書全員に送ると、庶務中心の人からの返信と、無反応が増えます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「総務にスカウトを送っているが、返信が来ない。丁寧に書いている」というご相談です。文面を見ると、「総務担当として、備品管理・来客対応・社内行事・株主総会運営など総務業務全般をお任せします。会社を支える縁の下の力持ちとして、幅広く活躍いただけます」と書かれていて、最初の役割も、庶務との分担も、兼務の範囲も、いまの状態も無い。総務の経験者は、この文面を「何でも屋で、庶務に埋もれる会社」と読み、返信しません。
見ていて差がつくのは、「最初の役割と、庶務との分担を、二行目と三行目に書いているか」です。一行目で候補者の経歴の一点に触れ、「〇〇規模のオフィス移転を計画から当日まで回されたご経歴を拝見しました。当社は来年、同じ規模の移転があり、それを回す総務の一人目を探しています。庶務はアシスタントが担っていて、移転の後は総会運営と契約管理の仕組み化をお願いしたい」と書けば、経歴を読んだこと、役割が決まっていること、庶務に埋もれないことが一度に伝わります。エラベルでは、総務の担当者に、送る前に「役割と庶務との分担が三行目までに書かれているか」を一通ずつ確かめてもらっています。
文面の型:一行目は候補者の中身と規模、二行目は最初の役割と庶務との分担
型は、上から順に六つです。
一行目:候補者の経歴の一点。 回した移転や総会の規模、仕組み化した業務、一人目として整えた経験、全部門との調整の場面のどれか。「〇〇規模のオフィス移転を、計画から当日まで一人で回されたご経歴を拝見しました」。「ご経歴を拝見し」だけでは、読んでいない印になります。何を見たかを一つ書きます。
二行目:自社の総務の中身と、最初の一人に求める役割。 「当社の総務の中心は、来年のオフィス移転を回すことと、その後の総会運営と契約管理の仕組み化です」。「全般」と書かず、最初の一つを書きます。複数あるなら順番を書きます。
三行目:庶務との分担と、兼務の範囲。 「備品や来客などの庶務はアシスタントが担っています。人事労務は社労士との窓口と勤怠管理を兼ねていただき、手続きは社労士に委託しています」。庶務を総務が担うなら、「最初の三か月で仕組みにして外に渡す」のように扱いを書きます。
四行目:いまの総務の状態。 正直に。「いまは代表が総務を兼ねていて回らず、契約書の保管も仕組みが無い状態です。最初の一人として、移転を回しながら仕組みを作るところから」。隠して「整った管理部門」に見せると、面接か入社後に離れます。総務の候補者は、「仕組みを作る仕事がある」ことを、むしろ動機にします。
五行目:体制と相談相手、会社の紹介。 「一人目のため上司は代表で、各部門の責任者とは直接やり取りしていただきます」。会社の紹介は三行で足ります。総務の候補者は、会社の紹介より、役割と庶務との分担と状態を先に読みます。
六行目:次の行動。 「まずは三十分、いまの総務の状態と、移転の計画について、代表からお話しします」。応募ではなく、話を聞くことを提案します。
型の要点は、二行目と三行目の順番です。「最初の役割」を先に、「庶務との分担と兼務」を次に。この二つが無い文面は、総務の経験者に読まれません。一般的な文面の構造はスカウト文面の構造に、返信率の見方も含めて書いています。
刺さる訴求と、外す訴求
総務の経験者に刺さる訴求と、外す訴求を分けます。
刺さる訴求は、「最初の役割が一つに決まっていること」「庶務との分担があり、仕組み化の時間が確保されていること」「兼務の範囲と専門家との分担が明示されていること」「いまの状態が正直に書かれていること」「各部門の責任者と直接やり取りできること」「作った仕組みが評価されること」です。どれも、総務の経験者が前職で困ったことの裏返しです。
外す訴求は、「総務業務全般」「縁の下の力持ち」「幅広い業務」「会社を支える」「アットホーム」「臨機応変に対応できる方」です。総務の経験者は、これらを「決まっていない」「評価されない」「何でも押し付けられる」と読みます。とくに「臨機応変」は、総務の経験者には「仕組みが無く、毎回その場しのぎ」と読まれることがあります。
もう一つ外すのは、兼務する専門領域を「〇〇もできる方」と並べることです。「人事労務もできる方」「経理もできる方」「ITにも詳しい方」と並べると、総務の経験者は「専門領域の実務全部を一人に押し付ける」と読みます。兼務するなら、専門家との分担と一緒に書きます。
送った後の運用
返信が来てからの運用で、総務の候補者の判断が変わります。総務の候補者は、返信後のやり取りの段取り(日程の決め方、連絡の速さ、案内の分かりやすさ)を、その会社の総務の水準として見ます。
返信への返信は、その日か翌日です。総務の候補者は、「段取りの悪い会社は、総務が整っていない会社」と読み、それが「自分が整える仕事」なのか「整えさせてもらえない会社」なのかを、面談で確かめようとします。
最初の面談は、経営者が出ます。総務の候補者が最初に確かめたいのは、最初の役割がスカウトに書かれたとおりか、庶務との分担が実際にあるか、経営者が総務を「何でも屋」と見ていないか、です。これは経営者にしか答えられません。
面談では、スカウトに書いた「役割・庶務との分担・兼務・状態」をそのまま話します。スカウトで正直に書き、面談で同じことを話す。ここで言うことが変わると、候補者は離れます。
面談から次の段階までの日程を、その場で決めます。段取りと仕組み化を確かめる面接では、過去の具体的な場面を聞く質問を用意し、兼務する専門領域の確認には、その領域の分かる人に入ってもらい、その日程も早めに固定します。
代行に出せる範囲
スカウトの工程を、社内で持つものと外に出せるものに分けます。
| 工程 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 中身・最初の役割・兼務・庶務との分担の確定 | 経営者が決める | 聞き取って言葉にする |
| 対象の絞り込み | 中身と転向元の方針 | 中身で分けた検索、候補の一覧化 |
| 文面 | 役割・分担・状態の中身 | 一行目の個別化、型に沿った文面作成、総務の目での確認 |
| 送信と一次対応 | ― | 送信、返信への当日対応、日程調整 |
| 最初の面談 | 経営者が出る | 日程の固定、事前の経歴の整理、面談後の連絡 |
| 段取りと仕組み化を確かめる面接 | 経営者が過去の場面を聞く | 質問の用意(担当者が総務経験者なら)、専門領域の確認の段取り |
| 数の管理 | 判断 | 返信率の集計、文面の改善案 |
分け方の要点は、「役割・分担・状態は経営者が出し、文面と運用は外に出せる」ことです。総務の分かる人がいない会社では、外に出した担当者が総務の経験者なら、「総務の目で文面を見る」ことができ、「全般」に見える文面を直せます。担当者に求める経歴は担当者の経歴の見方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、総務へのスカウトで最も効くのは、「庶務との分担を三行目に書く」ことです。総務の経験者が前職で最も消耗したのは、仕組み化を期待されながら庶務に埋もれたことで、その裏返しを書いた文面は、他のどの訴求より読まれます。庶務を総務が担う場合でも、「三か月で仕組みにして外に渡す」と扱いを書けば、読まれ方が変わります。
エラベルでは、総務の案件で担当者を紹介するとき、最初に経営者から「最初の役割」「庶務との分担」「兼務の範囲」を聞き取り、それを文面の二行目と三行目に置くところから始めてもらっています。総務の候補者は、返信後の段取りを総務の水準として見るので、担当者が日程を速く固定すること自体が、訴求になります。
まとめ
- 総務がスカウトを読まない理由は「全般」を何でも屋の印と読む・庶務の扱いを最初に確かめる・兼務の範囲を確かめる・形容詞に実態の無さを感じるの四つ
- 先に中身と転向元で対象を絞る。「総務」の肩書全員に送らない
- 文面の型は一行目で候補者の中身と規模の一点→自社の中身と最初の役割→庶務との分担と兼務→いまの状態(正直に)→体制と会社の紹介→次の行動
- 刺さる訴求は役割が一つ・庶務との分担・兼務と専門家との分担の明示・状態の正直さ・各部門と直接・仕組みが評価される。外す訴求は総務全般・縁の下の力持ち・幅広い業務・臨機応変・専門領域の「もできる方」
- 返信後はその日の返信・経営者が最初の面談に出る・スカウトと同じことを話す・面接の日程を速く固定
- 役割・分担・状態は経営者が出し、文面と送信と一次対応は外に出せる。担当者が総務の経験者なら、文面を総務の目で直せる
よくある質問
庶務も総務に担ってほしいのですが、書くと返信が減りますか
庶務を担うこと自体で減るのではなく、「庶務に埋もれて仕組み化できない」と読まれることで減ります。「庶務は最初の三か月で仕組みにして、アシスタントか外部に渡す。その後は移転と契約管理に集中」のように、庶務の扱いと順番を書けば、仕組み化に動機のある人は「自分向け」と読みます。庶務を永久に総務が抱える前提で書くと、仕組み化の経験者は返信しません。
人事労務や経理も兼ねてほしい場合、どう書けばよいですか
兼務の範囲と、専門家との分担を一緒に書きます。「人事労務は社労士との窓口と勤怠管理を、経理は税理士との窓口と請求書の処理を兼ねていただきます。手続きと記帳は外部です」。「人事労務もできる方」「経理もできる方」と並べるだけの文面は、専門領域の実務全部を押し付けると読まれます。分担があれば、総務の経験者は「窓口と日常の処理なら」と判断できます。専門領域の確認は、面接でその領域の分かる人に入ってもらいます。
総務の経験者に送るスカウトを、総務の分かる人がいない自社で書けますか
書けますが、「総務の目で見る」工程が抜けます。総務の経験者は、「全般」に見える言葉、庶務の扱いの曖昧さ、兼務の押し付けを、文面から読み取ります。経営者が型に沿って書いた上で、総務の経験者(代行の担当者、副業の総務、知人)に一度見てもらう。それだけで、「総務を何でも屋と思っている文面」の印が消えます。代行に出す場合は、担当者が総務の経験者であることを確かめてください。