採用代行 / 内定者フォロー
内定者フォローの進め方|自社でやる場合の手順
内定者フォローを自社で進めようとして、「人事が定期的に連絡する」から始めると、連絡は増えても内定者は会社の人と話す機会が無く、質問への返事は遅れ、辞退の兆しは誰も拾わず、辞退が出てから慌てて上司との面談を入れます。内定者フォローで最初にやるべきは、連絡の頻度を決めることではなく、「内定から入社までに、いつ、会社の誰が、内定者と何を話すか」を設計することです。接点が設計されていれば、人事の連絡はその段取りに変わり、内定者は入社前に一緒に働く人の顔が見えます。結論を先に書くと、進め方は、内定から入社までの期間を区切って接点を設計する→内定者と話す会社の人と枠を決める→接点ごとに話すことを決める→内定者からの質問を受けて翌日までに返す型を作る→手続きの一覧と期限と進捗の表を作る→辞退の兆しを読む観点と対応を決める→記録の表を作る→月に一度、辞退の時期と兆しと理由を見る、の八つの手順で、順番を守ると、人事の連絡は減り、会社の人との接点は増え、辞退の前に手が打てます。代行に出す場合の切り分けは内定者フォローは代行に出せるかに、辞退が続くときの見直し方は内定辞退が続くときに見直す3点に書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 内定から入社までの期間を区切って接点を設計する | 人事と責任者 | 最初に一度 |
| 二 | 内定者と話す会社の人と枠を決める | 責任者 | 最初に一度、枠は内定者ごと |
| 三 | 接点ごとに話すことを決める | 人事と話す人 | 最初に一度 |
| 四 | 質問を受けて翌日までに返す型を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 五 | 手続きの一覧と期限と進捗の表を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 六 | 辞退の兆しを読む観点と対応を決める | 人事と責任者 | 最初に一度 |
| 七 | 記録の表を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 八 | 辞退の時期と兆しと理由を見る | 人事と責任者 | 月に一度 |
手順の要点は、一から三が「会社の人との接点」で、四と五が「人事の段取り」であることです。多くの会社は四と五だけをやっていて、一から三がありません。
手順一:内定から入社までの期間を区切って接点を設計する
内定から入社までの期間を、「内定の直後」「中間」「入社前月」の三つ程度に区切り、それぞれに会社の人との接点を一つ以上置きます。期間の長さで区切りの数は変わります。
| 時期 | 接点の例 | 目的 |
|---|---|---|
| 内定の翌週まで | 配属先の上司と面談 | 一緒に働く人の顔が見える。入社後の仕事の話 |
| 中間 | 同僚との懇親、職場の見学 | 職場の空気を知る。質問しやすい相手ができる |
| 入社前月 | 上司と入社後の最初の一か月の話 | 入社日の不安を減らす。準備することを伝える |
止まりやすいのは、最初の接点が内定から数週間後になるときです。内定の直後は、内定者が他社の内定と比べて決める時期で、ここで会社の人と話せるかどうかが分かれ目になります。最初の接点は内定の翌週までに置きます。
手順二:内定者と話す会社の人と枠を決める
接点ごとに、会社の誰が出るかを決め、その人に内定者ごとの枠を確保してもらいます。配属先の上司が出るのが基本で、上司が忙しければ同僚や経営者が代わりに出る形も決めておきます。
止まりやすいのは、上司が「入社してから話せばよい」と言うときです。内定者は入社前に決めるので、入社後では遅い。「内定の翌週に三十分」だけを頼み、それでも取れなければ、同僚か経営者が出ます。
手順三:接点ごとに話すことを決める
接点ごとに、外してはいけない話題を決めます。会社の説明ではなく、内定者が入社後を具体的に想像できる話にします。
| 接点 | 話すこと | 話さないこと |
|---|---|---|
| 上司との面談 | 入社後に最初にやる仕事、チームの人、上司が期待していること | 条件の話(人事が持つ) |
| 同僚との懇親 | 日々の仕事、職場の良いところと大変なところ | 他の候補者の話 |
| 入社前月の面談 | 最初の一か月の流れ、準備しておくこと、不安の確認 | 入社後の評価の話 |
止まりやすいのは、話す人が会社の説明を繰り返すときです。内定者は選考で会社の説明を聞いています。話すのは「あなたが入ったらこうなる」です。
エラベルの見解
これをやる前に、先に手順二の「話す人と枠」を決めておかないと、手順一の設計は絵に描いたままになります。相談で多いのは、「接点の計画は作ったのに、実際には人事の連絡しかできていない」というご相談です。聞くと、計画には「上司との面談」と書いてあるものの、上司の枠が取れず、人事が代わりに連絡していました。内定者から見れば、計画があっても無くても、人事からの連絡が届くだけです。上司に「内定の翌週に三十分」だけを先に確保してもらい、それ以外の接点は同僚と経営者に分けたところ、計画どおりに接点が動き、辞退が減りました。接点の設計は、誰が話すかが決まって初めて動きます。エラベルで内定者フォローを担当する人には、計画を作る前に、話す人の枠を会社と確保してもらっています。
手順四:内定者からの質問を受けて翌日までに返す型を作る
内定者からの質問は、条件、手続き、入社後の仕事、職場のことなど多岐にわたります。誰が受けて、誰に取り次ぎ、いつまでに返すかを決めます。人事が当日中に受け、答えられるものは当日中に返し、上司や経営者に聞くものは翌日までに返します。
| 質問の種類 | 答える人 | 期限 |
|---|---|---|
| 手続き | 人事 | 当日中 |
| 条件 | 人事(決裁者に確認) | 翌日まで |
| 入社後の仕事、職場のこと | 上司か同僚 | 翌日まで。人事が取り次ぐ |
止まりやすいのは、上司に聞く質問が上司の机で止まるときです。上司に「内定者の質問は翌日までに返す」を合意してもらい、返せない日は人事が代わりに答えるか、面談で答えると内定者に伝えます。
手順五:手続きの一覧と期限と進捗の表を作る
入社までの手続き(書類の提出、健康診断、入社日の確認、備品の準備、前職の退職の確認)を一覧にし、期限を決め、内定者ごとの進捗を表で持ちます。期限の前に再連絡し、遅れがあれば理由を聞きます。
止まりやすいのは、手続きの遅れを「忙しいのだろう」で放置するときです。手続きの遅れは、手順六の辞退の兆しでもあります。遅れたら理由を聞きます。
手順六:辞退の兆しを読む観点と対応を決める
辞退は突然ではなく、兆しが先に出ます。兆しの観点と、見えたときの対応を決めておきます。
| 兆し | 対応 |
|---|---|
| 返信が遅くなった | 会社の人との接点を一つ足す |
| 質問が条件の話に寄ってきた | 条件の話に応じるかを決裁者が判断する |
| 面談や懇親の日程を先送りしてきた | 上司から「入社後の話をしたい」と声をかける |
| 手続きの提出が遅れている | 理由を聞く。他社の選考が続いていないか |
| 現職の退職の話が進んでいない | 退職交渉の状況を聞き、入社日の相談に応じる |
止まりやすいのは、兆しを見ても「様子を見る」で何もしないときです。兆しが見えた時点で接点を足します。人事からの連絡を増やすのではなく、会社の人から声をかける形です。
手順七:記録の表を作る
内定者ごとに、内定日、入社予定日、接点ごとの実施日と話した人、質問と返答日、手続きの進捗、兆しの有無と対応、結果(入社か辞退か)、辞退なら理由と時期を一行で残します。
| 列 | 何が分かる |
|---|---|
| 接点の実施日と話した人 | 設計どおりに接点が動いているか |
| 質問と返答日 | 翌日までに返せているか |
| 兆しと対応 | 兆しの後に何をしたか |
| 結果と辞退の理由・時期 | どの時期に、どんな兆しの後で辞退が出るか |
手順八:月に一度、辞退の時期と兆しと理由を見る
月に一度、表を見て、辞退がどの時期に出ているか、その前にどんな兆しがあったか、理由は何だったかを確かめます。内定の直後に辞退が集中しているなら、最初の接点が遅い。中間に集中しているなら、中間の接点が薄い。条件が理由なら、条件の出し方を見直します。辞退理由の集め方は内定辞退の理由を正しく集める方法に書いています。
止まりやすいのは、辞退の理由が「一身上の都合」のまま記録されているときです。辞退の申し出があったら、理由を丁寧に聞き取ります。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順のうち、二の話す人の決定、三の話す中身、四の条件の回答、六の対応の判断は会社が持ちます。一の設計の案、三の整理、四の受付と取り次ぎ、五の手続きの管理、六の兆しの記録、七の表、八の見方の整理は、外の人に出せます。切り分けの詳しい話は内定者フォローは代行に出せるかに書いています。
外に出す判断の目安は、「話す人は決まっているが、段取りと記録が回っていない」ときです。話す人がいないまま外に出しても、接点は作れません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、内定者フォローで会社ごとに差がつくのは、手順六の「兆しを見たときの対応」が決まっているかどうかです。兆しは、記録を取っていれば誰でも気づけます。差がつくのは、気づいた後に「上司から声をかける」と決まっている会社と、「様子を見る」で止まる会社の違いです。前者では、兆しから数日で会社の人との接点が入り、内定者の迷いが言葉になり、対応できます。後者では、兆しから数週間後に辞退の連絡が来て、理由は「一身上の都合」です。エラベルでは、内定者フォローを担当する人に、最初の一週間で話す人の枠を会社と確保し、接点の設計を決め、手順六の兆しと対応の表を上司と合意してもらうところまでをお願いしています。ここまでできると、担当者は兆しを拾って会社に渡すだけで、対応は会社の人が動く形になります。
まとめ
- 内定者フォローは「人事が定期的に連絡する」ではなく、会社の人との接点を設計するところから始める
- 手順は接点の設計→話す人と枠→話すこと→質問の返答の型→手続きの表→兆しと対応→記録の表→月に一度見るの八つ
- 最初の接点は内定の翌週までに配属先の上司と。ここが分かれ目
- 話すのは会社の説明ではなく「あなたが入ったらこうなる」
- 兆し(返信の遅れ・条件の質問・日程の先送り・手続きの遅れ)が見えたら会社の人から声をかける。様子を見ない
- 辞退の理由は「一身上の都合」で終わらせず、時期と兆しと一緒に記録する
よくある質問
内定から入社まで一年近くある場合(新卒など)、接点はどのくらい必要ですか
期間が長いほど、接点の間隔が空きすぎないように区切りを増やします。ただし、人事からの連絡を増やすのではなく、会社の人との接点(上司との面談、同僚との懇親、職場の見学、内定者同士の場)を数か月に一度は置きます。間が空く時期には、内定者から質問できる窓口があることを伝えておきます。接点の数より、「会社の人と話した」と内定者が感じる回数を見ます。
内定者が条件の話ばかりしてきます
条件の質問が増えるのは、他社の内定と比べている兆しです。条件の話は人事と決裁者が持ち、応じるかどうかを判断します。同時に、条件以外の接点(上司との面談)を足して、「この会社で働く理由」を条件以外に作ります。条件だけで比べられている状態では、条件で負けると辞退になります。条件の出し方は内定辞退が続くときに見直す3点に書いています。
上司が内定者と話す時間をどうしても取れません
上司の枠が取れないなら、同僚か経営者が出ます。それも取れないなら、接点の数を減らしてでも、最初の一回(内定の翌週)だけは会社の人が出るようにします。人事だけで回す内定者フォローは、連絡が届いていても、内定者にとっては「会社の人と話していない」状態です。上司には、「話さなかった内定者が何人辞退したか」を手順七の記録で示します。