採用代行 / 人材紹介会社との折衝
人材紹介会社との折衝の進め方|自社でやる場合の手順
人材紹介会社と自社でやり取りしようとして、契約して求人票を送って、推薦を待つだけになると、推薦は来ないか、来ても書類を見るのが一週間後で、返事をする頃には候補者が他社に決まっています。紹介会社の担当者は多くの求人を持っていて、「中身が分からず、返事が遅く、結果が来ない会社」の求人は候補者に勧めません。紹介会社との折衝で最初にやるべきは契約を増やすことではなく、「いまの紹介会社から見て、勧めやすい会社になっているか」を確かめることです。結論を先に書くと、進め方は、取引している紹介会社を一覧にする→求人を紹介会社が一言で説明できる形にして伝える→推薦への返事の期限と型を決める→面接の枠を先に確保する→結果を翌日までに伝える→紹介会社ごとの記録を付ける→月に一度、残す会社と絞る会社を決める→新しい紹介会社の受付の型を決める、の八つの手順で、順番を守ると、同じ紹介会社から推薦が増え、面接に進む推薦をしてくる会社が見えてきます。代行に出す場合の切り分けは人材紹介会社との折衝は代行に出せるかに、紹介会社が多すぎる場合の絞り方は紹介会社が多すぎて対応しきれないときに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 取引している紹介会社を一覧にする | 人事 | 最初に一度 |
| 二 | 求人を一言で説明できる形にして伝える | 人事と現場 | 最初に一度、要件が変わるたび |
| 三 | 推薦への返事の期限と型を決める | 人事と経営者 | 最初に一度 |
| 四 | 面接の枠を先に確保する | 面接官 | 月に一度 |
| 五 | 結果を翌日までに伝える | 人事 | 面接のたび |
| 六 | 紹介会社ごとの記録を付ける | 人事 | 推薦のたび |
| 七 | 残す会社と絞る会社を決める | 経営者 | 月に一度 |
| 八 | 新しい紹介会社の受付の型を決める | 人事 | 最初に一度 |
手順の要点は、一から三と八が「最初に一度作る型」で、四から七が「回す」であることです。型が無いまま回そうとすると、返事の速さが人によって違い、記録が残らず、絞れません。
手順一:取引している紹介会社を一覧にする
契約している紹介会社を、一覧にします。
| 紹介会社 | 担当者 | 契約日 | 手数料の条件 | 返金の規定 | 得意な職種 | 直近の推薦 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A社 | ― | ― | ― | ― | 営業 | 先月二件 |
| B社 | ― | ― | ― | ― | エンジニア | 半年無し |
一覧にすると、「契約したまま推薦が無い会社」「担当者が変わって連絡が途絶えた会社」が見えます。前任者が契約した会社で、契約の内容が分からないものは、契約書を探して確認します。手数料と返金の規定は契約ごとに違い、法令に関わる部分もあるので、専門家にご確認ください。
止まりやすいのは、契約書が見つからないときです。紹介会社に「契約の内容を確認したい」と連絡すれば、写しをもらえます。
手順二:求人を一言で説明できる形にして伝える
紹介会社の担当者が、候補者に「この求人はこういう求人です」と一言で説明できる形にして、伝えます。
| 項目 | 求人票の書き方 | 紹介会社に伝える形 |
|---|---|---|
| なぜ採るか | 営業職募集 | 前任者の退職で既存顧客の担当が空いている |
| 日々の中身 | 営業業務全般 | 既存対応が七割、新規が三割 |
| 要件 | 営業経験三年以上 | 既存顧客を引き継いで対応した経験。業界は問わない |
| 条件 | 規定による | 給与の範囲は〇〇、在宅は週二日 |
| 上司 | ― | 営業部長。最初の一か月は同行 |
| 面接の流れ | ― | 書類→面接一回(部長と経営者)→内定。応募から内定まで二週間 |
| 勧めてほしい人 | ― | 既存対応が長く、大手の分業に物足りなさを感じている人 |
| 勧めないでほしい人 | ― | 新規開拓が中心だった人、勤務地が通えない人 |
「勧めてほしい人」と「勧めないでほしい人」を伝えるのが要点です。紹介会社は、これがあると候補者を絞って推薦でき、無いと「営業経験者」を広く推薦して、書類で落とされ、推薦を止めます。
止まりやすいのは、求人票を送って「読んでおいてください」で終わるときです。求人票は他社の求人票に埋もれます。電話かオンラインで十五分、担当者に直接説明します。要件が変わったら、そのたびに伝え直します。推薦の質が低い場合の直し方は紹介会社の推薦の質が低いときに書いています。
手順三:推薦への返事の期限と型を決める
推薦が来てから返事をするまでの期限と型を決めます。
| 段階 | いつまでに | 何をするか |
|---|---|---|
| 推薦の確認 | 当日中 | 受け取りの連絡を紹介会社に送る |
| 書類の判断 | 翌日まで | 要件と照らして、面接に進むか断るかを決める |
| 面接の日程 | 判断の当日 | 候補日を三つ以上、紹介会社経由で提示 |
| 断りの連絡 | 判断の当日 | 理由を一行添える(次の推薦の質を上げるため) |
止まりやすいのは、書類の判断を現場や経営者に回して、返事が来ないときです。「翌日までに返事が無ければ面接に進める」と決めておきます。判断を待って紹介会社を待たせるより、面接で確かめるほうが失うものが少ない。
断りの理由を一行添えるのが、応募と違う点です。「既存対応の経験が無かった」「勤務地が合わなかった」と伝えると、紹介会社は次の推薦を絞れます。理由が無いと、同じずれの推薦が続きます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「紹介会社から推薦が来なくなった」というご相談です。やり取りを聞くと、契約時に求人票を送っただけで、推薦への返事は一週間後、断りに理由は無く、面接の結果は催促されてから、でした。紹介会社の側から見ると、「求人の中身が分からず、返事が遅く、なぜ落ちたか分からず、結果も来ない会社」で、候補者を勧める理由が無く、担当者は他社の求人を優先していました。手順二で求人を説明し直し、手順三で返事を翌日までにして理由を添え、手順五で結果を翌日に伝えるようにしたところ、同じ紹介会社から推薦が戻りました。
見ていて差がつくのは、「紹介会社の担当者が、この会社の求人を候補者に勧める理由があるか」です。エラベルでは、自社で紹介会社とやり取りしている会社に、まず手順二の説明し直しと手順三の返事の期限だけを試してもらっています。
手順四:面接の枠を先に確保する
推薦への返事を速くしても、面接が二週間先しか取れないと、紹介会社は他社を優先します。月の初めに、面接官の枠を週に二つか三つ、先に確保します。
止まりやすいのは、面接官が「推薦が来てから予定を空ける」と言うときです。推薦が来てから空けると、一週間以上先になります。「使わなければ戻す」と決めて、先に押さえます。
手順五:結果を翌日までに伝える
面接の結果を、翌日までに紹介会社に伝えます。通過なら次の日程か内定の条件、不通過なら理由を一行添えて。
止まりやすいのは、面接官からの結果の共有が遅れるときです。「面接の当日中に、通過か不通過かだけを人事に伝える」と決めておきます。詳しい所見は後でよく、結果だけを先に。
内定の条件のすり合わせは、紹介会社経由で候補者の希望を聞き、会社が条件を決めて、紹介会社経由で伝えます。条件の決定は会社ですが、やり取りは速く回します。
手順六:紹介会社ごとの記録を付ける
推薦のたびに、記録の表に一行足します。
| 推薦日 | 紹介会社 | 職種 | 書類 | 面接 | 内定 | 入社 | 断りの理由 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 四月一日 | A社 | 営業 | 通過 | 通過 | ― | ― | ― |
| 四月三日 | B社 | 営業 | 不通過 | ― | ― | ― | 新規開拓が中心だった |
記録の要点は、「断りの理由」を書くことです。同じ紹介会社から同じ理由の推薦が続くなら、手順二の説明が伝わっていません。もう一度説明し直します。
手順七:月に一度、残す会社と絞る会社を決める
月に一度、手順六の表を見て、紹介会社ごとに「残す・様子を見る・絞る」を決めます。
判断の目安は、「面接に進む推薦をしてくるか」「内定と入社に至っているか」「推薦の数に対して面接に進む率が他社より低くないか」の三つです。推薦が多いだけの会社は、書類の確認の手間を増やして面接に進まないので、「様子を見る」か「絞る」です。
絞る場合も、契約を切るのではなく、「推薦を止めてもらう」「求人の共有を止める」で済むことが多い。契約の扱いは、契約の内容と法令に関わるので、専門家にご確認ください。
止まりやすいのは、「せっかく契約したから」で絞れないときです。残す会社に求人を深く理解してもらうほうが、多くの会社に薄く共有するより推薦の質が上がります。
手順八:新しい紹介会社の受付の型を決める
紹介会社の営業は次々に来ます。受付の型を決めておくと、対応に追われません。
型は、「一次面談は人事が十五分で、得意な職種と手数料の条件と返金の規定を聞く」「手順七の判断の日にまとめて、取引するかを決める」「取引する場合は手順二の説明を最初にする」の三つです。
止まりやすいのは、営業が来るたびに経営者が会って契約してしまうときです。「新しい紹介会社は月に一度まとめて判断する」と決め、営業には「月末に返事をする」と伝えます。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順を自社でやるとき、止まりやすいのは手順二と三と五です。求人を説明し直す時間が無い。推薦への返事を翌日までにできない。結果を翌日までに伝えられない。この場合は、手順二から六と八の「回す」部分を外の人に頼む選択があります。外の人は、紹介会社に求人を説明し、推薦の一次確認と返事を翌日までに回し、結果を伝え、記録を付け、新しい紹介会社を受け付けます。
手順一の契約の確認と、手順七の「残す会社と絞る会社」の判断と、契約と手数料の判断と、内定の条件の決定と、面接は、外に出せません。切り分けの詳細は人材紹介会社との折衝は代行に出せるかに、候補者が来ない場合の見直しは紹介会社から候補者が来ないときに書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、紹介会社との折衝で最も効くのは、手順二の「勧めてほしい人と勧めないでほしい人を伝える」と、手順三の「断りに理由を一行添える」の二つです。前者で紹介会社が候補者を絞って推薦でき、後者で次の推薦のずれが減ります。紹介会社を増やすより、いまの紹介会社に求人を深く理解してもらうほうが、推薦の質は上がります。
エラベルでは、自社で紹介会社とやり取りしたい会社には、手順一の一覧と手順二の説明し直しと手順三の返事の型だけを先に作ってもらい、回すところで止まったときに担当者が入る形をお勧めしています。契約と手数料と返金の規定は、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- 紹介会社との折衝は契約して待つことではない。「いまの紹介会社から見て、勧めやすい会社か」を確かめることから始める
- 手順は一覧にする→求人を一言で説明できる形にして伝える→返事の期限と型→面接の枠を先に確保→結果を翌日までに→紹介会社ごとの記録→月に一度残す会社と絞る会社→新規の受付の型の八つ
- 求人の説明は「勧めてほしい人」と「勧めないでほしい人」まで。求人票を送るだけで終わらない
- 推薦への返事は翌日まで。断りには理由を一行添える
- 面接の枠は推薦が来る前に確保する
- 記録は断りの理由まで。同じ理由が続くなら説明が伝わっていない
- 絞るのは契約を切るのではなく、推薦を止めてもらうで済むことが多い
- 止まりやすいのは手順二と三と五。回す部分だけ外の人に頼む選択がある。契約の判断・絞り込み・内定の条件・面接は外に出せない
よくある質問
紹介会社に「勧めないでほしい人」まで伝えると、推薦が減りませんか
減るのは合わない推薦で、面接に進む推薦は増えます。紹介会社の担当者は、「営業経験者」とだけ言われると広く推薦して、書類で落とされるたびに手間が無駄になり、推薦を止めます。「新規開拓が中心だった人は合わない」と伝えると、担当者は既存対応の経験者だけを推薦でき、書類の通過率が上がり、その会社の求人を優先するようになります。
断りの理由を伝えると、紹介会社に失礼になりませんか
理由が無い断りのほうが、紹介会社にとっては困ります。なぜ落ちたか分からないと、次の推薦を絞れず、同じずれを繰り返します。「既存対応の経験が無かった」「勤務地が合わなかった」のように、要件と照らした一行で構いません。候補者本人の人格に関わる理由は書かず、要件との照らし合わせだけを伝えます。
紹介会社を絞ったら、推薦が来なくなるのが怖いです
絞る前に、手順六の記録で「面接に進む推薦をしてくる会社」を確かめます。十社と薄く付き合うより、三社に求人を深く理解してもらうほうが、推薦の質は上がり、数も大きくは減りません。絞る場合も、契約を切るのではなく「推薦を止めてもらう」で済むことが多く、必要になったら再開できます。記録が無いまま絞るのは避け、まず記録を三か月付けてから判断します。