採用代行 / リファレンスチェック
リファレンスチェックの進め方|自社でやる場合の手順
リファレンスチェックを自社で進めようとして、「内定を出す前に前職の人に聞いてみる」から始めると、候補者の同意が無いまま情報を集めることになり、聞く人によって聞き方が変わり、結果をどう使うかが決まっていないので採否がぶれ、候補者に知られたときに信頼を失います。リファレンスチェックで最初にやるべきは、推薦者を探すことではなく、「何のために、何を、誰に聞き、結果をどう使い、どう扱うか」を会社として決め、候補者に説明できる形にすることです。それができていれば、手続きは型で回り、結果は面接の補足として使えます。結論を先に書くと、進め方は、目的を一つに決める→誰に・どの段階で実施するかを決める→結果を採否にどう反映するかを決める→結果の扱いの決まりを作る→候補者への説明の文面と同意の手続きを作る→質問票を五つ以内で作る→推薦者への依頼と聞き取りと記録の型を作る→記録の表を作り、月に一度、結果と入社後を突き合わせる、の八つの手順です。代行に出す場合の切り分けはリファレンスチェックは代行に出せるかに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。この記事は一般的な整理で、個人情報の取得と第三者からの情報収集に関わる部分は専門家にご確認ください。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 目的を一つに決める | 経営者と人事 | 最初に一度 |
| 二 | 誰に・どの段階で実施するかを決める | 人事と責任者 | 最初に一度 |
| 三 | 結果を採否にどう反映するかを決める | 経営者 | 最初に一度 |
| 四 | 結果の扱いの決まりを作る | 人事 | 最初に一度 |
| 五 | 候補者への説明の文面と同意の手続きを作る | 人事 | 最初に一度 |
| 六 | 質問票を五つ以内で作る | 人事と責任者 | 最初に一度 |
| 七 | 推薦者への依頼と聞き取りと記録の型を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 八 | 記録の表を作り、結果と入社後を突き合わせる | 人事 | 月に一度 |
手順の要点は、一から五が「候補者に説明できる状態を作る」ことで、六と七が「集める型」であることです。多くの会社は六と七から始めて、一から五が無いまま聞き取りをしています。
手順一:目的を一つに決める
リファレンスチェックで何を知りたいかを、一つに決めます。目的で聞く相手と項目が変わります。
| 目的 | 聞く相手 | 項目の方向 |
|---|---|---|
| 経歴の事実の確認 | 前職の上司か人事 | 在籍期間、役職、担当業務が経歴書のとおりか |
| 働きぶりの傾向を面接の補足として知る | 前職の上司と同僚 | 場面ごとの行動。強みと課題 |
| 管理職としての振る舞いを知る | 前職の部下と上司 | チームでの決め方、部下への接し方、困難時の対応 |
止まりやすいのは、「全部知りたい」と目的を複数にするときです。項目が増えて推薦者が答えられず、結果も散らばります。一つに絞り、残りは面接で確かめます。
手順二:誰に・どの段階で実施するかを決める
全員か、特定の職位以上か。最終面接の後か、内定の前か、内定の後か。段階は手順三と関係します。結果を採否の決定要因にするなら内定の前に実施し、面接の補足にするなら最終面接の前後に実施します。内定の後に実施して結果で取り消す形は、法令に関わる問題が生じ得ます。個別の判断は専門家にご確認ください。
止まりやすいのは、候補者ごとに実施するかどうかを決めているときです。「この人は怪しいから」で実施すると、候補者に伝わり、信頼を損ねます。職位や職種で一律に決めます。
手順三:結果を採否にどう反映するかを決める
結果を「採否の決定要因」にするのか、「面接の補足」にとどめるのかを決めます。決定要因にするなら、「この項目でこういう答えなら不採用」という基準を会社が説明できる状態にします。説明できないなら、補足にとどめます。
止まりやすいのは、基準を決めずに「結果を見て考える」とするときです。結果が届いてから採否を考えると、印象で決まり、候補者に理由を持てません。
エラベルの見解
これをやる前に、先に手順三の「採否にどう反映するか」を決めておかないと、手順六の質問票は作れません。相談で多いのは、「質問票のひな型がほしい」というご相談です。聞くと、結果をどう使うかが決まっておらず、質問票だけ先に作ろうとしていました。「面接の補足」にするなら、質問は「この場面でどう動いたか」を聞く形になり、答えは面接官に渡して確かめる材料にします。「決定要因」にするなら、質問は「経歴書のこの記載は事実か」のように答えが事実で確かめられる形になります。使い方が決まると質問票は自然に決まり、決まっていないと、どんなひな型を渡しても使われません。エラベルでリファレンスチェックの手続きを担当する人には、質問票の前に、使い方を会社と決めてもらっています。
手順四:結果の扱いの決まりを作る
推薦者から得た情報は、候補者に関する情報で、しかも第三者の発言です。誰が見られるか(人事と最終の決裁者に限るなど)、候補者に開示するか、保管の期間と方法、廃棄の方法、目的外に使わないことを決めます。専門のサービスを使う場合は、その規約も確認します。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。
止まりやすいのは、結果が面接官全員や現場に回覧されるときです。推薦者の発言が社内に広がると、候補者が入社したときに関係に影響します。見られる人を絞ります。
手順五:候補者への説明の文面と同意の手続きを作る
候補者に、何のために、何を、誰に、どう聞くか、結果をどう扱うかを説明し、文書で同意を得る手続きを作ります。推薦者は候補者に挙げてもらい、候補者が推薦者に事前に一言伝える時間を取ります。
| 説明に入れること | 書き方 |
|---|---|
| 目的 | 手順一の目的を一文で |
| 聞く相手 | 候補者が挙げる推薦者。何名か、どの関係の人か |
| 聞く項目 | 手順六の質問票の概要 |
| 結果の扱い | 誰が見るか、開示、保管と廃棄 |
| 同意しない場合 | 選考がどうなるか |
| 同意の形 | 文書か、電子的な記録か |
止まりやすいのは、「同意しない場合」を決めていないときです。同意しない候補者を不利に扱うかどうかは、会社が先に決め、説明に入れます。個別の判断は専門家にご確認ください。
手順六:質問票を五つ以内で作る
手順一の目的と手順三の使い方に沿って、質問を五つ以内に絞ります。推薦者は忙しい中で協力してくれるので、項目が多いと答えてもらえません。「良い人でしたか」ではなく、「この場面でどう動きましたか」と場面を聞きます。
| 目的 | 質問の例 |
|---|---|
| 経歴の事実の確認 | 在籍期間と役職と担当業務は、経歴書のこの記載のとおりですか |
| 働きぶりの傾向 | 困難な場面で、本人が取った行動を一つ教えてください。周囲との関わり方で印象に残っていることは |
| 管理職としての振る舞い | チームで意見が分かれたとき、本人はどう決めましたか。部下が困っているとき、どう接していましたか |
止まりやすいのは、質問が抽象的で、推薦者が「良い人でした」としか答えられないときです。場面を指定すると、答えが具体になります。
手順七:推薦者への依頼と聞き取りと記録の型を作る
推薦者への依頼の文面、日程の調整、聞き取りの形式(電話か、オンラインか、書面か)、所要時間、記録の様式を決めます。聞き取りは一人が行い、質問票の順に聞き、答えをそのまま記録します。記録には評価を書かず、「この項目について、推薦者はこう答えた」を残します。
| 場面 | 誰が | いつまでに |
|---|---|---|
| 候補者から推薦者の連絡先を受け取る | 人事 | 同意の翌日まで |
| 推薦者に依頼の連絡 | 人事 | 連絡先を受け取った当日中 |
| 聞き取り | 人事の一人 | 依頼から数日以内 |
| 記録の整理と決裁者への提出 | 人事 | 聞き取りの翌日まで |
止まりやすいのは、推薦者からの返事が無く、選考が止まるときです。依頼から数日で再連絡し、それでも返事が無ければ候補者に別の推薦者を頼むか、実施を見送るかを、手順五の決まりに沿って決めます。
手順八:記録の表を作り、月に一度、結果と入社後を突き合わせる
候補者ごとに、実施日、推薦者の関係、項目ごとの答えの要点、採否、入社後の様子を一行で残します。月に一度、「リファレンスで見えた傾向が、入社後にどう出ているか」を確かめます。関係が見えれば質問票を磨き、見えなければ目的を見直します。
止まりやすいのは、実施して終わりで、入社後と突き合わせないときです。突き合わせないと、リファレンスチェックが採用に効いているかどうかが分からないまま、手間だけが続きます。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順のうち、一の目的、二の対象と段階、三の反映の仕方、四の決まりは会社が持ち、五の同意は会社の名で得ます。五の文面、六の質問票の案、七の依頼と聞き取りと記録、八の表と突き合わせは、外の人に出せます。切り分けの詳しい話はリファレンスチェックは代行に出せるかに書いています。
外に出す判断の目安は、「一から四は決まっているが、五から七の手続きに人事の時間が取れない」ときです。一から四が決まっていないまま外に出しても、手続きは作れません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、リファレンスチェックで会社ごとに差がつくのは、手順五の「候補者への説明」が丁寧かどうかです。説明が丁寧な会社では、候補者は推薦者を快く挙げ、推薦者にも事前に伝えてくれるので、依頼への返事が速く、聞き取りの内容も率直になります。説明が雑な会社では、候補者は警戒して推薦者を挙げるのに時間がかかり、推薦者も「何を聞かれるのか」と身構えて、答えが薄くなります。聞き取りの質は、聞く人の技術より、候補者と推薦者が「何を聞かれるか」を先に知っているかで決まります。エラベルでは、リファレンスチェックの手続きを担当する人に、最初の一週間で手順一から四を会社と確認し、手順五の説明の文面を候補者の目線で作り、質問票を五つ以内に絞るところまでをお願いしています。情報の取得と扱いに関わる部分は、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- リファレンスチェックは「前職の人に聞いてみる」ではなく、候補者に説明できる状態を作るところから始める
- 手順は目的→対象と段階→採否への反映→扱いの決まり→説明と同意→質問票→依頼と聞き取りと記録→表と突き合わせの八つ
- 候補者の同意が前提。推薦者は候補者が挙げ、候補者が事前に一言伝える時間を取る
- 結果を決定要因にするなら基準を説明できる状態に。できないなら面接の補足にとどめる
- 質問票は五つ以内・場面を聞く。記録は評価を書かず答えをそのまま
- 見られる人を絞り、月に一度、入社後と突き合わせる
よくある質問
推薦者は何名くらい頼めばよいですか
目的で変わります。経歴の事実の確認なら、前職の上司か人事の一名で足ります。働きぶりの傾向なら、上司と同僚の二名程度で、違う立場から見た答えが揃います。管理職としての振る舞いなら、上司と部下の両方がいると立体的になります。多いほど推薦者と候補者の負担が増えるので、目的に必要な最小の数にします。
候補者が「前職に知られたくない」と言います
在職中の候補者は、転職活動を現職に知られたくないのが普通です。推薦者を現職以外(前々職の上司など)から挙げてもらう、実施の段階を内定の後にする(ただし結果で取り消さない前提で)、同意しない場合の扱いを不利にしない、などの選択肢があります。候補者の事情を聞いて、手順五の決まりの範囲で調整します。個別の判断は専門家にご確認ください。
専門のサービスを使ったほうがよいですか
候補者と推薦者の手続きをオンラインで回すサービスがあり、手続きの手間は減ります。ただし、手順一から四(目的・対象・反映の仕方・扱いの決まり)は、サービスを使っても会社が決めるものです。決まっていないままサービスを入れても、結果は使われません。サービスの仕様と費用は変わるので、提供元の公式情報でご確認ください。