採用代行 / 適性検査の運用
適性検査の運用の進め方|自社でやる場合の手順
適性検査を自社で運用しようとして、「検査を選んで、書類通過者に受けてもらう」から始めると、結果が届いても誰も見ず、面接官は結果を知らずに面接し、落とす基準は決まっておらず、検査が選考に効いているかは誰にも分かりません。候補者は受検の手間だけが増え、会社は費用だけが増えます。適性検査で最初にやるべきは、検査を選ぶことではなく、「何のために使うか」を決めることです。目的が決まれば、置く段階と使い方と面接官への渡し方が決まり、結果が面接で使われます。結論を先に書くと、進め方は、何のために使うかを決める→選考のどの段階に置くかを決める→足切りか参考かと基準を決める→結果の扱いの決まりを作る→受検案内と期限と未受検者への対応の型を作る→面接官への渡し方を決める→記録の表を作る→月に一度、結果と選考結果を突き合わせる、の八つの手順で、順番を守ると、検査の結果が面接で使われ、効いている項目と効いていない項目が見えるようになります。代行に出す場合の切り分けは適性検査の運用は代行に出せるかに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。この記事では検査の種類や製品の比較はしません。検査の仕様は提供元の公式情報でご確認ください。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 頻度 |
|---|---|---|---|
| 一 | 何のために使うかを決める | 経営者と人事 | 最初に一度 |
| 二 | 選考のどの段階に置くかを決める | 人事 | 最初に一度 |
| 三 | 足切りか参考かと、基準を決める | 経営者と責任者 | 最初に一度 |
| 四 | 結果の扱いの決まりを作る | 人事 | 最初に一度 |
| 五 | 受検案内と期限と未受検者への対応の型を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 六 | 面接官への渡し方を決める | 人事と面接官 | 最初に一度 |
| 七 | 記録の表を作る | 人事 | 最初に一度 |
| 八 | 結果と選考結果を突き合わせる | 人事と責任者 | 月に一度 |
手順の要点は、検査を選ぶ工程が一から三の後にあることです。多くの会社は検査を先に選び、使い方を後から考えています。目的と段階と使い方が決まってから選ぶと、選ぶ基準が明確になります。
手順一:何のために使うかを決める
適性検査を入れる目的を、一つに決めます。「面接で見えにくい傾向を、面接の参考にする」「応募が多いので、能力の基準で面接に進む人を絞る」「入社後に続かない人の傾向を、事前に知る」のどれか。目的が違えば、置く段階も使い方も違います。
| 目的 | 置く段階 | 使い方 |
|---|---|---|
| 面接で見えにくい傾向を参考にする | 一次面接の前 | 参考。面接官に確かめる点を渡す |
| 応募が多いので面接に進む人を絞る | 書類の後 | 足切り。基準を決める |
| 入社後に続かない人の傾向を知る | 最終の前か内定後 | 参考。配属や受け入れの材料 |
止まりやすいのは、「みんな入れているから」で目的が無いときです。目的が無い検査は、結果が使われず、費用と候補者の手間だけが残ります。目的が決まらないなら、入れません。
手順二:選考のどの段階に置くかを決める
手順一の目的に合わせて、段階を決めます。書類の後に置くと受検者が多く費用がかさみ、一次の後に置くと受検者は減りますが面接の参考には間に合いません。一次の前に置けば、面接官に結果を渡せます。
止まりやすいのは、受検の手間で候補者が離れるときです。段階が早いほど、受検する人は多く、途中で離れる人も増えます。応募が少ない会社は、段階を遅くするか、参考にとどめて受検の負担を軽くします。
手順三:足切りか参考かと、基準を決める
結果を足切りに使うなら、「どの項目のどの水準で落とすか」を会社が決め、説明できる状態にします。参考に使うなら、足切りには使わないと決め、面接官への渡し方を手順六で決めます。
| 使い方 | 決めること | 決められないとき |
|---|---|---|
| 足切り | 項目と水準。落とす理由として説明できるか | 参考にとどめる |
| 参考 | 面接官に渡す項目と、確かめる点の書き方 | 手順六で決める |
止まりやすいのは、足切りの水準を「なんとなく」で決めるときです。落とした候補者に対して理由を持てず、面接官も納得しません。水準を決められないなら、参考にとどめ、手順八の突き合わせで関係が見えてから足切りを考えます。基準の決め方は法令に関わる部分もあるので、専門家にご確認ください。
エラベルの見解
これをやる前に、先に手順一の目的を決めておかないと、手順三は決まりません。相談で多いのは、「足切りの基準をどこに置けばよいか教えてほしい」というご相談です。聞くと、目的が「面接の参考」と「絞り込み」の両方になっていて、参考にしたい項目で絞ろうとしていました。参考にする項目は、高い低いで落とすものではなく、面接で確かめる材料です。絞り込みに使う項目は、目的が「応募が多いので絞る」のときに、会社が説明できる水準で決めるものです。目的を「面接の参考」に一つに決めてもらい、足切りはやめて、面接官に確かめる点を渡す形にしたところ、基準の悩みは消え、面接の質が上がりました。基準に悩む会社の多くは、基準ではなく目的が決まっていません。エラベルで適性検査の運用を担当する人には、基準の話の前に、目的を一つに決めることを会社と合意してもらっています。
手順四:結果の扱いの決まりを作る
検査の結果は候補者の個人情報です。誰が結果を見られるか、面接官にどこまで渡すか、候補者に開示するか、保管の期間と方法、廃棄の方法、採否の理由としてどう扱うかを決めます。提供元の規約に、結果の取り扱いや外部への共有についての決まりがあれば、それに沿います。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。
止まりやすいのは、決まりが無いまま結果が社内で回覧されるときです。面接官以外が結果を見て、候補者の評価が結果で先に決まってしまいます。見られる人を絞ります。
手順五:受検案内と期限と未受検者への対応の型を作る
受検の案内文、受検方法の説明、期限、期限前の再連絡、期限を過ぎたときの扱いを決めます。案内は書類通過の連絡と一緒に送り、期限は数日以内にし、期限の前日に一度再連絡します。
| 場面 | 誰が | いつ | 何をする |
|---|---|---|---|
| 書類通過 | 人事 | 当日中 | 通過の連絡と一緒に受検の案内を送る |
| 期限の前日 | 人事 | 期限の前日 | 未受検者に再連絡 |
| 期限超過 | 人事 | 期限の翌日 | 決まりに沿って、選考を進めるか止めるか |
| 受検できない申し出 | 人事 | 当日中 | 代替の方法か、免除の判断を責任者に |
止まりやすいのは、未受検のまま候補者が放置されるときです。期限と再連絡と超過時の扱いを型にしておくと、放置が無くなります。
手順六:面接官への渡し方を決める
参考に使う場合、結果の全項目をそのまま渡しても面接官は見ません。人事が結果を読み、「この傾向が出ているので、面接ではこの場面を聞いてほしい」を三つ以内に絞って、面接の前日までに渡します。
| 渡すもの | 書き方 |
|---|---|
| 確かめる点 | 三つ以内。「この傾向が出ているので、この場面を聞いてほしい」 |
| 渡す期限 | 面接の前日まで |
| 渡さないもの | 全項目の数値、人事の印象 |
止まりやすいのは、人事が結果の読み方を知らず、確かめる点に変換できないときです。提供元が結果の見方の資料を用意していることが多いので、それを読みます。それでも難しければ、最初は「特に高い項目と低い項目を一つずつ」から始め、慣れてから三つにします。
手順七:記録の表を作る
候補者ごとに、受検案内日、受検日、結果の主な項目、面接官に渡した確かめる点、一次・二次・内定・入社の結果、入社後に続いているか、を一行で残します。
| 列 | 何が分かる |
|---|---|
| 案内日と受検日 | 受検までの日数。未受検の有無 |
| 結果の主な項目 | 手順八の突き合わせに使う |
| 渡した確かめる点 | 面接で使われたか |
| 選考の結果と入社後 | 検査が選考と入社後に効いているか |
表の要点は、「入社後に続いているか」の列があることです。検査の目的が「続かない人の傾向を知る」なら、この列が無いと目的が確かめられません。
手順八:月に一度、結果と選考結果を突き合わせる
月に一度、表を見て、結果の項目と、一次・二次・内定・入社後の結果の関係を確かめます。「この項目が低い人は二次で落ちている」なら、その項目を面接で確かめる点に加えるか、足切りの候補にします。「関係が見えない項目」を足切りに使っているなら、使うのをやめます。件数が少ないうちは関係が見えないので、数か月分を溜めてから判断します。
止まりやすいのは、記録を取っているのに突き合わせていないときです。月に一度、責任者に「先月の受検者のうち、この項目が低い人の二次通過率はこうだった」を一行で伝える形にします。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順のうち、一の目的、三の使い方と基準、四の決まりは会社が持ちます。二の段階の案、五の案内と期限の型、六の渡し方と確かめる点の整理、七の表、八の突き合わせは、外の人に出せます。切り分けの詳しい話は適性検査の運用は代行に出せるかに書いています。
外に出す判断の目安は、「目的と使い方は決まっているが、案内と管理と面接官への共有が回っていない」ときです。目的が決まっていないまま外に出しても、結果は使われません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、適性検査の運用で会社ごとに差がつくのは、手順六の「面接官への渡し方」が決まっているかどうかです。案内と期限の管理は型があれば誰でも回せますが、結果を「確かめる点」に変換して面接官に渡す工程は、やっている会社とやっていない会社で、検査が選考に効くかどうかが分かれます。渡していない会社では、面接官は結果を見ず、検査は費用と手間だけになります。渡している会社では、面接で聞くことが絞られ、面接の時間が短くなり、一次で通した人が二次で落ちる率が下がります。エラベルでは、適性検査の運用を担当する人に、最初の一週間で目的と使い方を会社と確認し、結果の扱いの決まりと提供元の規約を確認し、案内と期限の型を作り、面接官への渡し方を「三つ以内・前日まで」で決めるところまでをお願いしています。ここまでできると、二週目からは結果が面接で使われ、数か月後には手順八で効いている項目が見えてきます。結果の扱いは、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- 適性検査は「検査を選んで受けてもらう」ではなく、何のために使うかを決めるところから始める
- 手順は目的→段階→足切りか参考かと基準→扱いの決まり→案内と期限の型→面接官への渡し方→記録の表→月に一度突き合わせるの八つ
- 目的は一つに決める。参考にする項目で絞ろうとしない
- 足切りの水準を説明できないなら参考にとどめる。基準は突き合わせで関係が見えてから
- 面接官には確かめる点を三つ以内・前日までに渡す。全項目は渡さない
- 記録に入社後に続いているかの列を持ち、月に一度、結果と選考結果を突き合わせる
よくある質問
どの検査を選べばよいですか
この記事では検査の比較はしていません。選ぶ順番としては、手順一の目的と手順二の段階を先に決め、「その目的に合う項目があるか」「その段階の受検者数で費用が合うか」「結果の見方の資料があるか」「結果の取り扱いの規約が自社の決まりと合うか」で絞ります。仕様と費用は変わるので、提供元の公式情報でご確認ください。
候補者が受検を嫌がりませんか
受検の手間は候補者の負担で、段階が早いほど離れる人が増えます。応募が少ない会社は、段階を遅くするか、所要時間の短い検査にするか、参考にとどめて「選考の材料の一つ」と案内に書きます。案内で「何分かかるか」「結果をどう使うか」を伝えると、候補者の不安は減ります。
結果が良い人を採ったのに、続きませんでした
検査の結果と入社後の定着は、別のものです。検査は傾向を示すもので、続くかどうかは仕事の中身、上司、受け入れの仕方で変わります。手順七の表に「入社後に続いているか」の列を持ち、手順八で突き合わせると、自社で「この項目は定着と関係が見える」「この項目は関係が見えない」が分かってきます。それまでは、検査の結果を定着の予測として使わず、面接で確かめる材料にとどめます。