採用代行 / 薬剤師
薬剤師の母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
薬剤師の募集で起きる母集団の問題は、自社の求人に応募がまったく来ない場合、応募は紹介会社経由でしか来ず成功報酬が重い場合、面接まで進んで「一人薬剤師」「入社してすぐ管理薬剤師」「異動が転居を伴う」「残業と土日の実態」が分かって辞退される場合に分かれます。薬剤師の採用に特有なのは、国家資格で母数が限られ、候補者が店舗の実態(処方箋の量、診療科、体制、在宅、管理薬剤師、異動、残業と土日)で「この店舗で働けるか」を判断し、その情報を紹介会社から得ることに慣れていることです。結論を先に書くと、薬剤師の母集団形成は、「求人票で店舗の実態を紹介会社と同じ具体さで示す」「出し先を薬剤師向けの経路と復職やパートの層に合わせる」「スカウトを業態と業務と勤務地で分け、担当してきた店舗に触れる」「面接で薬局長が店舗を見せ、実態を話し、一次対応を当日にする」の順に見直し、前の段階が直る前に次に進まないことが要です。代行に出す工程の線は薬剤師採用を代行に出す判断基準に、隣接するMRの母集団形成はMRの母集団形成にまとめています。
三つの症状を分ける
最初に、どの症状かを分けます。
自社の求人に応募が来ない場合は、求人票が「薬剤師業務全般」で店舗の実態が分からず、候補者が紹介会社に聞きに行っているか、薬剤師向けの経路に出ていないか、勤務地が書かれておらず「どこの店舗か分からない」と読まれているかです。
紹介会社経由でしか来ない場合は、自社の求人票が紹介会社の持つ情報(処方箋の量、診療科、体制、在宅、管理薬剤師、異動、残業と土日)より少ないことが原因です。候補者は、情報の多いほうから動きます。
面接まで進んで辞退される場合は、体制の実態(一人薬剤師)、管理薬剤師の打診の時期(すぐ)、異動の範囲(転居を伴う)、残業と土日の実態、在宅の比重、薬局長と店舗の話ができなかった、のどれかです。
どの症状かは、応募者を業態と業務と経路(調剤薬局、ドラッグストア、病院、パート、復職、新卒、紹介会社経由か直接か)で分類し、応募から一次返信までの日数を見て、面接での候補者の質問(「薬剤師は何人ですか」「管理薬剤師はいつからですか」「異動はどこまでですか」「土日はどうですか」が出るか)と辞退の理由を記録すれば分かります。
見直す順番の一番目:求人票に「店舗の実態」が紹介会社と同じ具体さであるか
求人票を開いて、次の八つが読み取れるかを確認します。
- 業態と店舗と業務。 調剤薬局かドラッグストアか病院か。店舗の場所(駅名、地域)。任せる業務(調剤、服薬指導、在宅、OTC、病棟)。一行目で分かる形に。「薬剤師業務全般」は書かない
- 処方箋の量と診療科と体制。 一日の処方箋の量の目安、門前の診療科、薬剤師の人数、事務の人数。「による」で済まさない
- 在宅とかかりつけの比重。 在宅の件数の目安、増やす方針か、かかりつけの取り組み
- 管理薬剤師の方針。 採る人に管理薬剤師を打診するか、時期、手当、本社の支援。「管理薬剤師候補」だけにしない
- 異動と勤務地。 異動の有無と範囲と頻度、応援の頻度、転居を伴うか。家族の事情への配慮
- 残業と土日の実態。 忙しい時期と時間帯、残業の実態、土日の勤務の形、休日の取り方。「あり」で済まさない
- 薬局長・薬剤部長がどういう人か。 どういう店舗を回してきた人の下に入るか。相談の形
- 会社の工夫。 実態が厳しい項目に対して、会社が何をしているか。一人薬剤師の店舗への応援の仕組み、在宅の移動の手段、管理薬剤師への本社の支援、など
八つのうち、二つ目の「処方箋の量と診療科と体制」と六つ目の「残業と土日の実態」が最も抜けます。この二つは、紹介会社が候補者に最初に伝える情報で、自社の求人票に無ければ、候補者は紹介会社に聞きに行きます。
実態を正直に書くことが要点です。一人薬剤師なら一人と書き、応援の仕組みを添える。忙しい時期があるならそう書き、休日の取り方を添える。隠して面接や入社後に分かるのが、最も辞退と離職を生みます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「自社の求人には応募が来ず、紹介会社経由でしか採れない」というご相談です。求人票を見ると、「薬剤師募集。調剤業務、服薬指導。経験者優遇。管理薬剤師候補。転勤あり」で、店舗の場所も、処方箋の量も、診療科も、体制も、在宅も、異動の範囲も、残業と土日も無い。紹介会社は、これを全部候補者に伝えています。候補者は、情報の多い紹介会社から動き、自社の求人票は読まれていませんでした。
見ていて差がつくのは、「紹介会社が候補者に伝えているのと同じ具体さで、求人票に書いているか」です。「〇〇駅前の調剤薬局で、門前は内科と整形外科、一日の処方箋は〇〇程度、薬剤師三人と事務二人の体制。在宅は週に数件で増やす方針。採る人には調剤と服薬指導を任せ、一年後に管理薬剤師を打診し、手当と本社の支援がある。異動は同じ市内の三店舗の間で、転居は無い。忙しいのは月初と月曜の午前で、土曜は交代で月に二回程度」。ここまで書けば、候補者は紹介会社に聞かなくても判断でき、直接の応募が来ます。エラベルでは、薬剤師の担当者に、紹介会社が候補者に伝える項目を一覧にし、求人票にすべて入れるところから始めてもらっています。
見直す順番の二番目:出し先が薬剤師向けの経路と復職やパートの層に合っているか
求人票が整ったら、出し先を見ます。薬剤師は、資格を持つ人の母数が限られる分、資格を持って働いていない人(復職の層)と、パートで働く人が、母集団の大きな部分になります。
| 出し先 | 向く場合 | 注意 |
|---|---|---|
| 一般の求人媒体 | 待つ経路として、最低限 | 店舗の実態を書いた上で、他の経路と併用 |
| 薬剤師向けの媒体 | 経験者に絞って届けたい | 媒体によって集まる業態(調剤か病院か)と雇用の形(正社員かパートか)が違う。公式情報で確認 |
| ダイレクトリクルーティングの媒体 | こちらから届ける経路の中心 | 業態と業務と勤務地で検索を分ける。担当してきた店舗に触れた文面に |
| 薬局長・社員の知人経由の紹介 | 薬剤師同士のつながりが厚い | 求人票の八つを薬局長と社員に渡す。紹介した人の負担と見返りを設計する。リファラルが進まない理由 |
| 復職の層(育児や介護で離れていた薬剤師) | 店舗の近くに住む有資格者に届けたい | 短時間から始められること、ブランクへの研修、勤務時間の柔軟さを書く。地域の求人として出す |
| パートで働く薬剤師 | 時間帯や曜日の穴を埋めたい | 時間帯と曜日と時給の考え方を書く。パートから正社員への道筋があれば書く |
| 大学とのつながり | 新卒を採って育てる場合 | 薬学部とのつながり、実習の受け入れ。新卒は経験者と別枠で |
| 紹介会社との併用 | 急ぐ配置(辞める人の穴を埋める) | 急ぐ配置は紹介会社、計画的な採用は自社で、と分ける。費用の見え方を整理 |
| 同じ地域に住みたい人 | 地方の店舗の場合 | 出身者、家族の事情で戻りたい人。地域を訴求の軸に |
| 出戻り | 過去に辞めた薬剤師 | 辞めた理由が体制や異動なら、変わったことを伝える。薬局長から声をかける |
出し先の要点は、「復職の層とパートの層」への届け方です。薬剤師の資格を持ちながら働いていない人、短時間で働きたい人は、店舗の近くに住んでいて、地域の求人を探しています。「正社員のみ」「フルタイムのみ」で出すと、この層に届きません。短時間から始められること、ブランクへの研修、時間帯の柔軟さを書き、地域の求人として出します。
見直す順番の三番目:スカウトが業態と業務と勤務地で分けられ、担当してきた店舗に触れているか
ダイレクトリクルーティングで返信が来ない場合、検索の条件と文面を見ます。
検索の条件は、業態と業務と勤務地で分けます。調剤薬局なら「調剤」「服薬指導」「在宅」「かかりつけ」と門前の診療科、ドラッグストアなら「調剤併設」「OTC」、病院なら「病棟」「調剤室」と規模。勤務地は、住んでいる場所か出身地で絞ります。「薬剤師」の肩書だけで検索すると、業態と勤務地が混ざります。
文面は、一行目で候補者が担当してきた店舗に触れます。薬剤師の場合、触れる一点は「担当した業態と門前の診療科」「担当した業務(在宅、かかりつけ、OTC、病棟)」「管理薬剤師の経験」のどれかです。「〇〇科の門前で在宅を担当されたご経歴を拝見しました。当社の〇〇駅前の店舗も同じ診療科で、在宅を増やす方針です」。その後に、店舗の実態(処方箋の量、体制、在宅、管理薬剤師、異動、残業と土日)、薬局長がどういう人か、会社の工夫を書きます。担当してきた店舗に触れず、会社の紹介から始まる文面は、「経歴を読んでいない」と読まれます。文面の型はスカウト文面の構造を参照してください。
見直す順番の四番目:面接で薬局長が店舗を見せ、実態を話し、一次対応が当日か
薬剤師の採用に特有なのが、この段階です。候補者は、複数の店舗を同時に見ていて、紹介会社経由なら紹介会社が日程を速く組みます。自社の求人で一次対応が遅れると、紹介会社経由の他社に先に決まります。
一次対応は当日です。応募や返信があったその日に連絡し、面接と店舗見学の日程を提案します。薬局長の予定を調剤の合間に先に押さえておき、候補者と合わせます。ここが社内で最も回らない工程で、代行に出す価値が大きい工程です。
面接は店舗で行い、薬局長が出て、店舗を見せます。候補者は、店舗を見れば、処方箋の量、調剤室の状態、事務との関係、患者の層、忙しさを読み取ります。見せない会社は「見せられない店舗」と読まれます。見学の途中で、他の薬剤師や事務と一言でも話せる場を作ると、「体制の実態」が候補者に伝わります。
薬局長が実態を正直に話します。「うちは三人体制で、休みは交代で取れている。忙しいのは月初と月曜の午前。在宅は週に数件で、増やす方針。管理薬剤師は一年後に打診する」。薬局長が実態を話すと、候補者は「正直な店舗」と判断します。求人票に書いたことと、ここで言うことを合わせておきます。
面接から次の段階までの日程を、その場で決めます。内定後は、現職の引き継ぎと配置の区切りがあるので、入社日まで連絡を続けます。配置基準に関わる調整は、専門家に確認します。面接の設計は面接の構造に書いています。
社内で持つ工程と、外に出せる工程
| 段階 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 求人票の中身 | 業態と店舗と業務、処方箋の量と診療科と体制、在宅、管理薬剤師の方針、異動と勤務地、残業と土日の実態、工夫を薬局長と本社が出す | 聞き取って候補者に伝わる言葉にする。「薬剤師業務全般」を消す。紹介会社が伝える項目と同じ具体さに |
| 出し先 | 予算と契約の判断。紹介会社との併用の設計。紹介の見返りの設計 | 業態と勤務地に合わせた経路の提案、運用、数の整理。復職とパートの層への届け方。紹介の仕組みの運用 |
| スカウト | 業態と業務と勤務地の確定 | 業態と勤務地で分けた検索、担当してきた店舗に触れた一行目の個別化、送信、当日の一次対応 |
| 面接 | 薬局長が店舗で面接し、店舗を見せ、実態を話し、調剤と服薬指導の質を聞く。合否 | 薬局長の予定と店舗見学の確保、当日の一次対応、業態と業務と経路の分類、内定後の連絡 |
分け方の要点は、「店舗の実態と方針は薬局長と本社が出し、届ける工程と当日の対応と見学の段取りは外に出せる」ことです。調剤の分かる人は社内にいるので、外に出すのは「採用の工程を回す人」の役です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、薬剤師の母集団形成で最も効くのは、求人票に「紹介会社が候補者に伝えるのと同じ具体さで店舗の実態を書く」ことと、復職とパートの層に「短時間から始められる」と届けることです。前者で紹介会社に聞きに行っていた候補者が直接応募し、後者で資格を持ちながら働いていない人に届きます。
エラベルでは、薬剤師の案件で担当者を紹介するとき、最初の一か月は紹介会社が候補者に伝える項目を一覧にして求人票に入れ、薬剤師向けの経路と復職とパートの層への届け方を整え、面接に店舗見学を組み込むことに使うようお伝えしています。薬剤師の候補者は、店舗の実態で「この店舗で働けるか」を判断し、店舗を見て決めます。その二つを整えるのが、母集団形成の最初の仕事です。配置基準と管理薬剤師の要件は、専門家にご確認ください。
まとめ
- 薬剤師の母集団の問題は自社の求人に応募が来ない・紹介会社経由でしか来ない・面接で体制と管理薬剤師と異動と残業と土日の実態で辞退されるの三つ。候補者は店舗の実態で判断し、その情報を紹介会社から得ることに慣れている
- 見直す順番は求人票に店舗の実態を紹介会社と同じ具体さで→出し先を薬剤師向けの経路と復職やパートの層に→スカウトの業態と勤務地分けと担当してきた店舗への言及→面接で薬局長が店舗を見せ実態を話し一次対応を当日に。前の段階が直る前に次に進まない
- 求人票には業態と店舗と業務(一行目)・処方箋の量と診療科と体制・在宅とかかりつけ・管理薬剤師の方針(時期と手当と支援)・異動と勤務地・残業と土日の実態・薬局長がどういう人か・会社の工夫の八つ
- 出し先は薬剤師向けの経路と、復職とパートの層(短時間から、ブランクへの研修、地域の求人として)。紹介会社は急ぐ配置に絞って併用
- スカウトは業態と業務と勤務地で検索を分け、一行目で担当してきた店舗に触れる
- 面接は一次対応を当日に・店舗で薬局長が出て店舗を見せ、実態を正直に話す・内定後は入社日まで連絡を続ける
よくある質問
紹介会社が候補者に何を伝えているか分かりません
紹介会社は、候補者から聞かれることを伝えています。処方箋の量、門前の診療科、薬剤師と事務の人数、在宅の件数、管理薬剤師の有無と打診の時期、異動の範囲、残業と土日、休日の取り方、給与と手当、薬局長の人柄。この項目を一覧にして、自社の求人票にすべて入れます。紹介会社に「候補者からよく聞かれることは何か」を聞くのも一つの方法です。自社の求人票が同じ情報を持てば、候補者は紹介会社を経由せずに判断できます。
復職の層に届けるには、何を書けばよいですか
「短時間から始められる」「ブランクへの研修がある」「勤務時間と曜日の相談ができる」「店舗の近くに住む方に」を書き、地域の求人として出します。資格を持ちながら育児や介護で離れていた薬剤師は、フルタイムの正社員の求人には応募しません。週に数日、数時間から始めて、慣れたら増やせる道筋があれば、応募します。復職の研修の中身(調剤の手順、薬歴の書き方、最近の薬の情報)を具体的に書くと、ブランクへの不安が減ります。
薬局長が面接に出る時間がありません
薬局長の時間を最小にする形にします。面接の枠は代行が調剤の合間(午後の落ち着く時間帯)に押さえ、経歴は整理して渡し、実態の説明の要点は用意し、薬局長がやるのは「店舗を見せて実態を話す」「調剤と服薬指導の質を聞く」の二つだけ、三十分で。それでも出られないなら、エリアマネージャーか経験の長い薬剤師が店舗で出ます。薬局長が出ない面接は、候補者に「店舗の実態が分からない」と読まれ、辞退の原因になります。関与の取り付け方は現場が採用に協力してくれないに書いています。