1通あたりの単価の考え方|「一通いくら」で比べると、安い提案ほど高くつく
月額を送信数で割れば、一通あたりの単価が出ます。この数字で各社を比べると、安い提案と高い提案がはっきり分かれます。ところが、一通あたりが安い提案を選んで、面談が組めない、ということが起きます。結論を先に書くと、一通あたりの単価は、「一通の中身」が揃っていなければ比べられません。型で大量に送る一通と、経歴を読んで書き分けた一通は、別のものです。比べるなら、一通あたりではなく、面談一件あたり・採用一名あたりで見てください。この記事では、具体的な単価や相場の数値は扱いません。費用相場の読み方はスカウト代行の費用相場に、月額固定の設計は月額固定型の料金設計にまとめています。
一通あたりの単価の出し方
一通あたりの単価は、単純な割り算です。
代行費の月額を、月の送信数で割る。媒体費を含めるなら、媒体費も足してから割る。これで、「一通送るのにいくらかかっているか」が出ます。
この数字は、運用の効率を見る一つの指標にはなります。ただし、次の点で注意が要ります。
送信数は、担当者が調整できる。 送信数を増やせば、一通あたりは下がります。個別化を減らせば、送信数は増やせます。つまり、一通あたりを下げようとすれば、質を落とせば済みます。
一通の中身が違う。 同じ「一通」でも、経歴を読んで一段落目を書き分けた一通と、型の文面を送った一通では、かかった時間も、返信率も違います。
返信対応を含むか。 送信までの費用か、返信対応や日程調整まで含む費用か。含む場合、一通あたりに「送った後の対応」の費用も乗っています。
一通あたりの単価は、これらを揃えたうえで、同じ運用の中で月ごとの推移を見るのには使えます。会社をまたいで比べるのには向きません。
単価が下がる理由と上がる理由
一通あたりの単価が下がるのは、次のときです。
送信数が増えた。 稼働が同じで送信数が増えれば、単価は下がります。ただし、増えた分が個別化を減らした結果なら、返信率は下がります。
型の文面に切り替えた。 一通あたりの時間が減り、送れる数が増えます。単価は下がり、返信率も下がります。
対象を広げた。 抽出の手間が減り、送れる数が増えます。単価は下がり、合わない人への送信が増えます。
単価が上がるのは、次のときです。
個別化に寄せた。 一通あたりの時間が増え、送れる数が減ります。単価は上がり、返信率は上がる傾向があります。
対象を絞った。 抽出に時間をかけ、送る数を絞ります。単価は上がり、返信の質は上がります。
返信対応と日程調整を厚くした。 送信以外の稼働が増え、送信数は減ります。単価は上がり、面談設定率は上がります。
つまり、一通あたりの単価が下がることと、面談が増えることは、多くの場合、逆方向です。単価を下げる運用は、面談を減らす運用と重なります。
単価で比べると起きる誤り
一通あたりの単価で各社を比べると、次の誤りが起きます。
型で大量に送る提案が、安く見える。 送信数が多いので、一通あたりは安い。返信率は低く、面談は組めません。
個別化する提案が、高く見える。 送信数が少ないので、一通あたりは高い。返信率は高く、面談は組めます。
返信対応を含まない提案が、安く見える。 送信までの費用なので、一通あたりは安い。返信対応は自社の稼働で埋めることになり、埋められなければ面談は組めません。
「安いから多く送ろう」となる。 一通あたりが安い提案を選び、「その分たくさん送ろう」と送信数を増やす。合わない人への送信が増え、会社の印象が薄まります。
担当者が単価に最適化する。 発注側が一通あたりを指標にすれば、担当者は送信数を増やして単価を下げます。面談は増えません。
一通あたりの単価は、「何通送ったか」を測る指標で、「何件面談が組めたか」を測る指標ではありません。目的は面談と採用なので、指標もそこに置きます。
代わりに見る「面談一件あたり」「採用一名あたり」
一通あたりの代わりに、次の二つで見ます。
面談一件あたりの費用。 代行費(媒体費を含めてもよい)を、月の面談設定数で割ります。「面談を一件組むのに、いくらかかったか」。型で大量に送る運用と、個別化する運用を、この数字で比べると、後者のほうが安いことが多くあります。送信数が少なくても、面談が組めているなら、費用は活きています。
採用一名あたりの費用(採用単価)。 総額(代行費と媒体費)を、採用した人数で割ります。「一名採るのに、いくらかかったか」。他の手法(紹介会社の手数料、求人媒体の掲載費)と比べる指標です。半年、一年の単位で見ます。
この二つで見れば、「安い提案を選んで面談が組めない」という誤りは避けられます。
レポートの項目に、送信数と一通あたりではなく、面談設定数と面談一件あたりを入れてもらいます。レポートに入れてもらう項目で書いた段階ごとの数字があれば、計算できます。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「一通あたりが最も安い会社を選んだ」というものです。月に多く送れて、一通あたりは安い。三か月経って、返信率が低く、面談がほとんど組めていない。面談一件あたりで計算すると、他社の提案より高くついていた。一通あたりで選んだ時点で、型の文面を大量に送る運用を選んでいました。
見ていて差がつくのは、担当者が「一通あたりではなく、面談一件あたりで見てください」と言えるかどうかです。送信数と一通あたりで自社の提案を売る担当者は、数で勝負しています。「送信数は少ないですが、面談一件あたりはこうです」と言える担当者は、面談で勝負しています。
発注側にできるのは、見積もりを比べるときに、「月に何件の面談設定を見込むか」を各社に聞き、月額をその数で割ることです。一通あたりではなく、面談一件あたりの見込みで並べれば、選ぶ提案が変わります。
単価を運用の中で使う
一通あたりの単価は、会社をまたいで比べるのには向きませんが、同じ運用の中で推移を見るのには使えます。
月ごとの推移を見る。 同じ担当者、同じ運用で、一通あたりが月ごとにどう動くか。下がっていれば送信数が増えているか稼働が減っているか、上がっていれば個別化が進んでいるか送信数が減っているか。
面談一件あたりと並べる。 一通あたりが下がって、面談一件あたりも下がっているなら、効率が上がっています。一通あたりが下がって、面談一件あたりが上がっているなら、数を追って質が落ちています。
変えたことと照らす。 対象を絞った、文面を変えた、稼働を変えた。変えたことと、単価の動きを照らせば、変更の効果が見えます。
担当者の評価には使わない。 一通あたりを担当者の評価に使うと、担当者は送信数を増やして単価を下げます。評価は面談設定数と面談一件あたりで行います。
単価は、運用を見る計器の一つで、目標ではありません。
契約で単価をどう扱うか
契約で、送信一通あたりの単価を定める形(送信数に応じた従量課金)があります。この形を選ぶなら、次を確認します。
一通の定義。 何をもって一通と数えるか。送信した数か、開封された数か、返信があった数か。再送は数えるか。
個別化の度合い。 従量課金では、担当者は数を送るほど収入が増えます。個別化を保つ条件(一通ごとに一段落目を書く、対象の基準を守る)を、契約に入れます。
上限と下限。 月の送信数の上限(枠と稼働に合わせて)と、下限(最低限の運用を保証する数)。
返信対応の扱い。 従量課金は送信に対する費用で、返信対応は含まれないことが多い。返信対応をどう扱うかを別途決めます。
面談設定数との関係。 送信数だけの従量課金では、面談が組めなくても費用が発生します。面談設定に対する成果報酬と組み合わせる形もあります。
従量課金は、送信数が読めない立ち上げの時期や、少量を試す時期には合いますが、長く続けると数を追う運用になりやすい。月額固定か、成果報酬との組み合わせに移る判断を、運用が安定した時点で行います。契約の形については、月額固定型の料金設計にまとめています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、単価の話で最も困るのは「一通あたりを下げろと言われる」ことです。下げる方法は、個別化を減らすか、対象を広げるかしかありません。どちらも返信率を落とし、面談を減らします。それでも一通あたりは下がるので、「下げた」ことにはなります。そして三か月後に、「面談が組めない」と言われます。
一通あたりを下げることと、面談を増やすことは、両立しにくい。発注側がどちらを求めているかで、担当者の運用は変わります。
発注側にできるのは、一通あたりを指標から外し、面談一件あたりを指標にすることです。それだけで、担当者は送信数ではなく面談に向けて動きます。送信数が減り、一通あたりが上がっても、面談一件あたりが下がっていれば、費用は活きています。
まとめ
- 一通あたりの単価は月額÷送信数。送信数は担当者が調整でき、一通の中身は運用で違う
- 単価が下がるのは送信数増・型の文面・対象拡大、上がるのは個別化・対象の絞り込み・返信対応の強化。面談が増える方向と逆
- 単価で会社を比べると型で大量送信の提案が安く見え、個別化の提案が高く見える
- 代わりに面談一件あたりと採用一名あたりで見る。レポートの項目もそこに
- 単価は同じ運用の中で推移を見る計器。担当者の評価には使わない
- 従量課金の契約では一通の定義・個別化の条件・上限と下限・返信対応・面談設定との関係を確認。長く続けると数を追う運用になりやすい
- 具体的な単価や相場は扱わない。各社の見積もりで確認する
よくある質問
一通あたりの単価が最も安い提案を選ぼうと思います
その提案が、型の文面を大量に送る運用なら、面談は組めない可能性があります。各社に「月に何件の面談設定を見込むか」を聞き、月額をその数で割った「面談一件あたり」で並べてください。一通あたりが安い提案が、面談一件あたりでは高いことは珍しくありません。
担当者に、一通あたりを下げるよう頼んでよいですか
避けてください。下げる方法は、個別化を減らすか対象を広げるかで、どちらも返信率と面談を減らします。代わりに、面談一件あたりを見て、「面談を増やすには何を変えるか」を担当者と話してください。送信数が減って一通あたりが上がっても、面談一件あたりが下がっていれば、費用は活きています。
従量課金(送信一通ごとの課金)の契約を提案されました
立ち上げの時期や、少量を試す時期には合います。ただし、一通の定義、個別化を保つ条件、返信対応の扱い、面談設定との関係を契約で確認してください。長く続けると、担当者が数を送るほど収入が増える形なので、数を追う運用になりやすい。運用が安定したら、月額固定か成果報酬との組み合わせに移る判断をしてください。
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