スカウト代行 / 法務
法務へのスカウト文面|開封される件名と本文の型
法務にスカウトを送っても返信が来ない。文面を見せていただくと、件名が「事業を支える攻めの法務募集」で、本文に「法務全般をお任せ」「裁量の大きい環境」と書いてあり、契約の審査なのか、コンプライアンスなのか、知財なのか、ガバナンスなのか、顧問弁護士にどこまで頼んでいるのか、資格は必要なのか、事業部門は法務の判断を聞くのか、いまの状態はどうなのかが、どこにも書かれていません。法務の経験者は、「法務全般」を「中身が決まっていない会社」の印と読み、「攻めの法務」を「事業部門の言うことを通せと言われる」の印と読みます。結論を先に書くと、件名は「相手の中身と規模の一点+自社の中身」、本文は「一行目に相手の中身と規模の一点→自社の中身と委ねる範囲→分担(顧問弁護士)と資格の要否→いまの状態と事業部門との関係(正直に)→体制(嫌われ役を一人で引き受けない形)→条件の幅→経営者本人が出る面談への短い締め」の順で、会社の紹介は後ろに回すか短くします。刺さる訴求と外す訴求の中身は法務向けスカウト文面の型に書いていますので、ここでは「法務向けの件名と本文の型」に絞って、そのまま使える形にします。法務の業務に関わる法令上の扱い(資格が要る業務の範囲など)は専門家にご確認ください。
先に決めるのは「中身を一つ」「委ねる範囲」「資格の要否」
文面の前に、三つを決めます。一つは、中身を一つに絞ること。契約の審査と作成、コンプライアンスの体制、知財、ガバナンスや株主対応、紛争対応のうち、最初に任せる主の中身はどれか。二つは、委ねる範囲。判断を任せるのか(この契約は結べる・結べない)、案を作って顧問弁護士と経営者が判断するのか。三つは、資格の要否と扱い。資格が必須か、歓迎か、不問か。資格者を採る場合の扱い(会費や登録の扱い)。三つが曖昧だと、法務は「決まっていない会社」と読みます。
| 中身 | 文面での書き方の例 |
|---|---|
| 契約 | 「契約の審査と作成が主。標準的な契約は法務が判断し、複雑なものは顧問弁護士と」 |
| コンプライアンス | 「社内の規程と研修の体制を作る。事業部門との調整が主」 |
| 知財 | 「出願と管理を弁理士と。社内の知財の方針を作る」 |
| ガバナンス | 「株主総会と取締役会の運営。開示の整備」 |
止まりやすいのは、「法務全般」と書くときです。一人目でも、主の中身と最初の課題は絞れます。
件名の型
法務が件名で見るのは、「自分の中身と規模を見ているか」「中身が決まっている会社か」の二つです。
| 型 | 例 | なぜ開かれるか |
|---|---|---|
| 相手の中身と規模+自社の中身 | 〇〇(事業の種類)の契約審査を担われた方へ|当社の契約の審査と作成を | 中身が一つで、規模や事業が近い |
| 相手の状況の経験+自社の状態 | 法務の体制をゼロから作られたご経歴へ|当社は一人目の法務 | 状態を隠していない |
| 相手の転向元+自社の中身 | 法律事務所で〇〇を扱われた方へ|企業の中で契約の判断を | 転向に先に触れている |
書いてはいけない件名は、「法務募集」「法務全般」「攻めの法務」「事業を支える」「裁量が大きい」のように、中身未定の印か形容詞です。件名の失敗の型は件名でやりがちな失敗に書いています。
本文の型
本文は、法務が「確かめる順」に並べます。
| 順 | 書くこと | 長さ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一行目 | 相手の中身と規模の一点。「〇〇(事業)の〇〇(契約・コンプライアンス)を担われたご経歴を拝見しました」 | 一文 | 中身か規模か環境の一点に触れる |
| 二 | 自社の中身と委ねる範囲。主の中身、判断を任せるか案までか、広げる方針 | 三行 | 「全般」を使わない |
| 三 | 分担と資格の要否。顧問弁護士に頼む範囲、社内で持つ範囲、資格は必須か歓迎か不問か、資格者の扱い | 三行 | 資格の扱いを曖昧にしない |
| 四 | いまの状態と事業部門との関係。契約の量、規程の有無、事業部門が法務の判断を聞く文化か | 三行 | 正直に。「聞かない」なら書く |
| 五 | 体制。法務は何人目、経営者との関係、嫌われ役を一人で引き受けない形(経営者が後ろにいるか) | 二行 | 一人目なら一人目と書く |
| 六 | 条件の幅 | 一、二行 | 幅で書く |
| 七 | 会社の紹介 | 一、二行 | 短く |
| 八 | 短い締め。「経営者本人が出ます。三十分で、委ねる範囲と事業部門との関係の話を」 | 一文 | 経営者本人が出ることを書く |
長さは、スマートフォンで二度スクロールする程度に収めます。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「法務には『攻めの法務』『事業を支える』と伝えれば響く」というものです。実際には、法務の経験者はこれを「事業部門の言うことを通せと言われ、止めると嫌われる役割」の印と読みます。ある会社では、「攻めの法務、裁量の大きい環境」と書いた文面で返信が無く、担当者が候補者の視点で読むと、中身が「全般」で決まっておらず、事業部門との関係も資格の扱いも無く、候補者は「一人で嫌われ役をやらされる会社」と読んでいました。「契約の審査と作成が主。標準的なものは法務が判断、複雑なものは顧問弁護士と。資格は不問。事業部門は法務の判断を聞く文化がまだ無く、経営者が後ろに立って一緒に作る。一人目」と正直に書き直したところ、「経営者が後ろにいるなら」という人から返信が来ました。法務への文面で効くのは、「攻め」の言葉ではなく、中身と委ねる範囲と事業部門との関係の正直さです。
書いてはいけないこと
一つ目は、「法務全般」です。中身未定の印と読まれます。主の中身を一つ書きます。
二つ目は、「攻めの法務」「事業を支える」「裁量が大きい」のような形容詞です。法務は「止めると嫌われる役割を一人で」と読みます。
三つ目は、資格の要否と扱いを曖昧にすることです。「資格者歓迎」だけでは、資格者は「資格者を採るつもりが本当にあるのか、扱いはどうか」が分からず、非資格者は「自分は対象外か」と読みます。必須か歓迎か不問かと、資格者の扱いを書きます。
四つ目は、事業部門との関係を良く見せることです。事業部門が法務の判断を聞く文化が無いなら書きます。「経営者が後ろにいる」と添えると、材料になります。
五つ目は、会社の紹介から始めることです。
六つ目は、締めに経営者本人が面談に出ることを書かないことです。法務は経営者が何を委ね、事業部門との間でどう支えるかを本人から聞いて判断します。
送る前の確認
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 件名に相手の中身と規模の一点があるか | 「法務全般」「攻めの」になっていないか |
| 中身が一つに絞られ、委ねる範囲が書いてあるか | 「全般」「裁量」になっていないか |
| 顧問弁護士との分担と資格の要否・扱いが書いてあるか | 曖昧になっていないか |
| 事業部門との関係を正直に書いたか | 良く見せていないか |
| 嫌われ役を一人で引き受けない体制が書いてあるか | 経営者が後ろにいることを書いたか |
| 面談に経営者本人が出ると書いたか | 実際に出る合意があるか |
返信が来ないときの直す順番
| 症状 | 直すところ |
|---|---|
| 開かれない | 件名。「全般」「攻めの」になっていないか。中身と規模の一点があるか |
| 開かれるが返信が無い | 中身の絞り込みと委ねる範囲。資格の扱い。事業部門との関係の正直さ |
| 返信は来るが面談で辞退 | 面談に経営者本人が出たか。文面の委ねる範囲と経営者の話が合っていたか |
| 面談後に辞退 | 事業部門との関係の実態。「経営者が後ろにいる」と書きながら実際は事業部門優先の構造が無いか |
一箇所ずつ変えます。変え方はスカウト文面のABテストのやり方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、法務向けの文面で会社ごとに差がつくのは、「経営者が『法務の判断を事業部門に通す』と言い切れるか」です。件名と一行目は担当者が書けますが、事業部門との関係は経営者の姿勢で決まり、「事業を止めないでほしい」と「法務の判断を尊重する」の両方を言う経営者が多い。法務は、その矛盾を面談で見抜きます。経営者に「法務が止めたとき、事業部門との間でどう振る舞うか」を聞いて書き、その経営者が面談に出る文面は、法務に「一人で嫌われ役をやらされない」と伝わります。エラベルでスカウト文面を担当する人には、文面を書く前に、経営者に中身と委ねる範囲と事業部門との関係を聞き、面談に出る合意を取ってもらっています。担当者が法務の経験者なら、文面を法務の目で直せます。刺さる訴求と外す訴求は法務向けスカウト文面の型に書いています。
代行に出す場合の範囲
担当者が持つのは、候補者の経歴(中身、規模、環境、資格)を読んで件名と一行目を相手ごとに書くこと、経営者に聞いた中身・委ねる範囲・分担・資格の扱い・状態・事業部門との関係を本文にすること、送る前の確認、返信の記録と直す順番の提案、です。会社が持つのは、中身を一つに絞ること、委ねる範囲の決定、資格の要否と扱いの決定、事業部門との関係を正直に書くことの合意、経営者本人が面談に出ること、条件の幅、です。担当者が法務の経験者なら、文面を法務の目で直せます。担当者を選ぶときに確かめます。
まとめ
- 先に中身を一つに絞り、委ねる範囲と資格の要否を決める。「法務全般」は中身未定の印
- 件名は「相手の中身と規模の一点+自社の中身」。「攻めの法務」「事業を支える」は「嫌われ役を一人で」と読まれる
- 本文は一行目に相手の中身と規模の一点→中身と委ねる範囲→分担と資格の扱い→状態と事業部門との関係→体制→条件の幅→経営者本人が出る面談への締め
- 資格の要否と扱いを曖昧にしない。必須か歓迎か不問かと、資格者の扱いを書く
- 事業部門との関係を正直に書き、経営者が後ろにいることを示す
- 返信が来ないときは件名→中身と範囲と資格と関係の正直さ→面談に経営者本人が出たか→実態の一致の順に直す
よくある質問
資格者を採るべきか、非資格者でよいか迷っています
中身で決めます。契約の審査と作成、コンプライアンスの体制は、非資格者でも経験があれば回せることが多く、顧問弁護士との分担で補えます。紛争対応や、資格が要る業務を社内で持つなら、資格者が要ります。資格が要る業務の範囲は法令に関わるので、専門家にご確認ください。決めたら、文面に「必須か歓迎か不問か」と資格者の扱いを書きます。曖昧にすると、両方に開かれません。
事業部門が法務の判断を聞かない文化です。書くと来ないのでは
書きます。「事業部門が法務の判断を聞く文化はまだ無い。経営者が後ろに立って、一緒に作る」と正直に書くと、体制を作ることに関心がある法務には材料になります。隠して面談で分かると、辞退と不信につながります。書くうえで要るのは、経営者が本当に後ろに立つ意思と、面談でそれを本人が話すことです。
法律事務所の人にも送ってよいですか
送れます。法律事務所で企業の契約や紛争を扱ってきた人は、企業の中で法務をやりたいと考えていることがあり、転向層として有力です。一行目で「法律事務所で〇〇を扱われた方へ。企業の中で」と転向であることに先に触れ、事務所との違い(一社に集中、事業部門との関係、判断を自分で持つ)を書きます。探し方は法務を探すときの検索条件とターゲティングに書いています。