スカウト代行 / LAPRAS
LAPRASのスカウト代行|任せられる範囲と成果の測り方
LAPRASで代行を検討するとき、最初に確かめるのは委託範囲ではなく、そもそも誰に渡せるかです。公式ヘルプには「データベースの目的外利用の禁止について」という記事があり、禁止の具体例のうち一つが代行の検討に直接関わります。この記事では、LAPRASの仕様と規約を踏まえて、委託契約にどんな条項を書けばよいかを条項の順に整理します。以下は、2026年9月24日時点で公式サイトおよび採用担当者向けヘルプセンターに記載されている内容に基づいており、運営はLAPRAS株式会社です。
契約の前に:規約の線引きと運営への照会
条項を書く前に、前提となる規約を確認します。ヘルプは、LAPRAS利用規約第20条第1項に「ユーザーは、候補者の個人情報を秘密に保持し、第三者に開示又は漏洩してはならず、また本サービスを利用する目的以外に使用してはならないものとします。」という規定があるとし、LAPRASのデータベースは「貴社における採用活動にのみご利用いただきますようお願いいたします」と書いています。そのうえで、目的外利用の具体例が六つ挙げられています。
六つのうち、自社の社員をタレントプールに追加して転職意欲の変更通知を監視する利用と、自社における採用と関係のないその他の利用は、代行の場面ではあまり問題になりません。代行に関わるのは残りの四つです。次の表は、その四つを、代行で起こりうる場面と、契約での手当てに対応させたものです。
| 目的外利用の例(ヘルプの記載) | 代行で起こりうる場面 | 契約での手当て |
|---|---|---|
| 人材紹介・人材派遣等を運営する企業が、紹介する人材をLAPRAS上で調達するための利用 | 代行会社が人材紹介も手がけている | 兼業の有無を表明させ、自社案件以外への利用を禁じる |
| 候補者のプロフィール情報を転載するなど、ブログ、記事の素材としての利用 | 代行会社が事例や集計を発信に使う | 成果物の公表範囲を限定する |
| 候補者のプロフィールを独自に分析するなど、新たな個人情報ないしデータを作成するための利用 | 代行会社が自社の候補者データベースに取り込む | 社外システムへの転記・保存を禁じる |
| 他社の採用担当者に候補者のプロフィールを提供するなど、他社の採用活動に関する利用 | 代行会社が複数の顧客で同じ候補者を扱う | 他の顧客への提供を禁じ、担当者の兼務範囲を定める |
違反した場合の扱いは重く、明らかに目的外で利用されていることが確認できた場合には、通知なしにサービスの提供の停止や契約の解除を行うとされ、必要に応じて損害賠償請求を行うこともあり得ると書かれています。そのため、契約書を作る前に運営へ照会しておく項目が決まります。外部の代行会社にアカウントを発行してよいか、代行会社が候補者情報を社外システムに持ち出せるか、代行会社が人材紹介業を兼ねている場合に可否が変わるか、CSVダウンロードした情報をどこまで扱えるか、の四つです。照会の回答は書面で残し、契約書の前提条件として引用します。
エラベルの見解
外に出してよいのは、自社アカウントの中で完結する作業までです。この条文を根拠に「代行は使えない」と結論づけるのは早く、禁止されているのは目的外の利用であって、自社の採用のために外部の人手を使うこと自体ではありません。実務的には、代行会社の担当者に自社アカウントを発行し、候補者情報を社外に持ち出さない形で作業してもらうのが素直です。
ここから先、たとえば代行会社の手元の表計算やデータベースに候補者の一覧を移した時点で、禁止例のいくつかに近づきます。担当者を選ぶときは、作業をどこで完結させる前提で見積もっているかを聞いてください。私たちが代行に入るときも、契約前に運営へ照会してもらうようお願いしています。「他社がやっているから大丈夫」は根拠になりません。
条項1 役務範囲:担当者設定の四つのステージで書く
役務範囲の条項は、LAPRASの担当者設定機能に沿って書くと曖昧さが消えます。ヘルプは、担当者を設定すると、候補者の状況やステージに応じて担当者にタスクが発行されるようになると説明しています。タスクは四つのステージに分かれていて、それぞれに誰を置くかがそのまま委託の範囲になります。次の表は、四つのステージと、契約書での書き方の例を並べたものです。
| ステージ | 内容 | 置き場所の目安 | 契約書での書き方の例 |
|---|---|---|---|
| アプローチ判断 | 送るかどうかのレビュー。賛成する/賛成しないを押す | 社内 | 委託者がレビュー担当者となり、受託者は判断の依頼までを行う |
| ファーストアプローチ | 興味通知、スカウトの送信 | 委託しやすい | 受託者は、アプローチ判断で賛成された候補者にのみ送信する |
| メッセージ返信 | 返信対応やフォローメッセージ | 要検討(担当者設定は必須) | 担当者と、返信までの期限を定める |
| 初回面談 | 最初のカジュアル面談 | 社内 | 委託の範囲に含めない |
アプローチ判断については、タレントプールに追加した候補者にアプローチするかどうかレビューが必要な場合に、レビュー担当者に判断の依頼を行う使い方が案内されています。賛成しない場合はできるだけ理由をフィードバックすること、今のタイミングでアプローチをしないだけ(ストック)なのか、今後もその可能性がない(お見送り)のかでステータスを付与することも勧められています。代行会社が候補者を集め、社内が送る可否を判断するという分担が、機能として用意されているということです。
この工程は、アプローチ判断を「担当者なし」とすればスキップできるとされています。ただ、代行を入れる場合は残しておく価値があります。社内のレビューを一度挟むことで、送る相手の責任が社内に残り、目的外利用や通報のリスクも下げられるからです。役務範囲の条項には、「アプローチ判断を経ずに送信しない」ことを明記しておきます。
条項2 メッセージ返信の担当者と、候補者情報の扱い
二つ目の条項は、返信対応と候補者情報です。ヘルプには、アプローチ判断、ファーストアプローチ、初回面談の三つに限り、デフォルトの担当者の設定画面で「担当者なし」に設定することでタスクが発行されなくなる、と書かれています。一方で、「『メッセージ返信』は担当者設定必須です」と明記され、初期値はLAPRAS管理者に設定されています。返信の担当者を誰にするかは、避けて通れない項目です。
返信の担当者を代行会社に置くなら、候補者とのやりとりが社外の担当者と行われることになります。ヘルプは、候補者から返信があった場合やフォローメッセージの送信などはタイムリーに行うことが重要だとしています。社内の担当者が兼務で返信が遅れるくらいなら、代行に置くほうが候補者体験は良くなる場合もあります。ただし、目的外利用の禁止例の趣旨とどう折り合うかは、運営への照会の対象に含めておきます。
条項には、返信の担当者と期限に加えて、候補者情報の取り扱いを書きます。作業は自社が発行したアカウント内で行うこと、候補者情報を社外のシステムに転記・保存しないこと、CSVダウンロードの可否と保管の範囲、契約終了時のアカウント削除の期日と担当者、の四点です。個人情報の取り扱いは法令の解釈が関わる部分なので、条項の文言は個別の判断を専門家にご確認ください。
条項3 通報と特別措置が起きたときの扱い
三つ目は、この媒体に固有の条項です。LAPRASでは、候補者よりメッセージが不快に感じられたという通報が2件以上入った場合、または明らかなガイドライン違反を複数回発見した場合に調査が入り、違反と結論づけられると月間の送信上限が設定されます。期間は最大半年間で、特別措置期間に再度通報があった場合は延長されるとされています。上限に達した月は、新規のスカウトが送れなくなります。
契約で決めておくのは三つです。送信前のチェックを誰が行うか、通報が入った場合の連絡経路と運用を一時停止する判断者、特別措置が発動した場合の契約上の扱いです。三つ目がいちばん抜けやすく、送信数を成果指標にした契約は、上限が設定された時点で成立しなくなります。措置の期間中に委託費をどう扱うか(減額か、業務を条件設計や文面の見直しに振り替えるか)を先に書いておきます。
チェックの基準は、スカウトガイドラインをそのまま使えます。なぜスカウトが届いたかが分かる、誰からスカウトされたのかが分かる、どのような提案がなされているのかが分かる、文面が採用候補者の公開している事実と一致している、採用候補者が明示している希望が考慮されている、の五点です。この五点を契約の別紙に載せ、送信前の確認項目として双方で共有します。文面の作り方はLAPRASのスカウトテンプレートの作り方にまとめています。
条項4 報告の項目と、費用の見積もり方
四つ目は報告と費用です。担当者設定機能があるということは、タスクの消化状況が記録として残るということで、報告の項目はそこから取るのが自然です。次の表は、報告に入れる項目と、その読み方を並べたものです。
| 報告項目 | どこから取るか | 読み方 |
|---|---|---|
| タレントプールへの追加数と、アプローチ判断で賛成に至った比率 | アプローチ判断のタスク | 高すぎれば追加の基準が緩く、低すぎれば要件の認識がずれている |
| 賛成しない場合の理由の内訳(ストックかお見送りか) | 付与したステータス | ストックが多ければ時期の問題、お見送りが多ければ条件の問題 |
| ファーストアプローチの内訳(興味通知とスカウトメッセージの比率) | ファーストアプローチのタスク | 手間のかけ方の配分が分かる |
| 返信への対応にかかった日数 | メッセージ返信のタスク | 返信の担当者の置き方が合っているか |
| 送信前チェックで差し戻した件数と、通報の有無 | 確認者の記録と運営からの連絡 | 品質の管理が回っているか |
報告の様式は、この表の行をそのまま月次の項目にすれば足ります。賛成率が極端な値になったときは、条件設計に戻る材料になります。条件の組み方はLAPRASの検索条件の組み方にまとめています。
費用については、企業向けサイトに「累計1200社以上の導入実績」という記載はありますが、プランや費用の記載はありません。自社で見積もるなら、媒体費は運営に、月あたりの通数と費用の形を聞けば出ます。代行費は、アプローチ判断で賛成が出る見込みの月間件数に、一件あたりの作業時間(候補者を探す、判断を依頼する、送る、返信する)を掛け、代行会社の時間単価を掛けて出します。この二つを足したものを、面談一件あたりに割り戻して比べると、提案の妥当性を自社の物差しで判断できます。委託範囲の考え方はスカウト代行の範囲もあわせてご覧ください。
エラベルの見解
同じ料金・同じ業務範囲でも、結果が分かれるのはアプローチ判断の依頼の出し方です。LAPRASでは、代行会社が集めた候補者を社内が賛成・賛成しないで判断します。このとき、候補者の一覧だけを送ってくる担当者と、「なぜこの人か」を一行添えて送ってくる担当者では、社内の判断にかかる時間がまったく違います。
判断が遅れれば、代行会社がいくら集めても送信は進みません。つまり、この媒体の代行の成果は、担当者の探す力だけでなく、社内が判断しやすい形で渡す力で決まります。契約前の面談では、アプローチ判断の依頼を実際にどう書くかを見せてもらってください。判断まで含めて丸投げしたい企業には、この媒体の代行は向きません。
まとめ
- 契約の前に、利用規約第20条第1項と目的外利用の禁止例を確認し、外部へのアカウント発行や候補者情報の持ち出しの可否を運営に照会する
- 役務範囲は、担当者設定の四つのステージ(アプローチ判断、ファーストアプローチ、メッセージ返信、初回面談)ごとに誰を置くかで書く
- メッセージ返信は担当者設定が必須。返信の期限と、候補者情報を社外に持ち出さないことを条項にする
- 通報2件以上で送信上限が入り得るため、措置の期間中の委託費と業務の扱いを先に決めておく
- 費用は、媒体費を運営に聞き、代行費を件数×作業時間×時間単価で出し、面談一件あたりに割り戻して比べる
よくある質問
Q. LAPRASの運用を外部の代行会社に任せても規約違反になりませんか
規約が禁じているのは、候補者の個人情報の第三者への開示や、自社の採用以外の目的での利用です。自社の採用のために外部の人手を使うこと自体が禁じられているわけではありませんが、運用の形によって判断が変わり得ます。契約前に運営へ照会し、個別の判断は専門家にご確認ください。
Q. 代行会社にどこまで任せるのが一般的ですか
担当者設定の四つのステージで考えると、ファーストアプローチは委託しやすく、アプローチ判断と初回面談は社内に残す分担が噛み合います。メッセージ返信は担当者の設定が必須なので、返信の速さと候補者情報の扱いを見て決めます。
Q. 代行の成果は送信数で測ってよいですか
この媒体では、通報が2件以上入ると調査が入り、送信上限が設定されることがあります。送信数を成果指標にすると、措置が入った時点で契約が成立しなくなります。アプローチ判断の賛成率や差し戻し件数、返信への対応日数など、タスクの記録から取れる項目で測るほうが実態に合います。
※料金・通数・機能の条件は変わります。掲載した内容は2026年9月24日時点の公式サイトおよび採用担当者向けヘルプセンターの記載です。規約の解釈や個別の契約内容については、契約書と運営の案内をご確認ください。