採用代行 / 費用・契約・法務
採用代行の契約を半期で見直す観点
採用代行の運用は、月次の定例会で回ります。ただ、月次では見えないものがあります。採用計画との差、経路ごとの実績、担当者に何が蓄積したか、費用の総額。これらは、ある程度の期間が経たないと傾向が出ません。この記事では、半期の区切りで確認する項目と、その使い方を整理します。
月次と半期で見るものは違う
| 月次で見るもの | 半期で見るもの | |
|---|---|---|
| 数字 | 工程ごとの件数と時間 | 経路別の一名あたり費用、通期の進捗 |
| 判断 | 次の一手 | 体制と範囲そのもの |
| 費用 | その月の請求 | 累計と残りの見込み |
| 体制 | 担当者の稼働 | 蓄積が残ったか、交代の影響 |
| 契約 | 触らない | 更新、範囲、条件の見直し |
月次は運用の会、半期は構造の会という分け方をすると、それぞれの議題がはっきりします。月次で契約の話を持ち出すと運用が止まり、半期で工程の細かい数字だけを見ると構造の議論ができません。
一.採用計画との差を見る
期初に置いた採用計画に対して、どこまで進んだか。
- 職種ごとの採用予定人数と実績
- 計画になかった追加の職種が発生したか
- 予定していた職種で、募集が止まったものがあるか
- 残りの期間で採るべき人数
ここで見るのは代行の成果ではなく、計画そのものの妥当性です。計画が現実と合っていなければ、代行の体制を変える前に計画を直すことになります。
そして、残りの期間に必要な稼働量が見えます。採用が前倒しで進んでいるなら稼働を下げられますし、遅れているなら増やすか範囲を変えるかの判断になります。
二.経路別の実績を見る
半期分たまると、経路ごとの傾向が出ます。
- 経路ごとの支出と採用人数
- 経路ごとの一名あたり費用
- 経路ごとの採用までの期間
- 入社後の状況に経路による差があるか
この表は、翌期の予算配分を決める材料になります。感覚ではなく実績で判断できるようになると、配分の議論が具体的になります。
四番目は、半期でしか見られない項目です。ある経路から入った人だけが早く辞めているなら、その経路での訴求や候補者層に要因があるかもしれません。ただし、人数が少ないと偶然の可能性もあるので、傾向として見る程度にとどめます。単価の出し方は採用単価の計算方法と目標値の置き方にまとめています。
エラベルの見解
半期の見直しで、必ず確認してほしいのは「蓄積が残ったか」です。ここは数字に出ないので、意識して見ないと素通りします。
確認するのは四つです。求人原稿と文面は、期初より良くなっているか。検索条件は、実績を踏まえて更新されているか。判断の基準は文書になっているか。うまくいかなかった試みは記録されているか。
これらが更新されていないなら、半年間、同じ水準で回していただけということです。数字が悪くなくても、蓄積がなければ次の半期も同じところから始まります。
そして、これは代行会社だけの責任ではありません。改善のための時間を稼働の中に確保していたか、改善の提案を受け止める場があったか。発注側の設計にも関わります。
だから、半期の見直しでは「次の半期に何を積み上げるか」を決めてください。文面の改善、条件の整理、判断基準の文書化。一つか二つに絞って、稼働の中に時間を確保する。
半期の区切りは、日々の運用では後回しになる作業を入れる機会です。ここで決めないと、また半年が過ぎます。
三.費用の総額を見る
- 委託費の累計
- 実費(媒体費、従量課金)の累計
- 社内の時間を金額に換算したもの
- 予算に対する消化率と、残りの期間の見込み
三番目は、半期に一度でよい作業です。毎月は要りません。採用に関わる人の時間を工程ごとに聞き、時間あたり人件費を掛ける。粗い粒度で足ります。
この数字を並べると、外注の効果が見えます。代行費用が増えていても、社内の時間が減っていれば総額は下がっているかもしれません。逆に、どちらも増えているなら範囲の見直しが要ります。費用の三層の整理は採用代行の費用の内訳にまとめています。
四.体制の変化を見る
- 代行側の担当者が替わったか。替わった前後で数字がどう動いたか
- 社内の採用担当が変わったか。体制が増えたか減ったか
- 再委託が始まっていないか(権限の一覧と実際を突き合わせる)
- 定例会の参加者が変わっていないか
三番目は、この機会に棚卸しをします。採用管理システム、媒体、メール、チャット。権限の一覧と実際のアカウントを突き合わせる作業です。設計は情報漏えいを防ぐ設計にまとめています。
社内の体制が変わっているなら、任せる範囲を見直す時期です。採用担当が増えたなら内製に移せる工程があり、減ったなら範囲を広げる判断になります。
五.契約条件を見る
半期の区切りが契約更新と重なるなら、あわせて見直します。
- 業務範囲が実態と合っているか
- 稼働量の想定と実績のずれ
- 料金体系が今の状況に合っているか
- 自動更新の予告期限が近いか
- 担当体制の条件が別紙に書かれているか
一番目のずれは、更新のたびに広がります。採用は状況が変わる領域なので、契約書に書かれた範囲と実務が少しずつ離れる。半期の見直しは、これをそろえ直す機会になります。
更新の扱いは自動更新条項で気をつけることにまとめています。
エラベルの見解
半期の見直しは、代行会社と一緒にやるほうが価値が出ます。自社だけで評価の資料を作ると、次に何を変えるかまで進みません。
進め方は単純です。事前に双方が資料を持ち寄る。代行側は稼働と成果の推移、自社側は採用計画の進捗と社内の時間の変化。それを並べて、次の半期に何を変えるかを決めます。
このとき、自社側の数字も出してください。書類の合否までの日数、候補日の提示までの日数、宿題の完了率。これがないと、詰まりの原因が代行側にあるように見え続けます。
そして、決めることは一つか二つに絞ります。半期の会で五つも六つも決めると、どれも中途半端になります。次の半期で本当に変えるものを絞るほうが、結果は残ります。
半期の見直しを一度やると、次の半期の会がやりやすくなります。前回決めたことがどうなったかから始められるからです。続けることで意味が出る種類の会です。一度で完璧を目指す必要はありません。
まとめ
- 月次は運用の会、半期は構造の会。見るものを分ける
- 採用計画との差を見る。代行の成果より計画の妥当性を確認する
- 経路別の実績で、翌期の予算配分を決める
- 蓄積が残ったかを確認する。文面・条件・判断基準・失敗の記録
- 費用は委託費・実費・社内の時間を累計で並べる
- 体制の変化を見て、権限の棚卸しをこの機会に行う
- 契約更新が近いなら、範囲と実態のずれをそろえ直す
- 代行会社と一緒にやる。決めることは一つか二つに絞る
よくある質問
半期の見直しにどのくらい時間をかけるべきですか
資料の準備を含めても、双方で数時間あれば足ります。長くする必要はありません。むしろ、事前に資料を持ち寄る準備のほうが大事です。当日に数字を集め始めると、議論の時間がなくなります。
契約更新の時期と半期がずれています
見直しの会は半期で行い、更新の判断はその内容を持って別途行う形で構いません。ただし、更新の予告期限より前に見直しを済ませておいてください。見直してから交渉する時間が要ります。予告期限は締結時にカレンダーへ入れておきます。
数字が良ければ見直さなくてもよいですか
数字が良い期ほど、蓄積の確認をする価値があります。うまくいっているときは改善の必要を感じにくく、文面も条件も更新されないまま進みがちです。良い状態が何によって支えられているかを確認しておくと、担当者が替わったときにも再現できます。