採用代行 / 経営企画
経営企画の採用要件の作り方|必須と歓迎を分ける基準
経営企画の採用要件を作ると、「経営企画の経験五年以上」「コンサルティングファーム出身」「中期計画の策定経験」「M&Aの経験」「上場準備の経験」「財務と会計の知識」「MBA」「経営視点とリーダーシップのある方」と膨らみます。任せる中身と会社の段階と経営者が委ねる範囲を決めずに、経営者や人事が「理想の経営企画」と「会社にある課題すべての経験」を要件にしてしまうことが原因です。膨らんだ要件は、経験者が少ない市場で該当する人がいないか、該当しても他社に決まるか、「ファーム出身」「M&A」「上場準備」を必須にして、自社の段階に合う事業会社の経営企画の経験者を外してしまうかのどれかになります。結論を先に書くと、経営企画の要件は「任せる中身と段階と委ねる範囲」から決め、必須を「任せる中身に近い経験(経路は問わない)」「自社の段階に近い会社での経験」「経営者と直接やり取りして判断の材料を作った経験」の三つに絞り、それ以外のファーム出身・他の中身の経験・財務会計・MBA・年数は歓迎に回すと、該当する人が現れ、面接で確かめるべきことも決まります。中身と段階と委ねる範囲の整理は経営企画採用を代行に出す判断基準に、母集団形成は経営企画の母集団形成にまとめています。
経営企画で要件が膨らむ理由
経営企画の要件が膨らむ理由は、三つあります。
一つ目は、任せる中身と段階を決めずに要件を作ることです。「経営企画が足りない」で募集を始めると、中期計画の展開か、経営会議の運営か、M&Aか、上場準備かが決まっておらず、会社の段階も整理されておらず、「全部の経験がある人」が要件になります。実際には、任せる中身と段階が決まれば、要件はそこに近い経験で足ります。
二つ目は、「ファーム出身」「MBA」を、経営企画の力の証明として必須にすることです。経営者にとっては「ファーム出身なら分析と資料は安心」「MBAなら経営が分かる」が自然ですが、経営企画の中心は「経営者の判断の材料を作り、事業部門と一緒に実行を動かす」ことで、それは事業会社の経営企画で経験を積んだ人にもあり、ファーム出身の人には実行の経験が薄いことがあります。看板を必須にすると、自社の段階に合う人を外します。
三つ目は、会社にある課題すべての経験を必須にすることです。「M&Aを考えているからM&Aの経験」「上場を考えているから上場準備の経験」「財務も見てほしいから会計の知識」と並べると、該当者がいなくなります。いま最も困っていることの一つを中身にし、他は歓迎に置いて、必要になったら専門家や次の採用で補います。
三つを合わせると、「中身と段階を決めずに、看板と会社の課題すべてを並べ、経営視点のような形容詞を足す」のが、膨らむ構造です。
必須と歓迎を分ける基準
基準は、「その要件が無いと、任せる中身と段階と委ねる範囲を回せないか」です。回せないなら必須、あれば早いなら歓迎です。
| 要件 | 必須か歓迎か | 理由 |
|---|---|---|
| 任せる中身(中期計画の展開・経営会議の運営・M&A・上場準備のどれか)に近い経験、経路は問わない | 必須 | これが無いと中身を回せない。「経営企画の経験」ではなく中身で書く。ファームでも事業会社でも金融でも、中身が近ければ可 |
| 自社の段階(成長・上場準備・再建・安定)に近い会社での経験 | 必須 | 段階が違うと、持ち味が合わない。大企業の経営企画と、成長段階の会社の経営企画は、動き方が違う |
| 経営者と直接やり取りして、判断の材料を作った経験 | 必須 | 経営企画は経営者の直下。経営者に「決めてください」と言い、材料を出した経験が無いと機能しない。経歴では読みにくく、面接で確かめる |
| コンサルティングファーム出身 | 歓迎 | 分析と資料は強いが、実行の経験は面接で確かめる。事業会社の経営企画を外さない |
| 他の中身の経験(中期計画が主ならM&Aや上場準備) | 歓迎 | あれば将来広げられる。無くても最初の中身は回る。必要になったら専門家や次の採用で |
| 財務と会計の知識 | 歓迎(財務を兼ねる場合は重く見る) | 中期計画の数字は読めれば足りる。財務を兼ねるなら、財務の要件は財務の採用要件を参照 |
| MBA | 歓迎 | 経営企画の力を示すものではない。面接で確かめる |
| 同じ業界の経験 | 歓迎 | 業界の事情は入ってから覚えられる。段階の近さのほうが効く |
| 経験年数 | 歓迎 | 年数より、中身と段階の近さと、経営者との直接のやり取りのほうが効く |
| 「経営視点」「リーダーシップ」「調整力」 | 要件から外す | 経歴で確かめられず、面接で経営者が経営の話をして確かめる項目 |
表の要点は、「経営企画の経験〇年」「ファーム出身」「M&Aと上場準備の両方」を、任せる中身と段階を決めずに書かないことです。中身と段階の近さと、経営者との直接のやり取りで足り、看板と他の中身は歓迎に置きます。
もう一つの要点は、「経営者と直接やり取りして判断の材料を作った経験」を必須に入れることです。経営企画の要件で最も抜けやすく、最も効く要件です。大企業の経営企画で、部長を通してしか経営者と話したことのない人は、経営者の直下で「決めてください」と言う場面で困ります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「経営企画の要件を『経営企画の経験五年以上、ファーム出身、中期計画とM&Aと上場準備の経験、MBA歓迎、経営視点のある方』にしたが、応募がまったく来ない」というご相談です。任せる中身と段階を聞くと、成長の段階で、中期計画の数字を事業部門に展開して実行を動かすことが中心で、M&Aと上場は「いつか」の話でした。それなら要件は「中期計画の展開と実行を動かした経験(事業会社でもファームでも)」「成長段階の会社での経験」「経営者と直接やり取りした経験」で足り、M&Aも上場準備もファーム出身もMBAも、該当者を減らしているだけでした。
見ていて差がつくのは、「任せる中身と段階を決めてから要件にしているか」です。「成長の段階で、中期計画の展開と実行を動かすことを任せる」→必須は「計画の展開と実行の経験」「成長段階の会社での経験」「経営者との直接のやり取り」、M&Aと上場準備とファーム出身とMBAは歓迎。ここまで決めれば、要件は三つで済み、事業会社の経営企画の経験者が該当します。エラベルでは、経営企画の担当者に、要件を書く前に「任せる中身と段階と委ねる範囲」を経営者に決めてもらっています。
必須を三つに絞る手順
手順は四つです。
一つ目:任せる中身と段階と委ねる範囲を決める。 いま経営者が自分で見ていて手放したいことのうち、一番目は何か。会社はどの段階か。計画を作るだけか、実行を動かす権限まで委ねるか。
二つ目:その中身と段階を回すために、無いと困る経験を書き出す。 「中期計画を事業部門に展開した」「実行を動かした」「経営会議を設計した」「M&Aを検討した」など。書き出したら、「これが無いと本当に回らないか」を一つずつ問い、「専門家や次の採用で補えるか」を経営者と確かめます。
三つ目:段階と経営者との関係の要件を足す。 「自社の段階に近い会社での経験」を必須に。「経営者と直接やり取りして判断の材料を作った経験」を必須に入れ、面接で確かめる形にする。
四つ目:残りを歓迎に回し、形容詞を外す。 ファーム出身、他の中身、財務会計、MBA、業界、年数は歓迎に。「経営視点」「リーダーシップ」「調整力」は要件から外し、面接で経営者が経営の話をして確かめる項目に移します。
手順の要点は、二つ目で「本当に回らないか」を問うことです。「M&Aの経験」は、M&Aが「いつか」の話なら「回らない」ではありません。「上場準備」は、上場が決まっていないなら「回らない」ではありません。「ファーム出身」は、そもそも力を示すものではありません。問うたびに必須が減り、三つに近づきます。
経歴で確かめられる要件と、面接で経営者が確かめる要件
要件を、経歴(職務経歴書、媒体のプロフィール)で確かめられるものと、面接で経営者が確かめるものに分けます。
経歴で確かめられるのは、「担当した中身(中期計画、経営会議、M&A、上場準備)と範囲」「会社の段階と規模」「経路(ファーム、事業会社、金融)」「経営者の直下だったか、部長の配下だったか」「財務会計の知識、MBA」「何年か」です。書類の段階で、必須のうち「中身の近さ」「段階の近さ」はここで確かめます。ただし、「経営者と直接やり取りして判断の材料を作った経験」は、経歴では「経営企画部に所属」としか書かれていないことが多く、面接で確かめます。
面接で経営者が確かめるのは、「経営の話が通じるか(自社の計画のここが動かない、どこから手を付けるか、と聞いて、材料と打ち手を出せるか)」「経営者に対して、決めてほしいことを言えるか(前職で経営者と意見が分かれたとき、どうしたか)」「実行を動かした経験(計画を作った後、事業部門とどう動かしたか、動かなかったときどうしたか)」「委ねる範囲を説明した上で受け入れられるか(最初は狭く、段階的に広げる方針を受け入れられるか)」「経営者との相性(経営者の考え方を聞いてどう反応するか)」です。要件の「経営視点」「リーダーシップ」「調整力」は、この五つに翻訳して、経営者が確かめます。
確かめる方法は、自社の経営の話を材料にすることです。「いまの中期計画のこの数字が事業部門で動かない。どこから手を付けますか」「経営会議で投資の判断が先送りになる。どう変えますか」「前職で、経営者と意見が分かれた場面はありますか。どうしましたか」。答えの中身より、経営の話が通じるか、経営者に言うべきことを言えるか、を見ます。候補者の現在の会社の機微な情報は聞かず、自社の話を材料にします。機微な情報の扱いは、専門家にご確認ください。面接の設計は面接の構造に書いています。
経路ごとの要件の書き方
経営企画の候補者は、経路によって持っているものが違います。要件の書き方も、経路を意識して変えます。
| 経路 | 経歴で確かめる | 面接で経営者が確かめる | 要件に書くときの注意 |
|---|---|---|---|
| 事業会社の経営企画(成長の段階) | 担当した計画の展開と実行の範囲、経営者との距離 | 実行を動かした経験、経営者に言うべきことを言えるか | 必須の三つがそのまま該当。最も合いやすい |
| 事業会社の経営企画(大企業) | 担当した中身と範囲 | 経営者の直下で動けるか(部長を通す文化との違い)、成長段階の速さに慣れるか | 「段階の近さ」を必須にすると外れる。経営者との直接のやり取りを面接で重く見る |
| コンサルティングファーム出身 | 担当した案件のテーマ(公開されている範囲で) | 実行を動かした経験があるか、事業会社の側で腰を据える動機、経営者の直下で判断の材料を出せるか | 分析と資料は強い。実行の経験を面接で確かめる。「事業会社の経験」を必須にすると外れる |
| 金融出身(銀行、証券、投資) | 担当した企業と資本の話 | 事業の現場への理解、経営者との直接のやり取り | 資本の話(調達、M&A)が中身なら合う。中期計画の展開が中身なら、実行の経験を面接で確かめる |
| 上場準備の経験者 | 上場準備で担った範囲 | 上場後の役割への意欲、管理体制と事業のバランス | 上場準備の段階なら合う。他の段階なら中身が違う |
| 事業部門の企画や責任者からの転向 | 担当した事業と実行の経験 | 全社の視点を持てるか、経営者との直接のやり取り | 実行の経験は強い。全社の視点を面接で確かめる。社内の登用も経路 |
表の要点は、「ファーム出身」と「大企業の経営企画」を高く見すぎないことです。ファーム出身は実行の経験を、大企業の経営企画は経営者の直下で動けるかを、面接で確かめます。どちらも、経歴だけでは分かりません。
要件が決まらないときの原因
要件を作ろうとして決まらないとき、原因は要件ではなく、その前にあります。
一つ目は、任せる中身と段階が決まっていないことです。「経営企画が足りない」で止まっていると、要件は「全部の経験がある人」になり、決まりません。経営者が手放したいことの一番目を決め、会社の段階を整理します。
二つ目は、経営者が委ねる範囲が決まっていないことです。委ねる範囲が広ければ「実行を動かした経験」が必須になり、狭ければ「材料を作った経験」で足ります。委ねる範囲を決めずに要件を作ると、必須が「判断も実行も」に膨らみます。
三つ目は、会社の課題すべてを一人に求めていることです。M&Aも上場準備も財務も、「いつか」の話まで要件に入れると、該当者がいなくなります。いま最も困っていることの一つを中身にし、他は歓迎か、専門家や次の採用で補います。
四つ目は、経営者が要件に関わっていないことです。人事だけで作ると、「理想の経営企画」になります。経営者に「この中身を任せるのに、最低限何が要るか」を聞くと、「計画を事業部門に展開して動かしたことがあって、自分に意見を言える人なら、あとは一緒にやれる」のように、要件が下がることが多い。
四つのどれかが決まっていないなら、要件より先にそれを決めます。
代行に出せる工程
要件作りの工程を、社内で持つものと外に出せるものに分けます。
| 工程 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 任せる中身と段階と委ねる範囲の決定 | 経営者が決める | 経営者が手放したいことを聞き取り、中身に翻訳する |
| 必須と歓迎の振り分け | 最終判断(経営者の意見を入れる) | 基準に沿った振り分け案。「理想の経営企画」になっている要件と、看板と課題すべての必須を指摘 |
| 経歴で確かめる項目の設計 | ― | 経歴の見方(中身・段階・経路・経営者との距離の読み方)、スカウトの検索条件への変換 |
| 面接で確かめる項目の設計 | 経営者が確かめたいこと | 形容詞を自社の経営の話を材料にした具体的な質問に翻訳。経営者の時間を最小にする段取り |
| 求人票・スカウト文面への反映 | 確認 | 要件を文面に落とす。経路ごとに書き方を変える。機微な情報を含めない確認 |
分け方の要点は、「任せる中身と段階と委ねる範囲、経営者の意見は経営者が決め、翻訳と振り分けと段取りは外に出せる」ことです。経営企画の面接は経営者にしかできないので、外に出すのは「経営者の意見を聞き取って要件に落とし、経歴を読み、面接の段取りをする」役です。担当者に経営企画に近い経験があると、経路の読み方と経営者との話し方が変わります。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、経営企画の要件で最も効くのは、「ファーム出身」「M&Aと上場準備」を歓迎に下げることと、「経営者と直接やり取りして判断の材料を作った経験」を必須に入れることです。前者で自社の段階に合う事業会社の経営企画の経験者が母集団に入り、後者で「材料は作れるが経営者に言えない人」を面接で見分けられます。経営企画の要件で最も抜けやすいのが後者で、最も入社後の差になるのも後者です。
エラベルでは、経営企画の案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で「任せる中身と段階と委ねる範囲」を経営者に決めてもらい、「最低限何が要るか」を聞き取り、そこから必須三つを作るところまでをお願いしています。面接では、自社の経営の話を材料に、経営者に言うべきことを言えるかを確かめる形を担当者が段取りします。機微な情報の扱いは、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- 経営企画の要件が膨らむ理由は中身と段階を決めずに作る・看板(ファーム出身、MBA)を必須にする・会社の課題すべての経験を必須にするの三つ
- 基準は「無いと任せる中身と段階と委ねる範囲を回せないか」。必須は中身に近い経験(経路は問わない)・段階に近い会社での経験・経営者と直接やり取りして判断の材料を作った経験の三つ
- ファーム出身・他の中身・財務会計・MBA・業界・年数は歓迎。形容詞は要件から外し、面接で経営者が経営の話をして確かめる項目に
- 手順は中身と段階と委ねる範囲を決める→無いと困る経験を書き出して問い、専門家や次の採用で補えるかを確かめる→段階と経営者との関係の要件を足す→残りを歓迎に
- 経歴で確かめるのは中身と範囲・段階と規模・経路・経営者との距離・財務会計とMBA・年数。経営者が面接で確かめるのは経営の話が通じるか・経営者に言えるか・実行を動かした経験・委ねる範囲の受け入れ・相性
- 「ファーム出身」「大企業の経営企画」を高く見すぎない。ファーム出身は実行の経験を、大企業は経営者の直下で動けるかを面接で確かめる
- 決まらないときは中身と段階・委ねる範囲・課題すべてを一人に求めていること・経営者の関与のどれかが先に決まっていない
よくある質問
M&Aや上場を考えているので、その経験を必須にしたいのですが
M&Aや上場が「いつか」の話なら、必須にする理由はありません。いま最も困っていることの一つ(中期計画の展開、経営会議の運営)を中身にし、M&Aと上場準備は歓迎に置きます。M&Aや上場が具体的に動き始めたら、その時点で専門家に依頼するか、その経験者を次に採るか、いまの経営企画に学んでもらうかを決めます。「いつか」の課題まで一人に求めると、該当者がいなくなり、いま困っていることも解決しません。
ファーム出身を必須にしないと、分析と資料の質が担保されませんか
分析と資料の質は、ファーム出身の証明ではなく、面接で自社の経営の話を材料にして確かめられます。「この数字が動かない。どこから手を付けるか」と聞いて、材料と打ち手を出せるかを見れば、経路は関係ありません。ファーム出身の人は分析と資料が強い反面、実行の経験が薄いことがあり、成長段階の会社で実行を動かす経営企画には、事業会社の経験者が合うことがあります。ファーム出身は歓迎に置き、分析と実行の両方を面接で確かめます。
「経営企画の経験五年以上」は書かないほうがよいのですか
年数だけの要件は、大企業の経営企画部で部長の配下として五年いた人と、成長段階の会社で経営者の直下で三年実行を動かした人を、逆に評価します。書くなら「中期計画を事業部門に展開して実行を動かした経験(目安として三年程度)」のように、中身と役割に年数を添える形にします。年数の目安が無いと不安な場合も、「〇年」より「経営者の直下で判断の材料を作り、実行を動かした経験」のほうが、経歴で確かめやすく、該当する人に届きます。