採用代行 / 費用・契約・法務
年間契約にすると何が下がるのか
採用代行を短い期間で更新していくか、年間で契約するか。年間契約にすると下がるのは単価だけではありません。立ち上げの重複がなくなり、担当者が固定され、蓄積が続く。一方で、状況が変わったときに動けなくなる面もあります。この記事では、何が下がり何を手放すのかを分けて整理します。
下がるもの
単価。稼働枠を長く押さえられるぶん、代行側は原価を平準化できます。交渉の材料としては最も分かりやすい部分です。
立ち上げの重複。短い契約を繰り返すと、契約が切れるたびに再開の作業が発生します。年間で続けば、この重複が一度で済みます。
担当者が替わる頻度。期間が短いと、代行側も人員の配置を短期で組むことになります。長い契約のほうが、同じ担当者が続きやすくなります。ただし、これは約束ではありません。
社内の手間。契約の更新、稟議、見積もりの取得。短い契約を繰り返すと、この事務が繰り返されます。
この四つのうち、実務に効くのは立ち上げの重複と担当者の安定性です。単価の差より、こちらのほうが結果に響くことがあります。
手放すもの
止めるタイミングの自由度。採用が止まっても、募集職種がなくなっても、契約は残ります。期間の途中で解約するなら、残存期間の扱いを確認する必要があります。
依頼先を替える機会。合わないと感じても、期間が終わるまで動けません。担当者の交代で解決しない場合、期間の長さがそのまま負担になります。
条件を見直す頻度。短い契約なら更新のたびに条件を見直せます。年間だと、その機会が減ります。
この三つを、見直し条項で埋めます。次の節で扱います。
見直し条項とセットにする
年間契約を受け入れる代わりに、期間の途中に見直しの区切りを置く形が実務的です。
置くのは次のような内容です。
- 一定期間ごとに、業務範囲を変更できる
- 一定期間ごとに、稼働量を調整できる
- 担当者が交代した場合、発注側から契約を見直せる
- 募集が停止した場合の一時停止の扱い
- 大きく未達が続いた場合に協議する
期間の縛りは残るので、代行側の回収は成立します。発注側は、状況が変わったときに中身を変えられる。双方にとって現実的な落としどころになります。
この提案への反応で、相手の体制も見えます。すぐに応じる会社は、途中で範囲を変えることを想定した運用ができています。期間の考え方は最低契約期間はなぜ設定されるのかにまとめています。
エラベルの見解
年間契約を検討するとき、判断の基準は採用が年間を通じて続くかどうかの一点です。ここが読めているかを先に確認してください。
事業計画に採用の計画が組み込まれていて、通年で複数職種を採る予定がある。この状態なら、年間契約は自然です。立ち上げの重複もなくなり、担当者に蓄積も残ります。
一方で、いま募集している職種が埋まったら当面は採らない。この状態で年間契約を結ぶと、後半は稼働の使い道を探すことになります。使い道がないまま費用だけが出る期間は、値引き分をすぐに打ち消します。
判断が難しいのは、その中間です。採るかもしれないし、採らないかもしれない。この場合は、一時停止の条項を置けるかを確認してください。募集がない期間は稼働を止め、その分を後ろに繰り越す。応じる会社もあります。
年間契約は、単価の交渉としてではなく、採用を通年で回す体制を作る判断として考えるほうが噛み合います。単価だけを目的にすると、使わない期間が出たときに損をします。
年度予算との整合
年間契約を組むなら、自社の年度と揃えるかを検討します。
年度に揃える利点。予算の期間と契約期間が一致するので、予実の管理が単純になります。期をまたぐ処理も減ります。
揃えない場合の注意。契約が期をまたぐと、未払いの計上や、初期費用と期間の対応といった処理が発生します。会計上の扱いは自社の方針によって変わるため、経理部門や税理士にご確認ください。経費の扱いの整理は採用代行費用は経費でどう処理するかにまとめています。
開始時期の調整。年度に合わせるために開始を遅らせると、その間の採用が止まります。採用の必要性が先なら、期をまたぐ形でも始めるほうが筋が通ります。
途中で状況が変わったとき
年間契約の期間中に、次のような変化が起きることがあります。
採用が早く決まった。募集職種を差し替えて継続する、稼働を下げて期間を延ばす、といった選択肢を先に決めておきます。
職種が増えた。範囲の変更と、それに伴う稼働量の調整を相談します。上限時間がある契約なら、上限の見直しになります。
社内に採用担当が入った。範囲を絞り、内製に移していく形になります。移行の手順は内製に戻すときの手順にまとめています。
採用が止まった。一時停止の条項があるかを確認します。ないなら、稼働の使い道を相談します。改善作業(求人原稿の見直し、検索条件の整理、レポートの様式改善)に振ることもできます。
いずれの場合も、決めておけば動けます。決めていないと、その都度の交渉になります。
エラベルの見解
年間契約で得られるもののうち、最も価値があるのは蓄積だと考えています。ここは単価の話には出てきません。
同じ担当者が一年続くと、自社の採用について分かることが増えます。どの職種が難しいか、どの層に反応があるか、現場が何を重視するか、書類の判断がどこで割れるか。これは短い契約を繰り返しても溜まりません。契約が切れるたびに、理解の一部が失われます。
そして、この蓄積は自社にも残せます。求人原稿、検索条件、判断の基準、うまくいかなかった試みの記録。文書として残る形にしておけば、代行を替えても内製に戻しても使えます。
だから、年間契約を結ぶなら蓄積を残す設計を一緒に入れてください。成果物の帰属を決め、稼働報告に判断の理由を書いてもらい、四半期に一度は文書を更新する。
年間の契約は、時間を買っているとも言えます。その時間で何が積み上がるかを決めておかないと、期間が過ぎただけになります。
まとめ
- 下がるのは単価・立ち上げの重複・担当交代の頻度・社内の事務
- 実務に効くのは、単価より立ち上げの重複と担当者の安定性
- 手放すのは止めるタイミング・依頼先を替える機会・条件を見直す頻度
- 見直し条項とセットにする。範囲・稼働量・担当交代時・一時停止・未達時の協議
- 判断の基準は「採用が年間を通じて続くか」
- 中間の状況なら、一時停止の条項を置けるかを確認する
- 年度と揃えるかは、予実の管理と採用の必要性で決める
- 最も価値があるのは蓄積。残す設計を一緒に入れる
よくある質問
年間契約にすると単価はどのくらい下がりますか
会社と条件によるため一律には言えません。稼働枠が読めることに対する対価なので、稼働量が大きいほど下がる余地があります。単価だけを目的にせず、立ち上げの重複がなくなることや担当者が固定されることも含めて総額で比べてください。
途中で解約できますか
契約の条項によります。残存期間分の支払いが必要な形もあれば、予告期間を置けば解約できる形もあります。年間で結ぶなら、締結前に中途解約の扱いを確認しておきます。あわせて、見直し条項があれば解約以外の調整もできます。
短い契約を繰り返すのと、どちらがよいですか
採用が通年で続くなら年間、単発や一時的な増加なら短い契約が噛み合います。判断がつかない場合は、まず短い契約で始めて運用の相性を見てから年間に切り替える、という順番も現実的です。切り替えの条件を最初の契約時に決めておくと、交渉が短く済みます。