採用代行 / 費用・契約・法務
請求サイクルと支払いサイトの決め方
採用代行の契約で、請求まわりは後回しにされがちです。ただ、締め日と支払日、月中に始めた場合の扱いを決めていないと、毎月の経理処理で確認が発生します。契約時に決めておけば一度で済む話が、運用のたびに戻ってくる。この記事では、決めておく項目を料金体系ごとに整理します。なお、会計上の処理は自社の方針によって変わるため、経理部門や税理士にご確認ください。
決めておく五つ
一.締め日。代行会社の締め日と、自社の締め日を確認します。ずれていると、月をまたぐ稼働の計上が問題になります。
二.請求書の発行日。締めから何営業日で届くか。自社の支払い処理の締切に間に合うかを確認します。
三.支払日。月末締めの翌月末払い、といった形を決めます。
四.月中に開始した場合の扱い。日割りにするか、初月は満額か、翌月から起算するか。
五.契約終了月の扱い。月の途中で終わる場合、日割りにするか。
四番目と五番目が抜けやすい項目です。契約は月初に始まるとは限りません。決めていないと、初月と最終月に毎回相談が発生します。
料金体系ごとの請求
| 体系 | 請求のタイミング | 確認する点 |
|---|---|---|
| 月額固定型 | 毎月定額。前払いか後払いか | 初月と最終月の日割り |
| 時間単価型 | 締め後に実績で請求 | 稼働報告との一致、端数の扱い |
| 成果報酬型 | 成果の発生時か、月末締め | 成果の成立時点、取り消しの処理 |
| 初期費用 | 契約時か、作業完了時 | 分割の可否、中途解約時の扱い |
| 実費の立て替え | 立て替え月の翌月など | 明細の添付、手数料の有無 |
月額固定型は前払いか後払いかを確認します。前払いだと、月の途中で解約した場合の精算が発生します。後払いなら、稼働の実績を見てから支払えます。
時間単価型は、稼働報告と請求書の一致を確認します。工程ごとの内訳が報告に出ていれば、突き合わせは短時間で終わります。精算のルールは稼働時間の精算方法にまとめています。
成果報酬型は、成果の成立時点と請求のタイミングを分けて決めます。成果が発生するたびに請求するのか、月末にまとめるのか。取り消しが出た場合の処理も決めておきます。定義の作り方は成果の定義でもめない書き方で扱っています。
エラベルの見解
支払いサイトの交渉で、短くする方向の提案が有効な場面があります。
一般には、支払いサイトは長いほうが発注側に有利です。資金繰りの面では、そのとおりです。ただ、採用代行の場合、受託側が個人や小規模な事業者であることが少なくありません。実務をパートナーが担っている場合、その先まで支払いが届くのに時間がかかります。
支払いサイトを短くすると、相手にとっては資金繰りが楽になります。これは交渉の材料になります。単価を据え置いてもらう、範囲を少し広げてもらう、優先度を上げてもらう。金額を動かさずに条件を良くする手として使えます。
もちろん、自社の経理の運用に合わせる必要はあります。標準の支払いサイトを変えられない会社もあるでしょう。変えられるなら、交渉材料の一つとして持っておく価値があるということです。
そして、これは相手の事業構造を知る質問にもなります。支払いサイトの短縮に強く反応する相手は、資金繰りが業務に影響する規模だということです。稼働の安定性を見るうえでも、参考になります。
実費の精算
媒体費やスカウトの従量課金を代行会社が立て替えている場合、精算の方法を決めます。
- 明細の添付(媒体からの請求書の写しを受け取れるか)
- 手数料の有無(立て替えに手数料が乗るか、実費のみか)
- 精算のタイミング(立て替え月の翌月か、まとめてか)
- 上限(従量課金の月あたり上限を決めておく)
明細が添付されない立て替えは、内訳が見えません。翌年の予算を組むときに、媒体にいくら使ったかが分からなくなります。自社契約にして支払いを分ける形も検討します。名義の考え方は媒体費と代行費を分けて見るべき理由にまとめています。
請求書と稼働報告の突き合わせ
毎月の確認を、負担の少ない形にします。
確認する人を決める。採用担当が見るのか、経理が見るのか。時間単価型では、稼働の内容が分かる人が見る必要があります。
確認する項目を絞る。総額、稼働時間の合計、実費の内訳。全項目を毎月見る必要はありません。
差異が出たときの手順を決める。誰に、どう連絡するか。修正された請求書を再発行してもらうのか、翌月で調整するのか。
記録を残す。差異が出た月と、その原因。繰り返すようなら、報告や請求の様式を見直します。
期をまたぐときの確認
年度末や期末をまたぐ契約では、確認する事項が増えます。
- 未払いの計上(月末締めで翌月払いの場合の期末処理)
- 初期費用を一括で払った場合の、期間との対応
- 契約が期をまたぐ場合の計上時期
- 成果報酬の発生が期をまたいだ場合の扱い
これらの判断は、契約の内容と会計方針によって変わります。年度末に契約する予定があるなら、締結前に経理部門へ相談しておくと、後の処理が単純になります。具体的な処理は税理士にご確認ください。
エラベルの見解
請求まわりの取り決めは、契約書ではなく別紙や覚書に書くほうが実務に合います。
理由は、変更の頻度です。締め日や支払日は、自社の経理の運用が変われば見直しの対象になります。請求の様式も、レポートの項目を変えれば連動して変わることがあります。契約書の本文に書くと、変更のたびに覚書が要ります。
別紙に「請求と支払いに関する運用」としてまとめておけば、変更は別紙の差し替えで済みます。契約書には「別紙のとおりとする」と書いておく形です。
そして、この別紙には請求の項目だけでなく、稼働報告の様式と提出期限も一緒に書いておくと便利です。請求と報告は連動しているからです。報告が遅れれば請求の確認も遅れ、支払いの処理も後ろにずれます。
一枚にまとまっていると、担当者が替わったときにも引き継げます。契約書全体の確認項目は業務委託契約書で確認する10項目にまとめています。
まとめ
- 決めるのは締め日・請求書の発行日・支払日・月中開始の扱い・終了月の扱いの五つ
- 抜けやすいのは月中開始と終了月。決めないと毎回相談が発生する
- 月額固定型は前払いか後払いかを確認する
- 時間単価型は稼働報告と請求書の一致を見る。端数の扱いも決める
- 成果報酬型は成立時点と請求のタイミングを分けて決める
- 実費は明細の添付・手数料の有無・上限を確認する
- 支払いサイトの短縮は、金額を動かさずに条件を良くする交渉材料になる
- 請求まわりは別紙にまとめる。稼働報告の様式と一緒に書いておく
よくある質問
月の途中から契約を開始する場合、初月の費用はどうなりますか
契約によって扱いが分かれます。日割りにする形、初月は満額とする形、翌月から起算する形があります。立ち上げの作業が初月に集中することを踏まえると、日割りにしない設計にも理由があります。締結時に確認し、書面に残しておきます。
請求書の内容に疑問がある場合はどうすればよいですか
まず稼働報告と突き合わせます。工程ごとの内訳が報告に出ていれば、どこに差異があるかが分かります。そのうえで代行会社に確認し、修正が必要なら再発行か翌月調整かを決めます。同じ差異が繰り返される場合は、報告や請求の様式そのものを見直します。
支払いサイトは短くするべきですか
自社の経理の運用が許すなら、交渉材料として使えます。受託側が個人や小規模な事業者の場合、資金繰りへの影響が大きいためです。単価を据え置いてもらう、範囲を広げてもらう、といった条件と交換できることがあります。自社の運用を変えられない場合は、無理に合わせる必要はありません。