スカウト代行 / カスタマーサクセス
カスタマーサクセスへのスカウト文面|開封される件名と本文の型
カスタマーサクセスにスカウトを送っても返信が来ない。文面を見せていただくと、件名が「顧客に寄り添うカスタマーサクセス募集」で、本文に「顧客の成功を支える」「伴走する」と書いてあり、自社のカスタマーサクセスが何をする役割なのか(導入支援か、利用の定着か、更新と追加の提案か、サポートか)、指標は何で、そのうち自分で動かせるのはどこか、顧客はいまどんな状態か、営業や開発とどう分担するのかが、どこにも書かれていません。カスタマーサクセスは会社ごとに中身が違う職種で、経験者は「寄り添う」「支える」の言葉に実態の無さを感じます。結論を先に書くと、件名は「相手の顧客と取り組みの一点+自社の型」、本文は「一行目に相手の顧客と取り組みの一点→自社の型と分担→指標と評価(動かせる部分を正直に)→顧客の状態(正直に)→営業・開発との連携→体制→条件の幅→責任者と分担の相手が出る面談への短い締め」の順で、プロダクトと会社の紹介は後ろに回すか短くします。刺さる訴求と外す訴求の中身はカスタマーサクセス向けスカウト文面の型に書いていますので、ここでは「カスタマーサクセス向けの件名と本文の型」に絞って、そのまま使える形にします。
先に決めるのは「自社の型と分担」
文面の前に、自社のカスタマーサクセスの型(導入支援が主か、利用の定着が主か、更新と追加の提案が主か、問い合わせ対応が主か)と、分担(営業とどこで分けるか、サポートとどこで分けるか、開発に何を渡すか)を決めます。型が違う経験者に送っても、返信は来ません。
| 型 | 主な仕事 | 文面で先に書くこと |
|---|---|---|
| 導入支援 | 契約後に使い始めるまでを支える | 導入の流れ、期間、詰まりやすい点 |
| 利用の定着 | 使い続けてもらう。利用の状態を見て働きかける | 利用の状態をどう見るか、働きかけの型 |
| 更新と追加の提案 | 契約の更新と、追加の提案 | 更新率、提案の裁量、営業との分担 |
| 問い合わせ対応が主 | 顧客からの問い合わせに答える | サポートに近いことを正直に |
止まりやすいのは、四つ全部を一人に求めて「カスタマーサクセス全般」と書くときです。主の型を一つ書き、他は「必要に応じて」にとどめます。
件名の型
カスタマーサクセスが件名で見るのは、「自分の顧客と取り組みを見ているか」「この会社の型は何か」の二つです。
| 型 | 例 | なぜ開かれるか |
|---|---|---|
| 相手の顧客と取り組み+自社の型 | 〇〇(顧客の種類)の〇〇(取り組み:定着、更新など)に取り組まれた方へ|当社の〇〇の定着を | 取り組みで重なると分かる |
| 相手の指標の経験+自社の指標 | 〇〇(指標)を動かされたご経歴へ|当社は〇〇を動かしたい | 指標に実態があると分かる |
| 相手の転向元+自社の型 | 〇〇(既存営業)で顧客の継続に取り組まれた方へ|カスタマーサクセスへの道 | 転向に先に触れている |
書いてはいけない件名は、「寄り添う」「支える」「成功を」「伴走」のように、実態の無い言葉です。件名の失敗の型は件名でやりがちな失敗に書いています。
本文の型
本文は、カスタマーサクセスが「確かめる順」に並べます。
| 順 | 書くこと | 長さ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一行目 | 相手の顧客と取り組みの一点。「〇〇の顧客の〇〇(定着・更新)に取り組まれたご経歴を拝見しました」 | 一文 | 転向元で変える(後述) |
| 二 | 自社の型と分担。主の型、営業・サポート・開発との分け方 | 三行 | 「全般」を使わない |
| 三 | 指標と評価。何を見るか、そのうち自分で動かせる部分はどこか | 三行 | 動かせない部分(プロダクトの問題、営業の契約内容)を正直に |
| 四 | 顧客の状態。顧客の数、いま定着しているか、解約が多いか、なぜか | 二、三行 | 正直に。悪ければ書く |
| 五 | 営業・開発との連携。顧客の声を開発にどう渡すか、営業とどう引き継ぐか | 二行 | 連携が無いなら「作りたい」と書く |
| 六 | 体制。何人で、一人あたり何社、責任者は誰 | 二行 | 一人目なら一人目と書く |
| 七 | 条件の幅 | 一、二行 | 幅で書く |
| 八 | プロダクトと会社の紹介 | 二行 | 短く |
| 九 | 短い締め。「責任者と、分担の相手(営業か開発)が出ます。三十分で、顧客の状態と指標の話を」 | 一文 | 誰が出るかを書く |
長さは、スマートフォンで二度スクロールする程度に収めます。
転向元で一行目を変える
カスタマーサクセスの経験者は少ないので、転向元ごとに一行目と訴求を変えます。
| 転向元 | 一行目の型 | 訴求の重心 |
|---|---|---|
| 経験者 | 「〇〇の顧客の〇〇に取り組まれたご経歴へ」 | 型と分担、動かせる指標、顧客の状態 |
| 営業の既存担当 | 「〇〇の既存顧客の継続と追加提案に取り組まれた方へ」 | 新規のノルマから離れて既存に集中できること、指標 |
| 導入支援・オンボーディング | 「〇〇の導入を支えられたご経歴へ。導入の後まで見る役割を」 | 導入後の定着まで見られること |
| カスタマーサポート | 「〇〇の問い合わせで顧客の課題を解決されてきた方へ。受け身から働きかけへ」 | 待つのではなく働きかける役割、指標 |
| コンサルティング | 「〇〇の課題解決に取り組まれたご経歴へ。一社を長く見る役割を」 | 案件ごとでなく継続して見られること |
止まりやすいのは、全転向元に経験者向けの一行目を送るときです。経歴と合わず、返信が来ません。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「カスタマーサクセスには顧客志向と温かさを伝えれば響く」というものです。実際には、「寄り添う」「支える」を書いた文面より、「自社の型はこれ、指標はこれ、そのうち自分で動かせるのはここ、動かせないのはここ」と正直に書いた文面のほうが返信が来ます。ある会社では、顧客への想いを丁寧に書いた文面で返信が無く、担当者が候補者の視点で読むと、「導入支援なのか更新なのか分からない」「指標が無い」「解約が多いのか少ないのか分からない」ので、候補者は「実態が無い」と読んでいました。「型は利用の定着。指標は継続率。プロダクトの不具合による解約は自分では動かせないので、開発への声の渡し方を作りたい。いまの継続率は課題がある」と正直に書き直したところ、「動かせる部分が分かるなら」という人から返信が来ました。カスタマーサクセスへの文面で効くのは、想いではなく、型と指標と動かせる範囲の正直さです。
書いてはいけないこと
一つ目は、「寄り添う」「支える」「成功を」「伴走」「顧客志向」のような、実態の無い言葉です。型と分担と指標で書きます。
二つ目は、四つの型を全部一人に求めることです。主の型を一つ書きます。
三つ目は、指標を書かない、または全部を自分で動かせるように書くことです。プロダクトの問題や営業の契約内容による解約は、カスタマーサクセスには動かせません。動かせる部分と動かせない部分を分けて書きます。
四つ目は、顧客の状態を良く見せることです。解約が多いなら書きます。「立て直し」に関心がある人には材料になります。
五つ目は、プロダクトと会社の紹介から始めることです。
六つ目は、締めに分担の相手(営業か開発)が面談に出ることを書かないことです。責任者だけの面談では、連携の実態に答えられません。
送る前の確認
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 実態の無い言葉が無いか | 「寄り添う」「支える」「伴走」が無いか |
| 型が一つに絞られ、分担が書いてあるか | 「全般」になっていないか |
| 指標と、動かせる部分と動かせない部分が書いてあるか | 全部動かせるように書いていないか |
| 顧客の状態を正直に書いたか | 解約の多さを隠していないか |
| 一行目が転向元に合っているか | 全員に経験者向けを送っていないか |
| 面談に責任者と分担の相手が出ると書いたか | 実際に出る合意があるか |
返信が来ないときの直す順番
| 症状 | 直すところ |
|---|---|
| 開かれない | 件名。実態の無い言葉になっていないか。顧客と取り組みの一点があるか |
| 開かれるが返信が無い | 型と分担の具体さ。指標と動かせる範囲の正直さ。顧客の状態 |
| 返信は来るが面談で辞退 | 面談に分担の相手が出たか。文面の顧客の状態と面談の実態が合っていたか |
| 面談後に辞退 | 動かせる範囲の実態。「動かせる」と書きながら営業や開発が動かない構造が無いか |
一箇所ずつ変えます。変え方はスカウト文面のABテストのやり方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、カスタマーサクセス向けの文面で会社ごとに差がつくのは、「動かせない部分を正直に書けるか」です。件名と一行目は担当者が書けますが、「解約の原因のうち、カスタマーサクセスで動かせるのはどこか」は、責任者が顧客の状態を見て初めて言えます。多くの会社は「継続率を上げてほしい」とだけ書きますが、継続率の一部はプロダクトと契約内容で決まり、カスタマーサクセスには動かせません。「動かせる部分はここ、動かせない部分はここ、動かせない部分は開発と営業にこう渡す」と書いた文面は、経験者に「この会社は分かっている」と伝わります。エラベルでスカウト文面を担当する人には、文面を書く前に、責任者に「解約の原因の内訳と、そのうちカスタマーサクセスで動かせるもの」を聞いてもらっています。刺さる訴求と外す訴求はカスタマーサクセス向けスカウト文面の型に書いています。
代行に出す場合の範囲
担当者が持つのは、候補者の経歴(顧客の種類、取り組み、転向元)を読んで転向元ごとに件名と一行目を書くこと、責任者に聞いた型・分担・指標・動かせる範囲・顧客の状態・連携を本文にすること、送る前の確認、返信の記録と直す順番の提案、です。会社が持つのは、型と分担の決定、指標と動かせる範囲の事実、顧客の状態の事実、責任者と分担の相手が面談に出ること、条件の幅、です。責任者が「動かせない部分」を言葉にできない状態では、経験者への文面は書けません。出す前に整理します。
まとめ
- 先に自社の型(導入支援・定着・更新と提案・問い合わせ対応)と分担を決める。「全般」は経験者に信用されない
- 件名は「相手の顧客と取り組みの一点+自社の型」。「寄り添う」「支える」は実態の無い言葉として読まれる
- 本文は一行目に相手の顧客と取り組みの一点→型と分担→指標と動かせる範囲→顧客の状態→営業・開発との連携→体制→条件の幅→責任者と分担の相手が出る面談への締め
- 動かせる部分と動かせない部分を分けて書く。全部動かせるように書くと経験者に見抜かれる
- 転向元(経験者・既存営業・導入支援・サポート・コンサルティング)で一行目と訴求を変える
- 返信が来ないときは件名→型と指標と顧客の状態の正直さ→面談に分担の相手が出たか→実態の一致の順に直す
よくある質問
解約が多く、顧客の状態が良くありません。書くと来ないのでは
書きます。「継続率に課題がある。原因の内訳はこう。そのうちカスタマーサクセスで動かせるのはここ」と正直に書くと、立て直しに関心がある経験者には材料になります。隠して面談で分かると、その場で辞退されます。そのうえで、動かせない部分(プロダクト、契約内容)を開発と営業にどう渡すかの連携を書くと、「一人で背負わされない」と伝わります。
カスタマーサクセスの経験者が少なく、送る相手がいません
転向元を含めます。営業の既存担当、導入支援、カスタマーサポート、コンサルティングは、自社の型によって向き不向きがあります。定着と更新が主なら既存営業、導入支援が主なら導入支援の経験者、問い合わせ対応から働きかけへ広げたいならサポートの経験者。転向元ごとに一行目と訴求を変えます。探し方はカスタマーサクセスを探すときの検索条件とターゲティングに書いています。
営業との分担が決まっていません
決まっていないなら「決まっていないので一緒に作りたい」と書きます。更新と追加の提案を営業が持つのかカスタマーサクセスが持つのかは、経験者が最初に確かめる点で、書かないと「営業のノルマを押し付けられるのでは」と読まれます。決まっていないことを正直に書き、面談に営業の責任者が出て一緒に決める姿勢を示します。