スカウト代行 / スカウト代行
契約書で決めておくこと
スカウト代行の契約書は、業務委託契約の型に沿って作られます。ただし、スカウトには他の外注にない論点があります。誰の名義で送るのか、候補者の情報を誰が持つのか、送った記録は誰のものか。この記事では、締結前に決めておく項目を整理します。個別の条項の作り方については、専門家にご確認ください。見積もりの読み方は見積もりで確認する項目にまとめています。
決めておく九つの項目
一.業務の範囲。工程で列挙する。
二.送信の名義。誰の名前で送るか。
三.候補者情報の取り扱い。閲覧、保存、削除。
四.媒体アカウントの名義と権限。
五.成果物の帰属。文面、検索条件、リスト。
六.報告の内容と頻度。
七.再委託の可否。
八.契約期間と解約の予告。
九.終了時の引き渡し。
このうち、二番目・三番目・五番目がスカウト特有です。
送信の名義を決める
候補者に届くスカウトは、誰の名前で送られるか。
形は三つあります
自社の採用担当者の名前で送る。候補者から見ると、自社から届いた形になります。
代行会社の担当者の名前で送る。媒体の仕様によっては選べないことがあります。
役職や部署名で送る。「採用担当」など。
このうち、一番目が多い形です。
そして、一番目を選ぶ場合、決めておくことがあります。
返信が来たとき、誰がどう返すか。候補者は自社の担当者に返信したつもりです。
候補者から電話が来たとき。自社に来ることがあります。
面談の場に誰が出るか。スカウトを送った名前の人が出ないことがあります。
この三つを決めておかないと、候補者から見て一貫しない対応になります。
候補者の体験に関わる部分です。契約書の条項というより、運用の設計として決めてください。
候補者情報の扱い
スカウト代行では、代行会社が候補者の個人情報に触れます。
決めること
- どこまで閲覧できるか
- 代行会社側で保存してよいか。保存するなら、どこに、どの範囲で
- 契約終了時に削除するか。削除の確認方法
- 再委託先が触れるか
- 漏えいが起きたときの連絡と対応
二番目が論点になります。
媒体の管理画面だけで作業する運用なら、代行会社側に情報は残りません。
一方、候補者リストを別のファイルに書き出して管理する運用だと、情報が代行会社側に残ります。
どちらの運用かを確認してください。
そして、個人情報の取り扱いについては、自社の規程と照らして専門家にご確認ください。
エラベルの見解
契約書で最も抜けやすいのが、「送信済みリストの帰属」です。スカウト特有の項目です。
送信済みリストとは、誰にいつ送ったかの記録です。
これが要る理由
代行会社を替えたとき。新しい会社が同じ候補者に送ってしまいます。候補者から見ると、同じ会社から二度目が届く。
多くの媒体では、一定期間は同じ候補者に送り直せません。送れる相手が減っていることを、次の会社は知りません。
自社で直接送るとき。同じ問題が起きます。
再アプローチを検討するとき。前回いつ送ったか、どんな反応だったかが要ります。
この四つのために、送信済みリストは自社に残す必要があります。
書いておく内容
「本業務において送信した候補者の記録(候補者を特定する情報、送信日、使用した文面の種別、返信の有無と内容)は、委託者に帰属し、契約終了時に委託者の指定する形式で引き渡す」
このような趣旨の条項を入れてください。実際の文言は専門家にご確認ください。
そして、契約中も定期的に受け取ってください。
終了時にまとめて受け取る形だと、終了がもめたときに出てこないことがあります。
月次の報告に含めてもらう。これで、いつでも手元にある状態になります。
送信済みリストは、払った媒体費で作られた記録です。
成果物の帰属
スカウト代行で作られるもの
- 文面の型
- 検索条件の設計
- 候補者リスト
- 返信への返答の型
- 報告書
- 改善の記録
この六つの権利が自社に帰属するかを確認してください。
帰属していれば、代行会社が替わっても使えます。
そして、社内で運用に戻すときにも使えます。
逆に、代行会社に帰属する契約だと、終了後に使えないことがあります。
確認の仕方
「契約終了後、この文面を自社で使い続けられますか」と聞く。
答えが曖昧なら、条項で明確にしてください。
再委託の可否
代行会社が、さらに別の会社や個人に委託することがあります。
確認すること
- 再委託があるか
- あるなら、事前の承諾が要るか
- 再委託先が候補者情報に触れるか
- 再委託先の管理責任は誰が持つか
三番目を確認してください。
再委託自体は問題ではありません。ただし、候補者の情報が想定より広く渡ることになります。
自社の個人情報の規程と照らして判断してください。
報告の内容を条項に入れる
報告は運用の話ですが、条項に入れておくと後から依頼する手間が省けます。
入れる内容
- 頻度(月次、隔週など)
- 含める項目(送信件数、返信件数、面談設定件数、稼働時間、送信済みリスト、改善の記録)
- 定例会の頻度
- 緊急時の連絡経路
二番目を具体的に書いてください。
「業務の実施状況を報告する」だけだと、粒度が代行会社の裁量になります。
契約期間と解約
決めること
- 契約期間
- 自動更新があるか。あるなら予告期限
- 解約の予告期間
- 中途解約の可否と、その場合の費用
- 成果報酬の未精算分の扱い
五番目がスカウト特有です。
成果報酬型で、面談設定まで進んでいる候補者がいる状態で解約した場合。その成果は精算するのか。
面談は設定されたが、実施が解約後になる場合。
この扱いを決めておいてください。
解約と引き継ぎは解約と引き継ぎにまとめています。
エラベルの見解
契約書に、「担当者の交代」についての一文を入れることをおすすめします。
スカウトの結果は、担当者の手つきに寄る部分が大きい業務です。
候補者の経歴のどこに触れるか、返信に何を返すか、条件をどう組むか。
だから、担当者が交代すると結果が変わります。
ところが、多くの契約書には担当者について何も書かれていません。
入れておく内容
交代する場合の事前連絡。何日前に知らせるか。
引き継ぎの方法。文面の意図、条件の根拠、進行中の候補者。
交代後の期間。立ち上がるまでに何が変わるか。
そして、交代を理由にした解約の可否。
四番目まで書くかは、依存度によります。
ただし、一番目と二番目は入れてください。
交代が事後報告になると、結果が落ちた理由が分かりません。
「先月から返信率が下がった」。原因を探して、実は担当者が替わっていた。
この事態を防ぐだけでも、一文を入れる価値があります。
そして、契約前に「誰が担当しますか」と聞いておくと、この一文が自然に入ります。担当者を特定して契約する形になるからです。
契約書は、人を特定しない書き方が普通です。でも、スカウトは人で結果が変わります。
まとめ
- 決めておくのは範囲・送信の名義・候補者情報・アカウント・成果物の帰属・報告・再委託・期間・引き渡しの九つ
- 送信の名義を決め、返信・電話・面談の場での一貫性を設計する
- 候補者情報は、代行会社側に保存されるかどうかを確認する
- 送信済みリストの帰属を条項に入れ、月次でも受け取る
- 成果物六つの権利が自社に帰属するかを確認する
- 再委託の可否と、再委託先が候補者情報に触れるかを確認する
- 報告は含める項目を具体的に書く
- 成果報酬の未精算分の扱いを解約条項に入れる
- 担当者の交代について、事前連絡と引き継ぎの一文を入れる
よくある質問
代行会社の契約書のひな型をそのまま使ってよいですか
内容を確認したうえでなら使えます。ただし、送信済みリストの帰属、成果物の権利、担当者の交代については書かれていないことが多いところです。追記を求めてください。締結前に、自社の規程と照らして専門家にご確認ください。
送信の名義は自社と代行会社のどちらがよいですか
自社名義が多い形です。候補者から見て自然だからです。ただし、返信対応や面談の場での一貫性を設計しておく必要があります。誰が返信するか、面談に誰が出るか。ここを決めずに自社名義にすると、候補者から見てちぐはぐな対応になります。
候補者情報の取り扱いはどこまで細かく決めるべきですか
閲覧の範囲、代行会社側での保存の有無、終了時の削除、再委託先の扱い。この四つは決めてください。自社の個人情報保護に関する規程がある場合、それと整合しているかも確認が要ります。個別の判断は専門家にご確認ください。