スカウト代行 / デザイナー
デザイナーへのスカウト文面|開封される件名と本文の型
デザイナーにスカウトを送っても返信が来ない。文面を見せていただくと、件名が「クリエイティブなデザイナー募集」で、本文に「センスを活かして」「おしゃれなプロダクト」と書いてあり、候補者の作品のどこを見たのか、何を作ってほしいのか、デザインを誰が決めるのかが、どこにも書かれていません。デザイナーは、公開している作品を見て送っているかを一行目で判断します。見ていない文面は、それだけで閉じられます。加えて、「センス」「おしゃれ」「クリエイティブ」のような見た目の言葉は、デザインを表面の飾りと見ている会社の言葉として読まれます。結論を先に書くと、件名は「相手の作品の一点+自社で作るもの」、本文は「一行目に相手の作品の具体の一点→自社の課題との重なり→領域と作るもの→デザインの位置づけ(誰が決めるか)→進め方と環境→体制→現状(正直に)→条件の幅→作品の話ができる人が出る面談への短い締め」の順で、会社の紹介は後ろに回すか省きます。刺さる訴求と外す訴求の中身はデザイナー向けスカウト文面の型に書いていますので、ここでは「デザイナー向けの件名と本文の型」に絞って、そのまま使える形にします。
先に決めるのは「作るもの」と「位置づけ」
文面の前に、二つを決めます。一つは、入社した人に何を作ってほしいか。領域(プロダクトの画面、サービスの体験、ブランド、広告や販促物)と、最初に手を付けるもの。もう一つは、デザインの位置づけ。デザイナーが決めるのか、事業や開発の要望を形にするのか、経営者の好みで決まるのか。位置づけを正直に書くことが、合う人を呼びます。
| 位置づけ | 文面での書き方の例 |
|---|---|
| デザイナーが決める | 「画面の構成と体験はデザイナーが決め、開発と一緒に作る」 |
| 要望を形にする | 「事業側の要件を受けて形にする。要件の段階から入ってもらいたい」 |
| 経営者の判断が大きい | 「最終は経営者が見る。提案の場は毎週ある」 |
止まりやすいのは、位置づけを「裁量が大きい」の一言で済ませるときです。デザイナーは「結局、誰が決めるのか」を見ます。
件名の型
デザイナーが件名で見るのは、「自分の作品を見ているか」「何を作る会社か」の二つです。
| 型 | 例 | なぜ開かれるか |
|---|---|---|
| 相手の作品の一点+自社で作るもの | 〇〇(作品)の〇〇(画面や体験の一点)を拝見|当社の〇〇の画面を | 作品を見たと分かる |
| 相手の領域+自社の課題 | 〇〇(領域)でのご経歴へ|当社の〇〇(課題)を一緒に | 領域が合い、課題が具体 |
| 相手の進め方+自社の進め方 | 〇〇(利用者の調査など)から設計されている方へ|当社も〇〇から作りたい | 進め方で重なると分かる |
書いてはいけない件名は、「デザイナー募集」「クリエイティブ」「センス」「おしゃれ」のように、見た目の言葉か、誰にでも送れるものです。件名の失敗の型は件名でやりがちな失敗に書いています。
本文の型
本文は、デザイナーが「確かめる順」に並べます。
| 順 | 書くこと | 長さ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一行目 | 相手の作品の具体の一点。「〇〇の〇〇(画面・導線・体験)で、〇〇されている点を拝見しました」 | 一文 | 作品名と、どこを見たかを具体に |
| 二 | 自社の課題との重なり。「当社の〇〇でも同じ課題があり」 | 二行 | 作品の一点と自社の課題をつなぐ |
| 三 | 領域と作るもの。最初に手を付けるもの | 二、三行 | 「幅広く」ではなく最初の一つを |
| 四 | 位置づけ。誰が決めるか。要件のどの段階から入るか | 二、三行 | 正直に。「裁量」で逃げない |
| 五 | 進め方と環境。利用者の調査はあるか、開発との関係、使う道具 | 二行 | 事実を |
| 六 | 体制。デザイナーは何人目、誰と組むか | 一、二行 | 一人目なら一人目と書く |
| 七 | 現状。いまのデザインの状態。整っていないなら正直に | 二行 | 良く見せない |
| 八 | 条件の幅 | 一、二行 | 幅で書く |
| 九 | 短い締め。「作品の話ができる者が出ます。三十分で、〇〇の話を」 | 一文 | 誰が出るかを書く |
| 最後 | 会社の紹介 | 一、二行 | 先に書かない |
長さは、スマートフォンで二度スクロールする程度に収めます。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「デザイナーには会社の雰囲気やブランドの良さを伝えれば響く」というものです。実際には、雰囲気を書いた文面より、「作品のどこを見たか」と「デザインを誰が決めるか」を書いた文面のほうが返信が来ます。ある会社では、会社の世界観とブランドを丁寧に書いた文面で返信が無く、担当者が候補者の視点で読むと、「作品を見た形跡が無い」「何を作るか分からない」「誰が決めるか書いていない」ので、候補者は「見た目を整える人を探しているのでは」と読んでいました。一行目を「〇〇(作品)の〇〇の導線で、迷わせない設計をされている点を拝見し」に変え、「当社の〇〇も同じ課題。画面の構成はデザイナーが決め、開発と一緒に作る」と書き直したところ、返信が来ました。デザイナーへの文面で効くのは、会社の雰囲気ではなく、「作品を見て、課題でつなぎ、位置づけを正直に書く」ことです。
書いてはいけないこと
一つ目は、「センス」「おしゃれ」「クリエイティブ」「かっこいい」のような見た目の言葉です。デザインを表面の飾りと見ている会社の言葉として読まれます。課題と作るものと位置づけで書きます。
二つ目は、作品を見ずに送ることです。一行目で分かります。作品が公開されていない候補者には、経歴の一点(領域、担当した範囲、進め方)に触れます。
三つ目は、位置づけを「裁量が大きい」で済ませることです。誰が決めるかを書きます。経営者の判断が大きいなら、そう書いたうえで提案の場があることを書きます。
四つ目は、現状を良く見せることです。デザインが整っていないなら書きます。「整えるところから」を役割にすると、それに関心がある人には材料になります。
五つ目は、会社の紹介から始めることです。
六つ目は、締めに作品の話ができる人が面談に出ることを書かないことです。人事だけの面談では、作品の話も位置づけの質問にも答えられません。
送る前の確認
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 件名と一行目に相手の作品の具体の一点があるか | 作品名と、どこを見たかが書いてあるか |
| 見た目の言葉を使っていないか | 「センス」「おしゃれ」「クリエイティブ」が無いか |
| 作るものが最初の一つで書いてあるか | 「幅広く」になっていないか |
| 位置づけが「誰が決めるか」で書いてあるか | 「裁量」で逃げていないか |
| 現状を正直に書いたか | 良く見せていないか |
| 面談に作品の話ができる人が出ると書いたか | 実際に出る合意があるか |
返信が来ないときの直す順番
| 症状 | 直すところ |
|---|---|
| 開かれない | 件名。作品の一点があるか。見た目の言葉になっていないか |
| 開かれるが返信が無い | 一行目(作品を見たと分かるか)と、位置づけの正直さ |
| 返信は来るが面談で辞退 | 面談に作品の話ができる人が出たか。文面の位置づけと面談の実態が合っていたか |
| 面談後に辞退 | 位置づけの実態。「デザイナーが決める」と書きながら経営者の好みで覆る構造が無いか |
一箇所ずつ変えます。変え方はスカウト文面のABテストのやり方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、デザイナー向けの文面で会社ごとに差がつくのは、「候補者の作品を実際に見て、自社の課題と重なる一点を見つける時間を担当者に与えているか」です。件名と一行目を書くには、候補者の作品を開いて、画面や導線を見て、自社の課題と重なる一点を見つける作業が要ります。この時間を「一通に数分」で済ませようとすると、一行目は「作品を拝見しました」だけになり、見ていないと分かります。作品を見て一点を見つける時間を認めている会社では、送信数は減りますが、一行目で「見ている」と伝わり、返信が来ます。エラベルでスカウト文面を担当する人には、候補者の作品を見る時間を確保したうえで、自社の課題を具体に聞いて、重なる一点を探してもらっています。刺さる訴求と外す訴求はデザイナー向けスカウト文面の型に書いています。
代行に出す場合の範囲
担当者が持つのは、候補者の作品を見て件名と一行目を相手ごとに書くこと、自社の課題と重なる一点を見つけること、聞いた作るものと位置づけと現状を本文にすること、送る前の確認、返信の記録と直す順番の提案、です。会社が持つのは、作るものと位置づけの決定、現状の事実、作品の話ができる人が面談に出ること、条件の幅、です。作品を見る時間を担当者に認めないと、一行目は定型になります。出す前に、一通あたりの時間の考え方を合意します。
まとめ
- 先に作るもの(領域と最初の一つ)と位置づけ(誰が決めるか)を決める。「裁量が大きい」はデザイナーに信用されない
- 件名は「相手の作品の一点+自社で作るもの」。見た目の言葉は開かれない
- 本文は一行目に作品の具体の一点→課題との重なり→領域と作るもの→位置づけ→進め方と環境→体制→現状→条件の幅→作品の話ができる人が出る面談への締め
- 「センス」「おしゃれ」「クリエイティブ」を使わない。デザインを飾りと見ている言葉として読まれる
- 作品を見て、どこを見たかを一行目に書く。見ていない文面はそれだけで閉じられる
- 返信が来ないときは件名→一行目と位置づけの正直さ→面談に作品の話ができる人が出たか→実態の一致の順に直す
よくある質問
作品が公開されていない候補者には、何を書けばよいですか
経歴の一点に触れます。「〇〇(領域)で〇〇(担当した範囲)を、〇〇(進め方)で設計されたご経歴を拝見し」のように。作品が無くても、領域と担当範囲と進め方が書いてあれば、一行目は書けます。それも無い候補者には送りません。一行目に書けることが無い相手に送ると、定型になります。
社内にデザインを分かる人がいません。面談に誰が出せばよいですか
作品の話ができる人がいない場合は、その事実を文面に書きます。「一人目のデザイナーで、社内にデザインを見られる人はいない。作るものを一緒に決めてほしい」のように。面談には、作るものを決める人(事業の責任者か経営者)が出て、「何に困っていて、何を作ってほしいか」を話します。デザインを評価できない代わりに、課題を具体に話せることが要ります。一人目のデザイナーに関心を持つ人は、「自分で決められる」ことを材料にします。
デザイナーの経験者が少なく、送る相手がいません
領域を広げるか、転向層を含めます。プロダクトの画面のデザイナーが少ないなら、隣の領域(広告や販促物、印刷物)で利用者の課題から設計してきた人を含め、一行目で「〇〇のご経歴から、プロダクトの画面に軸足を移したい方へ」と転向であることに先に触れます。探し方はデザイナーを探すときの検索条件とターゲティングに書いています。