スカウト代行 / 事業開発

事業開発へのスカウト文面の型|件名と本文の順番

公開 2026-09-20

事業開発へのスカウトで返信が来ない文面には、共通する型があります。件名が「新規事業の立ち上げメンバー募集」、本文が「裁量を持ってゼロイチで事業を作れます」で、相手の経歴には触れていない。事業開発の経験者は、どの会社も「新規事業」「裁量」「ゼロイチ」と書くので、三語を信じていません。知りたいのは、形だけの新規事業ではないか、何を作るのかテーマはあるのか、予算と権限はどこまでか、撤退の基準と失敗の扱いはどうなっているか、既存事業との関係で動けるのか、経営者がどういう人か、そして自分の事業のどこを見て送ってきたのか。ここが書いてある文面に返信が来て、書いてない文面は開かれずに終わります。結論を先に書くと、件名は相手の事業の一点と自社の中身とテーマの有無、本文は「一行目→中身とテーマの有無→予算と権限と撤退の基準を経営者の言葉で→既存事業との関係と経営者との距離と出口→経営者がどういう人か→条件の幅→経営者と直接話す締め」の順で組みます。事業開発に何を訴求するかは事業開発向けスカウトの訴求に書いていますので、ここでは「件名と本文の型」に絞ります。

先に決めるのは「中身・テーマの有無・予算と権限・撤退の基準」

文面を書く前に、経営者に四つを、経営者の言葉で聞いて決めます。何を作るのか(中身。既存の顧客に新しい商品か、新しい顧客に既存の技術か、全く別の事業か)、テーマは決まっているのか(決まっている・候補がある・一緒に決める、のどれか)、予算と権限はどこまでか(いくらまで、誰の承認で、人は採れるか)、撤退の基準はあるか(いつ何が出なければ止めるか、止めたあと本人はどうなるか)。四つが無い「新規事業」は、読む側に「経営者の思いつきに付き合わされる」と読まれます。

決めること文面のどこに使うか
中身(何を作るか)件名と本文の二段目
テーマの有無(決まっている・候補・一緒に決める)本文の二段目。詳細は書かず、有無と段階だけ
予算と権限(経営者の言葉で)本文の三段目
撤退の基準と失敗の扱い本文の三段目。隠さない
既存事業との関係(資源を使えるか、邪魔されないか)本文の四段目
経営者との距離と出口(直下か、成功したらどうなるか)本文の四段目

止まりやすいのは、経営者に聞かずに人事が「新規事業」「裁量」で書くときです。予算と撤退の基準を経営者が決めていない会社は、文面の三段目が書けません。書けないなら、先に決めます。

件名の型

件名は「相手の事業の一点+自社の中身とテーマの有無」です。「新規事業」「ゼロイチ」「立ち上げメンバー」は、事業開発の受信箱では埋もれます。

例の形
相手の一点+中身「〇〇(相手が作った事業)を見て|〇〇(既存の顧客)に〇〇(新しい商品)を作る事業開発」
相手の一点+テーマの段階「〇〇(相手の事業)の立ち上げについて|テーマは決まっていて、予算と権限を持って動く一人目」
相手の転向元+中身「〇〇(営業・ファーム)で〇〇をされてきた方へ|〇〇の開拓が中心の事業開発」

件名でやってはいけないのは、「新規事業」「裁量」「ゼロイチ」「挑戦」だけで組むこと、テーマの詳細を件名に書くこと(社外に出る)、伏せ字で煽ることです。件名のNGはスカウト件名のNG例に書いています。

本文の型

本文は七段で組みます。読む側が最初に見るのは一行目と、「予算と権限と撤退の基準」です。

書くこと長さ注意
相手の事業の一点(何を見て送ったか)一〜二文成功か失敗かは問わない。畳んだ事業にも触れてよい
中身とテーマの有無(何を作るか、テーマは決まっているか)二〜三文テーマの詳細は書かない。有無と段階だけ
予算と権限と撤退の基準(経営者の言葉で)二〜三文「裁量」と書かず、範囲と基準を書く。失敗の扱いも
既存事業との関係、経営者との距離、出口二〜三文資源を使えるか、直下か、成功したら何になるか
経営者がどういう人か(経歴、決め方、新規事業への関わり方)一〜二文良く見せず、事実を書く
条件の幅(報酬、役職、株式報酬があれば)一〜二文幅で書く。決まっていないことは決まっていないと書く
締め(経営者と直接話す場、選考の前の面談)一文応募を求めず、経営者と話す場を出す

止まりやすいのは、三段目を「裁量を持って進めてもらいます」で書くときです。事業開発の読む側は「裁量」を「予算も権限も決まっていない」と読みます。

転向元で一行目を変える

事業開発への転向元は、大きく五つあります。一行目と、重心を置く段が変わります。

転向元一行目の変え方重心を置く段
起業経験者(畳んだ人を含む)作った事業の一点に触れ、資源と権限と撤退の扱いを先に書く三段目(予算と権限と撤退)
スタートアップ出身立ち上げた事業や機能の一点に触れ、既存の資源で速く検証できることを書く四段目(既存事業との関係)
大企業の新規事業担った新規事業の一点に触れ、判断の速さと撤退の基準の明確さを書く三段目と四段目(経営者との距離)
ファーム出身案件の一点に触れ、「提言までではなく実行まで」を先に書く二段目(中身)と四段目(出口)
営業からの転向開拓や交渉の一点に触れ、開拓と交渉が中心であることと、事業を作る側に回る場を書く二段目と五段目(経営者)

止まりやすいのは、五つの転向元に同じ一行目を送るときです。大企業の新規事業の人に「判断の速さ」を書かず、営業からの転向に「開拓が中心」を書かないと、自分に来た文面だと読まれません。

エラベルの見解

相談で最も多いのは、「新規事業、裁量、ゼロイチで送っているのに返信が来ない」という会社です。文面を見ると、何を作るのかも、テーマが決まっているのかも、予算と権限も、撤退の基準も書いてなく、「一緒に新規事業を作りましょう」で終わっている。読む側は、その文面を「経営者の思いつきで、予算も決まっていない」と読みます。ある会社では、担当者が経営者と話して、三段目を「初年度の予算は〇〇の範囲で、この人の判断で使える。人は一名まで採れる。半年で〇〇の検証が出なければ止める。止めたら既存事業の企画に戻る」と、経営者の言葉で書き直しました。件名を「〇〇(相手が畳んだ事業)の立ち上げを見て|〇〇に〇〇を作る、テーマの決まった事業開発」に変え、一行目で畳んだ事業の判断に触れたところ、起業経験者から返信が来て、面談で「撤退の基準と止めたあとの扱いが書いてあったのは初めてだ」と言われました。事業開発の文面は、良く見せる言葉を削り、経営者の言葉で予算と権限と撤退を書くほうが届きます。

書いてはいけないこと

送る前の確認

確認すること見る場所
一行目が相手の事業の一点になっているか本文の一段目
中身とテーマの有無が書いてあり、テーマの詳細は書いていないか本文の二段目
予算と権限と撤退の基準が経営者の言葉になっているか本文の三段目
「裁量」「ゼロイチ」で範囲をごまかしていないか本文の三段目
既存事業との関係と経営者との距離と出口が実態どおりか本文の四段目
転向元に合う一行目と重心になっているか本文の一段目と重心の段
締めが経営者と話す場になっているか本文の七段目

返信が来ないときの直す順番

直すところ見る指標
件名(相手の一点+中身になっているか)開封
一行目(相手の事業の一点か、経歴の要約か)開封後の返信
三段目(予算と権限と撤退の基準が経営者の言葉か)返信の中身(「詳しく聞きたい」が出るか)
四段目(既存事業との関係、経営者との距離、出口)面談での質問(ここを聞かれるなら書き足りない)
送る相手(転向元と中身が合っているか)返信率が転向元で違うか

一度に全部を変えず、一つずつ変えて比べます。比べ方はスカウト文面のA/Bテストに書いています。

エラベルの見解

担当する側から見ると、事業開発の文面で会社ごとに差がつくのは、「経営者が予算と権限と撤退の基準を先に決めているか」です。文面の型は同じでも、経営者が「新規事業をやりたい。予算は成果を見て」としか言わない会社では、担当者は三段目を書けず、「裁量」と書くしかありません。経営者が「予算はこの範囲、この人の判断で使える、半年でこれが出なければ止める、止めたら企画に戻る」と話した会社では、文面がそのまま経営者の言葉になり、返信が来ました。エラベルで事業開発のスカウトを担当する人には、文面を書く前に、経営者に「何を作るか、テーマは決まっているか、予算と権限はどこまでか、撤退の基準と止めたあとの扱いはどうか」を直接聞いてもらっています。決まっていなければ、文面の前に決めてもらいます。対象の絞り方は事業開発を探すときの検索条件に書いています。

代行に出す場合の範囲

担当者が持つのは、経営者から中身とテーマの有無と予算と権限と撤退の基準を聞き出すこと、相手の事業の一点を読んで一行目を書くこと、転向元ごとに文面を分けること、返信率を見て件名と一行目と三段目を直すこと、です。会社が持つのは、経営者が担当者に話す時間、中身とテーマと予算と権限と撤退の基準の決定、経営者と直接話す場の設定、面談で文面と実態がずれないこと、です。担当者が事業開発の経歴(起業、スタートアップ、大企業の新規事業、ファーム、営業)を読める経験があるかは、担当者を選ぶときに確かめます。

まとめ

よくある質問

予算も撤退の基準も、まだ決まっていません

決まっていない状態で「裁量を持って」と送ると、読む側に見透かされます。二つの選び方があります。一つは、文面の前に経営者が決めること。初年度の予算の範囲、この人の判断で使える範囲、いつ何が出なければ止めるか、止めたあと本人はどうなるか、の四つです。もう一つは、決まっていないことを正直に書き、「予算と撤退の基準は、入ってもらう前に経営者と一緒に決める」と書くこと。後者は、起業経験者には通ることがありますが、大企業の新規事業の経験者には敬遠されます。

テーマを書かないと、何をするか伝わらないのではないですか

テーマの詳細は社外に出るので書きません。書くのは、中身(既存の顧客に新しい商品か、新しい顧客に既存の技術か、全く別か)と、テーマの段階(決まっている・候補がある・一緒に決める)です。この二つがあれば、読む側は自分に合うかを判断できます。詳細は、経営者との面談で、秘密保持の扱いを決めてから話します。「面談でテーマの詳細を話す」と書けば、面談に来る理由にもなります。

畳んだ事業の経験がある人に、どう触れればよいですか

一行目で、事業を作った判断と畳んだ判断の両方に触れます。「〇〇を立ち上げ、〇〇の判断で止められた経緯を見て」のように、失敗ではなく判断として扱います。事業開発の要件で確かめるのは、成功したかではなく、仮説を立てて検証し、続けるか止めるかを判断した経験です。畳んだ人はその経験を持っています。そのうえで三段目で、自社の撤退の基準と止めたあとの扱いを書けば、「この会社は失敗の扱いを分かっている」と読まれます。要件の考え方は事業開発の採用要件の作り方に書いています。