スカウト代行 / 経理
経理へのスカウト文面|開封される件名と本文の型
経理にスカウトを送っても返信が来ない。文面を見せていただくと、件名が「安定企業で経理を募集」で、本文に「経理全般をお任せ」「長く働ける環境」と書いてあり、業務の水準(記帳と支払いまでか、月次の締めまでか、年次の決算までか、開示や連結までか)、会社の規模、いま経理が何人いて誰がいなくなるのか、引き継ぎはあるのか、繁忙期はどのくらい忙しいのかが、どこにも書かれていません。経理の経験者は、「自分の水準と合うか」「前の人が辞めて引き継ぎが無いのでは」「決算期に無理をさせられるのでは」を最初に確かめます。結論を先に書くと、件名は「相手の水準と規模の一点+自社の水準と体制」、本文は「一行目に相手の水準と規模の一点→自社の水準と規模と体制→分担→引き継ぎの状態(正直に)→繁忙の周期と働き方→会計の仕組みと相談相手(税理士など)→経営との距離→条件の幅→経理の分かる人と上司が出る面談への短い締め」の順で、会社の紹介は後ろに回すか短くします。刺さる訴求と外す訴求の中身は経理向けスカウト文面の型に書いていますので、ここでは「経理向けの件名と本文の型」に絞って、そのまま使える形にします。
先に決めるのは「水準」「規模」「分担」
文面の前に、三つを決めます。水準(任せる業務がどこまでか:記帳と支払い、月次の締め、年次決算、開示や連結、税務)、規模(会社の売上や拠点や取引の量の目安、経理の人数)、分担(何人で、誰が何を持ち、入社する人は何を持つか、税理士や会計事務所にどこまで出しているか)。水準が違う経理に送っても、返信は来ません。
| 水準 | 探す人 | 文面での書き方の例 |
|---|---|---|
| 記帳と支払い | 実務の経験者。会計事務所の担当者も | 「日々の記帳と支払い、経費の処理を担当。月次以降は上司が」 |
| 月次の締めまで | 月次を一人で締めた経験者 | 「月次の締めを担当。決算は税理士と上司が」 |
| 年次決算まで | 決算を回した経験者 | 「決算まで担当。開示は無い」 |
| 開示・連結・税務 | 上場か大規模の経験者 | 「開示と連結を担当。監査法人との対応も」 |
止まりやすいのは、「経理全般」と書くときです。経理は「全般」を「何をやらされるか分からない」「一人で全部」と読みます。
件名の型
経理が件名で見るのは、「自分の水準と規模を見ているか」「体制と引き継ぎがあるか」の二つです。
| 型 | 例 | なぜ開かれるか |
|---|---|---|
| 相手の水準と規模+自社の水準と体制 | 〇〇規模で月次を締められてきた方へ|当社の月次を、〇人の体制で | 水準と規模が合い、体制が分かる |
| 相手の水準の変化+自社の水準 | 記帳から月次へ広げてこられた方へ|当社で決算まで | 水準を上げたい人に合う |
| 相手の環境+自社の環境 | 会計事務所で〇〇社を担当された方へ|一社の経理を中から | 会計事務所からの転向に先に触れる |
書いてはいけない件名は、「経理募集」「経理全般」「安定企業」「長く働ける」「一人で任せます」のように、実態の無い言葉か、不安を呼ぶ言葉です。件名の失敗の型は件名でやりがちな失敗に書いています。
本文の型
本文は、経理が「確かめる順」に並べます。
| 順 | 書くこと | 長さ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一行目 | 相手の水準と規模の一点。「〇〇規模の会社で月次の締めを担当されたご経歴を拝見しました」 | 一文 | 水準か規模か環境の一点に触れる |
| 二 | 自社の水準と規模と体制。任せる範囲、会社の規模の目安、経理は何人 | 三行 | 「全般」を使わない |
| 三 | 分担。誰が何を持ち、入社する人は何を持つか。税理士に出している範囲 | 二、三行 | 一人経理なら一人と書き、相談相手を書く |
| 四 | 引き継ぎの状態。前任がいるか、いつまでいるか、引き継ぎの資料はあるか | 二行 | 正直に。前任が辞めて空いているなら書く |
| 五 | 繁忙の周期と働き方。月次の締めの時期、決算期の忙しさ、残業の目安、在宅の可否 | 二、三行 | 隠さない。決算期が忙しいなら書く |
| 六 | 会計の仕組みと相談相手。使っている会計の仕組み、税理士や会計事務所との関係 | 二行 | 事実を |
| 七 | 経営との距離。数字を経営者にどう報告するか。提案を求めるか | 一、二行 | 求めないなら求めないと書く |
| 八 | 条件の幅 | 一、二行 | 幅で書く |
| 九 | 会社の紹介 | 一、二行 | 短く |
| 十 | 短い締め。「経理の分かる者(税理士でも)と上司が出ます。三十分で、経理の状態と繁忙期の話を」 | 一文 | 誰が出るかを書く |
長さは、スマートフォンで二度スクロールする程度に収めます。項目が多いので、各項目を短くします。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「経理には安定と長く働けることを伝えれば響く」というものです。実際には、「安定」「長く働ける」を書いた文面より、「水準はここまで、経理は〇人、前任は〇月までいて引き継ぐ、決算期は残業がこのくらい」と正直に書いた文面のほうが返信が来ます。ある会社では、安定と福利厚生を丁寧に書いた文面で返信が無く、担当者が候補者の視点で読むと、「経理全般」で水準が分からず、体制と引き継ぎが書かれていないので、候補者は「前の人が辞めて、一人で全部やらされるのでは」と読んでいました。「月次の締めまでを担当。経理は二人で、もう一人が支払いと経費。前任は来月までいて引き継ぐ。決算は税理士と上司が。決算期は月末に残業がある」と正直に書き直したところ、返信が来ました。経理への文面で効くのは、安定の言葉ではなく、水準と体制と引き継ぎと繁忙期の正直さです。
書いてはいけないこと
一つ目は、「経理全般」「安定」「長く働ける」「アットホーム」のような、実態の無い言葉です。水準と体制で書きます。
二つ目は、「一人で任せます」と書くことです。経理は「相談相手がいない」「引き継ぎが無い」と読みます。一人経理なら、税理士や会計事務所との関係と、上司の関わりを書きます。
三つ目は、引き継ぎの状態を書かないことです。前任が辞めて空いているなら書き、引き継ぎの資料の有無を書きます。隠すと面談で分かって辞退されます。
四つ目は、繁忙期と残業を書かないことです。経理は月次と決算期の忙しさを最初に確かめます。書かないと「隠している」と読まれます。
五つ目は、会社の紹介から始めることです。
六つ目は、締めに経理の分かる人が面談に出ることを書かないことです。人事だけの面談では、経理の状態と実務の水準の質問に答えられません。
送る前の確認
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 件名に相手の水準か規模か環境の一点があるか | 「経理募集」「安定」になっていないか |
| 自社の水準が範囲で書いてあるか | 「全般」になっていないか |
| 体制と分担が人数と担当で書いてあるか | 「一人で任せます」になっていないか |
| 引き継ぎの状態を正直に書いたか | 前任が空いているなら書いたか |
| 繁忙期と残業の目安を書いたか | 隠していないか |
| 面談に経理の分かる人と上司が出ると書いたか | 実際に出る合意があるか |
返信が来ないときの直す順番
| 症状 | 直すところ |
|---|---|
| 開かれない | 件名。水準と規模の一点があるか。「安定」「全般」になっていないか |
| 開かれるが返信が無い | 体制と引き継ぎと繁忙期の記述。隠していないか |
| 返信は来るが面談で辞退 | 面談に経理の分かる人が出たか。文面の引き継ぎと繁忙期の実態が合っていたか |
| 面談後に辞退 | 引き継ぎと繁忙期の実態。「引き継ぎあり」と書きながら前任が既にいない構造が無いか |
一箇所ずつ変えます。変え方はスカウト文面のABテストのやり方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、経理向けの文面で会社ごとに差がつくのは、「引き継ぎの状態と繁忙期の実態を、上司が正直に書くことに合意しているか」です。件名と一行目は担当者が書けますが、「前任は既に辞めていて引き継ぎの資料も無い」「決算期は毎日遅くまで」という実態は、上司が「書きたくない」と言うことが多い。隠しても面談で分かり、入社後に分かれば早く辞めます。「前任は辞めていて、税理士に一時的に頼んでいる。引き継ぎの資料は税理士が持っている。決算期は月末に残業が続く」と正直に書いた文面は、経理に「隠していない」と伝わり、その状態でも来る人は入社後に続きます。エラベルでスカウト文面を担当する人には、文面を書く前に、上司に引き継ぎの状態と繁忙期の実態を聞き、書くことの合意と、経理の分かる人が面談に出る合意を取ってもらっています。刺さる訴求と外す訴求は経理向けスカウト文面の型に書いています。
代行に出す場合の範囲
担当者が持つのは、候補者の経歴(水準、規模、環境)を読んで件名と一行目を相手ごとに書くこと、上司に聞いた水準・体制・分担・引き継ぎ・繁忙期・仕組み・相談相手を本文にすること、送る前の確認、返信の記録と直す順番の提案、です。会社が持つのは、水準と分担の決定、引き継ぎと繁忙期の実態を書くことの合意、条件の幅、経理の分かる人と上司が面談に出ること、です。引き継ぎの実態を「書きたくない」状態では、経理へのスカウトは入社後の早期退職につながります。出す前に合意します。
まとめ
- 先に水準(どこまで任せるか)・規模・分担を決める。「経理全般」は「一人で全部」と読まれる
- 件名は「相手の水準と規模の一点+自社の水準と体制」。「安定」「長く働ける」は実態の無い言葉
- 本文は一行目に相手の水準と規模の一点→自社の水準と規模と体制→分担→引き継ぎの状態→繁忙の周期と働き方→会計の仕組みと相談相手→経営との距離→条件の幅→経理の分かる人と上司が出る面談への締め
- 引き継ぎの状態と繁忙期を隠さない。隠すと面談で分かり、入社後に分かれば早く辞める
- 「一人で任せます」と書かない。一人経理なら税理士との関係と上司の関わりを書く
- 返信が来ないときは件名→体制と引き継ぎと繁忙期の正直さ→面談に経理の分かる人が出たか→実態の一致の順に直す
よくある質問
前任が既に辞めていて、引き継ぎがありません。書くと来ないのでは
書きます。「前任は退職済みで、いまは税理士に一時的に頼んでいる。引き継ぎの資料は税理士が持ち、最初の一か月は税理士が並走する」のように、無いなりの支えを書きます。引き継ぎが無い状態を受け入れて来る人は、入社後に「聞いていた話と違う」にならず、続きます。隠して面談で分かるほうが、辞退と不信につながります。
会計事務所の人にも送ってよいですか
送れます。会計事務所で複数の会社を担当してきた人は、一社の経理を中から見る役割への転向層として有力です。文面の一行目で「会計事務所で〇〇社を担当されたご経歴へ。一社の経理を中から」と転向であることに先に触れ、事務所との違い(一社に集中できる、経営との距離、繁忙の周期の違い)を書きます。転向層の考え方は経理向けスカウト文面の型に書いています。
経営者への提案まで求めたいのですが、書くと重く見えませんか
求めるなら書きます。「数字を経営者に月次で報告し、気づいたことを提案してほしい」のように。求めているのに書かないと、実務だけをやりたい人が来て、入社後に「提案を求められるとは聞いていない」になります。逆に、求めていないなら「実務に集中してもらう。提案は求めない」と書くと、実務を丁寧にやりたい人が来ます。どちらかを正直に書きます。