スカウト代行 / プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーへのスカウト文面|開封される件名と本文の型
プロジェクトマネージャーにスカウトを送っても返信が来ない。文面を見せていただくと、件名が「大型プロジェクトを任せるPM募集」で、本文に「重要なプロジェクトを推進」「経営直下で活躍」と書いてあり、何のプロジェクトで、受託なのか社内なのか、規模はどのくらいで、何を決められて、いま順調なのか炎上気味なのか、終わったらどうなるのかが、どこにも書かれていません。プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの中身が無いと判断できず、権限が無いと動けず、現状が隠されていると警戒し、その後が無いと不安になります。件名と本文の前半でこれらが分からなければ、読まれません。結論を先に書くと、件名は「相手のプロジェクトの型と規模の一点+自社のプロジェクトの目的」、本文は「一行目に相手のプロジェクトの一点→自社のプロジェクトの目的・型・規模→権限→現状(正直に)→関係者と報告先→その後→体制→条件の幅→報告先と関係者が出る面談への短い締め」の順で、会社の紹介は後ろに回すか省きます。刺さる訴求と外す訴求の中身はプロジェクトマネージャー向けスカウト文面の型に書いていますので、ここでは「PjM向けの件名と本文の型」に絞って、そのまま使える形にします。
先に決めるのは「プロジェクトの型と権限」
文面の前に、自社のプロジェクトが受託(顧客のために納める)か社内(自社の仕組みや事業を作る)か、規模(関係者の数、期間、予算の桁)、PjMに与える権限(予算・人・スケジュール・仕様のうち何を決められるか)を決めます。型で探す人が変わり、権限で返信が変わります。
| 型 | 文面で先に書くこと | 探す人 |
|---|---|---|
| 受託 | 顧客との関係、納期の決め方、契約の型 | 受託のPjM経験者 |
| 社内 | 目的(何のために)、関係部署、経営との距離 | 社内のPjM経験者、受託からの転向層 |
| 権限 | 書き方の例 |
|---|---|
| 予算 | 「予算の枠内で配分を決められる。枠は経営が決める」 |
| 人 | 「メンバーの割り当てを部門長と決める。採用は人事と」 |
| スケジュール | 「納期は顧客と決まっている。中の順番は任せる」 |
| 仕様 | 「仕様の変更は顧客と自社の責任者の承認が要る」 |
止まりやすいのは、権限を「任せる」の一言で済ませるときです。PjMは「何を決められて、何は承認が要るか」を具体で見ます。
件名の型
PjMが件名で見るのは、「自分のプロジェクトの型と規模を見ているか」「何のプロジェクトか」の二つです。
| 型 | 例 | なぜ開かれるか |
|---|---|---|
| 相手の型と規模+自社の目的 | 〇〇(型)で〇〇規模を回されたご経歴へ|当社の〇〇(目的)のプロジェクト | 型と規模で自分と重なると分かる |
| 相手の現状の経験+自社の現状 | 遅れたプロジェクトを立て直されたご経歴へ|当社も〇〇で遅れている | 現状を隠していない |
| 相手の関係者+自社の関係者 | 〇〇(関係者の種類)と調整されたご経歴へ|当社の〇〇との調整を | 関係者で重なると分かる |
書いてはいけない件名は、「PM募集」「大型プロジェクト」「重要案件」「経営直下」のように、中身が無い言葉です。件名の失敗の型は件名でやりがちな失敗に書いています。
本文の型
本文は、PjMが「確かめる順」に並べます。
| 順 | 書くこと | 長さ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一行目 | 相手のプロジェクトの一点。「〇〇(型)で〇〇規模の〇〇を回されたご経歴を拝見しました」 | 一文 | 型か規模か関係者の一点に触れる |
| 二 | 自社のプロジェクトの目的・型・規模。何のために、受託か社内か、関係者の数と期間 | 三行 | 「大型」「重要」を使わず、数で |
| 三 | 権限。予算・人・スケジュール・仕様のうち何を決められ、何は承認が要るか | 三行 | 限界も書く |
| 四 | 現状。順調か、遅れているか、何に詰まっているか | 二行 | 正直に。炎上気味なら書く |
| 五 | 関係者と報告先。誰と調整し、誰に報告するか | 二行 | 報告先の役職まで |
| 六 | その後。プロジェクトが終わったらどうなるか(次のプロジェクト、組織の役割) | 二行 | 無いなら「決まっていない」と書く |
| 七 | 体制。メンバーは何人、PjMは何人目、技術か調整か主はどちらか | 二行 | ― |
| 八 | 条件の幅 | 一、二行 | 幅で書く |
| 九 | 短い締め。「報告先と主な関係者が出ます。三十分で、現状と権限の話を」 | 一文 | 誰が出るかを書く |
| 最後 | 会社の紹介 | 一、二行 | 先に書かない |
長さは、スマートフォンで二度スクロールする程度に収めます。項目が多いので、各項目を短くします。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「PjMには『大型』『重要』と書けば魅力が伝わる」というものです。実際には、「大型」「重要」は中身が無い言葉で、PjMは規模を数(関係者の数、期間、予算の桁)で、重要さを目的で読みます。ある会社では、「経営直下の大型プロジェクト」と書いた文面で返信が無く、担当者が候補者の視点で読むと、「何のプロジェクトか」「受託か社内か」「権限は」「いま順調か」が無く、候補者は「炎上案件の火消し要員では」と警戒していました。「社内の〇〇の刷新。関係部署は〇つ、期間は〇年。スケジュールの中の順番は任せるが、仕様の変更は経営の承認。いま設計で遅れている」と正直に書き直したところ、「立て直しなら」という人から返信が来ました。PjMは、現状が悪くても正直に書かれていれば判断できます。隠されていると、警戒して閉じます。
書いてはいけないこと
一つ目は、「大型」「重要」「経営直下」「推進」のような、中身が無い言葉です。目的・型・規模を数で書きます。
二つ目は、権限を「任せる」の一言で済ませることです。何を決められ、何は承認が要るかを書きます。限界を書かないと、面談で「実際は何も決められない」と分かって辞退されます。
三つ目は、現状を良く見せることです。遅れているなら書きます。立て直しに関心を持つPjMには材料になります。
四つ目は、その後を書かないことです。プロジェクトが終わったら契約が終わるのか、次があるのか、組織の役割に移るのか。無いなら「決まっていない」と書きます。
五つ目は、報告先を書かないことです。誰に報告し、誰が最終の判断をするかで、PjMの動きやすさが変わります。
六つ目は、締めに報告先と関係者が面談に出ることを書かないことです。人事だけの面談では、権限と現状の質問に答えられません。
送る前の確認
| 確認 | 見ること |
|---|---|
| 件名に相手の型か規模か関係者の一点があるか | 「PM募集」「大型」になっていないか |
| 目的・型・規模が数で書いてあるか | 形容詞で逃げていないか |
| 権限が「決められること」と「承認が要ること」で書いてあるか | 「任せる」の一言になっていないか |
| 現状を正直に書いたか | 遅れや詰まりを隠していないか |
| 報告先とその後が書いてあるか | 「決まっていない」なら、そう書いたか |
| 面談に報告先と関係者が出ると書いたか | 実際に出る合意があるか |
返信が来ないときの直す順番
| 症状 | 直すところ |
|---|---|
| 開かれない | 件名。型・規模・関係者の一点があるか。「大型」「重要」になっていないか |
| 開かれるが返信が無い | 権限の具体さと、現状の正直さ |
| 返信は来るが面談で辞退 | 面談に報告先と関係者が出たか。文面の権限と面談の実態が合っていたか |
| 面談後に辞退 | 権限の限界と現状の実態。「任せる」と言いながら承認だらけの構造が無いか |
一箇所ずつ変えます。変え方はスカウト文面のABテストのやり方に書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、PjM向けの文面で会社ごとに差がつくのは、「権限の限界を、報告先が自分の言葉で決めて、面談に出ることに合意しているか」です。件名と一行目は担当者が書けますが、権限は報告先(プロジェクトの責任者や経営者)にしか決められず、人事や担当者が「任せる」と書くと、面談で報告先が「それは私が決める」と言って辞退されます。報告先に「PjMに何を決めさせ、何は自分が承認するか」を聞いて書き、その報告先が面談に出る文面は、PjMに「権限が本物だ」と伝わります。エラベルでスカウト文面を担当する人には、文面を書く前に、報告先に権限の限界と現状を聞き、面談に出る合意を取ってもらっています。刺さる訴求と外す訴求はプロジェクトマネージャー向けスカウト文面の型に書いています。
代行に出す場合の範囲
担当者が持つのは、候補者の経歴(型、規模、関係者、現状の経験)を読んで件名と一行目を相手ごとに書くこと、報告先に聞いた目的・型・規模・権限・現状・その後を本文にすること、送る前の確認、返信の記録と直す順番の提案、です。会社が持つのは、プロジェクトの型と規模の事実、権限の限界の決定、現状とその後の事実、報告先と主な関係者が面談に出ること、条件の幅、です。報告先が権限の限界を言葉にできない状態では、PjMへのスカウトは成立しません。出す前に決めます。
まとめ
- 先にプロジェクトの型(受託か社内か)と規模と権限の限界を決める。「任せる」の一言はPjMに信用されない
- 件名は「相手のプロジェクトの型と規模の一点+自社のプロジェクトの目的」。「大型」「重要」は中身が無い
- 本文は一行目に相手のプロジェクトの一点→目的・型・規模→権限→現状→関係者と報告先→その後→体制→条件の幅→報告先と関係者が出る面談への締め
- 現状を正直に書く。遅れているプロジェクトは立て直しに関心があるPjMの材料になる
- その後(終わったらどうなるか)を書く。無いなら「決まっていない」と書く
- 返信が来ないときは件名→権限の具体さと現状の正直さ→面談に報告先が出たか→実態の一致の順に直す
よくある質問
プロジェクトが炎上気味です。書くと来ないのでは
書きます。「設計で遅れていて、立て直しから」と正直に書くと、立て直しの経験を持つPjMには材料になります。隠して面談で分かると、その場で辞退され、「隠す会社」と受け取られます。そのうえで、立て直しのために与える権限(メンバーの再配置、スケジュールの引き直し)を書くと、「立て直せる権限がある」と伝わります。
受託の経験しかない人に、社内プロジェクトのスカウトを送ってよいですか
送れます。受託から社内への転向は多く、顧客との調整の経験は社内の関係部署との調整に活きます。文面の一行目で「受託でのご経歴から、社内のプロジェクトに軸足を移したい方へ」と転向であることに先に触れ、社内プロジェクトの違い(納期の決め方、関係者、その後)を正直に書きます。対象の絞り方はプロジェクトマネージャー向けスカウト文面の型に書いています。
プロジェクトが終わった後の役割が決まっていません
「決まっていない」と書きます。「このプロジェクトの後は、次のプロジェクトか組織の役割かを、進み具合を見て一緒に決めたい」のように。書かないと、PjMは「終わったら契約終了では」と読みます。決まっていないことを正直に書いたうえで、会社としてどう考えているかを添えると、不安は減ります。