採用代行 / プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャー向けスカウト文面の型|刺さる訴求と外す訴求
プロジェクトマネージャーにスカウトを送っても返信が来ない会社の文面には、共通点があります。「プロジェクトマネージャーを募集しています」「大型プロジェクトをお任せします」と書かれていて、どんなプロジェクトか(型、規模、目的)、何を決められるか(権限)、いまどこまで進んでいるか(現状)が無い。プロジェクトマネージャーの候補者はこれを読んで、「自分の経験に合うか判断できない」と閉じます。結論を先に書くと、プロジェクトマネージャーへのスカウトは、型(受託か社内か)と規模で対象を絞り、一行目で候補者が担当したプロジェクトの型と規模の一点に触れ、自社のプロジェクトの目的・型・規模・権限・現状を先に書き、会社の紹介は後ろに回す型にすると、返信が変わります。母集団形成の全体はプロジェクトマネージャーの母集団形成に、プロダクトマネージャー向けの文面はプロダクトマネージャー向けスカウト文面の型にまとめています。
プロジェクトマネージャーがスカウトを読まない理由
他の職種と共通する理由(定型文は読まれない)に加えて、プロジェクトマネージャーに特有の理由があります。
一つ目は、「プロジェクト」の中身が無いと判断できないことです。プロジェクトマネージャーの経験は、担当したプロジェクトの型と規模で決まり、候補者は「自分が回せる型と規模か」で判断します。「大型プロジェクト」「重要なプロジェクト」では、型も規模も分からず、判断できません。
二つ目は、権限を最初に確かめることです。プロジェクトマネージャーの経験者は、「権限が無くて調整だけ求められるプロジェクト」を最も避けます。文面に権限(何を決められるか)が無いと、「権限が無い会社かもしれない」と読まれます。
三つ目は、現状を見ることです。始まる前か、途中か、立て直しか。途中や立て直しであることを隠して「新規プロジェクト」と書くと、面談で分かって見送られます。現状が書かれていないと、「隠している」と読まれることもあります。
四つ目は、その後があるかを見ることです。一つのプロジェクトのためだけの募集か、続く前提か。プロジェクトマネージャーは、プロジェクトが終わったあとの自分の役割を気にします。
この四つから、文面の型が決まります。型と規模、権限、現状、その後。
先に決めるのは対象:型と規模で分ける
文面の前に、誰に送るかを決めます。プロジェクトマネージャーでは、「型(受託か社内か)と規模」の決定が対象の絞り込みの中心です。
社内型なら、「事業会社で複数部門をまたぐプロジェクトを回した経験」「委託先を管理しながら社内の関係者を調整した経験」で絞ります。受託型なら、「顧客との契約のあるプロジェクトで納期と予算を守った経験」で絞ります。規模は、自社と近い規模(関係者の人数、委託先の数)で絞ります。大規模の経験者に小規模のプロジェクトを送っても、「物足りない」と読まれます。
対象には、受託からの転向層を含めます。受託で顧客のプロジェクトを回してきた人の中には、「自社のプロジェクトを最初から最後まで持ちたい」という動機で事業会社への転職を考えている人がいます。この層は、社内型の候補として、一行目で「受託から自社のプロジェクトへ」の動機に触れると、返信が来ます。
対象を決めると送信数は減りますが、減った分は返信が来ない人です。スカウトの対象の絞り方も参考になります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「プロジェクトマネージャーに数十通送ったが、返信が来ない」というご相談です。文面を見ると、一行目が「プロジェクトマネージャーを募集しております」、二行目が「当社の重要なプロジェクトをお任せします」、規模も権限も現状も無い。候補者から見ると、自分の経験に合うかを判断する材料が無く、権限が無い可能性も疑われる。読まれない理由が全部そろっています。
見ていて差がつくのは、「一行目で候補者のプロジェクトの型と規模に触れ、二行目で自社のプロジェクトの型と規模を言えるか」です。「〇〇規模の社内プロジェクトを、複数部門と委託先を調整して完了されたご経歴を拝見しました。当社でも、同じくらいの規模で、三部門と委託先二社をまたぐ業務システムの刷新を進めています」。この二行で、候補者は「自分の経験に合う型と規模」と判断します。エラベルでは、プロジェクトマネージャーの担当者に、文面の中心を「自社のプロジェクトの型と規模と権限」にするよう最初にお願いしています。
文面の型:一行目は候補者のプロジェクト、二行目は自社のプロジェクト
| 順 | 中身 | 書き方 |
|---|---|---|
| 一 候補者の経歴の一点 | 担当したプロジェクトの型と規模、調整した関係者の種類、立て直しの経験のどれか一つ | 「〇〇規模の社内プロジェクトを、複数部門と委託先を調整して完了されたご経歴を拝見しました」 |
| 二 自社のプロジェクトの目的と型と規模 | 何を、いつまでに、なぜ。型と規模 | 「当社では、業務システムの刷新を来年度中に、三部門と委託先二社をまたいで進めています」 |
| 三 権限 | 何を任せ、何を相談か | 「予算の範囲内の判断は任せ、委託先の選定は経営と相談する形です」 |
| 四 現状 | 始まる前か、途中か、立て直しか | 「要件定義の途中で前任者が退職し、要件を固め直すところからお願いしたい」 |
| 五 関係者と報告先 | 誰と働き、誰に報告するか | 「経営会議に月次で報告。情報システム部門の責任者と二人三脚で」 |
| 六 技術か調整か | 技術の判断を誰が持つか | 「技術の判断は委託先と情報システム部門。プロジェクトマネージャーは調整と進捗の管理が中心」 |
| 七 その後 | プロジェクトが終わったあと | 「刷新後の運用の立ち上げと、次の改善のプロジェクトを担っていただきたい」 |
| 八 会社の紹介 | 事業と規模を短く | 三行以内 |
| 九 次の一歩 | 報告先と主な関係者が出る短い面談 | 「経営者と情報システムの責任者と一緒に、三十分ほどプロジェクトの話をさせてください」 |
型の要点は、「三の権限と四の現状を、会社の紹介より前に書く」ことです。プロジェクトマネージャーの候補者は、会社の事業より、プロジェクトの型・規模・権限・現状で判断します。
刺さる訴求と、外す訴求
| 刺さる訴求 | 外す訴求 |
|---|---|
| プロジェクトの目的・型・規模の具体 | 「大型プロジェクト」「重要なプロジェクト」。型も規模も無い |
| 権限の具体(何を任せ、何を相談か) | 「プロジェクトを任せます」。権限が分からない |
| 現状の正直な記述(途中、立て直し、要件が固まっていない) | 「新規プロジェクト」と書いて実は途中 |
| 報告先と関係者の具体(経営会議、部門の責任者) | 「経営直下」だけ。誰と働くかが無い |
| 自社のプロジェクトを最初から最後まで持てること(受託からの転向層に) | 「やりがいのあるプロジェクト」 |
| プロジェクトが終わったあとの役割 | その後が無い。「まずはこのプロジェクトを」 |
| 経営が立て直しを支援する姿勢(立て直しの場合) | 立て直しの状態を隠す |
| 委託先との分担の具体 | 「委託先と協力」だけ |
| 技術の判断を誰が持つかの明示 | 「技術も分かる方」。技術と調整の両方を求めているように読める |
訴求の要点は、「プロジェクトマネージャーの候補者は、プロジェクトの具体で判断する」という点です。刺さる訴求は、プロジェクトの型・規模・権限・現状を具体的に、正直に書いたもので、外す訴求は、「大型」「重要」「任せる」といった、具体の無い言葉です。
送った後の運用
返信が来たあとの運用で、プロジェクトマネージャーに特有の注意を整理します。
一つ目は、面談に報告先と主な関係者が出ることです。プロジェクトマネージャーの候補者は、面談で「誰に報告し、誰と働くか」を確かめます。人事だけの面談では確かめられず、見送ります。報告先(経営者か事業責任者)が「何を任せ、何を相談してほしいか」を直接話し、主な関係者(情報システムの責任者など)が「一緒に進める相手」として顔を見せます。
二つ目は、面談で権限の限界と現状の課題を隠さないことです。「委託先の選定は経営と相談」「要件が固まっていない」「前任者が退職した理由」。隠して入社してもらっても、すぐに分かります。正直に話し、「それでも」と言う候補者を選びます。
三つ目は、返信の速さと記録です。他の職種と同じく、返信にはその日か翌日、送った記録は依頼側の環境に。スカウトの重複防止も参考になります。
代行に出せる範囲
| 工程 | 代行に出せる | 社内で持つ |
|---|---|---|
| 対象の決定 | 型と規模で絞る検索の条件の提案 | 型と規模の確定 |
| 検索と一覧化 | 出せる。型と規模で | — |
| 文面の型作り | 出せる | 目的・型・規模・権限・現状・関係者・その後の中身を社内が出す |
| 一行目の個別化 | 出せる。経歴のプロジェクトの型と規模を読んで書く | — |
| 送信 | 出せる | 名義と時間帯 |
| 返信の一次対応 | 出せる | — |
| 面談の設定 | 出せる | 報告先と主な関係者の面談の枠の確保 |
| 面談 | — | 報告先と主な関係者が出る |
| 記録と数の整理 | 出せる | — |
分け方の要点は、「権限と現状は、社内でしか出せない」ことです。代行に「プロジェクトマネージャー向けの文面を書いてください」と頼んでも、権限と現状が社内から出ていなければ、代行は「任せます」「重要なプロジェクト」で埋めるしかなく、外す訴求になります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、プロジェクトマネージャーのスカウトで最も時間がかかるのは、依頼側から権限と現状を引き出すことです。依頼側は「プロジェクトを任せたい」と言いますが、何を任せ、何を経営が持つのか、いまプロジェクトがどんな状態かは、言葉になっていないことが多い。ここを「予算の範囲内は任せ、委託先の選定は相談」「要件定義の途中で前任者が退職」まで具体化しないと、文面の中心が書けません。
エラベルでは、プロジェクトマネージャーの案件で担当者を紹介するとき、依頼側に権限と現状を先に決めていただき、それが担当者に渡ってから文面に入るようお伝えしています。決まっていない場合、担当者の最初の仕事は、この二つを引き出す打ち合わせの進行です。権限と現状が正直に書かれた文面は、返信の総数は減っても、面談後の辞退が減ります。
まとめ
- プロジェクトマネージャーがスカウトを読まない理由はプロジェクトの中身が無いと判断できない・権限を最初に確かめる・現状を見る・その後があるかを見る
- 先に決めるのは対象。型(受託か社内か)と規模で絞る。受託からの転向層を含める
- 文面の型は一行目に候補者のプロジェクトの型と規模の一点→自社のプロジェクトの目的・型・規模→権限→現状→関係者と報告先→技術か調整か→その後→会社の紹介(短く)→報告先と関係者が出る面談
- 刺さる訴求はプロジェクトの型・規模・権限・現状を具体的に、正直に。外す訴求は「大型」「重要」「任せる」の具体の無い言葉
- 面談には報告先と主な関係者が出て、権限の限界と現状の課題を隠さない
- 代行に出せるのは型と規模で絞った検索・個別化・送信・一次対応・面談の設定・記録。権限と現状は社内から
よくある質問
規模を書くと、大規模の経験者に「小さい」と思われて返信が来なくなりませんか
来なくなるのは、小規模のプロジェクトに関心の無い人で、その人は面談で「物足りない」と見送る人です。規模を書くことで、その規模に合う経験の人、大規模から小規模に移りたい人(自分で全部を見たい、少人数で決めたい)が返信します。規模を隠して大規模の経験者を集めても、面談で分かって辞退され、互いの時間を使います。規模を書き、その規模ならではの魅力(全体を一人で見られる、意思決定が速い、経営との距離が近い)を添えると、規模を魅力として読む人が来ます。
権限が限られていて、正直に書くと魅力が無く見えます
権限が限られていること自体は、魅力の無さではなく、型の違いです。「調整と進捗の管理が中心で、判断は経営と一緒に」と書くと、調整に強く、経営と近いところで働きたい人には魅力に読めます。全部を自分で決めたい人には合いませんが、その人は入社後に「決めさせてもらえない」と離れる人です。権限を曖昧にして「任せる」と書くと、全部決めたい人が来て離れ、調整に強い人は「荷が重い」と見送ります。正直に書き、権限が限られた中でも発揮できること(経営との近さ、関係者との調整の裁量、プロジェクトの全体を見られること)を添えます。
前任者が退職した理由を、スカウトに書くべきですか
理由の詳細は書きませんが、「前任者が退職し、途中から引き継ぐ」という現状は書きます。理由を隠して「新規プロジェクト」と書くと、面談で分かって見送られます。面談で候補者から理由を聞かれたら、事実の範囲で正直に話します(プロジェクトの問題か、本人の事情か、社内の体制か)。前任者の退職が社内の体制(権限の無さ、関係者の非協力)に原因があったなら、その体制を変える意思があることを、経営者が面談で直接伝えます。変える意思が無いなら、次の人も同じ理由で離れます。