採用代行 / 採用の課題
要員計画と採用計画がつながっていない|「何人要るか」と「何人採るか」を、同じ表の同じ行に置く
経営企画が「今年度の要員計画」を作る。部門ごとの期末の人員の合計と、増減。人事が「採用計画」を作る。求人の一覧と、経路と、予算。二つは、別の会議で、別の担当が、別の表で作っている。要員計画では「営業部を五人増」だが、採用計画には営業の求人が二本あるだけで、二本で五人採るのか、三人は異動なのか、誰も答えられない。結論を先に書くと、要員計画と採用計画がつながっていないのは、「何人要るか」と「何人採るか」が、別の表にあるからです。同じ表の同じ行に、「要る人数」「いる人数」「異動と育成で埋める数」「外から採る数」「求人」「時期」を置けば、つながります。表が一つになれば、採る必要が無い求人と、採っても埋まらない要員が、見えます。採用目標の積み上げは採用目標人数の根拠がないに、急な増員への対応は急な増員要請に対応できないにまとめています。
つながっていない構造
要員計画と採用計画がつながっていないのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 作る人が違う | 要員計画は経営企画、採用計画は人事。互いの表を見ていない |
| 単位が違う | 要員計画は「部門の人員の合計」、採用計画は「求人」。役割の単位で対応していない |
| 時期が違う | 要員計画は年度の初めに一度、採用計画は求人が出るたび。更新の時期が合わない |
| 異動と育成が抜けている | 要員の増減のうち、異動と育成で埋める分と、外から採る分が分かれていない |
| 退職の見込みが片方にしか無い | 要員計画には退職の見込みが無く、採用計画には欠員の補充が無い |
| 求人が要員計画と対応していない | 現場が「欲しい」で出した求人が、要員計画のどの行にも無い |
| 見る場が別 | 要員計画は経営会議、採用計画は人事の会議。同じ場で見ない |
つながっていないと、「要員計画では五人増なのに、採用は二人分しか動いていない」「採用計画にある求人が、要員計画のどこにも無い」が起きます。
つなげる一つの表
要員計画と採用計画を、一つの表にします。
| 列 | 内容 | 誰が出すか |
|---|---|---|
| 部門・役割 | 部門と、その中の役割(職種ではなく役割の単位) | 経営企画・部門の責任者 |
| 期首の人数 | 年度の初めにいる人数 | 人事 |
| 期末に要る人数 | 事業の計画から、年度の終わりに要る人数 | 経営企画・部門の責任者 |
| 退職の見込み | 決まっている退職と、過去の記録からの見込み | 人事 |
| 差(要る数) | 期末に要る人数−期首の人数+退職の見込み | 計算 |
| 異動で埋める数 | 他の部門・役割からの異動で埋める数 | 部門の責任者・人事 |
| 育成で埋める数 | いまの社員の育成で埋める数と、育つ時期 | 部門の責任者 |
| 外から採る数 | 差−異動−育成 | 計算 |
| 求人 | 対応する求人の名前と、状態(準備中・募集中・内定・入社) | 人事 |
| 時期 | いつまでに入社が要るか。四半期で | 部門の責任者 |
| 進み具合 | 採れた数、選考中の数 | 人事 |
一つの表の要点は、「役割の単位」と「異動・育成・外から採るの内訳」と「求人との対応」です。この三つがあれば、要員と採用はつながります。
「外から採る数」の合計が、採用目標です。積み上げの考え方は採用目標人数の根拠がないと同じです。
表の作り方
一つの表を、最初に作る手順です。
いまある二つの表を、並べる。 要員計画と採用計画を、そのまま横に置きます。対応している行と、していない行が見えます。
部門を、役割の単位に分ける。 要員計画の「営業部五人増」を、「営業の担当が三人、営業の企画が一人、営業の事務が一人」のように、役割に分けます。部門の責任者に聞きます。役割の記述があれば、その単位で。
退職の見込みを、役割ごとに入れる。 人事が、自社の記録から。
異動と育成で埋める数を、部門の責任者と確認する。 「営業の担当三人のうち、一人は営業の事務からの異動、一人は育成で来年から。外から採るのは一人」。
求人を、役割の行に対応させる。 採用計画の求人を、表の役割の行に置きます。対応する行が無い求人は、「要員計画に無い求人」として別に出し、続けるかどうかを判断します。
時期を入れる。 「いつまでに入社が要るか」を、部門の責任者に聞き、四半期で。
一枚にまとめて、三者で確認する。 経営企画、人事、部門の責任者。「この表で合っているか」。
作る時間は、部門の数によりますが、部門ごとに三十分の聞き取りと、まとめに半日ほどです。二つの表を別々に作り続けるより、はるかに少ない手間です。
更新の運用
表を、年度の初めに作って終わりにせず、更新します。
月に一度、「進み具合」を更新する。 人事が、採れた数と選考中の数を更新します。
四半期ごとに、「期末に要る人数」「退職の見込み」「異動と育成」を見直す。 事業の計画が変われば要る人数が変わり、退職が出れば見込みが変わり、育成が遅れれば外から採る数が変わります。
変わったら、「外から採る数」と「求人」を更新する。 要る数が増えれば求人を足し、減れば求人を止めます。
表の管理の担当を、一人決める。 人事か、採用代行の担当者。経営企画と部門の責任者から情報を集め、表に反映します。
同じ場で見る。 月に一度、経営会議か採用の会議で、この表を見ます。要員と採用を別の場で見ない。
変えた理由を記録する。 「七月に、事業の計画の変更で、営業の担当の要る数を三人から二人に。求人を一本止めた」。
更新の運用の要点は、「一つの表を、一人が、月に一度更新し、同じ場で見る」ことです。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「要員計画で『開発部を八人増』と決まり、人事は開発の求人を三本出して一年かけて六人採った。ただ、開発部の責任者に聞くと、八人のうち四人は他部門からの異動で埋める予定で、外から採るのは四人だった。二人、採りすぎていた」というものです。要員計画に「異動で埋める数」が無く、採用計画が要員計画の「増」をそのまま「採る数」と読んでいました。一つの表に「異動」「育成」「外から採る」の列を置いていれば、最初から四人と分かりました。
見ていて差がつくのは、担当者が「要員計画を見せてください」と言うかどうかです。採用計画だけを受け取って求人を出す担当者と、「要員計画と、異動と育成の内訳を教えてください。外から採る数を確認してから求人を出します」と言う担当者がいます。後者は、採りすぎも、採り足りなさも起こしません。
発注側にできるのは、担当者に採用計画だけでなく、要員計画と内訳を渡すことです。
部門との合意
表を作るとき、部門の責任者との合意が要ります。
部門の「欲しい」と、事業の計画の「要る」を分ける。 部門は「五人欲しい」と言い、事業の計画から積み上げると「三人要る」。差の二人を、「どの計画に要るか」で話します。合意の考え方は採用目標人数の根拠がないに書いています。
異動と育成で埋める数を、部門が出す。 「外から採ってほしい」と全部を外に出す部門には、「いまの社員で埋められる役割は無いか」を聞きます。
時期を、部門が出す。 「いつまでに要るか」。「早いほど良い」ではなく、事業の計画から。
採用の期間を、部門に伝える。 「この役割は、自社の記録では応募から入社まで三か月かかる。四月に要るなら、一月に求人を出す」。部門は、採用にかかる期間を知らないことが多いです。
部門が面接官を出すことを、合意する。 外から採るには、部門の面接官が要ります。「求人を出すが、面接には出ない」は成り立ちません。
進み具合を、部門にも共有する。 月に一度、部門の責任者に「あなたの部門の外から採る数と、進み具合」を伝えます。
部門との合意の要点は、「表を一緒に作る」ことです。人事が作った表を部門に渡すと、「押しつけられた」になります。
ずれが出たときの扱い
表を運用していると、ずれが出ます。扱いです。
採用が計画より遅れている。 「四〜六月に一人」が採れていない。七〜九月に足すか、部門の事業の計画を見直すか、経路や要件を変えるか。表の「進み具合」で見え、月に一度の場で判断します。
退職が見込みより多い。 退職の見込みを更新し、「外から採る数」を足します。求人を足すか、既存の求人の人数を増やすか。
育成が遅れている。 「育成で来年から」が、再来年になった。「外から採る数」を足すか、育成の担当を足すか。部門の判断です。
事業の計画が変わった。 「期末に要る人数」を更新し、全部を再計算します。求人を足す、止める、人数を変える。
要員計画に無い求人が出てきた。 現場が「欲しい」で出した求人。表に無ければ、「どの役割の、どの計画に要るか」を確認し、要員計画に足すか、求人を止めるか。
採れすぎた。 計画より多く採れた。「事業に要るか」を確認し、要るなら要員計画を更新、要らないなら他の役割に回すか、採用を止める。
ずれの扱いの要点は、「表に反映して、同じ場で判断する」ことです。ずれを表の外で処理すると、表が古くなり、信用されなくなります。
外注する場合の範囲
要員計画と採用計画がつながっていない問題を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 いまある二つの表の整理と対応の確認、役割の単位への分解の聞き取り(部門の責任者)、退職の見込みの整理(自社の記録から)、異動と育成の内訳の確認の進行、一つの表の作成、求人との対応の整理(要員計画に無い求人の抽出)、時期の整理と採用にかかる期間の自社の記録からの提示、月に一度の進み具合の更新、四半期ごとの見直しの材料、部門との合意の場の準備、ずれの整理と判断の材料、変更の記録。
社内に残す判断。 期末に要る人数の決定(事業の計画)、異動と育成の判断、外から採る数の承認、求人の開始と停止の決定、部門との合意、表を見る場の設定。
外注の効きどころ。 要員計画と採用計画がつながっていない会社は、「二つの表を一つにする人」がいません。経営企画は要員を、人事は採用を見ていて、間を見る人がいない。担当者が間に入り、両方から情報を集め、一つの表を作り、月に一度更新すれば、つながります。担当者は複数の会社で「役割の単位で数える」型を持っているので、部門への聞き取りも進められます。
外注しても動かない場合。 経営企画が要員計画を出さない、部門が異動と育成の内訳を出さない、経営者が同じ場で見ることを認めない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
要員と採用は、一つの表でつながります。外注は、表を作り、更新する人を置く手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、要員計画の相談で最も多いのは、「要員計画が、部門の人員の合計でしか書かれていない」ことです。「営業部五十人→五十五人」。五人増のうち、どの役割が何人かが無い。採用計画は役割(求人)の単位なので、対応させようが無い。
役割の単位に分けるのは、部門の責任者に三十分聞けば済みます。「五人増の内訳は、どの役割ですか」。それだけで、要員計画と採用計画は対応します。単位を合わせることが、つなげる第一歩です。
発注側にできるのは、要員計画を「部門の合計」ではなく「役割の単位」で持つことを、経営企画に頼むことです。
まとめ
- つながっていないのは作る人が違う・単位が違う・時期が違う・異動と育成が抜けている・退職の見込みが片方だけ・求人が対応していない・見る場が別の構造
- 一つの表は部門と役割・期首の人数・期末に要る人数・退職の見込み・差・異動で埋める・育成で埋める・外から採る・求人・時期・進み具合。役割の単位、内訳、求人との対応
- 作り方は二つの表を並べる・役割に分ける・退職の見込み・異動と育成を部門と確認・求人を行に対応・時期・三者で確認。半日ほど
- 更新は月に一度の進み具合・四半期ごとの見直し・変わったら外から採る数と求人を更新・担当を一人・同じ場で見る・理由を記録
- 部門とは欲しいと要るを分ける・異動と育成を部門が出す・時期を部門が出す・採用の期間を伝える・面接官を出す合意・進み具合を共有。表を一緒に作る
- ずれは遅れ・退職が多い・育成の遅れ・計画の変更・表に無い求人・採れすぎを表に反映し、同じ場で判断
- 外注できるのは整理・聞き取り・見込み・内訳の確認・表・求人の対応・期間・更新・見直しの材料・合意の準備・ずれの整理・記録。社内に残るのは要る人数・異動と育成・承認・求人の開始と停止・合意・見る場
よくある質問
要員計画は経営企画の仕事で、人事が口を出せません
口を出すのではなく、「一つの表にする」提案をします。経営企画の要員計画(部門の合計)を、役割の単位に分けて、異動・育成・外から採るの内訳を足すだけで、採用計画と対応します。経営企画の計画を変えるのではなく、細かくして対応させる形です。経営企画にとっても、「要員の増減が、採用でどう埋まるか」が見えるので、拒まれることは少ないです。表の管理は人事(または担当者)が持ち、経営企画には四半期ごとに確認をもらう形にします。
部門が「全部外から採ってほしい」と言います
「いまの社員で埋められる役割は無いか」を、役割ごとに聞きます。異動や育成で埋められる役割があれば、外から採る数は減り、採用の期間も費用も減ります。それでも「全部外から」なら、その理由(いまの社員では担えない専門か、育成の時間が無いか)を聞き、事業の計画と照らします。部門の「欲しい」と事業の「要る」の差は、経営者の判断に上げます。
表を作っても、途中で事業の計画が変わってしまいます
変わることを前提に、四半期ごとに見直す運用にします。「期末に要る人数」を更新し、「外から採る数」と「求人」を再計算します。年度の初めに作った表を固定すると、計画の変更に追従できず、表が古くなり、信用されなくなります。「前提が変われば表も変わる」を、経営企画と部門と最初に合意し、変えた理由を記録します。表が動くことが、つながっている証拠です。