採用代行 / 採用の課題
紹介会社の推薦の質が低い|「質が低い」を要件のずれ・理解不足・優先順位に分けて、直せるものから直す
紹介会社から推薦は来る。ただ、要件と合わない人ばかり。経験が浅い、職種が違う、年収の希望が合わない。書類で全部落とし、紹介会社には「合う方をお願いします」と伝えるが、次も同じ。対応の手間だけが残る。結論を先に書くと、「推薦の質が低い」は、一つの問題ではなく、「要件のずれ」「紹介会社の理解不足」「自社の優先順位の低さ」の三つが混ざった状態です。三つに分けて、記録で測り、直せるものから直します。三つとも直しても変わらない紹介会社は、扱いを変えます。推薦そのものが来ない場合は紹介会社から候補者が来ないに、紹介会社が多すぎる場合は紹介会社が多すぎて対応しきれないにまとめています。
「質が低い」を分解する
「質が低い」と感じる推薦は、原因が違います。
| 感じ方 | 原因の候補 | 直す先 |
|---|---|---|
| 要件と合わない人が来る | 要件が紹介会社に正しく伝わっていない。または要件が厳しすぎて、近い人を送っている | 要件の伝え方、要件の設計 |
| 職種の理解がずれた人が来る | 紹介会社が、自社の職種の中身を理解していない。求人票の職種名だけで探している | 職種の説明、現場の話 |
| 経歴は合うが、面接で合わない | 紹介会社が、自社の働き方や組織との相性を知らない。「一緒に働く人」の像が無い | 会社と現場の理解 |
| 推薦の理由が無い、または薄い | 機械的に送っている。候補者と話していない可能性 | 推薦の書式、推薦の理由の要求 |
| 他社に決まった後の人や、動いていない人が来る | 自社の優先順位が低く、余った候補者が回ってくる | 対応の速さ、関係の作り方 |
| 年収の希望が大きく合わない | 条件が紹介会社に伝わっていない。または自社の条件が市場と合っていない | 条件の伝え方、条件の見直し |
「質が低い」と一括りにして紹介会社に伝えても、紹介会社は何を直せばよいか分かりません。分解して伝えます。
質を測る記録の型
感覚ではなく、記録で測ります。
推薦ごとに、落とした理由を分類して記録する。 「要件の〇〇が不足」「職種の理解がずれ」「条件が合わない」「面接で相性が合わず」「推薦の理由が無い」。分類があれば、どの原因が多いかが分かります。
紹介会社ごとに、集計する。 会社ごとに、推薦の数、書類で通った数、面接に進んだ数、内定、入社、落とした理由の内訳。数字は自社の記録だけを使います。
「面接に進んだ率」で質を見る。 推薦の数が多くても、面接に進まなければ質は低い。推薦が少なくても、面接に進む率が高ければ質は高い。
落とした理由の内訳で、直す先を決める。 「要件の不足」が多ければ、要件の伝え方か設計。「職種の理解がずれ」が多ければ、職種の説明。「面接で相性が合わず」が多ければ、会社の理解。
月に一度、紹介会社ごとに見る。 直したことが効いたか、翌月の記録で分かります。
記録があれば、紹介会社に「先月の推薦十件のうち、七件が〇〇の経験の不足でした」と具体的に伝えられます。「質が低い」より、紹介会社は動きやすくなります。
要件のずれを直す
落とした理由に「要件の不足」が多い場合の直し方です。
要件を「必須」と「あれば良い」に分けて、書面で渡す。 全部が必須のように見える求人票では、紹介会社は「近い人」を送ります。「〇〇の経験は必須。△△と□□はあれば良い」と分ければ、必須で絞って探せます。
必須の要件を、観察できる言葉で書く。 「マネジメント経験」ではなく「三名以上のチームの目標設定と評価を担った経験」。抽象語は、紹介会社ごとに解釈がずれます。
「こういう人は合わない」を書く。 「〇〇の経験はあるが、△△をやったことが無い人は、この役割では合わない」。合わない人の像があれば、紹介会社は絞れます。
落とした理由を、要件の言葉で戻す。 「〇〇の経験が浅い(必須の要件)」と、求人票の要件と対応させて戻します。紹介会社は「この要件がこの水準」と学びます。
要件が厳しすぎないかを、紹介会社に聞く。 「この必須の要件で、登録者にどのくらいいますか」。「ほぼいない」なら、要件が市場と合っていません。緩められるか、責任者と決めます。
要件を変えたら、全社に同じ日に伝える。 一社に伝えた変更が他社に伝わっていないと、他社の推薦は古い要件のままです。
要件のずれは、自社の伝え方で直せることが多いです。紹介会社を責める前に、要件の書面を見直します。
理解不足を直す
落とした理由に「職種の理解がずれ」「面接で相性が合わず」が多い場合の直し方です。
紹介会社の担当者に、現場の話を聞かせる。 求人票だけでは、職種の中身も、一緒に働く人も分かりません。現場の責任者と担当者が三十分話す場を作ります。担当者は「この会社のこの役割は、こういう人が向いている」と分かります。
紹介会社向けの補足資料を渡す。 「この役割で活躍している人の経歴の例、合わなかった人の例、面接で見るところ、辞退が多い理由と対策、会社の雰囲気」を一枚に。担当者が候補者を絞るときと、候補者に説明するときの材料になります。
面接に進んだ候補者の感想を、担当者から聞き、自社の見方を伝える。 「候補者は〇〇と感じたようですが、自社としては△△を重く見ています」。往復で、担当者の理解が深まります。
入社した人の経歴と、活躍の様子を伝える。 「〇〇の経歴の方が、入社後こういう場面で活躍しています」。担当者は「こういう人を探せばよい」と分かります。入社者の情報は、本人の同意と社内の規程に沿って扱います。
担当者が替わったら、理解を作り直す。 前の担当者の理解は、引き継がれていないことが多いです。新しい担当者に、改めて現場の話と補足資料を渡します。
理解不足は、紹介会社が自社を知る機会が無いことで起きます。機会を作れば、直ります。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「推薦の質が低いので、紹介会社に『もっと良い人を』と言い続けた」というものです。紹介会社は「良い人」の定義が分からず、同じ推薦を続けるか、推薦をやめます。記録を見ると、落とした理由の七割が「〇〇の経験の不足」で、求人票には〇〇が「あれば良い」に見える書き方でした。必須に書き直して、水準を観察できる言葉で書いたら、翌月から推薦が変わりました。「良い人」ではなく、「この要件がこの水準」と伝えることでした。
見ていて差がつくのは、担当者が「落とした理由を分類して集計する」かどうかです。「合わなかったので落としました」と紹介会社に返す担当者と、「今月の推薦のうち七件が要件Aの不足、二件が職種の理解のずれでした。要件Aの水準を書き直しました」と、内訳と直したことを添えて返す担当者がいます。後者は、紹介会社を育てます。
発注側にできるのは、担当者に「質が低い」ではなく「落とした理由の内訳」で紹介会社と話してもらうことです。
優先順位を上げる
落とした理由に「他社に決まった後の人」「動いていない人」が多い場合、自社の優先順位が低い状態です。上げ方です。
返事を速くする。 推薦の受領は当日、書類の判断は三日以内、面接の結果は三日以内。紹介会社は、返事の速い会社に良い候補者を先に送ります。
落とす理由を戻す。 理由が戻る会社は、紹介会社にとって「学べる会社」です。次の推薦の方向を決められます。
面接の枠を先に押さえ、一週間以内に面接できる状態にする。 「面接まで三週間」の会社には、良い候補者は送られません。候補者が待てないからです。
決まったら、感謝を伝える。 入社が決まった紹介会社には、「〇〇さんが入社しました」と伝えます。担当者は、決まった会社を優先します。
求人の優先順位を伝える。 「いま最も急いでいるのはこの求人」と伝えれば、担当者はそこに集中します。
月に一度、状況を共有する。 採用の進み具合、条件の変更、優先の求人。定期の連絡がある会社は、担当者の中で「動いている会社」になります。
優先順位は、自社の対応で決まります。費用をかけずに、翌日から変えられる項目です。
質が上がらない紹介会社の扱い
要件を直し、理解の機会を作り、対応を速くしても、質が上がらない紹介会社はあります。扱いです。
三か月、記録で見る。 直した翌月に変わらなくても、三か月は見ます。担当者が動き直すには時間がかかります。
担当者の変更を依頼する。 会社を切る前に、担当者を替えてもらいます。同じ会社でも、担当者で推薦は変わります。
推薦の書式を厳しくする。 「推薦の理由が無い推薦は受けない」「必須の要件を満たしていることを推薦文に書く」。書式を守れない会社は、機械的に送っています。
その会社に渡す求人を減らす。 全求人を渡すのをやめ、その会社が強い職種の求人だけにします。
休止する。 推薦を受けない期間を設けます。契約は残し、必要になれば再開します。
終了する。 三か月、担当者を替え、書式を厳しくしても変わらないなら、契約を終了します。契約の終了の条件は契約書で確認します。
質が上がらない会社を残しておくと、対応の手間だけが残り、残す価値のある会社への対応が遅れます。切る判断は、記録があれば責任者に説明できます。
外注する場合の範囲
推薦の質の問題を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 落とした理由の分類と記録の型の作成、紹介会社ごとの集計、要件の書面の見直し(必須とあれば良いの分け方、観察できる言葉)、紹介会社向けの補足資料の作成、現場の話を聞かせる場の設定、推薦の受領と書類の一次の整理、落とす理由の文面(要件の言葉で)、面接の結果の連絡、担当者との往復、月次の共有、担当者の変更や休止の依頼の文面。
社内に残す判断。 要件と条件の決定、書類と面接の判定、内定、紹介会社の見直しと契約の終了。
外注の効きどころ。 推薦の質の問題は、記録と、紹介会社との往復の手間の問題です。担当者が記録を取り、内訳で紹介会社と話し、要件の書面を直し、補足資料を作れば、社内の人は判定に集中できます。紹介会社から見て、自社が「要件が明確で、理由が戻る会社」に変わります。
外注しても動かない場合。 責任者が要件を「全部必須」のまま変えない、現場が紹介会社に会わない、判定が遅い。社内の判断で、代行を替えても直りません。
推薦の質は、自社の伝え方と対応で、大半が変わります。外注は、伝え方と対応を整える速さを上げる手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、推薦の質の相談で最も多いのは、「落とした理由を記録していない」ことです。「合わない人ばかり」と言いますが、何が合わなかったかを聞くと、「なんとなく」「経歴が弱い」。記録が無いので、要件のずれなのか、理解不足なのか、優先順位なのか、分かりません。
記録を取り始めると、原因は偏っています。大半が一つか二つの要件の不足で、その要件が求人票では弱く書かれている。直すのは求人票の一行で、紹介会社を替える必要はありませんでした。
発注側にできるのは、「推薦の質が低い」と感じたときに、まず落とした理由を記録することです。記録が無いと、直す先が分かりません。
まとめ
- 「質が低い」は要件のずれ・職種の理解不足・会社の理解不足・推薦の理由が無い・優先順位が低い・条件が合わないに分解する
- 落とした理由を分類して記録し、紹介会社ごとに集計し、面接に進んだ率で質を見て、内訳で直す先を決める
- 要件のずれは必須とあれば良いを分け・観察できる言葉で・合わない人の像を書き・要件の言葉で理由を戻し・厳しすぎないか聞き・変更は全社に同日で直す
- 理解不足は現場の話を聞かせる・補足資料・候補者の感想と自社の見方の往復・入社者の例・担当者交代時の作り直しで直す
- 優先順位は返事の速さ・理由を戻す・一週間以内の面接・感謝・求人の優先順位・月次の共有で上げる
- 上がらない会社は三か月見て・担当者の変更・書式を厳しく・渡す求人を減らす・休止・終了
- 外注できるのは記録と集計・要件の書面・補足資料・場の設定・紹介会社との往復。社内に残るのは要件と条件・判定・内定・契約
よくある質問
紹介会社に「質が低い」と直接言ってもよいですか
「質が低い」とだけ言うと、紹介会社は何を直せばよいか分からず、関係が悪くなるだけです。落とした理由の内訳を添えて、「今月の推薦十件のうち七件が〇〇の経験の不足でした。要件の書き方を見直したので、改めて共有します」と伝えます。事実と、自社が直したことを添えれば、紹介会社は動きやすくなります。
要件を緩めると、質がさらに下がりませんか
「全部必須」の要件を「必須とあれば良い」に分けることは、緩めることではなく、明確にすることです。必須の要件を観察できる言葉で書けば、紹介会社は必須で絞って探せます。全部が必須に見える求人票のほうが、紹介会社は「どうせ全部は揃わない」と近い人を送るので、質が下がります。緩めるかどうかは、必須の要件に該当する人が市場にいるかで、紹介会社に聞いて責任者と決めます。
推薦の理由が無い紹介会社には、どう対応すればよいですか
「推薦の理由を添えてください。必須の要件を満たしていることを推薦文に書いてください」と、書式を伝えます。理由の無い推薦は、候補者と話さずに送っている可能性があります。書式を守れない会社は、機械的に送っているので、渡す求人を減らすか、休止します。理由がある推薦は、外れても学びがあります。理由が無い推薦は、外れても学びがありません。