採用代行 / 採用の課題
エンジニアがまったく採れない|「採れない職種」と諦めず、経路・求人票・選考・受け入れの四つをエンジニア向けに組み直す
エンジニアの求人を、半年出している。応募はほぼゼロ。たまに来ても、要件と合わない。紹介会社に聞くと「その条件では該当者がいない」。社内に技術の分かる人がおらず、求人票も面接も、何が正しいか分からない。「エンジニアは、うちのような会社には採れない」と諦めかけている。結論を先に書くと、エンジニアが採れないのは、「採れない職種」だからではなく、他の職種と同じ経路・求人票・選考・受け入れで進めているからです。エンジニアは、探す場所も、読む求人票も、見極め方も、入社後に求めるものも、他の職種と違います。四つをエンジニア向けに組み直せば、規模や知名度に関わらず、採れる道はあります。知名度が無い場合は知名度がなくて応募が集まらないに、待遇で勝てない場合は待遇で大手に勝てないにまとめています。
採れない構造
エンジニアが採れないのは、次の構造で起きます。
| 構造 | 起きていること |
|---|---|
| 探す場所が違う | 総合型の媒体に出している。エンジニアは、技術者向けの媒体、スカウト、技術のコミュニティにいる |
| 求人票が、エンジニアの読み方に合っていない | 「業務内容:システム開発」「必須:〇〇の経験三年」だけ。技術の環境、開発の進め方、チームの構成が無い |
| 要件が、実態と合っていない | 「全部できる人」を求めている。または、社内で技術が分からず、要件を他社の求人票から写している |
| 見極められない | 技術の分かる人が面接にいない。経歴の言葉だけで判断している |
| 条件が市場と合っていない | エンジニアの市場の水準を知らず、他の職種と同じ幅で出している |
| 選考が遅い | エンジニアは複数社を同時に受けている。一週間待たせれば、他社に決まる |
| 入社後の環境が伝わらない | 「入社してから何をするか」「どんな技術で」「誰と」が見えず、応募に進まない |
| 「エンジニアは特別」と諦めている | 諦めた時点で、求人票も経路も直さなくなる |
構造の大半は、「エンジニアの視点で組んでいない」ことです。組み直せば、変わります。
エンジニアに届く経路
エンジニアは、他の職種と探す場所が違います。
| 経路 | 特徴 | 使い方 |
|---|---|---|
| 技術者向けの求人媒体 | エンジニアが使う媒体。総合型より、技術の情報で見られる | 技術の環境と開発の進め方を、求人票に詳しく。媒体の仕様は公式の案内で確認 |
| スカウト型(技術者向け) | 動いていないエンジニアにも届く。文面の一段落目で、技術の環境と役割を | エンジニアの経歴(公開されている技術の情報)を読んで、一人ずつ書く。定型は読まれない |
| 技術に強い紹介会社 | エンジニアに特化した紹介会社は、技術の言葉で候補者と話せる | 自社の技術の環境を、正確に伝える。理解してもらえなければ、推薦は来ない |
| 社員の紹介(エンジニアから) | エンジニアの知り合いはエンジニア。最も届く経路の一つ | 社内にエンジニアがいれば、具体的に頼む。「〇〇の技術ができる人」 |
| 技術のコミュニティ・勉強会 | エンジニアが集まる場。会社を知ってもらう | 社内のエンジニアが参加し、発表する。採用の場ではなく、知ってもらう場 |
| 自社の技術の発信 | 技術のブログ、公開しているコード、登壇。「この会社のエンジニアはこういう仕事をしている」 | 続けられる頻度で。採用の直前に始めても効かないが、始めなければ積み上がらない |
| 業務委託・副業から | 正社員の前に、業務委託や副業で関わってもらう | 契約の形と法令上の扱いは専門家に確認。業務委託で入ってもらってから採用する |
経路の要点は、「エンジニアがいる場所に行く」ことです。総合型の媒体に出して待つ形では、届きません。
社内にエンジニアがいない会社は、「社員の紹介」「コミュニティ」「発信」の経路が弱くなります。その場合、技術に強い紹介会社と、技術者向けのスカウトの比重を上げます。
エンジニアが読む求人票
エンジニアは、求人票の「技術の情報」を読みます。無ければ、応募しません。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 技術の環境 | 使っている言語、フレームワーク、基盤、道具。正確に。古い技術があれば、隠さず「移行中」「今後こうする」と書く |
| 開発の進め方 | チームの規模、進め方(手法、会議の頻度、レビューの有無)、リリースの頻度 |
| 役割の中身 | 「何を作る役割か」「どこまで任されるか」「設計から入るか、実装が中心か」 |
| チームの構成 | エンジニアが何人、他の職種が何人、誰と一緒に働くか。社内にエンジニアがいなければ、その事実と、どう支えるか |
| 技術的な課題 | いま抱えている課題、これから取り組むこと。エンジニアは「解きたい課題」で会社を選ぶことがある |
| 働き方の実態 | リモート、時間、機器の支給。制度ではなく実態 |
| 評価と成長 | 技術の評価の仕組み、学ぶ機会、勉強会や書籍の支援 |
| 条件 | 市場の水準を見て、幅で。内訳を明記 |
| 選考の流れ | 回数、技術の確認の有無と形、期間。速さを明記 |
求人票の要点は、「技術の情報を、正確に、隠さず」です。エンジニアは、求人票の技術の情報で「自分の経験が活きるか」「この環境で成長できるか」を判断します。良く見せて実態と違えば、面接か入社後に離れます。
社内に技術の分かる人がいない場合、求人票の技術の項目を、外部(技術に強い紹介会社、採用代行の担当者、技術の顧問)に確認してもらいます。
エンジニアを見極める選考
エンジニアの選考は、他の職種と見極め方が違います。
技術の確認を、選考に入れる。 経歴の言葉だけでは、技術の深さは分かりません。「作ったものを見せてもらう」「小さな課題を解いてもらう」「技術的な話を、技術の分かる人とする」のどれかを入れます。課題の負担は、候補者の時間を考えて小さく。
技術の分かる人を、面接に入れる。 社内にいれば、社内のエンジニア。いなければ、外部(技術の顧問、技術に強い紹介会社の担当者、採用代行の技術の担当者)に、技術の確認の部分だけ入ってもらいます。
観点を、技術と、技術以外に分ける。 技術の深さ、設計の考え方(技術の観点)。役割の認識、一緒に働けるか、自分で進められるか(技術以外の観点)。技術以外は、社内で見られます。
選考を速くする。 エンジニアは複数社を同時に受けています。応募から一次まで一週間以内、一次から内定まで二週間以内が目安。判定は当日。
候補者からの技術の質問に、答えられる状態にする。 「基盤は何ですか」「レビューはどうしていますか」に、面接で答えられなければ、候補者は「技術が分かっていない会社」と受け取ります。答えられる人を面接に入れるか、答えを用意しておきます。
エンジニアに、エンジニアと会わせる。 一緒に働くエンジニアがいれば、面接か面談で会わせます。いなければ、「どう支えるか」を正直に話します。
条件のすり合わせを、早い段階で。 市場の水準と自社の幅の開きを、一次で確認します。内定の場で初めて開きが分かると、辞退されます。
選考の要点は、「技術の確認」と「速さ」です。どちらが欠けても、採れません。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「エンジニアの求人を、営業の求人票の型で書いて総合型の媒体に出し、半年応募ゼロで『エンジニアは採れない』と結論を出した」というものです。求人票には技術の環境が無く、開発の進め方も無く、条件は他の職種と同じ幅。技術者向けのスカウトに切り替え、求人票に技術の環境と課題とチームの構成を書き、技術に強い紹介会社に自社の環境を正確に伝えたら、二か月で面接に進む候補者が出ました。「採れない職種」ではなく、「エンジニアの視点で組んでいなかった」でした。
見ていて差がつくのは、担当者が「技術の情報を求人票に入れる」ところから入るかどうかです。「エンジニアの求人を出しましょう」で他の職種と同じ型を使う担当者と、「技術の環境、開発の進め方、チームの構成、技術的な課題を、社内の技術の分かる人(いなければ外部)に確認して書きましょう」と、技術の情報から入る担当者がいます。後者の求人票は、エンジニアに読まれます。
発注側にできるのは、担当者に「自社の技術の環境」を正確に渡すことです。渡せる人が社内にいなければ、外部の技術の分かる人を一人入れます。
技術の分かる人がいない場合
社内に技術の分かる人がいない会社の、進め方です。
技術の確認を、外部に頼む。 技術の顧問、技術に強い紹介会社の担当者、採用代行の技術の担当者、業務委託のエンジニア。「面接の技術の確認の部分だけ」を頼みます。
求人票の技術の項目を、外部に確認してもらう。 自社が書いた技術の情報が、エンジニアから見て正確か、魅力があるか、不足は何か。
「社内にエンジニアがいない」を、隠さない。 求人票と面接で、「最初のエンジニアとして来てもらう」「技術の判断は任せる」「外部の〇〇が支える」と、事実を伝えます。隠すと、入社後に「一人で全部」と分かり、離れます。
最初のエンジニアに、求めるものを明確にする。 「技術の判断を一人で担える人」「後のエンジニアを採るときの面接官になれる人」。最初の一人は、経験の深い人が要ります。
技術の発信と、コミュニティは、最初の一人が入ってから。 社内にエンジニアがいない状態では、発信もコミュニティも動きません。最初の一人が入ったら、その人と一緒に。
最初の一人が入るまでの間、業務委託や副業で支える。 開発が止まらないよう、一時的に外部で。契約の形と法令上の扱いは専門家に確認します。
技術の分かる人がいない会社は、「最初の一人」の採用が最も難しく、最も重要です。最初の一人が入れば、経路も見極めも受け入れも変わります。
受け入れと定着
エンジニアは、採るだけでなく、受け入れと定着が要ります。
機器と環境を、初日に。 開発に使う機器、アカウント、権限、道具。初日に揃っていなければ、最初の一週間が無駄になり、印象が決まります。
最初の一か月で、作るものを決める。 「最初の一か月で、〇〇を作る」。小さくても、完成する成果物。「様子を見て」では、エンジニアは何をすればよいか分からず、離れます。
技術の判断を、誰がするかを明確に。 「この技術を使うか」「この設計でよいか」を、誰が決めるか。社内にエンジニアがいなければ、本人に任せると伝え、任せます。
レビューと相談の相手を、用意する。 社内にいれば社内、いなければ外部(技術の顧問、業務委託)。一人で判断し続ける状態は、孤立と誤りの元です。
技術の評価の仕組みを、持つ。 「何ができていれば評価されるか」を、技術の言葉で。営業の評価の仕組みでエンジニアを評価すると、離れます。制度は社内の規程に沿います。
学ぶ機会と時間を、認める。 技術は変わり続けます。勉強会、書籍、新しい技術を試す時間。認めない会社からは、離れます。
求人票と実態のずれを、無くす。 「技術の環境はこう」と書いて、実態が違えば、入社後に不信になります。求人票は、実態を正確に。
定着の要点は、「技術の判断と相談の相手」です。一人で全部を判断し続ける環境では、エンジニアは続きません。
外注する場合の範囲
エンジニアが採れない問題を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 採れない構造の確認、エンジニアに届く経路の設計と運用(技術者向け媒体、スカウトの文面と送信、技術に強い紹介会社への説明)、求人票の技術の項目の整理(社内の技術の分かる人か外部への確認を含む)、選考の設計(技術の確認の形、速さ、観点の分け方)、技術の確認の外部の手配(技術の分かる担当者、顧問の紹介)、面接官向けの一枚(技術以外の観点)、応募の受付と当日の返信、日程調整、条件のすり合わせの型、受け入れの型(機器、一か月の成果物、相談の相手)、定着の確認。
社内に残す判断。 技術の環境の正確な情報の提供、役割と要件の決定、条件の決定、技術の判断を誰がするかの決定、判定、内定、受け入れの担当者。
外注の効きどころ。 エンジニアの採用は、「エンジニアの視点」が社内に無いことが最大の壁です。担当者がエンジニアの経路・求人票・選考・受け入れの型を持ち込み、技術の確認を外部と組めば、社内に技術の分かる人がいなくても進められます。担当者は複数の会社のエンジニア採用を見ているので、「この規模の会社で、この技術なら、この経路」の見立てを持ち込めます。ただし、技術の情報は自社が正確に渡すことが前提です。
外注しても動かない場合。 社内が技術の環境を正確に出さない、条件を市場と合わせない、選考を速くしない、受け入れの環境を整えない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
エンジニアは、「採れない職種」ではありません。外注は、エンジニアの視点を持ち込み、四つを組み直す手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、エンジニアの相談で最も多いのは、「技術の環境を隠している」ことです。古い技術を使っている、レビューの仕組みが無い、エンジニアが一人しかいない。求人票では良く見せ、面接で候補者に聞かれて言葉を濁し、入社後に分かって離れる。
隠さず、「いまはこうで、こう変えたい。その最初の一人として来てほしい」と書く。古い環境を変える役割に魅力を感じるエンジニアは、います。隠した会社より、正直な会社が選ばれます。
発注側にできるのは、技術の環境を、良いところも古いところも、担当者に正確に渡すことです。担当者は、正確な情報でしか、エンジニアに届く求人票を書けません。
まとめ
- 採れないのは探す場所が違う・求人票が合っていない・要件が実態と合わない・見極められない・条件が市場と合わない・選考が遅い・環境が伝わらない・諦めている構造
- 経路は技術者向け媒体・技術者向けスカウト・技術に強い紹介会社・エンジニアからの社員の紹介・コミュニティ・技術の発信・業務委託から。エンジニアがいる場所に行く
- 求人票は技術の環境・開発の進め方・役割の中身・チームの構成・技術的な課題・働き方の実態・評価と成長・条件・選考の流れを、正確に隠さず
- 選考は技術の確認を入れる・技術の分かる人を面接に・観点を技術と技術以外に分ける・速く・技術の質問に答えられる状態・エンジニアと会わせる・条件を早くすり合わせる
- 技術の分かる人がいなければ技術の確認を外部に・求人票を外部に確認・いないことを隠さない・最初の一人に求めるものを明確に・発信は最初の一人が入ってから・それまで業務委託で支える
- 受け入れは機器を初日に・一か月の成果物・技術の判断を誰が・レビューと相談の相手・技術の評価・学ぶ機会・実態とのずれを無くす
- 外注できるのは構造の確認・経路・求人票の技術の項目・選考の設計・技術の確認の手配・一枚・受付と返信・日程・すり合わせ・受け入れ・定着の確認。社内に残るのは技術の情報・役割と要件・条件・技術の判断の決定・判定・内定・受け入れの担当者
よくある質問
社内に技術の分かる人がいなくても、エンジニアは採れますか
採れます。技術の確認(面接の技術の部分、求人票の技術の項目の確認)を外部(技術の顧問、技術に強い紹介会社の担当者、採用代行の技術の担当者)に頼み、技術以外の観点(役割の認識、自分で進められるか、一緒に働けるか)は社内で見ます。「社内にエンジニアがいない」ことは隠さず、「最初のエンジニアとして、技術の判断を任せる。外部の〇〇が支える」と伝えます。最初の一人は経験の深い人が要り、最初の一人が入れば、次からは経路も見極めも変わります。
求人票に、古い技術を使っていることを書くべきですか
書きます。隠すと、面接で聞かれて言葉を濁すか、入社後に分かって離れます。「いまは〇〇を使っている。△△に移行したいと考えていて、その設計から関わってほしい」と書けば、古い環境を変える役割に魅力を感じるエンジニアに届きます。技術の情報は、正確であることがエンジニアからの信用の前提です。良く見せた求人票より、正直な求人票のほうが、面接に進む率も定着も上がります。
エンジニアの条件を、他の職種と同じ幅で出しています
エンジニアの市場の水準は、他の職種と違うことが多いです。技術に強い紹介会社に「この技術と経験なら、いまどのくらいで動いているか」を聞き、同じ技術の他社の求人票と比べて、自社の幅を見直します。上げられない場合は、技術的な課題、裁量、成長の機会、働き方の実態で補い、条件が届かないことは早い段階で正直に伝えます。条件の見直しの考え方は提示年収が市場と合っていないに書いています。