採用代行 / 採用の課題
紹介会社が多すぎて対応しきれない|取引する紹介会社を絞り、残す会社との付き合い方を揃える
人材紹介の会社と、気づけば十社以上契約している。営業が来るたびに契約し、前任者の契約も残っている。毎日どこかの紹介会社から、候補者の推薦、求人の確認、日程の調整、結果の催促が来る。対応に追われて、社内の面接官との調整が遅れ、紹介会社からは「返事が遅い」と言われ、良い候補者は他社に決まる。結論を先に書くと、紹介会社が多すぎるときは、自社の記録で「面接に進む候補者を推薦してくる会社」を残し、それ以外を絞ります。残す会社との付き合い方を一枚の型に揃えれば、対応の手間は減り、残す会社からの推薦の質は上がります。数を増やすより、数社に自社を深く知ってもらうほうが、紹介は効きます。紹介会社と採用代行の違いは人材紹介との違いに、媒体が多すぎる場合は媒体を増やしすぎて管理できないにまとめています。
紹介会社が多すぎる会社で起きていること
紹介会社が多すぎる会社では、次のことが起きています。
| 起きていること | 背景 |
|---|---|
| 推薦への返事が遅れる | 十社からの推薦を、一人で見ている。三日遅れると、候補者は他社に進む |
| 同じ候補者が複数の紹介会社から来る | 重複の扱いが決まっておらず、どの会社の推薦かで揉める |
| 求人の情報が、紹介会社ごとにずれる | 一社に伝えた条件の変更が、他の九社に伝わっていない |
| 紹介会社ごとに、推薦の質がばらばら | 自社を理解している会社と、求人票だけで機械的に送る会社が混ざる |
| 手数料の条件が、会社ごとに違う | 契約のたびに条件が違い、誰がどの条件かを把握できていない |
| 紹介会社からの営業の連絡に、時間が消える | 「新しい候補者がいます」「一度お打ち合わせを」の連絡が毎日来る |
| 面接官の日程が、紹介会社の推薦に振り回される | 推薦が来るたびに日程を組み、面接官の枠が埋まる |
紹介会社は、契約すれば推薦が来る、という単純なものではありません。自社を理解した会社が、合う候補者を推薦してくるものです。十社に薄く理解されるより、三社に深く理解されるほうが、推薦の質は上がります。
棚卸しの手順
絞る前に、何があるかを把握します。
契約している紹介会社を、全部書き出す。 契約書、経理の支払いの一覧、前任者のメール、紹介会社からの連絡の履歴。契約した記憶が無い会社が見つかることがあります。
会社ごとに、記録を集める。 契約の日、手数料の条件、返金の条件、担当者の連絡先、推薦の数、書類で通った数、面接に進んだ数、内定の数、入社の数、辞退の数。数字は自社の記録から。
過去半年〜一年で見る。 直近の一か月だけでは、たまたま推薦が無かった会社を誤って切ります。
推薦の質を、面接に進んだ数で見る。 推薦が多くても、面接に進んでいなければ、自社を理解していません。推薦が少なくても、面接に進む率が高ければ、理解しています。
担当者の対応を、記録に添える。 求人の内容を聞きに来たか、条件の変更に対応したか、推薦の理由を添えているか、辞退の理由を戻してくれるか。
一枚の表にする。 会社名、担当者、手数料の条件、推薦、書類通過、面接、内定、入社、担当者の対応。この表が、絞る判断の材料です。
絞る基準
棚卸しの表を見て、残す会社と絞る会社を決めます。
面接に進む候補者を推薦してくる会社を残す。 推薦の数ではなく、面接に進んだ数と率で見ます。自社を理解している会社は、ここで分かります。
自社の求人を聞きに来る会社を残す。 求人票だけで機械的に推薦する会社は、理解が深まりません。「現場の話を聞かせてください」と来る会社は、推薦の質が上がります。
辞退の理由を戻してくれる会社を残す。 候補者が辞退したとき、理由を聞いて戻してくれる会社は、次の推薦に活かせます。戻さない会社は、推薦を送るだけの関係です。
推薦が半年以上無い会社は、契約を見直す。 動いていない契約は、情報の管理の手間だけがかかります。「必要なときに再開できるか」を確認して、休止か終了か。
手数料の条件が、他社と大きく違う会社は、条件を見直す。 条件の水準は各社によるので、自社の契約の一覧で比べます。極端に高い条件の会社は、他社と同じ条件に揃えられるか交渉し、揃わなければ判断します。
残す数は、対応できる数まで。 担当する人が一人なら、三〜五社ほど。それ以上は、推薦への返事が遅れます。
絞った会社には、「今後は推薦をお受けしない」または「契約を休止する」と伝えます。伝えないまま放置すると、推薦が来続け、対応の手間は減りません。
残す会社との付き合い方を揃える
残した会社と、付き合い方を一枚の型に揃えます。
| 揃えること | 型 |
|---|---|
| 求人の情報 | 求人票の原本を一つ持ち、全社に同じものを渡す。条件の変更は、全社に同じ日に伝える |
| 求人の説明の場 | 新しい求人を出すとき、残した会社を集めて(または個別に)現場の話を含めて説明する。三十分 |
| 推薦の受け方 | 推薦の書式(履歴書・職務経歴書・推薦の理由)を揃えてもらう。推薦の理由が無い推薦は受けない |
| 推薦への返事 | 書類の判断を、受け取りから何日以内に返すかを決めて、全社に伝える。当日〜三日以内が目安 |
| 重複の扱い | 同じ候補者が複数社から来たときの扱い(先に届いた会社を優先、など)を決めて、契約と合わせて全社に伝える |
| 面接の日程 | 面接官の枠を先に押さえ、推薦が来たらその枠で組む。枠は紹介会社に共有 |
| 結果の連絡 | 面接の結果を、何日以内に返すかを決める。落とす場合も、理由を一行添える |
| 辞退の扱い | 辞退があれば、理由を紹介会社から聞き、記録する |
| 定期の連絡 | 月に一度、残した会社に採用の状況(進み具合、条件の変更、優先の求人)を共有する |
揃える要点は、「どの紹介会社から見ても、自社の対応は同じ」にすることです。会社ごとに対応が違うと、紹介会社は「対応が良い会社」に良い候補者を優先して推薦します。自社が対応の良い会社になれば、推薦の質は上がります。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「紹介会社を増やせば候補者が増えると思って、十五社と契約した。推薦は増えたが、面接に進む人は増えず、対応の手間だけが三倍になった」というものです。十五社の担当者は、自社の求人を求人票でしか知らず、機械的に推薦していました。三社に絞って、現場の話を聞いてもらい、推薦への返事を翌日に返すようにしたら、推薦の数は減り、面接に進む人は増えました。紹介会社は、数ではなく、理解の深さで効きます。
見ていて差がつくのは、担当者が「紹介会社の窓口」を担えるかどうかです。推薦を受け取って社内に回すだけの担当者と、「この求人は現場の〇〇さんがこういう人を求めています」と紹介会社に説明し、推薦の理由を求め、返事を翌日に返し、辞退の理由を聞いて記録する担当者がいます。後者がいると、紹介会社は自社を「対応の良い会社」と見ます。
発注側にできるのは、「紹介会社を増やしてほしい」ではなく、「紹介会社を絞って、残す会社との付き合い方を揃えてほしい」と依頼することです。
紹介会社への連絡を揃える
紹介会社への連絡が、社内の複数の人からばらばらに出ていると、混乱します。
窓口を一人にする。 紹介会社とのやり取りは、社内の一人(または外部の担当者)を通します。面接官や現場が直接やり取りする形を避けます。
連絡の文の型を持つ。 求人の案内、推薦の受領、書類の結果、面接の案内、結果の連絡、辞退の確認。型があれば、速く、揃った文で返せます。
紹介会社からの営業の連絡は、時間を決めて対応する。 「新しい候補者がいます」「お打ち合わせを」の連絡に、その都度対応すると時間が消えます。週に一度、まとめて見て返す。急ぎの推薦だけは、当日に見ます。
やり取りの記録を、社内に残す。 紹介会社とのメールや電話の内容を、候補者の表か、紹介会社の表に一行で残します。担当者が替わっても続けられます。
条件の変更は、全社に同じ日に、書面で伝える。 口頭で一社に伝えた変更が他社に伝わっていない、が最も多い混乱の元です。
連絡が揃えば、紹介会社の側も「この会社はこう返してくる」と分かり、やり取りが速くなります。
新しい紹介会社の受け方
絞った後も、新しい紹介会社から営業は来ます。受け方を決めます。
「残す数」を超えて契約しない。 一社足すなら、一社を見直します。管理できる数を超えません。
契約の前に、自社の職種の実績を聞く。 「この職種で、御社が紹介した実績はどのくらいか」「どういう候補者が登録しているか」。答えが曖昧なら、その職種に強くない可能性があります。
契約の条件を、既存の会社と揃える。 手数料の水準、返金の条件、重複の扱い。既存の会社と極端に違う条件では契約しません。条件は各社の案内と契約書で確認します。
最初は、一つの求人で試す。 全求人を渡さず、一つの求人で推薦の質を見ます。面接に進む候補者が来れば、他の求人も渡します。
営業の窓口を一人にする。 責任者や現場に直接営業が来て、そこで契約が決まる形を避けます。「紹介会社の契約は〇〇を通す」と決めます。
年に一度、棚卸しをする。 増えていないか、効いていない会社が残っていないかを、年に一度見ます。
新しい会社を受けるときの基準が無いと、営業が来るたびに増えます。基準を責任者と共有します。
外注する場合の範囲
紹介会社が多すぎる問題を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 棚卸しの表の作成、記録の集計と絞る判断の材料の作成、契約の条件の一覧化、残す会社との付き合い方の型の作成、紹介会社への求人の説明、推薦の受領と書類の一次の整理、推薦への返事、面接の日程の調整、結果の連絡、辞退の理由の聞き取りと記録、月次の状況の共有、新しい紹介会社の営業の窓口。
社内に残す判断。 絞る会社の決定、契約の終了と条件の交渉、書類と面接の判定、内定、新しい会社の契約の可否。
外注の効きどころ。 紹介会社が多い会社では、担当者が「紹介会社の窓口」を全部担う形になります。推薦への返事が当日〜翌日になり、紹介会社から「対応の良い会社」と見られ、推薦の質が上がります。社内の人は、判定と面接に集中できます。
外注しても動かない場合。 責任者が絞る判断を先送りする、現場が紹介会社と直接やり取りを続ける、判定が遅い。社内の判断で、代行を替えても直りません。
紹介会社の管理は、窓口の手間の問題です。外注は、窓口を外に出す手段で、絞る判断と判定は社内です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、紹介会社が多い会社の相談で最も多いのは、「推薦への返事が遅いことを、自社の問題だと思っていない」ことです。「紹介会社から良い人が来ない」と言いますが、紹介会社の側から見ると、推薦して一週間返事が無い会社には、良い候補者を送りません。良い候補者は、返事の速い会社に先に決まるからです。
担当者が窓口に入ると、返事が翌日になり、紹介会社の見方が変わります。「あの会社は速い」と分かれば、良い候補者を先に送ってきます。紹介会社との関係は、自社の対応の速さで決まる面があります。
発注側にできるのは、「紹介会社から良い人が来ない」の前に、「自社の返事は何日で返しているか」を見ることです。
まとめ
- 紹介会社が多すぎると返事の遅れ・重複・情報のずれ・質のばらつき・条件の不揃い・営業に時間が消える・面接官の枠が振り回される
- 棚卸しは契約を全部書き出し・会社ごとに記録を集め・過去半年〜一年・面接に進んだ数で質を見て・担当者の対応を添え・一枚の表に
- 絞る基準は面接に進む推薦・求人を聞きに来る・辞退の理由を戻す・半年動いていない・条件が極端。残す数は対応できる数(三〜五社ほど)
- 残す会社とは求人の原本・説明の場・推薦の書式・返事の期限・重複の扱い・面接の枠・結果の期限・辞退の記録・月次の共有で揃える
- 連絡は窓口一人・文の型・営業は週一でまとめて・記録を残す・条件の変更は全社に同日に書面で
- 新しい会社は数を超えない・職種の実績を聞く・条件を揃える・一求人で試す・窓口を通す・年一の棚卸し
- 外注できるのは棚卸し・材料・型・窓口の全工程。社内に残るのは絞る判断・契約・判定・内定
よくある質問
紹介会社を絞ると、候補者が減りませんか
面接に進む候補者を推薦してこない会社を絞っても、面接に進む候補者は減りません。推薦の数は減りますが、対応の手間が減り、残した会社への返事が速くなり、残した会社からの推薦の質が上がります。紹介会社は、自社を理解している数社から、面接に進む候補者が来るものです。十社から薄く来るより、三社から濃く来るほうが、採用は進みます。
絞った紹介会社に、どう伝えればよいですか
「今後、推薦はお受けしない」または「契約を休止したい」と、書面で伝えます。理由は「取引先を絞ることにした」で足ります。契約の終了の条件(予告の期間など)は契約書で確認します。伝えないまま放置すると、推薦が来続け、返事をしないことで関係が悪くなります。将来また依頼する可能性があるなら、「休止」の形で、関係は残します。
同じ候補者が複数の紹介会社から推薦されました
契約に重複の扱いが書かれていれば、それに従います。書かれていなければ、「先に推薦が届いた会社を優先する」のように、社内で基準を決め、全社に伝えます。候補者本人には、どの会社を通すかを確認します。決めていないと、内定のときに手数料の帰属で揉めます。扱いは、契約の前に決めておくことが最も安全です。契約書の条項は専門家に確認します。