採用代行 / マーケター
マーケター採用を代行に出す判断基準|任せられる工程と残す工程
マーケターの採用を代行に出すとき、「マーケティングができる人」という依頼になりがちですが、マーケターと呼ばれる職種の中には、領域の違う仕事が含まれます。広告の運用で問い合わせや購入を作る人、記事や検索で見込みを集める人、ブランドや広報で認知を作る人、既存の顧客への連絡で継続や再購入を作る人、イベントや展示会で接点を作る人。領域が違えば、経歴も、使う手法も、成果の見方も違います。さらに、施策の実行を任せるのか、戦略から任せるのか、予算はいくらあるのか、成果を何で見るのかで、同じ領域でも求める人が変わります。結論を先に書くと、マーケター採用で代行に出せるのは「探す・届ける・一次対応する・進捗を回す」で、「どの領域を採るか・実行か戦略かの決定・予算と指標の設計・施策の質の評価」は社内に残すのが線です。領域と段階と予算と指標が決まっていない募集は、代行に出しても、肩書で探すことになり、自社の課題に合わない人が来ます。営業との分担の考え方はインサイドセールス採用を代行に出す判断基準に、採用代行そのものの整理は採用代行(RPO)とはにまとめています。
マーケター採用が他の職種と違う点
一つ目は、領域が広いことです。広告運用、コンテンツと検索、ブランドと広報、顧客管理と継続、イベント。一人で全部を深く担ってきた人は少なく、求人票に「マーケター募集」だけだと、全部の領域の人が応募し、自社の課題に合う領域の人は一部です。
二つ目は、実行と戦略で求める人が違うことです。決まった施策を実行して数字を出す人と、何をやるかを決めて予算を配分する人では、経験も市場も違います。「戦略から任せる」と書いて実際は経営者が決めている会社では、戦略を求めた人が入社後に離れます。
三つ目は、予算の有無と規模で、できることが決まることです。広告の予算が無い会社で広告運用の人を採っても動けず、予算があっても規模が違えば、経験が再現されません。予算が求人票に無いと、候補者は判断できません。
四つ目は、成果の指標が会社ごとに違うことです。問い合わせの数か、獲得の単価か、認知か、継続か。指標で求める領域と人が変わり、指標が無いと「何をすれば評価されるか分からない」となります。
五つ目は、施策の質を評価する人が社内にいないことが多いことです。経営者や営業の責任者が「マーケティングは分からない」状態で採ると、面接で施策の話ができず、経験者ほど見送ります。
この五つから、代行に出せる工程が決まります。
工程ごとの「任せられる・残す」
| 工程 | 任せられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 領域の決定 | 残す | 自社の課題(問い合わせが無い、認知が無い、継続が悪い)で決まる |
| 実行か戦略かの決定 | 残す | 経営が何を委ねるかで決まる |
| 予算と指標の設計 | 残す | 予算の規模と、成果を何で見るか。経営とマーケティングの責任者で |
| 営業や事業との分担の設計 | 残す | 見込みをどこで営業に渡すか、事業側との関係 |
| 要件の決定 | 残す | 領域・段階・予算・指標から。外部は整理を手伝える |
| 求人票の作成 | 任せられる(四つが決まっていれば) | 決まったものを候補者に伝わる言葉にする |
| 媒体の選定と運用 | 任せられる | マーケターに届く媒体と経路の経験があれば |
| スカウトの検索と送信 | 任せられる | 領域と段階に合わせた検索と、文面の個別化 |
| 応募者への一次対応 | 任せられる | 連絡、日程、流れの案内 |
| 書類の一次絞り | 条件付き | 領域と段階の分類は任せられる。施策の質の妥当性は残す |
| 施策の質の評価 | 残す | マーケティングの分かる人が面接で聞く。外部は評価の型作りと記録 |
| 合否の判断 | 残す | 会社の判断 |
| 条件の決定と提示 | 残す | 会社の判断 |
| 内定後の対応 | 任せられる | 辞退を防ぐ連絡 |
線の要点は、「領域・段階・予算・指標の四つが、募集の前に社内で決まっているか」です。この四つが求人票とスカウトの中身になり、候補者が「自分の経験に合うか」を判断する材料になります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「マーケターを募集しているが、来る人の経験がバラバラで、誰を採ればよいか分からない」というご相談です。求人票を見ると、「マーケター募集。マーケティング全般」と書かれていて、領域も段階も予算も指標も無い。広告運用の人も、記事を書いてきた人も、広報の人も応募し、社内では「どれが自社に要る人か」を決めていない。求人票が、自社の課題を示していません。
見ていて差がつくのは、「自社の課題から、領域を一つに決めているか」です。「問い合わせが月に数件しか無い」なら、問い合わせを作る領域(広告運用か、コンテンツと検索か)。「認知が無くて営業が苦労している」なら、認知を作る領域。課題が決まれば領域が決まり、領域が決まれば求める経験が決まります。エラベルでは、マーケターの案件をお受けする前に、依頼側に「いま最も困っていること」を一つ伺い、そこから領域を一緒に決めています。
代行に出す前に社内で確認すること
代行に出す前に、社内で揃えておくことを六つ挙げます。
- 領域が一つに決まっているか。 広告運用、コンテンツと検索、ブランドと広報、顧客管理と継続、イベントのどれか。「全般」は市場に少なく、いても条件が高い
- 実行か戦略かが決まっているか。 決まった施策を実行して数字を出すのか、何をやるかを決めて予算を配分するのか。経営が何を委ねるか
- 予算があるか、規模はどのくらいか。 広告の予算、外注の予算、ツールの予算。無いなら、予算の無い中でできる領域(コンテンツ、顧客管理)に絞る
- 成果の指標が決まっているか。 問い合わせの数か、獲得の単価か、認知か、継続か。マーケターの働きで動かせる指標か
- 施策の質を評価する人がいるか。 マーケティングの分かる人。いなければ、外部のマーケティングの分かる人を評価だけに用意する
- 営業や事業との分担が決まっているか。 見込みをどこで営業に渡すか、事業側の要望をどう受けるか。分担が無いと、マーケターは営業の下請けになる
六つのうち、一つ目と三つ目が最も重要です。領域と予算が決まれば、できることが決まり、求める人が決まります。
マーケティングの責任者がいない会社の組み方
一人目のマーケターを採る会社、経営者や営業がマーケティングを兼ねている会社は多い。組み方を三つ示します。
一つ目は、課題を一つに絞り、その課題を解く領域の実行者を採ることです。「問い合わせを増やす」なら広告運用かコンテンツの実行者。戦略から任せる一人目は、経営がマーケティングを分かっていないと評価できず、本人も孤立します。まず実行者を採り、数字が出てから戦略の役割を広げる順番が現実的です。
二つ目は、外部のマーケティングの分かる人を、要件の整理と面接だけに入れることです。顧問、業務委託、代理店の担当。「自社の課題と予算で、どの領域の人が現実的か」を整理してもらい、面接で施策の話を聞いてもらう。
三つ目は、一人目に「仕組みを作るところから」と正直に書くことです。マーケティングの分かる人がいない会社に一人目として入ることは、裁量が大きい一方で、相談相手がいない不安があります。正直に書き、それに魅力を感じる人を探します。
どの組み方でも、「施策の質の評価を代行に任せない」ことは同じです。
代行を選ぶときの確認項目
| 確認項目 | 聞き方 | 見るポイント |
|---|---|---|
| マーケター採用の経験 | 「マーケターの採用で、どの領域の募集を担当しましたか」 | 領域の区別が付いているか |
| 経歴の読み方 | 「『マーケティング全般を担当』という経歴を、どう読みますか」 | 領域と段階と予算の規模を確かめる姿勢があるか |
| 予算と指標の扱い | 「当社の予算と指標を、候補者にどう伝えますか」 | 正直に伝える前提か |
| 実行と戦略の区別 | 「実行の人と戦略の人を、どう見分けますか」 | 段階の違いを分かっているか |
| 媒体と経路 | 「マーケターに届く経路は何ですか」 | 領域ごとのコミュニティや発信の場を知っているか |
| 担当者 | 「担当する方の経歴を教えてください」 | マーケターか近い職種の採用経験があるか。担当者の経歴を確認する |
確認の要点は、「経歴の読み方」の答え方です。「マーケティング全般の経験があれば何でもできる」と読む代行は、自社の領域と違う人を紹介します。
代行に出したあとに起きること
| 起きること | 戻し方 |
|---|---|
| 領域の違う人が応募してくる | 求人票の一行目で領域と課題を示す。検索の条件を領域で分ける |
| 面接で「予算はいくらか」と聞かれ、答えられない | 予算を決め、求人票とスカウトに書く |
| 戦略を求めた人が入社後に「経営者が全部決める」と離れる | 実行か戦略かを正直に書く。「実行が中心で、戦略は経営と一緒に」 |
| 施策の質を誰も評価できず、選考が止まる | 評価する人を用意する |
| 入社後、営業の下請けになり、離れる | 営業や事業との分担を採用の前に設計する |
戻し方の要点は、「予算と段階を、求人票の段階で正直に書く」ことです。「戦略から任せる」「予算は相談」と曖昧に書くと、面接か入社後にずれます。
エラベルの見解
担当する側から見ると、マーケターの採用で最も時間がかかるのは、依頼側の「課題」と「予算」を引き出すことです。依頼側は「マーケティングを強化したい」と言いますが、何に困っていて、いくら使えるかは、言葉になっていないことが多い。課題が「問い合わせが無い」なのか「認知が無い」なのかで領域が変わり、予算が無ければできる領域が限られます。ここを整理しないと、求人票にもスカウトにも書けません。
エラベルでは、マーケターの案件をお受けするとき、依頼側に「最も困っていること」と「使える予算の規模」を先に伺っています。決まっていれば、担当者は最初の週から領域に合う経歴を探せます。決まっていなければ、担当者の最初の仕事は、課題と予算を整理する打ち合わせの進行になります。マーケターは、探し方より、自社の課題と予算の明確さで、採れるかどうかが決まります。
まとめ
- マーケター採用で代行に出せるのは探す・届ける・一次対応する・進捗を回す。領域の決定・実行か戦略か・予算と指標の設計・施策の質の評価は社内に残す
- 他の職種と違うのは領域が広い・実行と戦略で求める人が違う・予算で できることが決まる・指標が会社ごとに違う・評価する人が社内にいないことが多い
- 代行に出す前に領域・実行か戦略か・予算・指標・評価する人・営業や事業との分担を確認。領域と予算が最も重要
- 責任者がいなければ課題を一つに絞って実行者を採る・外部のマーケティングの分かる人を評価だけに・一人目には「仕組みを作るところから」と正直に
- 代行を選ぶときは経歴の読み方の答え方を見る
- 予算と段階を求人票の段階で正直に書く
よくある質問
予算がほとんど無いのですが、マーケターを採れますか
予算が無い中でできる領域に絞れば採れます。広告運用は予算が無いと動けませんが、コンテンツと検索、既存の顧客への連絡、社内の情報の発信は、予算が小さくても進められます。求人票に「広告の予算は当面無く、コンテンツと顧客管理で問い合わせを作る」と正直に書くと、その領域の人が応募します。予算が無いことを隠して「マーケティング全般」と書くと、広告運用の人が来て、入社後に動けません。予算が無いなら、予算が無い中で数字を作った経験のある人を探します。
「戦略から任せられるマーケター」を採りたいのですが
戦略から任せるには、経営がマーケティングの判断を手放せること、予算の配分を委ねられること、施策の質を評価できる人がいることの三つが要ります。三つが無い会社で「戦略から」と書くと、戦略を求めた人が来て、入社後に「経営者が全部決める」「予算が無い」「評価されない」と離れます。三つが無いなら、まず実行者を採り、数字が出て経営がマーケティングを理解してから、戦略の役割を広げる順番が現実的です。「実行が中心で、戦略は経営と一緒に」と正直に書くと、それに合う人が来ます。
営業が「マーケティングは問い合わせを増やせばよい」と言っています
問い合わせの数だけを指標にすると、マーケターは数を作ることに集中し、質の低い問い合わせが増えて営業が疲れ、営業とマーケターが対立します。採用の前に、営業の責任者とマーケターの役割の分担(見込みをどの状態で営業に渡すか、質をどう定義するか、営業からの要望をどう受けるか)を決めます。指標は、問い合わせの数だけでなく、営業が受注につなげられた割合を含めると、質を見る指標になります。営業の責任者を面接に出すのは、この分担を候補者に確かめてもらうためでもあります。