採用代行 / マーケター
マーケター向けスカウト文面の型|刺さる訴求と外す訴求
マーケターにスカウトを送っても返信が来ない会社の文面には、共通点があります。「マーケターを募集しています」「マーケティングを一緒に強化しませんか」「成長中の当社で」と書かれていて、何の課題を、どの領域で、いくらの予算で、どこまで任されるのか、何で評価されるのかが無い。マーケターはこれを読んで、「予算が無さそう」「何をやらされるか分からない」と判断し、閉じます。結論を先に書くと、マーケターへのスカウトは、領域と段階で対象を絞り、一行目で候補者が担当した領域と改善した数字の種類の一点に触れ、自社の課題・領域・実行か戦略か・予算・指標を先に書き、会社の紹介は後ろに回す型にすると、返信が変わります。母集団形成の全体はマーケターの母集団形成に、代行に出す工程の線はマーケター採用を代行に出す判断基準にまとめています。
マーケターがスカウトを読まない理由
他の職種と共通する理由(定型文は読まれない)に加えて、マーケターに特有の理由があります。
一つ目は、予算を最初に確かめることです。マーケターの経験者は、「予算が無いのにマーケティングを強化したい会社」を最も避けます。文面に予算の規模(無いなら無いと)が無いと、「聞いたら無いと分かるだろう」と読まれます。
二つ目は、領域が分からないと判断できないことです。広告運用、コンテンツと検索、ブランドと広報、顧客管理と継続、イベント。自分の領域と合うかが分からない文面は、読まれません。「マーケティング全般」は、どの領域も示しません。
三つ目は、実行か戦略かを見ることです。「戦略から任せる」と書いて実際は経営者が決める会社を、経験者は知っています。段階が書かれていない、または「戦略から」と書いてあるのに予算や体制が伴っていない文面は、疑われます。
四つ目は、「強化」「成長」「一緒に」といった言葉に、実態の無さを感じることです。マーケター向けのスカウトは、この種の言葉で埋まっていることが多く、経験者は読み飛ばします。
この四つから、文面の型が決まります。予算を書く、領域を示す、段階を正直に、形容詞を使わない。
先に決めるのは対象:領域と段階で絞る
文面の前に、誰に送るかを決めます。マーケターでは、「領域」と「実行か戦略か」の決定が対象の絞り込みの中心です。
領域で絞ります。広告運用なら「広告運用」「獲得単価の改善」の経験、コンテンツと検索なら「記事の企画と制作」「検索からの流入の改善」の経験、顧客管理なら「既存顧客への施策」「継続率の改善」の経験。「マーケター」の肩書だけで検索すると、全部が混ざります。
段階で絞ります。実行者を採るなら、施策を自分で回して数字を出した経験がある人。戦略から任せるなら、予算を配分し、施策を設計した経験がある人。実行者を探しているのに戦略の経験者に送ると、「物足りない」と読まれ、逆なら「荷が重い」と読まれます。
予算の規模で絞ります。自社の予算と近い規模で施策を回した人。大きな予算で動いてきた人は、予算の無い自社では動けないことがあり、予算の無い中で数字を作ってきた人は、自社に合います。
対象を決めると送信数は減りますが、減った分は返信が来ない人です。スカウトの対象の絞り方も参考になります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「マーケターに数十通送ったが、返信がほとんど無い」というご相談です。文面を見ると、一行目が「マーケターを募集しております」、二行目が「マーケティングを強化し、事業を成長させる仲間を」、予算も領域も段階も無い。マーケターから見ると、疑う材料しかありません。「強化」「成長」「仲間」は、実態を書けない会社の合図として読まれています。
見ていて差がつくのは、「一行目で候補者の領域と数字に触れ、二行目で自社の課題と予算を言えるか」です。「予算の無い中から、検索の流入を記事の企画で増やされたご経歴を拝見しました。当社は、問い合わせが月に数件で、広告の予算は当面無く、コンテンツと検索で問い合わせを作る実行者を探しています」。この二行で、候補者は「自分の経験に合う」「予算が無いことを分かった上で探している」と判断します。エラベルでは、マーケターの担当者に、文面の中心を「課題と予算」にするよう最初にお願いしています。予算が無いなら無いと書く。それが訴求になります。
文面の型:一行目は候補者の領域と数字、二行目は自社の課題と予算
| 順 | 中身 | 書き方 |
|---|---|---|
| 一 候補者の経歴の一点 | 担当した領域と、改善した数字の種類、扱った予算の規模、解いた課題のどれか一つ | 「〇〇の領域で、〇〇の数字を〇〇の施策で改善されたご経歴を拝見しました」 |
| 二 自社の課題と予算 | 何に困っていて、予算はいくらか。無いなら無いと | 「当社は、問い合わせが月に数件で、広告の予算は当面無く、コンテンツで問い合わせを作りたいと考えています」 |
| 三 領域と段階 | どの領域の、実行か戦略か | 「コンテンツと検索の領域で、施策の実行を担っていただきたい。戦略は経営と一緒に決めます」 |
| 四 指標と評価 | 何で成果を見るか。動かせる指標であること | 「評価は問い合わせの数と、営業が受注につなげられた割合で見ます」 |
| 五 体制と分担 | 一人目か、チームか。営業や事業との分担。使えるツールとデータ | 「一人目のマーケターとして、営業の責任者と一緒に見込みの定義から決めていただきます」 |
| 六 いまの状態 | 何をやっていて、何が課題か。正直に | 「いまは経営者が思いつきで記事を書いている状態で、仕組みがありません」 |
| 七 プロダクトと顧客 | 何を、誰に。短く | 三行以内 |
| 八 会社の紹介 | 事業と規模を短く | 三行以内 |
| 九 次の一歩 | マーケティングの分かる人と決める人が出る短い面談 | 「経営者と一緒に、いまの数字をお見せしながら三十分ほど」 |
型の要点は、「二で課題と予算を、会社の紹介より前に書く」ことです。マーケターは、会社の事業より、課題と予算と領域と段階で判断します。予算が無いことを二で書くと、それを受け入れた人だけが読み進めます。
刺さる訴求と、外す訴求
| 刺さる訴求 | 外す訴求 |
|---|---|
| 課題の具体(問い合わせが月に数件、認知が無い、継続率が低い) | 「マーケティングを強化」「事業を成長」 |
| 予算の規模の正直な記述(無いなら無いと) | 予算を書かない。「予算は相談」 |
| 領域の明示と、実行か戦略かの正直な記述 | 「マーケティング全般」「戦略から実行まで」 |
| 動かせる指標での評価 | 「売上への貢献」だけ。動かせない指標 |
| いまの状態の正直な記述(仕組みが無い、経営者が思いつきで) | 良いことだけ |
| 使えるツールとデータの具体 | 「データドリブン」だけ |
| 営業や事業との分担の具体 | 「営業と連携」だけ |
| 一人目なら、仕組みを作る裁量と、経営が委ねる範囲 | 「裁量があります」だけ |
| 自社の数字を持てること(代理店からの転向層に) | 「幅広い経験ができる」 |
| 経営がマーケティングの結果を見て判断を変えること | 「経営直下」だけ |
訴求の要点は、「予算が無いことを隠さない」ことです。予算が無いことを書くと、返信の総数は減りますが、返信した人は予算が無いことを受け入れていて、面談後の辞退が減ります。「強化」「成長」で埋めた文面は、経験者に読まれません。
送った後の運用
返信が来たあとの運用で、マーケターに特有の注意を整理します。
一つ目は、面談にマーケティングの分かる人と、予算と段階を決める人が出ることです。マーケターの候補者は、面談で「施策の話が通じるか」と「予算と段階は本当にそうか」を確かめます。経営者が「予算はこれだけ、実行を任せ、戦略は一緒に決める」と直接話すと、候補者は実態を確かめられます。
二つ目は、面談でいまの数字を見せることです。問い合わせの数、流入の数、継続率。匿名化した形で見せると、候補者は「やること」を判断できます。数字が無い、または把握していないなら、それも正直に伝えます。
三つ目は、面談で予算と段階を再確認することです。書いてあっても、候補者は読み飛ばしていることがあります。
四つ目は、転向元ごとの確認です。代理店からの転向層には「事業会社の働き方(一つの事業を長く、自ら課題を見つける)を望んでいるか」を確かめます。
五つ目は、記録です。スカウトの重複防止も参考になります。
代行に出せる範囲
| 工程 | 代行に出せる | 社内で持つ |
|---|---|---|
| 対象の決定 | 領域と段階と予算の規模で絞る検索の条件の提案 | 領域と段階の確定 |
| 検索と一覧化 | 出せる | — |
| 文面の型作り | 出せる | 課題・予算・段階・指標・体制・状態の中身を社内が出す |
| 一行目の個別化 | 出せる。経歴の領域と数字の一点を書く | — |
| 送信 | 出せる | 名義と時間帯 |
| 返信の一次対応 | 出せる | — |
| 面談の設定 | 出せる | マーケティングの分かる人と決める人の面談の枠の確保。数字の資料の用意 |
| 面談 | — | マーケティングの分かる人と決める人が出る |
| 記録と数の整理 | 出せる | — |
分け方の要点は、「課題・予算・段階は、社内でしか出せない」ことです。代行に「マーケター向けの文面を」と頼んでも、この三つが社内から出ていなければ、代行は「強化」「成長」で埋めるしかなく、外す訴求になります。
エラベルの見解
担当する側から見ると、マーケターのスカウトで最も時間がかかるのは、依頼側から予算を引き出すことです。依頼側は「マーケティングを強化したい」と言いますが、いくら使えるかを聞くと「成果が出れば」「相談しながら」と曖昧に返ってきます。予算が無いなら無いと書く、あるなら規模を書く。ここを決めないと、文面の中心が書けず、面談で候補者の「予算は」に答えられません。
エラベルでは、マーケターの案件で担当者を紹介するとき、依頼側に課題と予算を先に決めていただき、それが担当者に渡ってから文面に入るようお伝えしています。渡らなければ、担当者の最初の仕事は、この二つを引き出す打ち合わせです。予算が正直に書かれた文面は、返信の総数は減っても、面談後の辞退が減り、入社後のずれも減ります。
まとめ
- マーケターがスカウトを読まない理由は予算を最初に確かめる・領域が分からない・実行か戦略かを疑う・「強化」「成長」に実態の無さを感じる
- 先に決めるのは対象。領域・実行か戦略か・予算の規模で絞る
- 文面の型は一行目に候補者の領域と数字の一点→自社の課題と予算(無いなら無いと)→領域と段階→指標と評価→体制と分担→いまの状態→プロダクト(短く)→会社の紹介(短く)→マーケティングの分かる人と決める人が出る面談
- 刺さる訴求は課題・予算・領域・段階・指標・状態の正直な具体。外す訴求は「強化」「成長」「全般」「戦略から実行まで」
- 面談にはマーケティングの分かる人と、予算と段階を決める人が出て、いまの数字を見せ、予算と段階を再確認
- 代行に出せるのは領域と段階で絞った検索・個別化・送信・一次対応・面談の設定・記録。課題・予算・段階は社内から
よくある質問
予算が無いことをスカウトに書いたら、返信が来ないのでは
予算のある広告運用をしたい人からは来ませんが、その人は面談か入社後に「予算が無い」と分かって離れる人です。「広告の予算は当面無く、コンテンツと顧客管理で問い合わせを作る」と書くと、予算の無い中で数字を作ってきた人が返信します。この層は、工夫の余地に魅力を感じていて、予算の潤沢な会社より自社を選ぶことがあります。予算を隠して返信をもらっても、面談で聞かれて辞退されるので、先に書くほうが互いの時間を使いません。
「戦略から任せる」と書いたほうが、優秀な人が来ませんか
戦略から任せるには、経営がマーケティングの判断を手放せること、予算の配分を委ねられること、施策の質を評価できる人がいることが要ります。三つが無いのに「戦略から」と書くと、戦略を求めた優秀な人が来て、面談か入社後に「経営者が全部決める」「予算が無い」と分かり、離れます。三つが無いなら、「実行が中心で、戦略は経営と一緒に決める」と正直に書きます。それに合う人(実行で数字を出したい人、経営と近いところで働きたい人)が返信し、入社後のずれがありません。
数字を把握していないので、面談で見せられません
把握していないなら、「数字を把握するところから一緒に」と正直に伝えます。マーケターの候補者の中には、数字が無い状態から仕組みを作ることに魅力を感じる人がいます。「いまは経営者が思いつきで記事を書いていて、数字を見ていない。一人目として、何を測るかを決めるところから任せたい」と書き、面談でも同じことを話す。数字が無いことを隠して「データドリブン」と書くと、面談で見抜かれます。無いなら無いと書き、作る人を探します。