採用代行 / マーケター

マーケターの採用要件の作り方|必須と歓迎を分ける基準

公開 2026-09-17

マーケターの求人票の必須要件には、「デジタル広告の運用経験」「コンテンツマーケティングの経験」「ブランドやPRの経験」「特定の分析ツールと広告ツールの習熟」「月額〇〇以上の予算の運用実績」「経験五年以上」が並びがちです。全部を満たす人は市場に少なく、いても大きな予算の会社にいて、予算の小さい自社には合いません。結論を先に書くと、マーケターの採用要件は、先に課題・領域・実行か戦略か・予算を決め、必須を「入社初日に自社の課題と予算で施策が成り立つか」で三つ以内に絞り、ツール・予算の大きさ・年数は必須にせず、経験の中身(何の課題を、どの領域で、いくらの予算で、どう改善したか)で書くと、自社の予算と課題で動ける人の母集団が生まれます。領域と予算を決めずに要件を積むと、全部の領域と大きな予算の要件が混ざり、誰にも当てはまらなくなります。母集団形成はマーケターの母集団形成に、代行に出す工程の線はマーケター採用を代行に出す判断基準にまとめています。

マーケターで要件が膨らむ理由

他の職種と共通する理由(現場の希望を全部書く、前任者を基準にする、失敗を避けたい)に加えて、マーケターに特有の理由があります。

一つ目は、領域を全部求めることです。広告運用、コンテンツと検索、ブランドと広報、顧客管理、イベント。一人で全部を深く担ってきた人は少なく、全部を並べると、全部を経験した人を探すことになります。

二つ目は、予算の大きさを実績にすることです。「月額〇〇以上の広告予算の運用実績」は、大きな予算の会社にいた人を選び、予算の小さい自社では再現されません。しかも、予算が大きい会社では代理店が運用していることも多く、本人の力量とは限りません。

三つ目は、ツールを必須にすることです。分析ツール、広告のツール、顧客管理のツールは、同種のものを使っていれば数週間で移行できます。ツールを必須にすると、別のツールで同じ仕事をしてきた人を弾きます。

四つ目は、「戦略から実行まで」と、段階を全部求めることです。戦略の経験者は実行を「物足りない」と感じ、実行の経験者は戦略を「荷が重い」と感じることがあります。自社が任せる段階を決めずに両方を書くと、どちらにも合いません。

五つ目は、年数です。年数と、自社の課題を解く力は一致しません。

必須と歓迎を分ける基準

基準は「入社初日に、自社の課題と予算で施策が成り立つか」です。マーケターでは「自社の課題と予算で」を先に決めます。課題が「問い合わせが無い」で予算が無いなら、予算の無い中で問い合わせを作った経験。課題が「認知が無い」で予算があるなら、予算を使って認知を作った経験。

項目の例必須になる場合歓迎になる場合
領域の経験自社の課題を解く領域の経験は必須他の領域は歓迎
予算の規模の近さ自社と近い予算の規模で施策を回した経験大きく違う規模は歓迎にとどめ、面接で確認
予算の無い中で数字を作った経験自社に予算が無い場合は必須予算がある場合は歓迎
施策を自分で回した経験(代理店任せでない)実行者を採る場合は必須戦略だけを担う場合は歓迎
予算の配分と施策の設計の経験戦略から任せる場合は必須実行者を採る場合は歓迎
数字を見て改善した経験どの領域でも必須(指標で評価する前提)
営業や事業側と連携した経験見込みを営業に渡す領域なら必須連携の無い領域なら歓迎
事業会社での経験事業会社の働き方が初日から要る場合代理店の経験でも、事業会社に移りたい動機があれば歓迎
特定のツール必須にしない。同種のツールの経験を歓迎に
予算の大きさの実績必須にしない。「自社と近い規模で」に
経験年数必須にしない

基準の要点は、「予算の大きさを実績にせず、自社と近い予算の規模で数字を作った経験を必須にする」ことです。予算の無い自社に、大きな予算の運用実績は要りません。要るのは、予算の無い中で工夫して数字を作った経験です。

エラベルの見解

相談で多いのは、「大きな予算の運用実績があって、広告もコンテンツもブランドも分かって、最新のツールを使える人」というご要望です。自社の予算は無く、課題は「問い合わせが月に数件」。この要件で来る人は、大きな予算の会社で代理店と一緒に運用していた人で、予算の無い自社では動けません。要件が、自社の予算と課題に合っていません。

見ていて差がつくのは、「自社の課題と予算から、必須を逆算しているか」です。「問い合わせが無い、予算は無い」なら、必須は「予算の無い中でコンテンツか検索で問い合わせを作った経験」「施策を自分で回した経験」「数字を見て改善した経験」の三つ。予算の大きさもツールも全部の領域も、歓迎か不要です。エラベルでは、マーケターの要件を整理するとき、依頼側に課題と予算を先に決めていただき、そこから必須を逆算しています。

必須を三つに絞る手順

マーケター向けに、絞る手順を番号付きで整理します。

  1. 課題を一つに決める。 問い合わせが無い、認知が無い、継続率が低い、など。最も困っていること。
  2. 課題を解く領域を決める。 広告運用、コンテンツと検索、ブランドと広報、顧客管理、イベントのどれか。
  3. 予算の規模を決める。 広告、外注、ツール。無いなら無いと。
  4. 実行か戦略かを決める。 経営が何を委ねるか。
  5. 現場(経営、営業、事業側、マーケティングの分かる人がいればその人)の希望を全部書き出す。 ここでは絞らない。
  6. 一つずつ、「初日に自社の課題と予算で施策が成り立つか」を問う。 成り立たないものだけ残す。
  7. 残ったものが三つを超えたら、「入社後に覚えられるか」「外注や別の担当が持てるか」を問う。 ツール、他の領域、戦略(経営が持つなら)は歓迎へ。
  8. ツール・予算の大きさ・年数を、経験の中身に書き換える。 「月額〇〇の運用実績」ではなく「予算の無い中で検索の流入を記事で増やした経験」。
  9. 歓迎に回したものを、優先順位を付けて三〜五つ書く。 面接で見る点になる。
  10. 指標と評価を、要件と一緒に確認する。 要件に合う人が、自社の指標(動かせるもの)で評価されて続けられるか。
  11. 経営・営業か事業側・マーケティングの分かる人(外部でも)・人事で確認する。 「この三つがあれば、他は入社後に補える」と言えるか。

手順の要点は、「一から四を先にやる」ことです。課題・領域・予算・段階が決まれば、必須はそこから逆算できます。

経歴で確かめられる要件と、面接でしか分からない要件

マーケターでは、経歴の実績が予算と環境で決まるので、確かめ方の区別が重要です。

確かめる方法要件の例見方
経歴で確かめられる担当した領域、扱った予算の規模、施策を自分で回したか代理店任せか、改善した数字の種類、事業会社か代理店か書類の一次絞りで。「マーケティング全般」ではなく、「何の課題を、どの領域で、いくらの予算で、どう改善したか」の記述があるかを見る
経歴では分からない課題の立て方、数字を見てどう判断したか、予算が無いときの工夫、営業や事業側との調整、経営への説明の仕方面接で、マーケティングの分かる人と決める人が聞く。「一番数字を動かした施策を、課題の把握から結果まで順に」。構造化面接
経歴でも面接でも分かりにくい実際の施策の質、自社の課題への適用力自社の課題を題材にした短い課題(負担の小さい範囲で)や、業務委託での試行

分け方の要点は、「面接で、一つの施策を課題の把握から結果まで話してもらう」ことです。実績の数字の裏に、誰が課題を立てたか、予算はいくらだったか、代理店が回したか自分が回したか、数字を見てどう直したかが、一つの施策の話で見えます。

転向層を母集団に入れる要件の書き方

マーケターは、領域ごとに経験者が分かれ、自社の領域の経験者だけを待つと母集団が狭くなります。転向層を入れる書き方を整理します。

転向元持っているもの要件の書き方面接で確認すること
代理店・制作会社のマーケター複数の顧客の施策を回した経験、手法の幅「〇〇の領域で施策を自分で回し、数字を改善した経験」事業会社の働き方(一つの事業を長く、自ら課題を見つける)を望んでいるか
隣接する領域のマーケター数字を見て改善する力、マーケティングの基礎「〇〇(自社の領域)に近い領域で数字を改善した経験」。自社の領域は入社後に領域を変える動機
営業や事業側の担当顧客の理解、営業との連携「顧客の課題を把握し、集客や継続の施策に関わった経験」。手法は歓迎に数字を見て施策を考えることに向くか
広報・編集・ライター伝える力、コンテンツを作る力「コンテンツを企画・制作し、反応を見て改善した経験」。数字で見ることは歓迎に数字で成果を見ることに慣れているか
分析やデータの担当数字を見る力「データを見て施策の改善を提案した経験」。施策の実行は歓迎に自分で施策を回す意欲があるか
マーケターの経験者領域による上の書き方で、経験者も当然に入る

書き方の要点は、「自社の領域に近い経験と、数字を見て改善した経験があれば、領域が違っても転向層に入れる」ことです。マーケティングの手法は領域ごとに違いますが、数字を見て改善する力は共通で、領域は入社後に覚えられることが多い。

要件が決まらないときの原因

原因起きていること直し方
課題が一つに決まっていない「マーケティングを強化したい」最も困っていることを一つに
領域が決まっていない「全般」課題を解く領域を一つに
予算が決まっていない「成果が出れば」「相談しながら」無いなら無いと決める。あるなら規模を
実行か戦略かが決まっていない「戦略から実行まで」経営が委ねる範囲を決める
予算の大きさとツールで書いている書きやすい経験の中身に書き換える
前任者を基準にしている「前の人はこうだった」前任者が入社時に持っていたものと、社内で身に付けたものを分ける。前任者が離れた理由も見る
マーケティングの分かる人が要件の議論にいない経営と人事だけで決めている外部のマーケティングの分かる人を要件の整理に入れる
市場の実態を知らない「この要件で普通にいるはず」代行や媒体に、その要件での人数を聞く

原因の要点は、「課題と予算が決まっていない」ことが最も多い点です。この二つが決まれば、領域と段階が決まり、必須は逆算できます。

代行に出せる工程

工程社内で持つ代行に出せる
課題・領域・予算・段階の決定判断決める打ち合わせの進行
必須と歓迎の分離「初日に成り立つか」の判断は社内問いを立て、一つずつ確認する進行
ツール・予算の大きさ・年数の書き換え中身は社内が出す経験の中身の言葉に直す
転向層を入れる要件の設計判断転向元ごとの書き方と確認の提案
指標と評価の確認経営が決める要件との整合の確認。動かせる指標の提案
市場の実態の確認判断その要件での人数を示す。転向層を含めて
求人票への反映確認書く
書類の一次絞り施策の質の妥当性領域と段階と予算の規模の分類。「何の課題を、どの領域で、いくらの予算で、どう改善したか」の記述の有無
面接で見る点の整理面接官が使う歓迎の要件と、「一つの施策を課題の把握から結果まで」の質問の案

分け方の要点は、「課題・領域・予算・段階は、社内でしか決められない」ことです。代行は、決める打ち合わせの進行と、決まったものの言語化、転向層の設計を担えます。

エラベルの見解

担当する側から見ると、マーケターの要件で最も時間がかかるのは、依頼側が「予算の大きさの実績」を手放すことです。大きな予算の運用実績が、予算の無い自社での再現を示さない、しかも代理店が回していた可能性がある、と分かるまでに時間がかかります。課題と予算から逆算すると、必須は「自社と近い予算で、自社の課題に近い課題を、自分で施策を回して改善した経験」に落ち着き、転向層が母集団に入ります。

エラベルでは、マーケターの案件で要件が整理されていない場合、担当者の最初の仕事を「課題と予算を決める打ち合わせの進行」にすることをお勧めしています。課題と予算が決まると、領域と段階が決まり、求人票の冒頭が書け、自社の予算で動ける人の母集団が生まれます。飛ばして「マーケティング全般で大きな予算の実績」を待つと、数か月が過ぎるか、来ても動けない人を採ることになります。

まとめ

よくある質問

大きな予算の運用実績がある人のほうが、安心して任せられませんか

大きな予算の実績は、大きな予算の会社にいたことの証明で、予算の無い自社での再現を示しません。しかも、大きな予算の会社では代理店が運用していることが多く、本人が施策を回した経験とは限りません。自社に予算が無いなら、予算の無い中で工夫して数字を作った経験のある人のほうが、自社で動けます。安心の根拠を予算の大きさに求めず、「自社と近い予算で、自分で施策を回して数字を改善した経験」に求めます。面接で「その施策の予算はいくらで、誰が回したか」を聞けば、実績の裏が見えます。

広告もコンテンツもブランドも一人でやってほしいのですが

全部を高い水準でこなす人は市場に少なく、いても条件が高い。「全部」で募集すると、全部の領域の人が応募し、どの領域も中途半端な人か、一つの領域が強く他は弱い人が来ます。自社の課題を解く領域を一つ決め、その領域を必須に、他は歓迎にします。一人目で一つの領域を採り、他の領域は外注や二人目で補う形のほうが、現実的です。「全部」を求めるなら、それぞれの領域の水準をどこまで求めるかを決め、面接でそれぞれの施策の経験を見ます。

自社で使っているツールの経験を必須にしてよいですか

歓迎にとどめます。分析ツールも広告のツールも顧客管理のツールも、同種のものを使っていれば数週間で移行できます。必須にすると、別のツールで同じ仕事をしてきた人を弾き、市場が狭くなります。「同種のツールの経験」と種類で書き、自社のツールは「使用しているのは〇〇」と情報として求人票に書きます。候補者は、自分の経験で移行できるかを判断できます。ツールの習熟より、数字を見て施策を改善できるかのほうが、自社で動けるかを決めます。