採用代行 / 人材紹介会社との折衝
人材紹介会社との折衝は代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方
「人材紹介会社とのやり取りを代行に出せますか」という相談の背景には、「紹介会社が多くて対応しきれない」「推薦への返事が遅れて、紹介会社から催促される」「良い候補者を推薦されたのに、社内の調整に時間が掛かって他社に決まった」があります。人材紹介会社との折衝は、求人の説明、推薦への返事、面接の日程調整、結果の連絡、条件のすり合わせ、契約と手数料の確認、取引する会社の絞り込みの繰り返しで、社内で回らないと、紹介会社から「返事が遅い会社」と見られ、良い候補者は返事の速い他社に先に推薦されます。結論を先に書くと、人材紹介会社との折衝は、「契約と手数料の判断」「内定の条件の決定」「面接」「取引を絞る最終判断」は会社が持ち、「紹介会社への求人の説明と更新・推薦の一次確認と返事・日程調整・結果の連絡・推薦の記録と紹介会社ごとの見直し・新しい紹介会社の受付」は代行に出せます。紹介会社が多すぎる場合の絞り方は紹介会社が多すぎて対応しきれないときに、採用代行と人材紹介の違いは採用代行と人材紹介の違いに書いていますので、ここでは「代行に出す」観点に絞ります。
「判断」と「やり取り」を分ける
人材紹介会社との折衝を工程に分けると、次のようになります。
一つ目は、契約と手数料です。紹介会社ごとに契約の形と手数料の条件が違い、返金の規定も違う。判断は会社で、内容の整理と比較は外の人ができます。法令に関わる部分は専門家にご確認ください。
二つ目は、紹介会社への求人の説明です。要件、なぜ採るか、日々の中身、条件、面接の流れを紹介会社に伝え、紹介会社が候補者に説明できるようにする。外の人ができ、むしろ紹介会社との共通の言葉を持つ人が向いています。
三つ目は、推薦への返事です。推薦が来たら、書類を見て、面接に進むか断るかを、当日か翌日に返す。一次確認は外の人ができ、判断に迷う人は会社に確認します。
四つ目は、面接の日程調整と結果の連絡です。紹介会社経由で候補者と日程を合わせ、面接後に結果を翌日までに伝える。外の人ができます。
五つ目は、条件のすり合わせと内定です。候補者の希望と会社の条件を紹介会社経由で合わせる。条件の決定は会社で、やり取りは外の人ができます。
六つ目は、面接です。会社にしかできません。
七つ目は、推薦の記録と紹介会社ごとの見直しです。紹介会社ごとに、推薦、面接、内定、入社を記録し、「面接に進む候補者を推薦してくる会社」を見つける。外の人ができます。
八つ目は、取引する紹介会社を絞ることと、新しい紹介会社の受付です。絞る最終判断は会社で、記録に基づく案と、新しい会社の受付は外の人ができます。
八つのうち、一の判断、五の条件の決定、六、八の最終判断は会社が持ち、それ以外は外に出せます。
代行に出せる工程と出せない工程
| 工程 | 会社が持つ | 代行に出せる |
|---|---|---|
| 契約と手数料 | 判断と締結 | 内容の整理と比較(法令に関わる部分は専門家に) |
| 紹介会社への求人の説明 | 要件と条件の提供 | 紹介会社が候補者に説明できる形にして伝える。更新のたびに共有 |
| 推薦への返事 | 判断に迷う人の確認 | 書類の一次確認、当日か翌日の返事、断りの連絡 |
| 日程調整と結果の連絡 | 面接官の予定の提供 | 紹介会社経由の日程調整、面接後の翌日までの連絡 |
| 条件のすり合わせ | 条件の決定 | 候補者の希望の聞き取りと会社への伝達、紹介会社とのやり取り |
| 面接 | 面接官が行う | 段取り |
| 推薦の記録と見直し | 見直しの判断 | 紹介会社ごとの推薦・面接・内定・入社の記録、「面接に進む推薦をしてくる会社」の提示 |
| 取引の絞り込みと新規の受付 | 最終判断 | 記録に基づく絞り込みの案、新しい紹介会社の受付と一次面談 |
表の要点は、「推薦への返事」が最も効く工程で、外に出せることです。紹介会社は複数の会社に同じ候補者を推薦していて、返事の速い会社から面接が決まります。社内で当日か翌日の返事が保てないなら、紹介会社を増やす前に、この工程を外に出します。
もう一つの要点は、「紹介会社への求人の説明」です。紹介会社の担当者は多くの求人を持っていて、説明が曖昧な求人は候補者に勧めません。要件、なぜ採るか、日々の中身、条件を、紹介会社が候補者に一言で説明できる形にして伝えると、推薦の質が変わります。推薦の質が低い場合の直し方は紹介会社の推薦の質が低いときに、候補者が来ない場合は紹介会社から候補者が来ないときに書いています。
エラベルの見解
相談で多いのは、「紹介会社と十社契約しているが、推薦がほとんど来ない」というご相談です。やり取りを聞くと、求人の説明は契約時に求人票を送っただけで、その後の更新は無く、推薦への返事は一週間後、面接の結果は紹介会社から催促されてから伝えていました。紹介会社の側から見ると、「求人の中身が分からず、返事が遅く、結果も来ない会社」で、候補者を勧める理由がありません。担当者が十社に求人を説明し直し、推薦への返事を翌日までにし、結果を面接の翌日に伝えるようにしたところ、同じ十社から推薦が増え、記録を見ると面接に進む推薦をしてくる会社は三社に絞られました。
見ていて差がつくのは、「紹介会社から見て、勧めやすい会社になっているか」です。紹介会社を増やす会社の多くは、いまの紹介会社との折衝が止まっているのに、会社の数の問題だと考えています。エラベルでは、紹介会社との折衝を任された担当者に、最初の一週間で求人を説明し直し、返事の期限を決めるところから始めてもらっています。
代行に出したほうがよい状況
次の状況では、紹介会社との折衝を代行に出したほうが進みます。
一つ目は、推薦への返事が翌日までにできていないときです。社内に見る人と見る時間が無い。この工程を外に出すと、紹介会社からの見え方が変わります。
二つ目は、紹介会社が多く、どこから何件推薦があり、どれが面接に進んだかを把握していないときです。記録と見直しを外に出すと、「面接に進む推薦をしてくる会社」が見え、絞れます。
三つ目は、求人の説明を契約時に送っただけで、その後更新していないときです。要件や条件が変わっても紹介会社に伝わっていない。説明と更新を外に出すと、紹介会社が最新の求人を候補者に勧められます。
四つ目は、紹介会社の営業が次々に来て、対応に追われているときです。新しい紹介会社の受付と一次面談を外に出すと、社内は「取引するかどうか」の判断だけで済みます。
五つ目は、専任の人事がいなくて、経営者や総務が片手間で紹介会社とやり取りしているときです。片手間だと、返事が遅れ、結果を伝え忘れ、紹介会社から見て「勧めにくい会社」になります。
代行に出さないほうがよい状況
逆に、次の状況では、紹介会社との折衝を外に出しても進みません。
一つ目は、要件と条件が決まっていないときです。紹介会社に説明する中身が無いと、折衝を外に出しても推薦は来ません。先に要件を決めます。要件の作り方は採用要件の定義の進め方に書いています。
二つ目は、面接の枠を社内で確保できないときです。返事を速くしても、面接が二週間先しか取れないと、紹介会社は他社を優先します。
三つ目は、契約と手数料の判断に時間が掛かりすぎるときです。新しい紹介会社と取引するか、手数料の条件を受け入れるかの判断が一か月掛かると、紹介会社は待ちません。判断の期限と、誰が決めるかを先に決めます。
四つ目は、「代行が紹介会社を選んで、良い候補者を連れてきてくれる」と考えているときです。取引の最終判断と契約は会社で、代行は折衝を回す役です。折衝を回しても、要件と面接の枠と条件が無ければ推薦は来ません。
担当者の選び方
紹介会社との折衝を任せる担当者は、次の点で選びます。
一つ目は、紹介会社の側を知っているかです。紹介会社の担当者が、どの求人を候補者に勧め、どの求人を後回しにするかを知っている人。紹介会社での経験があると、「勧めやすい求人の説明」を作れます。
二つ目は、推薦への返事を翌日までに回す型を持っているかです。「推薦が来たら〇時間以内に一次確認、翌日までに返事、断りは理由を添えて」の型を、過去の案件で回していた人。
三つ目は、紹介会社ごとの記録を付けて見直した経験があるかです。「この会社は推薦は多いが面接に進まない」「この会社は数は少ないが決まる」を、数字で示せる人。
四つ目は、紹介会社に対して、会社の代わりに「断る」ができるかです。合わない推薦を丁寧に断り、その理由を紹介会社に伝えて次の推薦の質を上げる人。断れない担当者は、面接の枠を合わない候補者で埋めます。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。
出す前に用意しておくもの
紹介会社との折衝を代行に出す前に、次を用意しておくと、最初の一週間が速くなります。
一つ目は、取引している紹介会社の一覧と、契約の内容と、担当者の連絡先です。担当者が現状を読むために要ります。契約の内容は、手数料と返金の規定と契約の期限を含めます。
二つ目は、要件と条件と、なぜ採るかと、日々の中身です。紹介会社に説明し直す材料です。
三つ目は、面接官の枠です。週に何回、誰が、いつ面接に出られるか。
四つ目は、判断の期限と、決める人です。推薦への返事で迷う人は誰が決めるか、新しい紹介会社と取引するかは誰が決めるか、何日以内か。
五つ目は、これまでの推薦と面接の記録です。あれば、担当者は紹介会社ごとの傾向を最初に読めます。無ければ、無いことを伝えます。
六つ目は、代行が紹介会社と直接やり取りすることを、紹介会社に伝える連絡です。代行が窓口になることを紹介会社に伝え、紹介会社が代行に候補者の情報を渡せる形にします。個人情報の扱いと、紹介会社との契約上の扱いは、専門家にご確認ください。
エラベルの見解
担当する側から見ると、紹介会社との折衝で最も効くのは、「推薦への返事を翌日までにすること」と「求人を紹介会社が候補者に一言で説明できる形にして伝えること」の二つです。前者で紹介会社から「返事の速い会社」と見られ、後者で紹介会社が候補者に勧めやすくなります。紹介会社を増やすのは、この二つを回した後です。
エラベルでは、紹介会社との折衝を任せる案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で紹介会社の一覧と契約を確認し、求人を説明し直し、返事の期限を決め、紹介会社ごとの記録を付け始めるところまでをお願いしています。契約と手数料と個人情報の扱いは、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- 紹介会社との折衝は「判断」と「やり取り」に分かれる。契約と手数料・内定の条件・面接・取引を絞る最終判断は会社。求人の説明と更新・推薦の一次確認と返事・日程調整・結果の連絡・記録と見直し・新規の受付は代行に出せる
- 最も効くのは推薦への返事を翌日までにすること。紹介会社は返事の速い会社から面接を決める
- 求人を紹介会社が一言で説明できる形にして伝えると、推薦の質が変わる
- 出したほうがよいのは返事が遅い・記録が無い・求人の説明を更新していない・営業の対応に追われている・片手間でやっているとき
- 出さないほうがよいのは要件と条件が無い・面接の枠が無い・契約の判断が遅すぎる・「代行が候補者を連れてくる」と考えているとき
- 担当者は紹介会社の側を知る・翌日までに返す型・紹介会社ごとの記録・会社の代わりに断れるで選ぶ
- 出す前に紹介会社の一覧と契約・要件と条件・面接官の枠・判断の期限と決める人・これまでの記録・紹介会社への連絡を用意する
よくある質問
代行が紹介会社と直接やり取りしてもよいのですか
代行が会社の窓口として紹介会社とやり取りする形は、実務では多くあります。ただし、紹介会社に「代行が窓口になる」ことを伝え、候補者の情報を代行に渡せるように、契約上と個人情報の扱いの上で整えておきます。紹介会社によっては、窓口の変更に手続きが要ることがあります。契約と個人情報の扱いは、専門家にご確認ください。
紹介会社を絞るのは、代行が決めてくれますか
絞る最終判断は会社です。代行は、紹介会社ごとの推薦・面接・内定・入社の記録を付けて、「面接に進む推薦をしてくる会社」と「推薦は多いが進まない会社」を数字で示し、絞り込みの案を出します。案を見て、どの会社を残すかは会社が決めます。絞り方の考え方は紹介会社が多すぎて対応しきれないときに書いています。
手数料の交渉も代行に頼めますか
手数料の条件は契約に関わるので、判断と締結は会社が持ちます。代行ができるのは、複数の紹介会社の条件を整理して比較し、「この会社はこの条件、返金の規定はこう」と並べることまでです。条件の交渉を代行が行う場合も、決定は会社で、法令に関わる部分は専門家にご確認ください。