採用代行 / SNS採用の運用

SNS採用の運用の進め方|自社でやる場合の手順

公開 2026-09-20

SNS採用を自社で進めようとして、「とりあえずアカウントを作って投稿してみる」から始めると、書けるのは求人の案内と会社の告知で、社員に頼んだ投稿は二回で止まり、コメントに気づかず放置され、承認に一週間かかって投稿の時期を逃し、三か月後には更新の止まったアカウントが会社名の検索結果に残ります。SNS採用で最初にやるべきは、投稿することではなく、「誰に届けるか」「誰の名義か」「何を出さないか」「批判が来たら誰が判断するか」を決めて、社員の負担が小さいまま続く型を作ることです。結論を先に書くと、進め方は、狙う候補者が見ている場を一つ選び名義を決める→発信しない情報の一覧と批判への対応の流れを作る→社員の顔出しの方針と同意を決める→候補者の五つの問いから投稿の型を作る→社員への週一問の質問を決める→承認を短くする型を作る→週の予定表を作り予約投稿する→コメントとDMの対応の範囲を決め、月に一度、反応と応募への影響を見る、の八つの手順です。代行に出す場合の切り分けはSNS採用の運用は代行に出せるかに、何を発信するかは採用SNSで何を発信すればよいかに書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。特定のSNSの仕様や機能には触れません。仕様は各サービスの公式情報でご確認ください。

手順の全体

手順やること誰が頻度
狙う候補者が見ている場を一つ選び、名義を決める経営者と人事最初に一度
発信しない情報の一覧と、批判への対応の流れを作る経営者と人事最初に一度
社員の顔出しの方針と同意を決める人事最初に一度、社員ごと
候補者の五つの問いから投稿の型を作る人事最初に一度
社員への週一問の質問を決める人事最初に一度、四半期に見直し
承認を短くする型を作る責任者最初に一度
週の予定表を作り、予約投稿する人事週に一度
コメントとDMの対応の範囲を決め、反応と応募への影響を見る人事対応は毎日、確認は月に一度

手順の要点は、一から三が「守り」で、四から七が「続ける型」であることです。多くの会社は四から始めて、一から三が無いまま批判が来て止まります。

手順一:狙う候補者が見ている場を一つ選び、名義を決める

狙う候補者(職種、年齢の層、転職の温度)が、日常的に見ているSNSを一つ選びます。全部で始めると続きません。名義は、会社の採用アカウントか、人事担当者の個人名義か、社員の個人名義か。個人名義は本人が書く前提で、異動や退職のときのアカウントの扱いも決めます。

名義届きやすさ続けやすさ注意
会社の採用アカウント人の顔が見えにくい担当が替わっても続く社員の言葉を載せる形にする
人事担当者の個人名義顔が見える本人の負担。異動・退職で残る本人が書く。下書きを他人が書かない
社員の個人名義最も届く本人次第。会社は管理できない会社の方針として頼まない。本人の意思で

止まりやすいのは、「若手向けだから」と場を選ぶときです。若手が使うSNSでも、転職の情報を見る場と、日常を見る場は違います。狙う候補者に「転職を考えたとき、どこを見るか」を聞くか、最近入社した人に聞きます。

手順二:発信しない情報の一覧と、批判への対応の流れを作る

発信しない情報を一覧にします。顧客名、未公開の事業、社内の数字、候補者や選考に関わる話、他社への言及、政治や社会問題への意見、社員の個人的な事情。批判や不適切なコメントが来たときに、誰に報告し、誰が判断し、返信するか削除するか静観するかをどう決めるかの流れを作ります。

反応の種類対応判断する人報告の期限
候補者からの質問決まった範囲で返信。選考に関わるものは人事に取り次ぐ担当
批判的なコメント返信せず報告責任者当日中
事実誤認に基づく指摘返信せず報告。事実を整理する責任者当日中
不適切・迷惑なコメント返信せず報告責任者当日中

止まりやすいのは、批判が来たときに担当者がその場で返信するときです。感情的なやり取りになり、広がります。「返信せず報告」を先に決めます。

手順三:社員の顔出しの方針と同意を決める

社員の名前(本名か名字か仮名か)、顔写真、職場の写真に写る人、退職したときの投稿の扱い、後から下げたいと言われたときの手順を決め、社員本人の同意を取り、記録に残します。SNSは投稿が広がるので、下げても消えないことを社員に伝えたうえで同意を取ります。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。

止まりやすいのは、「社員は嫌がらないだろう」で同意を取らずに載せるときです。後から「やめてほしい」と言われたとき、既に広がっています。

エラベルの見解

これをやる前に、先に手順二の「批判への対応の流れ」を作っておかないと、手順四以降で作った型は最初の批判で止まります。相談で多いのは、「SNSを始めて順調だったが、ある投稿に批判が付いて、それ以来投稿できなくなった」というご相談です。聞くと、批判が来たときに担当者が返信して応酬になり、経営者が「もうやめよう」と言い、アカウントが放置されていました。流れを「返信せず当日中に報告、判断は責任者」と決め直し、社員に「批判が来ても担当が判断しなくてよい」と伝えてからは、担当者は安心して投稿を再開できました。SNSが止まる原因は、投稿のネタ切れより、批判への対応が決まっていないことによる萎縮です。エラベルでSNS採用の運用を担当する人には、投稿の型を作る前に、対応の流れを会社と決めてもらっています。

手順四:候補者の五つの問いから投稿の型を作る

候補者が知りたいことは、「どんな人が働いているか」「一日はどう流れるか」「何が大変か」「なぜ続けているか」「選考で何を見るか」の五つです。この五つに沿って、投稿の型を作ります。型があれば、毎回ゼロから考えずに済みます。

問い投稿の型
どんな人が社員の一言紹介「営業の〇〇。前職は△△。入った理由は…」
一日の流れ今日の一コマ「火曜の午後、〇〇が顧客と話していた内容」
何が大変か今週きつかったこと「今週一番困ったのは…。どう乗り切ったか」
なぜ続けているか続ける理由の一言「辞めようと思ったのは…。残った理由は…」
選考で何を見るか面接官の一言「一次で聞くのは…。なぜそれを聞くか」

止まりやすいのは、求人の案内と会社の告知が投稿の大半になるときです。告知は五本に一本程度にとどめ、残りは社員の言葉にします。

手順五:社員への週一問の質問を決める

社員に投稿を書いてもらうと続きません。社員には、週に一問だけ、短い質問に答えてもらいます。「今週一番時間を使ったことは」「今週、うまくいったことを一つ」「新しく入った人に最初に教えたことは」。答えは一言でよく、人事が投稿の形にします。答える社員は職種ごとに数人を順番にし、一人あたり月に一回程度の負担にします。

止まりやすいのは、質問が抽象的で答えにくいときです。「やりがいは」ではなく「今週の火曜日、何をしていましたか」と場面で聞きます。

手順六:承認を短くする型を作る

SNSは速さが要ります。承認する人を一人にし、「投稿の案を受けて翌営業日まで」のように期限を短くします。社員の一言のような定型の投稿は、型を事前に承認しておき、個別の承認を省きます。承認で見るのは「事実の誤りと、発信しない一覧に触れていないか」だけにし、文章の好みは直しません。

止まりやすいのは、承認する人が複数いて、それぞれが直すときです。一人にします。

手順七:週の予定表を作り、予約投稿する

週に何本出すかを決め(最初は週に一本か二本)、曜日と型を固定して予定表にします。「火曜は社員の一言、金曜は今週の一コマ」のように。作った投稿は予約投稿にして、担当者が忙しい日も出るようにします。

曜日素材
火曜社員の一言(週一問の答え)前週に集めた答え
金曜今週の一コマ(写真+一文)職場で撮った写真
月に一回求人の案内募集中の求人

止まりやすいのは、本数を多く決めて続かないときです。週に一本でも、続いていれば「動いている会社」に見えます。

手順八:コメントとDMの対応の範囲を決め、月に一度、反応と応募への影響を見る

コメントとDMを毎日確認し、候補者からの質問には決まった範囲で当日中に返し、選考に関わるものは人事に取り次ぎ、批判は手順二の流れで報告します。月に一度、どの型の投稿が見られ、採用サイトや応募に進んだか、面接で「SNSを見ました」と言った候補者がいたかを見ます。

止まりやすいのは、閲覧やフォロワーの数だけを見て「増えない」でやめるときです。採用のSNSは、会社名で検索した候補者が見て、面接で言及されることが目的で、フォロワーの数は多くなくてよい。面接官に「何か見ましたか」と一言聞いてもらい、記録に入れます。

外の人に頼む場合の境目

八つの手順のうち、一の場と名義、二の一覧と対応の判断、三の方針、六の承認は会社が持ちます。四の型、五の質問の設計と回収、七の投稿の作成と予約、八の一次対応と記録は、外の人に出せます。切り分けの詳しい話はSNS採用の運用は代行に出せるかに書いています。

外に出す判断の目安は、「一から三は決めたが、投稿の作成と対応と記録に時間が取れない」ときです。一から三が無いまま外に出すと、最初の批判で止まります。

エラベルの見解

担当する側から見ると、SNS採用で会社ごとに差がつくのは、手順五の「社員への週一問」が回っているかどうかです。投稿の型と予定表は、担当者が一人で作れます。しかし、社員の言葉が無ければ、投稿は担当者の言葉になり、候補者には「会社の告知」に見えます。週一問が回っている会社では、社員の負担は月に一回一言で、担当者は毎週素材を受け取れ、投稿は社員の言葉で続きます。回っていない会社では、担当者が社員を追いかけ、答えが来ず、告知で埋めることになります。エラベルでは、SNS採用の運用を担当する人に、最初の一週間で場と名義と発信しない一覧と対応の流れを会社と確認し、週一問の質問と答える社員の順番を決め、承認の型を責任者と合意し、最初の四週分の予定表を作るところまでをお願いしています。ここまでできると、担当者は週一問の回収と投稿の作成と一次対応を回し、会社は承認と批判への判断だけになります。

まとめ

よくある質問

投稿のネタがすぐ尽きます

ネタを探すのではなく、週一問の答えを素材にします。「今週一番時間を使ったこと」「うまくいったこと」「新しく入った人に教えたこと」は毎週違う答えが返り、尽きません。五つの問いを職種と社員に掛ければ、企画は数十本になります。尽きるのは「会社の魅力」を探しているときです。場面を拾う形に変えます。ネタの作り方は採用広報のネタが尽きたときに書いています。

社員が顔や名前を出したがりません

出さなくても構いません。職種名だけ、名字だけ、写真は職場の様子や手元だけ、といった形でも、場面が具体なら候補者には届きます。方針を手順三で決め、本人の同意の範囲を記録に残します。SNSは投稿が広がって消えないことを伝えたうえで、同意を取ります。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。

始めて三か月ですが、応募につながっていません

SNSは応募を直接増やすものではなく、スカウトや媒体で会社を知った候補者が「検索した先」で見て、返信や応募の後押しになるものです。効いているかは、面接で候補者がSNSに言及するかで見ます。言及が無いなら、投稿が告知に寄っていないか、会社名で検索したときにアカウントが出てくるか、採用サイトへの導線があるかを確かめます。応募の少なさの原因が条件や選考の速さにあるなら、SNSでは解決しません。導線は採用サイトへの導線に書いています。