採用代行 / SNS採用の運用
SNS採用の運用は代行に出せるか|任せる範囲の切り分け方
「採用のSNSを始めたいが、社内に続けられる人がいないので代行に出したい」という相談は、若手や特定の職種の候補者に届く経路を増やしたい会社から来ます。出せます。ただ、SNSは「会社の人が語っている」ことが候補者に伝わって初めて効く場で、外の人が会社の代わりに投稿を作り続けると、投稿は増えても「誰が話しているのか分からない」アカウントになります。外の人が持てるのは、社員から聞き出し、投稿の形にし、出し続け、反応を拾う部分です。もう一つ、SNSは批判やトラブルが公開の場で起きるので、そこへの会社としての対応は外に出せません。結論を先に書くと、SNS採用の運用は、「使う場と発信者の名義の決定」「発信しない情報の決定」「公開の承認」「炎上や批判への会社としての対応の判断」「社員の顔出しの方針」は会社が持ち、「候補者が知りたいことに沿った投稿の企画と予定表・社員への聞き出しと投稿の原稿化・投稿の作成と予約投稿・コメントやDMの一次対応と取り次ぎ・閲覧と反応と応募への影響の記録」は代行に出せます。何を発信するかは採用SNSで何を発信すればよいかに、記事との関係は採用広報・オウンドメディアは代行に出せるかに書いていますので、ここでは「SNS採用の運用を工程に分けて出す」観点に絞ります。特定のSNSの仕様や機能には触れません。仕様は各サービスの公式情報でご確認ください。
「決める」と「回す」を分ける
SNS採用の運用を工程に分けると、次のようになります。
一つ目は、どの場を使い、誰の名義で発信するかを決めることです。会社の採用アカウントか、人事担当者の個人名義か、社員の個人名義か。狙う候補者が見ている場はどこか。会社が決めます。案は外の人が出せます。
二つ目は、発信することと、発信しない情報を決めることです。顧客名、未公開の事業、社内の数字、候補者や選考に関わる話、他社への言及、政治や社会問題への意見。会社が決めます。
三つ目は、投稿の企画と予定表を作ることです。候補者が知りたい五つ(どんな人がいるか、一日の流れ、何が大変か、なぜ続けているか、選考で何を見るか)に沿って、週に何本、何曜日に出すか。外の人ができます。
四つ目は、社員から聞き出し、投稿の原稿にすることです。社員が語る。聞き出して短い投稿の形にするのは外の人ができます。
五つ目は、公開の承認です。事実に誤りが無いか、発信しない情報が混ざっていないか。会社が承認します。承認の速さがSNSでは重要で、期限を短く決めます。
六つ目は、投稿の作成と予約投稿です。文章、写真、必要なら短い動画。外の人ができます。
七つ目は、コメントやDMの一次対応と取り次ぎです。候補者からの質問に決まった範囲で答え、応募や選考に関わるものは人事に取り次ぎ、批判や不適切なものは会社に報告する。外の人ができます。会社としての対応の判断は会社です。
八つ目は、閲覧と反応と応募への影響を記録することです。どの投稿が見られ、どの投稿から採用サイトや応募に進んだか、面接で「SNSを見ました」と言った候補者はどれか。外の人ができます。
八つのうち、一と二の決定、五の承認、七の判断は会社が持ち、それ以外は外に出せます。
代行に出せる工程と出せない工程
| 工程 | 会社が持つ | 代行に出せる |
|---|---|---|
| 使う場と発信者の名義 | 決める | 狙う候補者が見ている場の整理と案 |
| 発信しない情報 | 決める | 一覧の案 |
| 投稿の企画と予定表 | ― | 候補者が知りたい五つに沿った企画、週の予定表 |
| 社員からの聞き出しと原稿化 | 社員が語る | 短い質問で聞き出し、投稿の長さにまとめる |
| 公開の承認 | 承認する(期限を短く) | 承認の依頼と管理 |
| 投稿の作成と予約 | ― | 文章、写真、予約投稿 |
| コメント・DMの一次対応 | 対応の判断 | 決まった範囲での返信、人事への取り次ぎ、報告 |
| 閲覧・反応・応募への影響の記録 | 続けるかを判断する | 記録、月に一度の報告 |
| 炎上・批判への対応 | 判断し、会社として対応する | 早期の報告、事実の整理 |
| 社員の顔出しの方針 | 決める。同意を取る | 同意の記録の管理 |
表の要点は、「炎上・批判への対応」が会社の側にあることです。SNSは批判が公開の場で起き、対応を誤ると広がります。代行が独断で返信すると、会社の意図と違う対応になります。代行は「早く報告し、事実を整理する」までで、対応は会社が判断します。報告の基準(どんな反応が来たら何分以内に報告するか)を先に決めておきます。
もう一つの要点は、「発信者の名義」です。会社の採用アカウントを代行が運用する形と、人事担当者の個人名義を代行が下書きする形では、候補者の受け止めが違います。個人名義で代行が書くと、本人の言葉でない投稿が本人の名前で出ることになり、後で分かったときの信頼の損失が大きい。個人名義なら本人が書き、代行は企画と素材の準備にとどめます。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、「SNSは投稿を増やせばフォロワーが増えて応募につながる」というものです。実際には、採用のSNSはフォロワーの数ではなく、「候補者が会社名で検索したときに、働いている人の顔が見えるか」で効きます。ある会社では、採用アカウントで毎日投稿していましたが、内容は求人の案内と会社の告知で、フォロワーは増えず、応募にもつながっていませんでした。担当者が入って、投稿を「社員の一日」「大変だったこと」「なぜ続けているか」に寄せ、週に二本に減らし、社員に短い質問をして本人の言葉で投稿の原稿を作り、コメントへの返信を決まった範囲で当日中に返す形にしたところ、投稿は減ったのにスカウトの返信で「SNSを見ました」と書く候補者が出るようになりました。SNSで増やすべきは投稿の数ではなく、社員の言葉で語られた投稿の割合です。
代行に出したほうがよい状況
次の状況では、SNS採用の運用を代行に出したほうが進みます。
一つ目は、始めたが投稿が止まっていて、アカウントが放置されているときです。放置されたアカウントは「更新が止まった会社」に見えます。企画と予定表と投稿の作成を外に出します。
二つ目は、投稿が求人の案内と会社の告知ばかりで、社員の話が無いときです。聞き出しと原稿化を外に出します。
三つ目は、コメントやDMに返せておらず、候補者からの質問が放置されているときです。一次対応を外に出し、取り次ぎの流れを作ります。
四つ目は、投稿が効いているか分からず、続けるかどうか判断できないときです。記録と報告を外に出します。
五つ目は、社員に投稿を頼んでいるが、社員の負担が大きく続かないときです。社員は短い質問に答えるだけにし、投稿の形にするのは外に出します。
代行に出さないほうがよい状況
逆に、次の状況では、SNS採用の運用を外に出しても進みません。
一つ目は、使う場と名義が決まっていないときです。「とりあえず全部のSNSで」は続きません。狙う候補者が見ている場を一つに絞り、名義を決めます。
二つ目は、発信しない情報が決まっておらず、承認に日数がかかるときです。SNSは速さが要ります。承認が一週間かかると予定表が回りません。先に発信しない一覧を作り、承認を短くします。
三つ目は、批判やトラブルへの会社としての対応の流れが無いときです。誰に報告し、誰が判断し、どう対応するかが無いまま始めると、起きたときに混乱します。先に流れを決めます。
四つ目は、社員の顔出しや個人名義の扱いに方針が無いときです。投稿してから「やはり下げたい」となると、削除しても広がった後です。先に方針と同意の取り方を決めます。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。
五つ目は、辞退や応募不足の原因が条件や選考の速さにあるときです。SNSでは解決しません。そちらを先に直します。
担当者の選び方
SNS採用の運用を任せる担当者は、次の点で選びます。
一つ目は、採用のSNSを「候補者が検索した先」として設計した経験があるかです。フォロワーを増やす技術より、社員の言葉で語る投稿を続ける型を持っている人。
二つ目は、社員に短い質問をして、本人の言葉を残した短い投稿にできるかです。長い取材ではなく、日常の一言を拾える人。
三つ目は、コメントやDMへの一次対応を、決まった範囲で当日中に回し、範囲外は取り次ぎ、批判は早く報告する判断ができるかです。
四つ目は、発信しない情報を混ぜない慎重さと、投稿前の確認の習慣があるかです。SNSは出した後に戻せません。
五つ目は、閲覧と反応と応募への影響を記録して、「何が効いたか」を会社に戻せるかです。担当者の経歴の見方は担当者の経歴の見方に書いています。
出す前に用意しておくもの
SNS採用の運用を代行に出す前に、次を用意しておくと、最初の一週間が速くなります。
一つ目は、使う場と、発信者の名義の決定です。会社の採用アカウントか、個人名義か。個人名義なら本人が書く前提。
二つ目は、発信しない情報の一覧です。顧客名、未公開の事業、社内の数字、候補者や選考に関わる話、他社への言及、政治や社会問題への意見。
三つ目は、承認する人と期限です。SNSは「投稿の案を受けて翌営業日まで」程度の短さが要ります。定型の投稿(社員の一言など)は事前に型を承認し、個別の承認を省く形もあります。
四つ目は、コメントやDMへの対応の範囲と、取り次ぎと報告の流れです。「選考の進捗や個別の合否には答えず人事に取り次ぐ」「批判や不適切なコメントは対応せず、当日中に会社に報告する」のように決めます。
五つ目は、社員の顔出し・名前・写真の方針と、同意の取り方です。個人情報に関わる部分は専門家にご確認ください。
六つ目は、アカウントの権限の渡し方です。代行に投稿の権限だけを渡すのか、管理の権限まで渡すのか。パスワードの共有ではなく、権限を分けられる仕組みがあればそれを使います。仕様は各サービスの公式情報でご確認ください。
エラベルの見解
担当する側から見ると、SNS採用の運用で最も効くのは、「社員への質問を一つに絞って、毎週同じ曜日に聞く」ことと、「承認を短くする型を先に作る」ことの二つです。前者で社員の負担が「週に一問答える」だけになって続き、後者でSNSに要る速さが保てます。SNSが止まる原因の多くは、社員が投稿を書く負担と、承認の遅さです。エラベルでは、SNS採用の運用を任せる案件で担当者を紹介するとき、最初の一週間で使う場と名義と発信しない一覧を会社と確認し、承認の型と対応の流れを決め、社員への週一問の質問を設計し、最初の四週分の予定表を作るところまでをお願いしています。批判やトラブルへの対応、社員の方針、名義の決定は会社の役割であり、担当者は早く報告して事実を整理する立場にとどめています。
まとめ
- SNS採用の運用は「決める」と「回す」に分かれる。使う場と名義・発信しない情報・公開の承認・批判への対応の判断・社員の方針は会社。企画と予定表・聞き出しと原稿化・投稿の作成と予約・一次対応と取り次ぎ・記録は代行に出せる
- 効くのはフォロワーの数ではなく、社員の言葉で語られた投稿の割合
- 批判やトラブルへの対応は会社が判断する。代行は早く報告し、事実を整理するまで
- 個人名義なら本人が書く。本人の言葉でない投稿を本人の名前で出さない
- 出したほうがよいのは放置されている・告知ばかり・コメントに返せていない・効いているか分からない・社員の負担で続かないとき
- 出さないほうがよいのは場と名義が決まっていない・承認が遅い・トラブルの流れが無い・顔出しの方針が無い・原因が条件や速さのとき
よくある質問
会社の採用アカウントと、人事担当者の個人名義、どちらがよいですか
候補者に届きやすいのは、人の顔が見える個人名義の傾向がありますが、本人が書き続ける負担と、担当者が異動や退職したときにアカウントが残る問題があります。会社の採用アカウントは続けやすい一方、「誰が話しているか」が見えにくい。会社のアカウントで社員の言葉を載せる形が、続けやすさと届きやすさの間になります。どちらにするかは会社が決め、個人名義を選ぶなら本人が書く前提にします。
批判的なコメントが来たら、代行はどう対応しますか
決まった範囲外なので、返信せずに当日中に会社へ報告し、コメントの内容と経緯を整理して渡します。返信するか、削除するか、静観するかは会社が判断します。事前に「どんな反応が来たら何分以内に報告するか」と「判断する人」を決めておくと、起きたときに迷いません。感情的な返信を代行が独断で行う形は避けます。
投稿の効果はどう測ればよいですか
閲覧や反応の数より、「採用サイトや応募に進んだか」「スカウトの返信や面接で候補者がSNSに言及したか」で見ます。面接官に「何か見ましたか」と一言聞いてもらい、記録に入れます。言及が無いなら、投稿が告知に寄っていないか、会社名で検索したときにアカウントが出てくるかを確かめます。記事との連携は採用広報とスカウトの連携に書いています。