採用代行 / スカウト文面の作成
スカウト文面の作成の進め方|自社でやる場合の手順
スカウト文面を自社で書こうとして、媒体の送信画面を開いていきなり書き始めると、「貴殿のご経歴を拝見し、ぜひ一度お話ししたく」「当社は成長中の企業で、裁量を持って働けます」「一緒に働きませんか」の三段になります。候補者はこれを一日に何通も受け取っていて、開いた瞬間に一斉送信と読んで閉じます。文面で最初にやるべきは書き始めることではなく、「なぜ採るか」を一文にして、現場に「同業から来た人が、うちの何を良いと言うか」を聞くことです。結論を先に書くと、進め方は、なぜ採るかを一文にする→現場に中身の割合と「うちの何が良いか」を聞く→条件の数字を揃える→上司の言葉を一つもらう→型を五段で組む→層ごとに重心と外す言葉を変える→相手ごとに一点だけ差し込む→型を二つ並行して送り返信率で直す、の八つの手順で、順番を守ると、文面が「一斉送信」から「自分を見て送っている」に変わります。代行に出す場合の切り分けはスカウト文面の作成は代行に出せるかに、文面の基本の構造はスカウト文面の構造に書いていますので、ここでは自社で進める手順に絞ります。
手順の全体
| 手順 | やること | 誰が | 使う質問 |
|---|---|---|---|
| 一 | なぜ採るかを一文にする | 経営者 | 「誰が、何に、困っているか」 |
| 二 | 現場に中身の割合と「うちの何が良いか」を聞く | 人事(いなければ経営者) | 「先週の五日間、何に何割か」「同業から来た人が、うちの何を良いと言うか」 |
| 三 | 条件の数字を揃える | 人事と経営者 | 給与の範囲・勤務地・在宅・残業の実態 |
| 四 | 上司の言葉を一つもらう | 人事 | 「入った人に最初の一か月でこうしてもらう、を一言で」 |
| 五 | 型を五段で組む | 人事 | 「一点→なぜ採るか→中身の割合→条件→返信の手間を下げる一文」 |
| 六 | 層ごとに重心と外す言葉を変える | 人事 | 「この層は何を最初に見るか」「この言葉はこの層に何を伝えるか」 |
| 七 | 相手ごとに一点だけ差し込む | 人事 | 「この人の経歴で、触れる具体は何か」 |
| 八 | 型を二つ並行して送り、返信率で直す | 人事 | 「型Aと型Bの違いは一つか」 |
手順の要点は、一から四が「材料を集める」、五と六が「型を作る」、七が「送るたびに回す」、八が「見直す」であることです。書く前に材料を集めると、書く時間は短く済みます。
手順一:なぜ採るかを一文にする
「営業を募集」ではなく、「前任者の退職で既存顧客の担当が空いており、引き継いで対応してくださる方を探しています」のように、誰が何に困っていて、入った人に何をしてほしいかを一文にします。
スカウトでは、この一文が「なぜあなたに送ったか」の根拠になります。「既存顧客の担当が空いている」→「既存顧客の対応を五年されていたあなたに」とつながり、候補者は「自分を見て送っている」と読みます。
止まりやすいのは、「困ること」を書くと弱く見える気がするときです。候補者にとっては、「なぜ採るのか分からない会社」より「困っていることが具体な会社」のほうが、入ったら何をするかが見えて信用できます。
手順二:現場に中身の割合と「うちの何が良いか」を聞く
現場に二つ聞きます。一つは「先週の五日間、何に何割の時間を使ったか」。もう一つは「同業から来た人が、うちの何を良いと言うか」です。
前者は、文面の「日々の中身」になります。後者は、文面の「いまより良くなる一点」の候補になります。「前の会社は一時間あたりの件数を詰められたが、ここは詰めない」「前は提案が通らなかったが、ここは翌週に決まる」のように、同業から来た人の言葉は、同じ職種の候補者の不満にそのまま答えます。
止まりやすいのは、現場が「特に無い」と答えるときです。この場合は、「前の会社で嫌だったことで、ここでは無いことは何か」と聞き方を変えます。無いことは、候補者にとって「良くなる一点」です。
手順三:条件の数字を揃える
給与の範囲、勤務地、在宅の可否と頻度、残業の実態を数字で揃えます。「応相談」にしない。
スカウトは候補者が自分から応募していないので、条件が無い文面には返信しません。条件を書くと、合わない人は返信せず、合う人だけが返信します。返信数は減っても、面談に進む率が上がります。給与と労働時間の表記には決まりがあります。書く前に、専門家にご確認ください。
手順四:上司の言葉を一つもらう
入った人の上司になる人に、「最初の一か月でこうしてもらう、を一言で」と聞き、文面にその言葉のまま入れます。「最初の一か月は私と同行して、既存の顧客を一緒に回ります」。
候補者が見ているのは「誰の下で働くか」で、人事が書いた「先輩がサポートします」より、上司本人の一言のほうが伝わります。
エラベルの見解
相談で多いのは、「スカウト文面を自分で書いているが、返信が来ない」というご相談です。文面を見ると、「ご経歴を拝見し」「成長中の企業」「裁量」「一緒に働きませんか」で、なぜ採るかも、中身の割合も、条件も、上司の言葉も無く、全員に同じ文面でした。書いた人事の方は「何を書けばよいか分からなかった」と言っていました。手順一から四の材料を集めてもらい、それを五段に並べただけの文面に差し替えて、相手ごとに一点を差し込むようにしたところ、返信が変わりました。
見ていて差がつくのは、「書く前に材料を集めているか」と「相手ごとに一点を差し込んでいるか」です。エラベルでは、自社で文面を書きたい会社に、まず手順一から四の材料を一枚に集め、手順七の一点を差し込むところまでを試してもらっています。
手順五:型を五段で組む
材料が揃ったら、五段の型に並べます。
| 段 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 一段目 | 相手の経歴の一点に触れる(手順七で相手ごとに差し込む) | 「〇〇業界の顧客を五年担当されていた点を拝見して」 |
| 二段目 | なぜ採るか | 「前任者の退職で既存顧客の担当が空いており」 |
| 三段目 | 日々の中身の割合と上司の言葉 | 「既存対応が七割、新規が三割。最初の一か月は営業部長が同行します」 |
| 四段目 | 条件の数字と、いまより良くなる一点 | 「給与の範囲は〇〇。一時間あたりの件数は詰めません」 |
| 五段目 | 返信の手間を下げる一文 | 「まず三十分、実態と条件の話だけでも」 |
型の要点は、会社の紹介を入れないことです。会社の歴史や理念は、候補者が興味を持った後に自分で調べます。文面に入れると長くなり、一段目の一点が埋もれます。
止まりやすいのは、長くなりすぎるときです。五段で、スマートフォンの画面で一度スクロールする程度に収めます。長いと読まれません。
手順六:層ごとに重心と外す言葉を変える
送る相手の層によって、五段の重心と外す言葉を変えます。
| 層 | 重心を置く段 | 外す言葉 |
|---|---|---|
| 同じ職種の経験者 | 四段目(いまより良くなる一点) | 「未経験歓迎」「研修が充実」 |
| 隣の職種からの転向を考えている人 | 三段目(中身の割合と上司の言葉) | 「即戦力」「経験者優遇」 |
| 転職を急いでいない人 | 一段目(一点)と五段目(手間を下げる一文) | 「急募」「すぐに」 |
| 大手から小さな会社へ考えている人 | 三段目と四段目(実態と決裁の速さ) | 「裁量が大きい」だけで実態を隠す |
止まりやすいのは、一つの文面で全部の層に向けようとするときです。経験者向けに「未経験歓迎」があると経験者が離れ、転向者向けに「即戦力」があると転向者が離れます。層を決めてから、外す言葉を消します。
手順七:相手ごとに一点だけ差し込む
送るたびに、相手の経歴を読んで、一段目の一点を差し込みます。変えるのは一段目だけで、二段目以降は型のままです。
一点は、「〇〇業界の顧客を五年担当」「前任者から引き継いで対応」「小さな会社で一人で対応」のように、経歴の中の具体です。一点が見つからない人には送りません。送っても、一斉送信と読まれます。
止まりやすいのは、全文を相手ごとに書き換えようとして時間切れになるときです。一段目だけ、が原則です。送信の手順はスカウトの送信の進め方に書いています。
手順八:型を二つ並行して送り、返信率で直す
型を二つ作り、並行して送り、返信率で比べます。二つの違いは一つに絞ります。
| 比べ方 | 型A | 型B |
|---|---|---|
| 冒頭の違い | 一点→なぜ採るか | 一点→いまより良くなる一点 |
| 条件の位置の違い | 四段目 | 二段目 |
| 上司の言葉の有無 | 有り | 無し |
違いが二つ以上あると、どちらが効いたか分かりません。一つだけ変えて、数週間分の返信率で比べ、効いたほうを残して、次の違いを試します。
止まりやすいのは、「送信数が少なくて比べられない」ときです。数週間分をまとめて見ます。数十通ずつあれば傾向は見えます。返信ゼロが続くときの疑う順番は返信ゼロが続くときに疑う順番に書いています。
外の人に頼む場合の境目
八つの手順を自社でやるとき、止まりやすいのは手順二と六と七です。現場に聞き取る時間が無い、または現場が人事に本音を言わない。自社の言葉を客観的に削れない。相手ごとに一点を差し込む時間が取れない。この場合は、手順二の聞き取りと手順五から七の型の設計と差し込みを外の人に頼む選択があります。外の人は現場から本音を聞き取り、自社の言葉を客観的に削り、経歴を読んで一点を差し込めます。
手順一と三の「なぜ採るか」「条件の数字」と、自社らしさの元になる言葉と、実態との照らし合わせは、外に出せません。切り分けの詳細はスカウト文面の作成は代行に出せるかに書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、スカウト文面で最も効くのは、手順二の「同業から来た人が、うちの何を良いと言うか」と手順七の「一点の差し込み」です。前者で、同じ職種の候補者の不満にそのまま答える一文ができ、後者で「自分を見て送っている」と読まれます。「成長中の企業」「裁量」を整えるより、この二つのほうが返信に効きます。
エラベルでは、自社で文面を書きたい会社には、手順一から四の材料を一枚に集めることと、手順七の一点を差し込むことだけを先にやってもらい、型の設計や層ごとの書き分けで止まったときに担当者が入る形をお勧めしています。給与と労働時間の表記は、専門家にご確認いただくようお伝えしています。
まとめ
- スカウト文面はいきなり書き始めない。「なぜ採るか」を一文にして、現場に「うちの何が良いか」を聞くことから始める
- 手順はなぜ採るかを一文に→中身の割合と「うちの何が良いか」を聞く→条件の数字→上司の言葉→型を五段で組む→層ごとに重心と外す言葉→相手ごとに一点だけ差し込む→型を二つ並行して返信率で直すの八つ
- 一から四が材料、五と六が型、七が送るたびに回す、八が見直す
- 型は一点→なぜ採るか→中身の割合と上司の言葉→条件と良くなる一点→手間を下げる一文の五段。会社の紹介は入れない
- 層ごとに重心の段と外す言葉を変える。一つの文面で全部の層に向けない
- 変えるのは一段目の一点だけ。一点が見つからない人には送らない
- 型は二つ並行して、違いを一つに絞って返信率で比べる
- 止まりやすいのは手順二と六と七。そこだけ外の人に頼む選択がある。「なぜ採るか」「条件」「自社らしさの言葉」は外に出せない
よくある質問
会社の紹介を入れないと、どこの会社か分からないのでは
媒体の送信では、会社名は文面の外に表示されることが多く、候補者は興味を持てば自分で調べます。文面に会社の歴史や理念を入れると長くなり、一段目の一点と二段目の「なぜ採るか」が埋もれます。会社について伝えたいことがあるなら、三段目の「上司の言葉」か四段目の「いまより良くなる一点」に、具体の形で入れます。「理念を大切にしています」ではなく、「提案は翌週に決まります」のように書きます。
一点を差し込む時間が無いので、同じ文面で送ってはいけませんか
同じ文面で送ると、候補者は一斉送信と読んで閉じます。返信が来ない文面を百通送るより、一点を差し込んだ十通のほうが返信が来ます。時間が無いなら、送る数を減らして一点を差し込むか、手順七だけを外の人に頼みます。一段目だけ変えればよいので、一通あたりの時間は数分です。
型を二つ作って比べるほど、送信数がありません
数週間分をまとめて比べます。数十通ずつあれば、傾向は見えます。それでも足りないなら、比べるのを後回しにして、まず型を一つ作り、手順一から四の材料と手順七の一点を漏れなく入れることを優先します。材料と一点が入っていれば、型の細かい違いより返信への効きは大きい。比べるのは、送信数が増えてからで構いません。