スカウト代行 / Findy
Findyのスカウトテンプレートの作り方
Findyのスカウト文面には、下敷きにできる手順書があります。運営が自社メディア「エンジニア採用Lab by Findy」で求人票の設計手順を公開しており、「誰に・何を・どう伝えるか」の三段階と、「伝える相手が曖昧なままでは、何が魅力になるかを判断できません」という考え方を示しているからです。この記事では、その手順をなぞって作った文面の例を二通り出し、一文ずつどこから材料を取ったかを分解します。例文そのものより、どの材料を社内から集めれば同じ形の文面が書けるかを持ち帰ってください。以下は2026年9月24日時点で公式サイトおよび運営の自社メディアに記載されている内容に基づいており、運営はファインディ株式会社です。
文面の前に、「誰に」を二人のペルソナに分ける
運営の記事は、最初にやることを採用したい人物の具体化だとし、ターゲットとペルソナを分けて考えるよう勧めています。ターゲットは「30代のWebアプリケーションエンジニア」のように年齢や職種、経験で示した集団の属性です。ペルソナは、置かれている状況やキャリア志向、転職を考える理由、仕事を選ぶ際に重視することまで掘り下げた人物像を指します。スカウトに置き換えると、ターゲットで送る相手を決め、ペルソナで書く内容を決めるという分担になります。
記事は、同じ職種でも中身が違う二人の例を挙げています。次の表は、その二人を文面の設計に使える形に並べ直したものです。右端の列は、文面の冒頭で触れる候補者側の材料で、ここが空欄のままでは例文の形になりません。
| ペルソナ | 置かれている状況 | 響く可能性があるもの | 文面で触れる材料 |
|---|---|---|---|
| A | 受託開発で納期を優先するなか、技術負債の解消やアーキテクチャ設計に取り組めずにいる | 技術選定や上流工程へ関われること | 職歴にある担当工程、公開リポジトリの設計 |
| B | スタートアップで幅広い業務を経験したが、特定領域の専門性を高めたい | 専門性の高いメンバーと働ける環境 | 職歴の幅、深めたいと書いている領域 |
記事は、ペルソナを想像だけでつくらないよう釘を刺しています。募集背景や期待する役割を現場とすり合わせ、在籍エンジニアへのヒアリングや転職市場の情報を踏まえて、「採用したい層」と「実際に採用できる層」のギャップを調整する、という手順です。例文を書く前に、この二人のどちらを狙うのかを現場と決めておきます。
例文A:上流に関われずにいる人へ
ペルソナAに送る文面の例です。◯◯の部分は自社の事実に置き換えて使います。この人には、任せる工程の話を先に出し、会社の紹介は求人票に預けます。
件名:受託での設計のご経験について(◯◯基盤の技術選定から)
はじめまして。株式会社◯◯で採用を担当している△△です。職歴に、納期の厳しい受託案件で既存システムの改修を続けてこられたことが書かれていて、公開されているリポジトリでは設計の見直しを試みたコミットも拝見しました。
弊社ではエンジニアが要件定義の前の議論から参加し、技術選定や設計を主導しています。いま◯◯基盤の作り直しを控えていて、その方針を一緒に決めてくださる方を探しています。
求人票に、現在の構成とこれから変えたい部分を書いています。まずはそちらをご覧いただき、気になる点を質問いただくだけでも構いません。
二段落目の一文目は、運営の記事にある変換の例をそのまま自社の事実に置いたものです。記事は「ビジネスサイドとエンジニアの距離が近い」と書くだけでは伝わらず、上流工程に関わりたい人には「エンジニアが要件定義前の議論から参加し、技術選定や設計を主導できます」と伝えるよう勧めています。冒頭の段落は、候補者向けサイトにあるGitHub連携やキャリア分析で候補者自身が把握している経験に触れる部分です。候補者はスキル偏差値や想定年収という自分の数字を持っているので、「高い技術力をお持ちで」といった評価の言葉より、どこを見たかを書くほうが伝わります。
例文B:専門性を深めたい人へ
ペルソナBには、環境と課題を前に出します。幅広く経験してきた人は、次の職場で何を深められるかを見ているので、誰と働くかとまだ解けていない課題を具体的に書きます。例文Aと比べると、職歴への触れ方が「担当した工程」から「経験の幅と、深めたい領域」に変わっています。
件名:◯◯領域を深める環境について
はじめまして。株式会社◯◯の△△です。プロフィールで、少人数の組織で開発から運用まで幅広く担当されてきたこと、今後は◯◯領域を深めたいと書かれていたことを拝見しました。
弊社の◯◯チームには、この領域を専門にしてきたメンバーが◯名います。一方で、◯◯の性能改善はまだ手が回っておらず、そこを任せられる方を探しています。
新規開発と並行してリファクタリングに取り組む時間を確保しており、ライブラリや開発ツールの更新は現場の提案で決めています。企業ページの技術ブログに、最近の取り組みを載せています。
二段落目は、運営の記事にある募集背景の書き方を一行に縮めたものです。記事は、欠員補充や事業拡大とだけ書かず、目指している状態、現在の状況、その間にある課題を順に伝えるよう勧め、シニア層には完成された組織に見せるより、まだ解決できていない課題とそれを任せたい理由を率直に示すほうが貢献のイメージにつながる、と書いています。三段落目は、「開発環境が良い」の代わりに記事が挙げている言い換えを、自社で事実として言える場合に使う形です。事実でなければ、この一文は書けません。
エラベルの見解
例文を見て「うちでも書ける」と感じた方は、まず括弧の中身を埋めてみてください。◯◯に入る事実が出てこない箇所は、文章力ではなく材料の不足です。運営の記事が、事業・プロダクト、開発組織・文化、開発プロセス・環境、キャリア、経営・ビジョンの五つの観点で事実を集め、既存社員に「なぜこの会社へ入社したのか」「仕事のどこに面白さを感じているのか」「前職と比べて働き方がどう変わったのか」を聞くよう勧めているのはこのためです。代行会社に文面を頼んでも、この棚卸しは社内の人にしかできません。同じ料金でも、最初の打ち合わせで社員への聞き取りまで段取りする担当者と、送信作業から入る担当者とでは、書ける文面の具体性が変わります。
例文を崩さないための言い換え表
例文の形は、抽象的な言葉が一つ入るだけで崩れます。運営の記事は「裁量がある」「開発文化が良い」「成長できる」といった言葉を、他社との差別化を生みにくく働く環境を伝えきれない表現として挙げ、自社を評価する言葉ではなく、実際の行動や仕組みを示すことが重要だとしています。次の表は、よく使われる言葉を、記事の考え方に沿ってどう置き換えるかと、その材料をどこから取るかを並べたものです。
| つい書く言葉 | 置き換える方向 | 材料の出どころ |
|---|---|---|
| ビジネスサイドとの距離が近い | 要件定義前の議論から参加し、技術選定や設計を主導できる | 現場エンジニアへの聞き取り |
| 開発環境が良い | リファクタリングの時間の確保、現場の提案によるツール更新 | 開発プロセスの実態 |
| AIを活用している | どの工程で使い、どの程度のメンバーが日常的に使っているか | 利用状況の確認 |
| 裁量がある | 何を誰が決めているか、稟議が要るのはどんなときか | 意思決定の流れ |
表の右端が埋まらない言葉は、文面から外します。記事は、採用担当者が柔軟な働き方を強みだと考えていても、現場のエンジニアは技術的な意思決定の速さに価値を感じているかもしれない、とも指摘しています。置き換えの前に、社内で何が強みだと思われているかのずれを確かめておくと、例文の二段落目が書きやすくなります。
企業ページと求人票に預けて、文面を短くする
Findyの企業ページは、ミッション、ビジョン、プロダクト、インタビュー、技術ブログ、メンバー、会社概要、利用技術、関連リンクで構成されていました。利用技術は言語、フレームワーク、インフラ・ミドルウェア、開発ツールに分かれ、技術ブログは記事のタイトルと技術タグ、公開日が一覧で並びます。候補者はこれを見られるので、技術スタックの一覧やメンバーの顔ぶれを文面で並べ直す必要はありません。例文の最後の段落が、どれも求人票か企業ページへの案内で終わっているのはこのためです。
運営の記事は求人票について書かれたものなので、スカウトに移すときには書き分けが要ります。求人票は不特定多数が読み、スカウトは一人に宛てて書くという違いがあるからです。次の表は、同じ項目を求人票とスカウト文面でどう扱い分けるかを整理したものです。
| 項目 | 求人票 | スカウト文面 |
|---|---|---|
| なぜあなたか | 書けない(不特定多数が読む) | ここが本体になる |
| 事業内容 | 現在地を示す数字まで書く | 一行に圧縮するか、求人票に譲る |
| 募集背景 | 目指す状態・現状・課題の順で書く | 課題を一つだけ取り出す |
| 業務内容 | 日々の仕事を想像できる粒度で | 入社直後に任せたいことだけ |
コーポレートサイトは、サービスを「独自に開発したAIでエンジニアのスキルと企業の求人票を解析し、最適なマッチングを実現」と説明しています。求人票は掲載物であると同時にマッチングの入力なので、文面を磨く前に求人票を仕上げておく順番になります。運用の進め方はFindyのスカウト運用設計、条件の組み方はFindyの検索条件の組み方にまとめています。
エラベルの見解
運営が求人票の書き方をここまで丁寧に公開している媒体は多くなく、求人票の出来が結果を左右すると運営自身が考えている、と読むのが自然です。相談の場では、スカウト文面の言い回しを何度も直しているのに、求人票は掲載したときのまま、という状態をよく見ます。この媒体ではその順番が逆で、例文の最後の一文が求人票への案内である以上、案内した先が弱ければ文面の努力は回収されません。文面の比較テストを始める前に、求人票を運営の三段階で一度書き直す時間を取ることを、私たちは最初の提案にしています。担当者を選ぶときも、文面の添削より先に求人票の書き直しを言い出す人かどうかを見ると、この媒体での進め方が合うかが分かります。
まとめ
- Findyの運営は、求人票の設計手順(誰に・何を・どう伝えるか)を公開しており、スカウト文面もその手順で組み立てられる
- ターゲットで送る相手を決め、ペルソナで書く内容を決める。例文の冒頭は、候補者が把握している経験に触れる
- 例文の◯◯が埋まらない箇所は材料の不足。五つの観点での事実の棚卸しと社員への聞き取りは社内でしかできない
- 「裁量がある」「開発環境が良い」といった言葉は、実際の行動や仕組みに置き換え、材料がなければ書かない
- 技術スタックやメンバーは企業ページに預け、文面は「なぜあなたか」と課題一つに絞る。求人票は文面より先に仕上げる
よくある質問
Q. 例文はそのまま使ってもよいですか
構成は使えますが、文そのものの流用はお勧めしません。候補者はスキル偏差値や想定年収といった自分の数字を持っており、どこを見て送ったかが書かれていない文面は評価の言葉だけが残ります。◯◯の部分に自社の事実と相手の経歴を入れられるかどうかで判断してください。
Q. ペルソナは何人分つくればよいですか
公式に目安は示されていません。この記事では、運営の記事が挙げている二人の例に合わせて二通りの例文を出しました。まずは一つのポジションで二人程度に絞り、現場とすり合わせてから増やすと、文面の材料集めが追いつきます。
Q. 求人票とスカウト文面は、どちらを先に直すべきですか
求人票が先です。コーポレートサイトの説明では、求人票もAIの解析対象になっており、候補者が比べるために読む対象でもあります。文面から案内する先が求人票である以上、そこが弱いままでは文面の改善が結果につながりにくくなります。
※料金・通数・機能の条件は変わります。掲載した内容は2026年9月24日時点で公式サイトおよび運営の自社メディアに記載されているものであり、実際の条件は運営にご確認ください。