スカウト代行 / 経営企画
経営企画へのスカウト文面の型|件名と本文の順番
経営企画へのスカウトで返信が来ない文面には、共通する型があります。件名が「経営者の右腕募集」、本文が「裁量が大きく、成長企業で経営に近い仕事ができます」で、相手の経歴には触れていない。経営企画は、どの会社も「右腕」「裁量」「経営に近い」と書くので、読む側は言葉を信じていません。知りたいのは、実際に経営者が何を委ねる気があるのか、経営会議で何が決まるのか、いまどの段階の会社なのか、経営者がどういう人か、そして自分の企画や案件のどこを見て送ってきたのか。ここが書いてある文面に返信が来て、書いてない文面は開かれずに終わります。結論を先に書くと、件名は相手の企画や案件の一点と自社の中身と段階、本文は「一行目→事業の中身と段階→経営者が委ねる範囲を経営者の言葉で→経営会議で何が決まるかといまの状態と出口→経営者がどういう人か→条件の幅→経営者と直接話す締め」の順で組みます。経営企画に何を訴求するかは経営企画向けスカウトの訴求に書いていますので、ここでは「件名と本文の型」に絞ります。
先に決めるのは「経営者が委ねる範囲」
文面を書く前に、経営者に「この人に何を委ねる気があるか」を、経営者の言葉で聞いて決めます。経営企画は、会社によって中身が全く違います。中期計画の策定と進捗管理、予算と管理会計、新規事業の検討、M&Aや資金調達、取締役会や経営会議の運営、経営者の代わりに現場を動かすこと。「経営企画全般」で送ると、読む側は「結局は資料作りの雑用ではないか」と疑います。
| 決めること | 文面のどこに使うか |
|---|---|
| 経営者が委ねる範囲(経営者の言葉で) | 本文の三段目。「右腕」と書かずに範囲を書く |
| 事業の中身と段階(何をしていて、いまどこか) | 件名と本文の二段目 |
| 経営会議で何が決まるか(形だけか、実際に決まるか) | 本文の四段目 |
| いまの状態と出口(何が足りず、入ったら何が変わるか) | 本文の四段目 |
| 経営者がどういう人か(経歴、決め方、任せ方) | 本文の五段目 |
止まりやすいのは、経営者に聞かずに人事が「右腕」「裁量」で書くときです。経営者の言葉で書いた文面と、人事の言葉で書いた文面は、読む側に区別がつきます。
件名の型
件名は「相手の企画や案件の一点+自社の中身と段階」です。「右腕」「裁量」「経営企画募集」は、経営企画の受信箱では埋もれます。
| 型 | 例の形 |
|---|---|
| 相手の一点+中身と段階 | 「〇〇(相手の案件)のご経験について|〇〇(事業)を〇〇(段階)で進める会社の経営企画」 |
| 相手の一点+委ねる範囲 | 「〇〇(相手の企画)の進め方を見て|〇〇(範囲)を委ねる経営企画の一人目」 |
| 相手の転向元+中身 | 「〇〇(ファーム・金融)で〇〇をされてきた方へ|〇〇(事業)の経営企画」 |
件名でやってはいけないのは、「右腕」「裁量」「急成長」「経営に近い」だけで組むこと、相手の名前や会社名だけを入れて中身を書かないこと、伏せ字で煽ることです。件名のNGはスカウト件名のNG例に書いています。
本文の型
本文は七段で組みます。読む側が最初に見るのは一行目と、「経営者が委ねる範囲」です。
| 順 | 書くこと | 長さ | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一 | 相手の企画や案件の一点(何を見て送ったか) | 一〜二文 | 経歴の要約ではなく、一点に絞る |
| 二 | 事業の中身と段階(何をしていて、いまどこか) | 二〜三文 | 「成長企業」ではなく、事業と段階を具体に |
| 三 | 経営者が委ねる範囲(経営者の言葉で) | 二〜三文 | 「右腕」「裁量」と書かず、何を委ねるかを書く |
| 四 | 経営会議で何が決まるか、いまの状態、出口 | 二〜三文 | 足りないものを隠さない。入ったら何が変わるかを書く |
| 五 | 経営者がどういう人か(経歴、決め方、任せ方) | 一〜二文 | 良く見せず、事実を書く |
| 六 | 条件の幅(報酬、役職、株式報酬があれば) | 一〜二文 | 幅で書く。決まっていないことは決まっていないと書く |
| 七 | 締め(経営者と直接話す場、選考の前の面談) | 一文 | 応募を求めず、経営者と話す場を出す |
止まりやすいのは、三段目を「経営者の右腕として幅広く」で書くときです。経営企画の読む側は「幅広く」を「何でも屋」と読みます。
転向元で一行目を変える
経営企画への転向元は、大きく四つあります。一行目と、重心を置く段が変わります。
| 転向元 | 一行目の変え方 | 重心を置く段 |
|---|---|---|
| ファーム出身(コンサル) | 案件の業界と課題の一点に触れ、「提言までではなく実行まで」の違いに先に触れる | 三段目(委ねる範囲)と四段目(出口) |
| 事業会社の経営企画 | いまの会社の企画や案件の一点に触れ、「いまの会社と何が違うか」(段階、委ねる範囲、経営会議の実質)を書く | 三段目と四段目 |
| 金融出身(銀行・証券・投資) | 案件や担当の一点に触れ、財務やM&Aの経験が活きる範囲を書く | 二段目(中身と段階)と三段目 |
| 事業部門(事業企画・営業企画) | 担った企画や数字の一点に触れ、事業を知っていることが活きる範囲と、経営の視点を広げる場を書く | 三段目と五段目(経営者) |
止まりやすいのは、四つの転向元に同じ一行目を送るときです。ファーム出身に「実行まで」を書かず、事業部門に「経営の視点」を書かないと、自分に来た文面だと読まれません。
エラベルの見解
相談で最も多いのは、「右腕、裁量、成長企業で送っているのに返信が来ない」という会社です。文面を見ると、経営者が委ねる範囲が書いてなく、経営会議で何が決まるかも、いまの段階も、経営者がどういう人かも書いてない。読む側は、経営企画の求人を何通も受けていて、「右腕」と「裁量」の言葉は読み飛ばします。ある会社では、担当者が経営者と話して、委ねる範囲を「中期計画の策定は経営者が持つ。予算の配分の案と、事業ごとの撤退と継続の判断材料は、この人が作って経営会議に出す。経営会議は月に一度で、そこで決める」と、経営者の言葉で書き直しました。件名を「〇〇(相手の案件)のご経験について|〇〇を〇〇の段階で進める会社の経営企画」に変え、一行目を相手の案件の一点にしたところ、事業会社の経営企画から返信が来て、面談で「委ねる範囲が書いてあったので、雑用ではないと分かった」と言われました。経営企画の文面は、良く見せる言葉を削り、経営者の言葉で範囲を書くほうが届きます。
書いてはいけないこと
- 「経営者の右腕」「裁量が大きい」「経営に近い」だけで中身を書かない
- 「急成長」「上場準備中」を、段階と状態を書かずに使う
- 経営会議が形だけなのに「経営の意思決定に関われる」と書く
- 経営者の性格や任せ方を良く見せる(実態と違えば面談で分かる)
- 報酬や株式報酬を、決まっていないのに決まっているように書く
- 相手の現職や前職を批判する(「いまの会社では裁量が無いのでは」)
- 応募を求める締め(「ぜひご応募ください」)
送る前の確認
| 確認すること | 見る場所 |
|---|---|
| 一行目が相手の企画や案件の一点になっているか | 本文の一段目 |
| 「右腕」「裁量」「経営に近い」で範囲をごまかしていないか | 本文の三段目 |
| 委ねる範囲が経営者の言葉になっているか(人事の言葉でないか) | 本文の三段目 |
| 経営会議で何が決まるかが実態どおりか | 本文の四段目 |
| いまの段階と足りないものを隠していないか | 本文の二段目と四段目 |
| 転向元に合う一行目と重心になっているか | 本文の一段目と重心の段 |
| 締めが経営者と話す場になっているか | 本文の七段目 |
返信が来ないときの直す順番
| 順 | 直すところ | 見る指標 |
|---|---|---|
| 一 | 件名(相手の一点+中身と段階になっているか) | 開封 |
| 二 | 一行目(相手の企画や案件の一点か、経歴の要約か) | 開封後の返信 |
| 三 | 三段目(委ねる範囲が経営者の言葉か) | 返信の中身(「詳しく聞きたい」が出るか) |
| 四 | 四段目(経営会議の実質、段階、出口) | 面談での質問(ここを聞かれるなら書き足りない) |
| 五 | 送る相手(転向元と段階が合っているか) | 返信率が転向元で違うか |
一度に全部を変えず、一つずつ変えて比べます。比べ方はスカウト文面のA/Bテストに書いています。
エラベルの見解
担当する側から見ると、経営企画の文面で会社ごとに差がつくのは、「経営者が担当者に委ねる範囲を自分の言葉で話す時間を取るか」です。文面の型は同じでも、経営者が「右腕が欲しい」としか言わない会社では、担当者は「右腕」以上のことを書けません。経営者が「中期計画は自分が持つ。予算の配分の案と撤退の判断材料はこの人に作ってもらい、月一の経営会議で決める。いまは自分が全部やっていて回らない」と話した会社では、文面がそのまま経営者の言葉になり、返信が来ました。エラベルで経営企画のスカウトを担当する人には、文面を書く前に、経営者に「何を委ねるか、何は自分が持つか、経営会議で何が決まるか、いま何が回っていないか」を直接聞いてもらっています。対象の絞り方は経営企画を探すときの検索条件に書いています。
代行に出す場合の範囲
担当者が持つのは、経営者から委ねる範囲と経営会議の実質と段階を聞き出すこと、相手の企画や案件の一点を読んで一行目を書くこと、転向元ごとに文面を分けること、返信率を見て件名と一行目と三段目を直すこと、です。会社が持つのは、経営者が担当者に話す時間、委ねる範囲と条件の幅の決定、経営者と直接話す場の設定、面談で文面と実態がずれないこと、です。担当者が経営企画の経歴(ファーム、事業会社、金融、事業部門)を読める経験があるかは、担当者を選ぶときに確かめます。
まとめ
- 件名は相手の企画や案件の一点+自社の中身と段階。「右腕」「裁量」「経営企画募集」は埋もれる
- 本文は一行目→中身と段階→経営者が委ねる範囲を経営者の言葉で→経営会議の実質といまの状態と出口→経営者がどういう人か→条件の幅→経営者と直接話す締めの順
- 「右腕」「裁量」「経営に近い」と書かず、何を委ねるかを書く
- 転向元(ファーム出身・事業会社の経営企画・金融出身・事業部門)で一行目と重心を変える
- 経営会議が形だけなら書かない。段階と足りないものを隠さない
- 返信が来ないときは件名→一行目→三段目→四段目→送る相手の順で一つずつ直す
よくある質問
経営者が忙しくて話す時間が取れません
経営企画の文面は、経営者の言葉で委ねる範囲を書けるかで決まるので、話す時間を取らずに書いた文面は返信が来にくいです。三十分でよいので、「何を委ねるか、何は自分が持つか、経営会議で何が決まるか、いま何が回っていないか」の四つだけを聞きます。四つが取れれば、文面は担当者が書けます。経営者が話す時間を取れない会社は、入社後も経営者が経営企画に時間を割けないことが多く、そのことは面談で相手に伝わります。
「右腕」と書かずに、どう書けばよいですか
委ねる範囲を、経営者が持つものと分けて書きます。「中期計画は経営者が持ち、予算の配分の案と事業の撤退と継続の判断材料をこの人が作り、月一の経営会議で決める」のように、何を作り、誰が決め、どの場で決まるかを書くと、「右腕」より具体で、読む側が自分の仕事を想像できます。株式報酬や役職があれば、幅で書き添えます。
経営会議が形だけで、実質は経営者が一人で決めています
実態を書きます。「いまは経営者が一人で決めていて、経営会議は報告の場になっている。この人に判断材料を作ってもらい、経営会議で決める形に変えたい」と書けば、それは正直な出口です。「経営の意思決定に関われる」と書いて、入ってから一人で決めていると分かると、早く辞めます。形だけの会議をどう変えたいかを書くほうが、経営企画の読む側には響きます。