人事副業 / スカウト代行
スカウト代行の副業案件|求められる経験と進め方
人事の副業案件の中で、スカウト代行は募集の数が多い部類に入ります。企業がダイレクトリクルーティングの媒体を契約したものの、送る人がいない、送っても返信が来ない、という状態で外に出すからです。ただ、「スカウト文面を書く仕事」と思って受けると、実際の中身とずれます。文面は全体の一部で、要件の聞き取り、検索条件の設計、送信、返信対応、日程調整、報告までが一続きです。結論を先に書くと、スカウト代行の副業案件は、「文面だけ」「検索と送信」「運用一式」「立ち上げ支援」の四つの型に分かれ、求められるのは、自社でスカウトを回して返信率を見ながら直した経験と、対象の職種の経歴を読める力です。進め方は、聞き取り→検索条件→文面の初稿と承認→送信と返信対応→週次の報告の順で、外部の立場で踏み込まない線(合否・年収・ターゲットと文面の最終決定・名義)を先に決めておきます。副業全体の始め方は人事の副業の始め方に、法令の線は副業で法令違反をしないためにに書いています。ここでは、スカウト代行の案件に絞ります。
スカウト代行の案件の四つの型
案件の募集文は「スカウト業務」と一言で書かれていることが多いですが、切り出される範囲は四つに分かれます。受ける前に、どの型かを確かめます。
| 型 | 任される範囲 | 依頼側が持つこと | 受ける側の稼働の性質 |
|---|---|---|---|
| 文面だけ | 件名と本文の作成、既存の文面の改善 | 検索、送信、返信対応 | 短時間で区切れる。返信率が見えないと直せない |
| 検索と送信 | 検索条件の設計、対象の絞り込み、送信 | 文面(既存)、返信対応 | 送信数に比例して時間がかかる。媒体のアカウントが要る |
| 運用一式 | 聞き取りから送信、返信対応、日程調整、報告まで | 要件の決定、面接、合否 | 平日の返信対応が要る。週次の報告が中心 |
| 立ち上げ支援 | 媒体の選定の補助、要件の整理、検索条件と文面の型作り、社内への引き継ぎ | 媒体の契約、送信、以後の運用 | 期間が決まっている。終わったら手を離す |
止まりやすいのは、「文面だけ」の型で受けたのに、返信率が悪いのは文面のせいだと言われるときです。検索条件と送る相手が合っていなければ、文面をどう直しても返信は来ません。文面だけを受けるなら、検索条件と送信の結果を見せてもらう約束を先にします。
求められる経験を棚卸しする
依頼側が見ているのは、「スカウトを書いたことがあるか」ではなく、「返信率を見て直したことがあるか」です。社内でスカウトを運用した経験を、次の四つに分けて棚卸しします。
| 経験 | 依頼側にとっての意味 | 棚卸しの書き方 |
|---|---|---|
| 媒体を使って送った経験 | 媒体の画面と検索の癖を知っている | 使った媒体の名前と、担当した職種 |
| 返信率を見て文面と条件を直した経験 | 送って終わりではなく、直せる | 何を変えて何が変わったか(社内の数字は許可の範囲で) |
| 対象の職種の経歴を読める | 検索条件を経験で組める。送る相手を選べる | 読める職種(エンジニア、営業、経理など) |
| 現場や経営者から要件を聞き取った経験 | 「良い人」を検索条件に落とせる | 誰から何を聞いて、どう条件にしたか |
四つのうち、二つ目と三つ目が弱いと、案件は取れても続きません。逆に、一つ目(媒体の経験)は、媒体が違っても構造は似ているので、あとから補えます。「〇〇(媒体)の経験が無い」で諦める必要はありません。
エラベルの見解
担当する側から見ると、スカウト代行の案件は、「返信率の責任をどこまで持つか」で難易度が変わります。文面だけを受けて返信率の責任を持たされる案件は、自分で動かせない要因(検索条件、送る相手、会社の条件そのもの)で評価されるので、続きません。運用一式を受けて、要件の聞き取りから返信対応まで持てる案件は、責任は重く見えますが、直す手段を自分が持っているので、結果が出せます。エラベルで担当者を選ぶ企業に、私たちがまず聞くのは「担当者に何を任せて、何を社内に残すか」です。任せる範囲と責任の範囲がずれている案件は、受ける側にも企業にも良い結果になりません。募集文を読むときは、「何をやるか」より「何の数字で評価されるか」を先に見て、その数字を自分で動かせる範囲が任されているかを確かめてください。
進め方の順番
受けたあとの進め方は、型が違っても骨格は同じです。順番を飛ばすと、あとで戻ることになります。
| 順 | やること | ここで決めておくこと |
|---|---|---|
| 一 | 聞き取り(要件、対象の職種、これまでの送信と返信の状況、会社の条件) | 要件の最終決定者は誰か。現場に直接聞けるか |
| 二 | 検索条件の設計(必須と歓迎を分け、経験の言葉で組む) | 条件の案を誰が承認するか |
| 三 | 文面の初稿と承認(件名と本文、転向元ごとの一行目) | 文面の最終決定者は誰か。名義は誰か |
| 四 | 送信と返信対応(送る順、返信への一次対応、日程調整) | 返信対応の速さの目安と、対応できる時間帯 |
| 五 | 週次の報告(送信数、開封、返信、面談の数と、次に直すこと) | 報告の形式と、誰が読むか |
| 六 | 月次の見直し(条件と文面の直し、対象の広げ方) | 見直しの会議を誰と持つか |
止まりやすいのは、聞き取りを飛ばして、既存の文面を直し始めるときです。要件が「良い人」のままでは検索条件が組めず、文面も直せません。聞き取りに時間を取る約束を、受ける前にします。聞き取りの仕方はヒアリングの技能に書いています。
外部の立場で踏み込まない線
スカウト代行は、候補者に直接触れる仕事なので、線を先に引いておきます。
- 合否の判断と年収の提示はしない。 候補者から聞かれたら、「会社が判断します」と返し、会社に渡す
- ターゲットと文面の最終決定は会社が持つ。 報酬を受けて企業に代わって候補者を募集する行為は、職業安定法上の論点になることがあると整理されています。誰が最終的に決めるかを書面で確かめ、個別の判断は専門家にご確認ください
- 名義を確かめる。 会社の担当者の名義で送るのか、自分の名前を出すのか。名義の人が返信を読める状態にする
- 候補者の情報を自分の端末に残さない。 媒体の中で完結させ、必要な情報は会社の管理する場所に置く
- 会社の条件そのものを変えない。 「年収を上げれば返信が来ます」は提案として出し、決めるのは会社
線の引き方の詳細は副業で法令違反をしないためにと候補者への対応に書いています。
エラベルの見解
相談で最も多い思い込みは、企業側の「スカウトは外に出せば返信が来る」と、受ける側の「文面がうまければ返信が来る」の両方です。実際には、返信率は「会社の条件と実態」「送る相手の合い方」「文面」の順に決まり、文面は三つ目です。同じ料金で同じ範囲を任されても、結果が分かれるのは、担当者が一つ目と二つ目に踏み込むかどうかです。返信が来ない案件で、文面だけを直し続ける担当者は、三か月で契約が終わります。「この条件では、この層には届きません。条件を変えるか、層を変えるか、どちらにしますか」と、聞き取りの段階で会社に返せる担当者は、条件が変わらなくても、送る層を変えて結果を出します。受ける側がその場で使える判断としては、聞き取りで「これまでの返信率と、返信が来た人の共通点」を先に聞くこと。そこに答えが無い会社は、まず数字を見える形にするところから始めるのが仕事になります。
向く人と向かない人
| 向く | 向かない |
|---|---|
| 返信率の数字を見て、条件と文面を一つずつ変えて比べるのが苦にならない | 一度書いた文面を変えたくない |
| 対象の職種の経歴を読むのが好き(プロフィールを読み込める) | 検索は条件を入れて出た人に送るものだと思っている |
| 平日の日中に、短時間でも返信を確認できる | 返信対応を週末にまとめてやりたい(候補者は待たない) |
| 会社の条件に踏み込んで提案できる | 言われた文面を言われた相手に送る仕事だと思っている |
| 候補者の情報の扱いに慎重 | 候補者のプロフィールを手元に保存して整理したい |
「平日の日中に返信を確認できるか」は、本業との兼ね合いで最も差が出るところです。運用一式を受けるなら、昼休みや朝に確認できる時間を作ります。難しいなら、文面だけか立ち上げ支援の型を選びます。平日の対応の考え方は平日の対応をどうするかに書いています。
まとめ
- スカウト代行の案件は文面だけ・検索と送信・運用一式・立ち上げ支援の四つの型。受ける前に型と、評価される数字を確かめる
- 求められるのは返信率を見て直した経験と対象の職種の経歴を読める力。媒体の経験はあとから補える
- 進め方は聞き取り→検索条件→文面の初稿と承認→送信と返信対応→週次の報告→月次の見直し。聞き取りを飛ばさない
- 線は合否と年収に触れない・ターゲットと文面の最終決定は会社・名義を確かめる・候補者の情報を手元に残さない・条件は提案にとどめる
- 返信率は会社の条件と実態→送る相手→文面の順に決まる。文面だけを直し続けない
- 平日の日中に返信を確認できるかで、受けられる型が決まる
よくある質問
スカウトを社内で送った経験が無いのですが、受けられますか
「送った経験」より「経歴を読める職種があるか」と「採用の要件を聞き取った経験があるか」で判断されます。たとえば、エンジニアの採用で面接や要件の整理をしてきた人は、送った経験が無くても、検索条件の設計や文面の一行目を書く力があります。最初は「文面だけ」か「検索条件の設計」の型で小さく受け、送信と返信対応は会社に残してもらう形から始めると、無理がありません。始め方はスカウト代行で副業を始めるにはに書いています。
返信率の目標を求められたら、どう答えればよいですか
数字を先に約束しないことです。返信率は、会社の条件と実態、送る相手、文面の順に決まり、最初の二つは受ける前には分かりません。「最初の一か月は、いまの数字を見える形にして、返信が来た人の共通点を出します。目標はそのあとで一緒に決めましょう」と返します。過去の案件の数字を持ち出すときも、条件と職種が違えば比べられないことを添えます。
媒体のアカウントは自分のものを使うのですか
会社が契約した媒体のアカウントを、会社の管理のもとで使うのが基本です。自分の名義で契約したアカウントで会社の募集を送る形は、名義と責任の所在があいまいになるので避けます。アカウントの共有の仕方(権限、パスワードの扱い、終了時の返却)は、受ける前に決めます。アカウントの扱いはアカウントの管理に書いています。