採用代行 / 採用の課題

地方拠点の採用が進まない|本社の型をそのまま使わず、拠点の市場・経路・面接の体制を組み直す

公開 2026-09-13

本社の採用は、媒体に出せば応募が来る。同じやり方で地方拠点の求人を出したが、応募が来ない。紹介会社に聞いても「その地域では該当者が少ない」と言われる。面接官は本社にいて、拠点の候補者との日程が組めない。拠点の責任者は「本社が何とかしてくれると思っていた」と言う。結論を先に書くと、地方拠点の採用が進まないのは、本社の型(媒体・要件・面接の体制)をそのまま拠点に当てはめているからです。拠点の市場は本社と違います。市場を見て、地方で効く経路に切り替え、拠点と本社の役割を分け、面接の体制を拠点に合わせて組み直します。スカウトで地方企業が採る話は地方企業のスカウト運用に、フルリモートで採る場合はフルリモート前提の採用がうまくいかないにまとめています。

地方拠点の採用が進まない構造

地方拠点の採用が進まないのは、次の構造で起きます。

構造起きていること
本社と同じ媒体に出している本社で効く媒体の利用者は、都市部に偏っていることがある。拠点の地域に、その媒体の利用者が少ない
要件が本社と同じ本社の市場を前提にした要件では、拠点の地域に該当者がいない
条件が地域の水準と合っていない本社の水準のまま出すと高すぎて既存の拠点社員と整合しない、または地域の他社と比べて低い
面接官が本社にいる拠点の候補者と本社の面接官の日程が合わず、来社の負担も大きい
拠点の責任者が採用に関わっていない「本社の人事の仕事」と思っていて、地元の経路も現場の話も出てこない
求人票に、拠点の情報が無い本社の求人票を流用し、拠点の仕事、拠点の人、拠点の地域の情報が無い
地元の経路を使っていない地域の求人媒体、公的な職業紹介、地元の紹介会社、地元の学校、社員の紹介を使っていない

本社の型は、本社の市場で作られた型です。拠点の市場に合わせて、作り直します。

拠点の市場の見方

拠点の採用を設計する前に、拠点の市場を見ます。

その地域で、採りたい職種の人がどのくらいいるか。 地域の他社の求人票を見て、同じ職種の求人がどのくらい出ているか、どの媒体に出ているかを見ます。求人が多ければ、競合も多い。少なければ、その職種の人自体が少ない可能性があります。

地域の年収と条件の水準。 地域の他社の求人票で、同じ職種の年収の幅、働き方、休日を見ます。本社の水準と比べます。数字を資料に載せる場合は出典を明記します。

地元の紹介会社と媒体の担当者に聞く。 「この職種の登録者は、この地域にどのくらいいるか」「どういう経路で動いているか」。地元の担当者は、地域の市場を見ています。

拠点の既存社員に聞く。 「どうやって今の仕事を見つけたか」「地元で仕事を探すとき、どこを見るか」。拠点の社員の経路が、拠点の候補者の経路です。

通勤の範囲を、地図で見る。 拠点に通える範囲が、採用の市場です。都市部より範囲が広く、車での通勤が前提のことがあります。

Uターン・Iターンの層を、市場に入れるか。 地元出身で都市部にいる人、地方に移りたい人。この層を狙うなら、経路と訴求が変わります。

市場を見ると、「本社と同じやり方では届かない」理由が具体的になります。理由が分かれば、経路と要件と条件を直せます。

地方で効く経路

地方の採用で使う経路を、型で整理します。

経路特徴使い方
地域に強い求人媒体その地域の利用者が多い媒体。全国型より地元の人に届くことがある媒体の利用者の地域を、公式の案内で確認して選ぶ
公的な職業紹介地域の求職者が使う。費用がかからない求人票を丁寧に書き、更新する。事務的な書き方にしない
地元の紹介会社地域の登録者を持つ。全国型の紹介会社より該当者がいることがある拠点の現場の話を聞かせ、地域の水準を聞く
社員の紹介拠点の社員の知り合いは、地元の人。地方では効きやすい経路拠点の社員に具体的に頼み、結果を戻す
地元の学校・専門学校新卒や第二新卒の経路。地域とのつながりが要る拠点の責任者が学校との関係を持つ
Uターン・Iターン向けの経路地方への移住を支援する仕組みや、地方の求人を集める媒体移住の支援の情報と合わせて訴求。仕組みは公式の案内で確認
地域のつながり商工会、業界の集まり、取引先。地方では人づてが効く拠点の責任者が地域に顔を出す
全国型の媒体・スカウト都市部からの移住や、地元出身者に届くことがある「勤務地」で絞られるので、拠点の地域と働き方を明確に

地方では、「人づて」と「地元の経路」の比重が、都市部より高いことが多いです。本社の型(全国型の媒体)だけでは届かない層に、地元の経路で届けます。

本社と拠点の役割分担

地方拠点の採用は、本社の人事だけでも、拠点だけでも進みません。役割を分けます。

本社の人事が担うこと。 採用の設計(要件、条件、選考の流れ)、全国型の経路の運用、求人票の型、面接の基準の型、記録と報告、拠点への支援。

拠点の責任者が担うこと。 拠点の市場の情報、地元の経路(紹介会社、学校、つながり)の窓口、拠点の現場の話、面接官、候補者への拠点の説明、入社後の受け入れ。

両方で決めること。 要件と条件(本社の型を、拠点の市場に合わせて調整)、経路の選び方、面接の体制、優先順位。

拠点の責任者に、採用を「自分の仕事」にしてもらう。 「本社が何とかする」と思っている拠点は、地元の経路も現場の話も出てきません。拠点の責任者の評価に、拠点の採用を含めることを、経営者が決めます。

本社の人事が、拠点に行く。 一度、拠点に行き、現場を見て、拠点の責任者と話します。オンラインだけでは、拠点の空気も、地域の市場も分かりません。

定期の連絡を持つ。 月に一度、本社の人事と拠点の責任者で、拠点の採用の進み具合と、止まっている段階と、次の打ち手を確認します。

役割が分かれていれば、「本社が動かない」「拠点が協力しない」の互いの不満が減ります。

エラベルの見解

相談で最も多い失敗は、「本社の求人票を、勤務地だけ変えて拠点の求人として出した」というものです。求人票には本社の仕事と本社の人の話が書かれていて、拠点の仕事も、拠点の人も、拠点の地域の情報も無い。候補者は「本社の求人の勤務地違い」と受け取り、「拠点で働く理由」が見えません。拠点の責任者に現場の話を聞き、拠点の社員の言葉を入れ、地域の情報を足したら、同じ経路で応募が変わりました。

見ていて差がつくのは、担当者が「拠点の責任者と直接話す」かどうかです。本社の人事とだけやり取りする担当者と、拠点の責任者に電話して現場の話を聞き、拠点の社員の経路を聞き、地元の紹介会社を一緒に探す担当者がいます。後者は、拠点の市場に合った設計ができます。

発注側にできるのは、担当者を拠点の責任者に会わせることです。本社の人事を通した伝聞では、拠点の情報は届きません。

面接と選考の体制

拠点の候補者と、本社の面接官の距離を、体制で埋めます。

一次面接は、オンラインを既定にする。 拠点の候補者が本社に来る負担、本社の面接官が拠点に行く負担を無くします。一次はオンラインで、観点を絞って三十分。

拠点の責任者を、面接官にする。 一緒に働く人が面接に出るのは、拠点でも同じです。拠点の責任者に、観点と質問と基準を渡し、一次か二次を担ってもらいます。面接官が足りない場合の設計は面接官が足りないに書いています。

最終面接は、拠点で対面にする選択肢を持つ。 候補者が拠点を見て、拠点の人と会う機会になります。本社の責任者が拠点に行くか、拠点の責任者が最終を担うか、役割で決めます。

面接の枠を、拠点の候補者の都合に合わせる。 地方では、現職を続けながら平日の日中に面接に出るのが難しい候補者がいます。夕方や、オンラインの枠を用意します。

選考の速さを、本社と同じにする。 拠点の採用が「本社の後回し」になると、返信も日程も遅れます。応募は当日返信、面接は一週間以内、内定まで三週間、を拠点でも守ります。

候補者に、拠点を見せる。 入社前に、拠点の職場と、一緒に働く人を見せます。オンラインの面接だけで入社を決めると、入社後に「思っていた場所と違う」が起きます。

体制の要点は、「拠点の候補者が、本社の候補者と同じ速さと丁寧さで選考を受けられる」ことです。

地元に根ざす採用の作り方

地方拠点の採用は、一回の求人で終わらせず、地元に根ざす形にすると、次の採用が楽になります。

拠点の採用ページを持つ。 本社の採用ページとは別に、拠点の仕事、拠点の人、拠点の地域の情報を載せたページ。地元の候補者が検索して来る入口になります。

拠点の社員の紹介を、続ける。 一度頼んで終わりではなく、拠点の社員に「いつでも紹介してほしい」と伝え、紹介があれば結果を戻します。

地元の紹介会社と、関係を作る。 一回の求人ではなく、継続して連絡を取り、拠点の状況を共有します。

地元の学校と、関係を作る。 新卒や第二新卒の経路として、拠点の責任者が学校との窓口を持ちます。

地域のつながりに、拠点の責任者が顔を出す。 商工会、業界の集まり。「あの会社が人を探している」が、人づてに伝わります。

入社した人の定着を、次の採用の材料にする。 地元で採った人が定着し、活躍していれば、その人の話が次の求人票と採用ページの材料になります。

Uターン・Iターンの受け入れを、制度で整える。 移住の支援、住まいの手当、慣れるまでの受け入れ。制度は社内の規程に沿って整え、求人票に事実として書きます。

地元に根ざす採用は、時間がかかります。一回の求人で採れなくても、次の求人が楽になる形を作ります。

外注する場合の範囲

地方拠点の採用を、採用代行に出す場合の範囲です。

出せる工程。 拠点の市場の調査(地域の求人票、地元の紹介会社と媒体の担当者への聞き取り)、本社の型から拠点向けへの組み直しの案、地方で効く経路の提案と運用、拠点向けの求人票の作成(拠点の責任者への聞き取りから)、地元の紹介会社との窓口、応募の受付と返信、日程調整(オンラインと拠点の枠)、面接の基準の型、記録と月次の報告、拠点の採用ページの案。

社内に残す判断。 要件と条件の決定、拠点の責任者の関与の決定、面接官の指名、判定、内定、Uターン・Iターンの制度の決定。

外注の効きどころ。 地方拠点の採用は、本社の人事が拠点の市場を知らず、拠点の責任者が採用のやり方を知らない、という間に落ちやすい工程です。担当者が両方と話し、間を埋める役になれます。地元の経路の開拓と、拠点向けの求人票は、担当者が拠点の責任者と一緒に作れます。

外注しても動かない場合。 拠点の責任者が採用に関わらない、本社が要件と条件を拠点の市場に合わせない、選考が本社の後回しになる。社内の判断で、代行を替えても直りません。

地方拠点の採用は、本社の型の当てはめをやめることから始まります。外注は、組み直しの速さを上げる手段です。

エラベルの見解

担当する側から見ると、地方拠点の相談で最も多いのは、「本社の人事が、拠点の市場を見ずに『応募が来ない』と言っている」ことです。本社で効く媒体に出して、来ない。その媒体の利用者がその地域にどのくらいいるかを、見ていません。

地方の採用は、経路の比重が都市部と違います。人づて、地元の経路、拠点の社員の紹介。本社の人事には見えにくい経路が、地方では効きます。拠点の責任者と地元の担当者に聞けば、分かります。

発注側にできるのは、本社の人事に「拠点に行って、拠点の責任者と地元の担当者に聞く」時間を持たせることです。オンラインの会議だけでは、拠点の市場は分かりません。

まとめ

よくある質問

本社と同じ媒体で、地方拠点の応募が来ません

その媒体の利用者が、拠点の地域にどのくらいいるかを、媒体の公式の案内と担当者への聞き取りで確認します。少なければ、地域に強い媒体、公的な職業紹介、地元の紹介会社、拠点の社員の紹介に切り替えます。求人票も、本社の流用ではなく、拠点の仕事と人と地域の情報を入れた拠点向けに書き直します。媒体だけ変えて求人票がそのままだと、変わりません。

拠点の責任者が「採用は本社の仕事」と言います

拠点の市場の情報、地元の経路、現場の話、面接官は、拠点の責任者にしか出せません。本社の人事が担うこと(設計、型、全国型の経路、記録)と、拠点が担うことを分けて示し、経営者から「拠点の採用は拠点の責任者の仕事の一部」と伝えてもらいます。評価に含めることも、経営者の判断です。本社の人事が一度拠点に行き、拠点の責任者と直接話すことも効きます。

拠点の条件を、本社の水準に合わせるべきですか

地域の水準と、拠点の既存社員との整合の両方で判断します。本社の水準のまま出すと、拠点の既存社員と整合しないことがあります。地域の水準より低いと、地域の他社に負けます。地域の他社の求人票と、地元の紹介会社への聞き取りで地域の水準を見て、拠点の既存社員の水準と並べて、経営者が決めます。整合の考え方は提示年収が市場と合っていないに書いています。