採用代行 / 採用の課題
フルリモート前提の採用がうまくいかない|応募は来るのに決まらない理由を、「実態のずれ」「見極めの型」「受け入れ」に分ける
フルリモートで募集を出すと、応募は多い。ただ、要件に合う人は少なく、「リモートだから」で応募している人が大半。面接ではリモートで働けるかどうかを見極められず、採ってみたら連絡が取れない、成果が見えない、半年で辞める。結論を先に書くと、フルリモート前提の採用がうまくいかないのは、応募の入口の問題ではなく、「働き方の実態と求人票のずれ」「リモートで働ける人の見極めの型が無い」「入社後の受け入れが無い」の三つのどれか、または全部です。三つに分けて、直します。フルリモート求人のスカウトの設計はフルリモート求人のスカウトに、地方拠点の採用は地方拠点の採用が進まないにまとめています。
フルリモート採用で起きていること
フルリモート前提の採用では、次のことが起きています。
| 起きていること | 背景 |
|---|---|
| 応募は多いが、要件に合う人が少ない | 「フルリモート」の条件で応募している人が多く、役割を見ていない |
| 対象が全国に広がり、絞れない | 地域で絞れない分、他の条件で絞る設計が無い |
| 面接で、リモートで働けるかを見極められない | 対面の面接の観点しか無く、リモートでの自律や連絡の型を見ていない |
| 入社後に、実態が求人票と違う | 「フルリモート」と書いたが、実際は月に数回の出社がある、時間の縛りがある |
| 採った人が、成果を出せない、または辞める | リモートで働く型(連絡、報告、時間の使い方)が本人にも会社にも無い |
| 既存社員との働き方の整合が取れない | 新しく採った人だけフルリモート、既存社員は出社、で不満が出る |
| 候補者から「本当にフルリモートか」と疑われる | 求人票の「フルリモート」が信用されておらず、面接で確認される |
応募が多いことと、採用がうまくいくことは別です。多い応募を絞り、見極め、受け入れる型が要ります。
働き方の実態を正確に書く
最初に直すのは、求人票と実態のずれです。
「フルリモート」の中身を、事実として書く。 出社の頻度(ゼロか、月に何回か、入社直後は出社か)、時間の縛り(コアタイムの有無、会議の時間帯)、居住地の条件(国内ならどこでもか、通える範囲か、海外は可か)、機器と環境(会社が支給するか、自分で用意するか)、費用の扱い(通信費、光熱費の手当の有無)。制度の内容は社内の規程のとおりに正確に。
「フルリモート」と「リモート可」を混ぜない。 出社が月に数回あるなら、「フルリモート」ではありません。「リモート中心、月に〇回の出社」と書きます。ずれは、入社後の不信と早期の退職になります。
リモートで働く型を、求人票に書く。 「連絡はチャットが中心、朝と夕方に短い報告、週に一度のオンラインの会議」。候補者は、自分が働けるかを想像できます。
「フルリモートだから応募した」層を絞る文を入れる。 「この役割は、〇〇を自分で決めて進める役割です」「フルリモートは働き方であり、役割の中身はこうです」。役割を前に出せば、働き方だけで応募する層は減ります。
既存社員の働き方を、事実として書く。 既存社員の働き方の数字を出す場合は、自社の記録の数字だけを使います。既存社員が出社中心なら、そう書きます。新しく採る人だけがリモート、という状態は、候補者にも伝えます。
法令上の扱いは、専門家に確認する。 リモート勤務の労働時間の管理、費用の負担、居住地と労務の扱いは、法令と社内の規程に沿います。求人票に書く内容は、専門家に確認のうえで。
実態を正確に書くと、応募は減ることがあります。減った分は、「フルリモートだから」で応募していた層です。
リモートで働ける人の見極めの観点
面接で、リモートで働けるかを見極める観点です。対面の観点に、リモート特有の観点を足します。
| 観点 | 確認の仕方 |
|---|---|
| 自分で仕事を進められるか | 「指示が無い状態で、何を優先して進めましたか」。具体的な場面を語れるか |
| 文字での連絡ができるか | 応募の文、面接の前後のやり取りの文を見る。要点が伝わる文か |
| 報告と相談の型を持っているか | 「進捗をどう共有していましたか」「困ったとき、どう相談しましたか」。頻度と手段が具体的か |
| リモートで働いた経験の実態 | 「リモートで働いていたとき、一日をどう使っていましたか」。経験の有無より、型があるか |
| 時間の管理 | 「仕事の始まりと終わりを、どう区切っていましたか」。区切りが無い人は、燃え尽きるか、成果が見えなくなる |
| 孤立への耐性と対処 | 「一人で働いていて、つらかったことは。どう対処しましたか」。対処の経験があるか |
| 環境 | 「仕事に使える場所と機器はありますか」。事実の確認。私的な事情に踏み込みすぎない |
| 会社の型に合うか | 自社のリモートの型(連絡、報告、会議)を説明し、「合いそうですか、合わない点は」と聞く |
観点を書面にし、面接官に渡します。面接官が対面の観点だけで見ると、リモートで働けるかは分かりません。私的な事情に関する質問は法令上の扱いがあるので、専門家に確認のうえ、面接官に共有します。
選考の設計
リモート前提の選考は、選考そのものをリモートで行い、その中で見極めます。
面接は、全てオンラインでよい。 リモートで働く人を、オンラインで見極めます。オンラインでの話し方、機器の準備、時間の守り方が、そのまま見極めの材料になります。
文字でのやり取りを、選考に組み込む。 応募の受付から面接の案内まで、チャットやメールで進めます。文の要点、返信の速さ、質問の仕方が見えます。
課題を出す場合は、リモートでの進め方を見る。 小さな課題を出し、期限と進め方を任せます。成果物だけでなく、途中の連絡(質問、進捗の共有)があるかを見ます。課題の負担は、候補者の時間を考えて小さく。
一緒に働く人に、オンラインで会わせる。 面接官だけでなく、一緒に働くメンバーとオンラインで話す場を作ります。候補者は「この人たちとリモートで働けるか」を判断できます。
会社のリモートの型を、選考の中で見せる。 「このチャットの使い方が、入社後も同じです」「この会議の進め方が、週に一度あります」。候補者は、入社後を想像できます。
選考の速さは、対面と同じか、それ以上に。 リモート前提の候補者は、複数社をオンラインで同時に受けています。返信は当日、面接は一週間以内、内定まで三週間。
内定の前に、出社の機会を持つかどうかを決める。 フルリモートでも、一度会う機会を持つ会社があります。持つなら、候補者の負担(移動の費用と時間)を会社が持ちます。持たないなら、オンラインで十分に会わせます。
選考をリモートで行うことで、「リモートで働ける人」と「対面なら働けるがリモートは難しい人」が、選考の中で分かれます。
エラベルの見解
相談で最も多い失敗は、「フルリモートと書いて応募を集め、面接は対面と同じ観点で行い、採った人がリモートで成果を出せずに半年で辞めた」というものです。面接では「感じが良く、経歴も合う」でした。ただ、リモートでの自律、文字での連絡、報告の型、時間の管理を、一つも見ていませんでした。見極めの観点を足し、選考をオンラインと文字で進める形にしたら、採った人の定着が変わりました。
見ていて差がつくのは、担当者が「リモートの観点」を面接官に渡せるかどうかです。「オンライン面接をお願いします」で終わる担当者と、「リモートで働ける人を見る観点を四つ足しました。質問はこれです。応募のやり取りの文もご覧ください」と、観点と材料を渡す担当者がいます。後者は、面接官が見極められます。
発注側にできるのは、「フルリモートで採りたい」に加えて、「リモートで働ける人の見極めの観点を作ってほしい」と依頼することです。
入社後の受け入れ
見極めて採っても、受け入れが無ければ、早く辞めます。リモートの受け入れの型です。
最初の一か月の予定を、書面で渡す。 何を、誰と、いつまでに。リモートでは「様子を見て」が通じません。予定が無いと、新しく入った人は何をすればよいか分からず、孤立します。
連絡の型を、初日に共有する。 チャットの使い方、報告の頻度と形、会議の予定、相談の窓口。「分からなければ聞いてください」ではなく、「毎朝この形で共有、困ったらこの人に」。
最初の一か月は、毎日短い接点を持つ。 朝か夕方に、十分のオンラインの接点。受け入れる側の負担はありますが、最初の一か月で定着が決まります。
一緒に働く人を、明確にする。 リモートでは、「誰に聞けばよいか」が見えにくいです。受け入れの担当者を一人決め、その人が最初の窓口になります。
成果の見え方を、決めておく。 「何ができていれば、最初の三か月は順調か」。リモートでは成果が見えにくいので、見え方を先に決めます。評価の制度は社内の規程に沿います。
機器と環境を、初日までに整える。 支給する機器、アカウント、アクセスの権限。初日に届いていない、使えない、が最初のつまずきになります。
既存社員との働き方の整合を、受け入れの前に決める。 新しい人だけフルリモートで、既存社員は出社、の状態は、両方に不満が出ます。制度として決め、既存社員に説明します。
受け入れは、採用の一部です。受け入れが無い採用は、見極めが正しくても定着しません。
フルリモートをやめる判断
フルリモート前提の採用を続けるか、変えるかの判断です。
役割が、リモートに向いているか。 一人で進められる役割、文字での連絡で足りる役割は、向いています。現場との密な連携、対面での調整が多い役割は、向いていないことがあります。役割ごとに判断します。
会社のリモートの型が、あるか。 連絡、報告、会議、評価の型が無いまま、フルリモートの人を増やしても、成果が見えず、孤立します。型が無いなら、型を作るか、リモート中心(月に数回の出社)に変えるか。
既存社員との整合が、取れるか。 既存社員が出社中心で、新しい人だけフルリモート、が続くと、組織が二つに割れます。全体の働き方の制度として決めます。
採用の入口を広げる目的なら、「リモート中心」でも広がる。 フルリモートでなくても、「リモート中心、月に数回の出社」で、対象は広がります。実態がそうなら、そう書くほうが、入社後のずれがありません。
やめる場合は、既に採った人との約束を守る。 フルリモートで採った人に、後から出社を求めると、不信と退職になります。変えるなら、新しく採る人からで、既に採った人の条件は守ります。労務上の扱いは専門家に確認します。
フルリモートは、採用の入口を広げる手段の一つです。目的に合わなければ、変えてよいものです。
外注する場合の範囲
フルリモート前提の採用を、採用代行に出す場合の範囲です。
出せる工程。 働き方の実態の整理と求人票の作成(絞る文を含む)、応募の絞り込みの設計、リモートで働ける人の見極めの観点と質問の作成、選考の設計(オンライン、文字、課題、メンバーとの接点)、応募の受付と文字でのやり取り、日程調整、面接官への観点の共有、記録、受け入れの型の案、最初の一か月の予定の型。
社内に残す判断。 働き方の制度の決定、役割ごとのリモートの可否、判定、内定、既存社員との整合、受け入れの担当者。
外注の効きどころ。 フルリモート採用は、応募が多い分、絞り込みと文字でのやり取りの手間が大きい工程です。担当者が絞り込みと一次のやり取りを担い、見極めの観点を面接官に渡せば、社内の人は面接と判定に集中できます。受け入れの型も、担当者が案を作れます。
外注しても動かない場合。 会社にリモートの型が無いまま変えない、求人票の「フルリモート」と実態のずれを直さない、受け入れの担当者を置かない。社内の判断で、代行を替えても直りません。
フルリモート採用は、入口ではなく、見極めと受け入れで決まります。外注は、見極めと受け入れの型を作る速さを上げる手段です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、フルリモートの相談で最も多いのは、「応募が多いことで、うまくいっていると錯覚している」ことです。応募が多く来ても、要件に合う人が数件、採って定着する人がいないなら、うまくいっていません。応募の数ではなく、面接に進んだ数と、入社後の定着で見ます。
もう一つ多いのは、「フルリモート」と書いて、実態は月に数回の出社がある会社です。候補者は入社後に気づき、不信になります。「リモート中心、月に〇回の出社」と正確に書くほうが、応募は減っても、定着は上がります。
発注側にできるのは、「フルリモート」の中身を、担当者に事実として渡すことです。担当者は、事実のとおりに書きます。
まとめ
- 起きているのは応募は多いが合う人が少ない・絞れない・見極められない・実態とのずれ・成果が出ない辞める・既存社員との不整合・信用されない
- 実態は出社の頻度・時間の縛り・居住地・機器と環境・費用の扱いを事実として書き、「フルリモート」と「リモート可」を混ぜず、働く型と絞る文を入れる。法令上の扱いは専門家に確認
- 見極めの観点は自律・文字での連絡・報告と相談の型・リモート経験の実態・時間の管理・孤立への対処・環境・会社の型との相性
- 選考は全てオンライン・文字のやり取りを組み込む・課題で進め方を見る・メンバーに会わせる・会社の型を見せる・速さは同じ以上・出社の機会の有無を決める
- 受け入れは一か月の予定を書面で・連絡の型を初日に・毎日短い接点・受け入れの担当者・成果の見え方・機器を初日までに・既存社員との整合
- やめる判断は役割の向き不向き・会社の型の有無・既存社員との整合・リモート中心でも入口は広がる・既に採った人との約束を守る
- 外注できるのは実態の整理と求人票・絞り込み・観点と質問・選考の設計・やり取り・記録・受け入れの型。社内に残るのは制度・可否・判定・内定・整合・受け入れの担当者
よくある質問
フルリモートにすると応募は増えますが、質が下がります
「フルリモートだから」で応募する層が増えているので、役割を前に出して絞ります。求人票に「この役割は〇〇を自分で決めて進める役割です」と役割の中身を書き、フルリモートは働き方として添える形にします。実態(出社の頻度、時間の縛り、働く型)を正確に書くと、応募は減りますが、減った分は合わない層です。応募の数ではなく、面接に進んだ数で見ます。
面接で、リモートで働けるかどうかが分かりません
対面の観点に、リモートの観点を足します。自分で仕事を進められるか、文字での連絡ができるか、報告と相談の型を持っているか、時間の管理、孤立への対処。それぞれに具体的な場面を聞く質問を用意し、面接官に渡します。応募からのやり取りの文と、オンライン面接での準備と話し方も、材料になります。私的な事情に踏み込む質問は法令上の扱いがあるので、専門家に確認します。
採った人が、リモートで孤立して辞めました
見極めの問題より、受け入れの問題であることが多いです。最初の一か月の予定が無く、連絡の型が共有されず、誰に聞けばよいか分からない状態では、リモートで働ける人でも孤立します。一か月の予定を書面で渡し、連絡の型を初日に共有し、受け入れの担当者を一人決め、最初の一か月は毎日短い接点を持ちます。受け入れは採用の一部で、無ければ定着しません。