IT・Web業界の採用単価とRPO費用の考え方|職種の組み合わせと技術者の時間で予算を組む
IT・Web業界の会社では、エンジニアだけでなく、デザイナー、営業、カスタマーサクセス、コーポレート職まで、性格の違う職種を同じ年に採ることがよくあります。このため、会社全体の採用単価を一つ出しても、どこにお金がかかっているのかが見えません。採用代行(RPO)の費用を考えるときも、「月いくらなら妥当か」を会社全体で決めようとすると、判断を誤りやすくなります。結論から書くと、IT・Web業界のRPO費用は、職種ごとに採用単価を分けて見たうえで、職種の組み合わせに合わせて料金の形を選び、技術者の面接時間という見えにくい費用まで含めて比べると判断しやすくなります。
採用代行の料金や職種ごとの採用単価は、会社の規模・職種・時期によって大きく異なり、公的な統計もないため、この記事では相場の金額は扱いません。比べ方の手順を書きます。
業界の採用構造:職種ごとに採用単価が大きく割れる
IT・Web業界の採用で費用の見通しが立ちにくいのは、職種によって採りやすさがまったく違うからです。経験のあるエンジニアは多くの会社が取り合い、人材紹介やスカウトに頼ることが多くなります。一方で、営業やカスタマーサクセスは、異業種からの転職や未経験からの採用も視野に入り、求人広告などで集めやすいことがあります。同じ会社の中でも、職種によって使う経路と費用が大きく変わります。
| 職種のまとまり | 採用で起きやすいこと | 費用のかかり方 |
|---|---|---|
| 経験のあるエンジニア | 候補者の取り合いになり、選考の速さが問われる | 人材紹介・スカウトに寄り、1人あたりが高くなりやすい |
| デザイナー・PdM | 作品や実績の見極めに現場の時間がかかる | 経路の費用に加え、社内の見極めの時間がかさむ |
| 営業・カスタマーサクセス | 未経験も含めて母集団を広げられる | 広告などで集められ、件数で費用が分散しやすい |
| コーポレート職 | 採る人数は少ないが、空くと困るポストが多い | 単発で人材紹介を使うと1人あたりが高くなる |
この表のように、職種によって費用のかかり方が違う以上、会社全体の採用単価を下げることだけを目標にすると、採りやすい職種ばかりに予算が流れ、肝心のエンジニアが採れないことになります。まず職種ごとに採用単価を出し、どの職種にどれだけかけているかを見てください。採用単価の出し方は採用単価の計算方法と目標値の置き方で書いています。
よくある詰まり方:技術者の時間が費用に入っていない
IT・Web業界の採用費用で見落とされやすいのが、技術者が面接や書類の確認に使う時間です。エンジニアの採用では、候補者の技術を見極めるために、現場のエンジニアが書類を読み、面接に出て、課題の評価をすることが多くなります。この時間は請求書には出てきませんが、その間、本来の開発の仕事は止まっています。
採用代行の費用を比べるときに、この時間を入れないと、判断を誤ります。たとえば、代行に書類の一次確認や日程調整を任せることで、技術者が面接だけに時間を使えるようになるなら、代行の費用の一部は技術者の時間で取り戻せていることになります。逆に、代行が候補者を多く送り込むだけで、技術者が見極める件数が増えるなら、請求書の金額以上に費用がかかっていることになります。
見積もりを比べる前に、今の採用で技術者が月に何時間を採用に使っているかを、ざっくりでよいので出しておいてください。面接の回数と1回あたりの時間、書類の確認にかかる時間を掛け合わせれば出せます。この数字があると、代行に何を任せれば技術者の時間がどれだけ戻るかを、費用と並べて比べられます。
エラベルの見解
IT・Web業界の会社から相談を受けるときに多い思い込みは、「エンジニア採用は高いもの」と決めて、費用の中身を分けずに受け入れてしまうことです。実際には、エンジニア採用の費用が膨らむ理由は、紹介手数料の高さだけではありません。要件があいまいなまま候補者を集めて書類落ちが多い、選考が遅くて他社に決まる、といった、社内の進め方の問題で費用が積み上がっていることがよくあります。
同じ料金の代行でも、担当者が要件を技術者と詰めてから動くか、とりあえず候補者を集めるかで、技術者の時間の使われ方がまったく変わります。代行を選ぶときは、月額の安さより、技術者と要件をすり合わせる時間を最初にとる担当者かどうかを確かめてください。最初に要件を詰める担当者のほうが、結果として技術者の時間も、紹介に払う費用も少なく済むことが多くなります。
人材紹介の手数料の仕組みを知っておく
IT・Web業界、特にエンジニアの採用では、人材紹介を使う場面が多くなります。職業安定法第32条の3は、有料職業紹介事業者が受け取れる手数料を、厚生労働省令で定める種類・額の手数料か、あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく手数料に限っています。採用者の年収に一定の割合を掛けて手数料を決める形が多いのは、この手数料表の決め方によるものです。
この仕組みのため、年収が高い職種ほど、1人あたりの紹介手数料も高くなります。職種ごとの賃金の水準を確かめるなら、厚生労働省の賃金構造基本統計調査が参考になります。この調査は、情報通信業を含む主要産業の労働者の賃金を、職種・年齢・経験年数などの区分で明らかにしています。手数料の割合や、早期退職時の返金の条件は事業者との契約で決まるため、比べるときは契約書の条件を並べてください。
打ち手の順番:職種の組み合わせに料金の形を合わせる
採用代行の料金には、月額で一定の業務を任せる形、採用が決まったときに支払う成果報酬の形、作業の時間に応じて払う形などがあります。IT・Web業界では、採る職種の組み合わせによって、合う形が変わります。
| 採用の状況 | 合いやすい料金の形 | 理由 |
|---|---|---|
| 複数の職種を1年を通して採り続ける | 月額で一定の業務を任せる | 日程調整やスカウト送信など、続く作業をまとめて任せられる |
| 難しい職種を1〜2名だけ採りたい | 採用が決まったときに支払う形 | 採れなければ費用がかからず、単発でも始めやすい |
| 一時的に応募が増える時期だけ手を借りたい | 作業の時間に応じて払う形 | 必要な期間だけ量を増やせる |
月額の形で複数の職種を任せる場合は、職種ごとに担当者の時間がどう配分されるかを確かめてください。採りやすい職種の作業に時間がとられ、肝心のエンジニアのスカウトが後回しになることがあります。料金の形ごとの考え方は採用代行の費用相場と料金体系で詳しく書いています。
エラベルの費用は、採用が決まったときに1名につき10万円(税別)です。担当者を選んでから依頼でき、採用が決まらなければ費用はかかりません。難しい職種を少人数だけ採りたい場合や、まず一つの職種で試したい場合の選択肢の一つとして比べてみてください。
外注の使いどころ:任せる工程と残す判断
IT・Web業界の採用で外に出しやすいのは、スカウトの送信と追客、日程調整、応募者への連絡、書類の一次確認など、手順を決めれば回せる作業です。一方で、候補者の技術を見極めること、条件を決めること、最後に採るかどうかを決めることは、社内に残す判断です。工程ごとの切り分けはIT・Web業界の採用代行で任せる範囲で詳しく書いています。
費用の面から見ると、技術者の時間を使っている作業のうち、技術の見極め以外のものを外に出すと、費用に対する効果が見えやすくなります。書類の一次確認を任せる場合は、技術者と一緒に見るべき点の一覧をつくり、代行の担当者がそれに沿って確かめる形にしてください。一覧がないまま任せると、技術者が結局すべての書類を見直すことになり、外に出した意味が薄れます。
エラベルの見解
もう一つ見てほしいのは、IT・Web業界のRPO費用は「採れた人数」だけでなく「技術者の時間がどれだけ戻ったか」で評価するということです。代行の成果を採用人数だけで見ると、採れなかった月は費用が無駄に見えます。けれども、その間に技術者の採用にかける時間が減り、開発に戻れていたなら、会社にとっての効果は出ています。
代行を入れる前と後で、技術者が採用に使った時間を記録しておいてください。面接の回数と書類確認の時間を月ごとに残すだけで十分です。採用人数と技術者の時間の両方を並べると、代行の費用が見合っているかを落ち着いて判断でき、続けるか、任せる範囲を変えるかも決めやすくなります。
まとめ
- IT・Web業界は職種ごとに採用単価が大きく割れるため、職種ごとに分けて費用を見る
- 技術者が面接や書類確認に使う時間は、請求書に出ない費用として見積もりに並べる
- 人材紹介の手数料は届け出た手数料表などに基づくため、年収の高い職種ほど1人あたりが高くなる
- 採る職種の組み合わせと時期に合わせて、月額・成果報酬・時間払いの形を選ぶ
- 代行の効果は、採用人数と技術者の時間がどれだけ戻ったかの両方で見る
よくある質問
IT・Web業界の採用代行の費用の相場はいくらですか
採用代行の料金は、任せる業務の範囲や職種、料金の形によって大きく異なり、公的な統計もないため、一律の相場はお伝えできません。職種ごとの採用単価と技術者の時間を出したうえで、同じ範囲の見積もりを並べて比べてください。エラベルの場合は、採用が決まったときに1名10万円(税別)です。
エンジニア採用だけを代行に出すことはできますか
できます。エンジニアの採用だけを任せる場合は、技術者と要件をすり合わせる時間を最初にとれるかどうかを、依頼先を選ぶときに確かめてください。要件があいまいなまま進めると、候補者の数は増えても、技術者の見極めの負担が増えるだけになることがあります。
技術者の時間はどうやって費用に換算すればよいですか
面接の回数と1回あたりの時間、書類の確認にかかる時間を月ごとに足し、技術者の時間あたりの人件費を掛けると、おおよその額が出せます。正確な数字でなくても構いません。代行を入れる前と後で同じ方法で出せば、技術者の時間がどれだけ戻ったかを比べる材料になります。
本記事は 2026-10-16 時点の公開情報にもとづいて作成しています。
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