採用代行 / SaaS
SaaS業界の採用代行|業界特有の難しさとどこを外注するか
SaaS業界の会社が採用代行を検討するとき、動機は「事業が伸びていて、営業もCSもエンジニアも同時に足りない」であることが多い。ただ、SaaSの採用は、職種が横に広く、事業の段階で要る人が変わり、候補者がSaaS業界の中で会社を比べている、という三つの難しさがあり、「全部を同時に任せる」形は最も失敗しやすい。結論を先に書くと、SaaS業界の採用代行は、母集団形成・一次対応・日程調整・記録は外に出せる一方、職種と段階で切った要件の決定・事業の段階に合う人の見極め・条件の判断は社内に残さないと、採れても段階に合いません。代行に出す前に、三つの難しさを自社の段階で分解し、職種ごとに「任せる・残す」を決めることが、代行が機能する条件です。職種ごとの切り分けは営業採用を代行に出す判断基準、カスタマーサクセス採用を代行に出す判断基準、インサイドセールス採用を代行に出す判断基準に、段階の考え方は急成長フェーズの会社の採用代行に書いています。ここでは、SaaS業界で共通する切り分けに絞ります。
SaaS業界の採用が難しい三つの理由
| 難しさ | 中身 | 代行への影響 |
|---|---|---|
| 職種が横に広い | 営業(フィールド・インサイド)・CS・マーケ・エンジニア・PdM・デザイナー。同時に複数を採る | 職種ごとに要件と経路と文面が違う。「SaaSの採用に強い」だけでは足りない |
| 事業の段階で要る人が変わる | 立ち上げは「決まりの無いことを決めて進める人」、拡大は「型を回して数を出す人」、安定は「仕組みを作る人」 | 同じ職種名でも、段階で要件が逆になる。段階を伝えないと、前の段階の人が来る |
| 候補者がSaaS業界の中で比べている | 候補者はSaaSからSaaSへ動くことが多く、事業の内容・段階・裁量・条件で会社を比べる | 「SaaSだから」は差にならない。段階と役割の実態で差を出す |
三つのうち、代行で解決できるのは母集団形成と速さで、段階に合う要件と見極めは社内の関わりが要ります。
工程ごとの「任せられる・残す」
| 工程 | 任せられるか | 理由 |
|---|---|---|
| 職種と段階で切った要件の決定 | 残す | 事業の段階と体制から、経営者と各部門の責任者が決める |
| 要件を「経歴で読める言葉」に整える | 一緒に | 代行が整え、社内が確認 |
| 母集団形成(媒体・スカウト) | 任せられる | 職種ごとの検索と文面の型があれば外で回せる |
| 一次対応(返信・日程) | 任せられる | 速さが要る工程。同時に複数の職種を動かすときに特に |
| 書類の一次確認 | 一部任せられる | 必須の照合は外で。段階に合うかは社内 |
| 段階に合う人の見極め(面接) | 残す | 「決まりの無いことを決めて進めた場面」を、社内の責任者が聞く |
| 条件の判断 | 残す | 会社の判断。SaaS業界は条件の比較が速い |
| 内定後の接点 | 一部任せられる | 接点の設計は外で。迷いへの答えは社内の人 |
| 記録と報告 | 任せられる | 一覧と週次の一枚。複数の職種を一つの一覧で |
複数の職種を同時に採るSaaSでは、「一次対応と日程と記録」を外に出すだけで、社内の責任者の時間が要件と見極めに戻ります。
エラベルの見解
SaaS業界で多くの会社が見落とすのは、「事業の段階」を要件に入れることです。「営業を採る」で募集し、代行が営業の経験者を集めると、大手のSaaSで型のある営業をしてきた人が来ます。立ち上げの段階の会社では、型が無く、その人は「何をすればよいか分からない」となります。逆に、拡大の段階で「立ち上げの経験がある人」を採ると、型で回すことに退屈します。「いまの段階で、最初の三か月に何をしてもらうか」を要件に入れると、検索も文面も面接も段階に揃います。エラベルで担当者を選ぶ企業には、「いまの事業の段階を、要件の一枚に書いていますか」を、私たちから先に聞いています。段階の書き方は「決まりの無いことを自分で決めて進める」「型を回して数を出す」「仕組みを作って人に渡す」の三つのどれかで足ります。要件の整理の型は採用要件の定義の進め方に書いています。
代行に出す前に社内で確認すること
| 確認 | 中身 |
|---|---|
| 事業の段階を一言で言えるか | 立ち上げ・拡大・安定のどれか。職種ごとに違うこともある |
| 職種ごとに要件を決める人がいるか | 営業の責任者、CSの責任者、技術の責任者。経営者が全部を兼ねていないか |
| 同時に採る職種の優先順位 | 全部を同時に始めると、面接の枠と経営者の時間が足りない |
| 条件の幅を先に出せるか | SaaS業界の候補者は条件の比較が速い。幅を出さないと面談前に離れる |
| 面接の枠 | 職種ごとの責任者と経営者の枠を、週に決まった数出せるか |
| 記録の形 | 複数の職種を一つの一覧で見られるか |
「同時に採る職種の優先順位」が、SaaSで最も詰まります。営業もCSもエンジニアも、と同時に始めると、経営者の面接の枠が埋まり、全部が遅れます。優先順位は採用計画の一枚で決めます。計画の作り方は採用計画の設計の進め方に書いています。
職種ごとに代行の型が違う
| 職種 | 代行に向く工程 | 社内に残す度合い |
|---|---|---|
| フィールドセールス | 母集団形成(スカウト中心)、一次対応 | 段階に合う人の見極めは社内。数字の実績の読み方 |
| インサイドセールス | 掲載型の母集団形成、一次対応 | 型で回せる人かを社内で |
| カスタマーサクセス | 母集団形成、一次対応 | 「顧客の成功」の実態を社内が語る |
| エンジニア・PdM | 母集団形成(スカウト中心) | 技術の見極めは社内。IT・Web業界の採用代行と同じ |
| マーケ | 母集団形成、ポートフォリオの一次確認 | 事業の段階に合う施策の経験を社内で |
「SaaSの採用に強い代行」でも、職種ごとの型を持っているかは別です。営業とエンジニアでは、経路も文面も違います。
代行を選ぶときの確認項目
| 確認 | 聞き方 |
|---|---|
| 職種ごとの型があるか | 「フィールドセールスとCSで、検索条件と文面をどう変えますか」 |
| 段階を要件に入れるか | 「立ち上げの段階と拡大の段階で、同じ営業職の要件をどう変えますか」 |
| 担当者の経歴 | 「担当する方は、SaaS業界のどの職種の採用を、どの段階の会社で、どの工程で担った経験がありますか」 |
| 複数の職種を同時に回す形 | 「同時に三職種を動かすとき、一覧と報告をどう一つにしますか」 |
| 返事の速さと記録の置き場所 | 「候補者への返事は何営業日以内か。記録はどこに置くか」 |
| 費用の構造 | 「月額に含まれる工程と職種の数は」 |
費用は、含まれる工程と職種の数で変わり、金額の相場を先に聞くより「同じ工程・同じ職種数で比べる軸」をそろえます。費用の構造は採用代行の費用の内訳に、選び方の軸は採用代行会社の選び方に書いています。
代行に出したあとに起きること
| 起きること | 原因 | 対応 |
|---|---|---|
| 応募は増えたが、段階に合わない | 要件に段階が無い | 「最初の三か月に何をしてもらうか」を要件に |
| 複数の職種を始めて、全部が遅い | 優先順位が無く、経営者の枠が足りない | 職種の優先を決め、一つずつ |
| 条件の比較で他社に負ける | 幅を先に出していない。速さで負けている | 幅を先に、確定を即日に |
| 「SaaSだから」の文面で返信が来ない | 差が段階と役割の実態で出ていない | 実態の言葉で動く理由を作る |
| 契約が終わると記録が消える | 記録が代行の環境 | 社内の環境に置く形を契約で |
出したあとの問題は、「段階」「優先順位」「条件と速さ」「実態の言葉」に戻ります。契約の前に、工程の切り分けと記録の置き場所を書面にします。
エラベルの見解
相談で多いのは、資金を調達した直後に「一気に採用したい」というSaaSの会社です。全職種を同時に募集し、代行に全部を任せ、三か月後に「応募は来たが決まらない」となります。原因は、経営者の面接の枠が全職種で奪い合いになり、日程が詰まり、候補者が他社で決まることです。エラベルは担当者を工程ごと・職種ごとに選べる形にしているので、「まず営業の母集団形成と一次対応だけ」「次にCS」と、優先順位に沿って一つずつ広げられます。一つの職種で回る型ができれば、次の職種は速い。一気に始めるより、一つずつのほうが、結果として速く採れます。急成長の段階の失敗のパターンは急成長フェーズの会社が採用代行で失敗するパターンに、向く代行の条件はスタートアップに向く採用代行の条件に書いています。
まとめ
- SaaS業界の難しさは、職種の広さ・段階で変わる要件・業界の中での比較の三つ
- 母集団形成・一次対応・日程・記録は任せられ、段階で切った要件・段階に合う人の見極め・条件は残す
- 要件に事業の段階(決めて進める/型を回す/仕組みを作る)を入れる
- 同時に採る職種の優先順位を決め、一つずつ。経営者の枠を奪い合わない
- 条件の幅を先に出し、確定を即日に。SaaS業界の候補者は比較が速い
- 「SaaSだから」は差にならない。段階と役割の実態で差を出す
- 代行を選ぶときは職種ごとの型と、担当者の経歴を職種・段階・工程で確かめる
よくある質問
経営者が全職種の面接に出ていて、枠が足りません
段階に合う人の見極めを、職種ごとの責任者に分け、経営者は最終だけにします。責任者がいない職種は、その職種の採用を後に回すか、責任者を先に採ります。経営者の枠を「週に決まった数」で代行に預け、候補を即日で出せる形にすると、同じ枠の数でも詰まりが減ります。枠の預かり方は面接の日程調整の進め方に書いています。
立ち上げの段階で、型が無いのに代行に出せますか
型が無いのは事業の話で、採用の型(要件の一枚、一覧、文面の型、日程の型)は代行と一緒に作れます。むしろ、立ち上げの段階では「決まりの無いことを自分で決めて進める人」という要件が明確で、対象が絞りやすい。要件に「型が無い段階で、最初の三か月に何をしてもらうか」を書き、面接で「決まりの無いことを自分で決めた場面」を聞く形にします。採用の記録は最初から社内の環境に置き、事業が拡大の段階に入ったときに、記録と型が残る形にします。
候補者から「他社のSaaSと比べて、御社の何が違うのか」と聞かれます
「SaaSだから」ではなく、「いまの段階で、この役割で、最初の三か月に何をするか」と「一緒に働く人」と「裁量の実態」で答えます。それは、いまうまくやっている人の「前の会社と違うこと」から作れます。他社との比較を候補者にされる前提で、求人票とスカウト文面に段階と役割の実態を書き、面接で現場の人が語る形にします。差の出し方は自社紹介はどこまで書くかに書いています。