採用代行 / 機械設計
機械設計の母集団形成|応募が集まらないときに見直す順番
機械設計の募集で起きる母集団の問題は、応募がまったく来ない場合、応募は来るが量産製品・受注装置・治具金型のうち自社と違う中身の人ばかりの場合、面接まで進んで「構想は自分で決められない」「作れる設計かを見る人がいなくて製造に責められる」「締切前の実態」が分かって辞退される場合に分かれます。機械設計の採用に特有なのは、経験者の母数が少なく、いまどこかの会社で製品や装置を担当していて転職を考えていない人が多いため、求人を出して待つ採用では届かないこと、そして「機械設計」の一言では中身が伝わらないことです。結論を先に書くと、機械設計の母集団形成は、「求人票で中身・扱う製品や装置・任せる工程と範囲・分担・実態・設計環境・設計部長を示す」「出し先を待つ経路からこちらから届ける経路に移す」「スカウトを中身と対象と工程で分け、担当した装置に触れる」「面接で設計部長が図面を見て設計の話をし、一次対応を当日にする」の順に見直し、前の段階が直る前に次に進まないことが要です。代行に出す工程の線は機械設計採用を代行に出す判断基準に、隣接する電気設計の母集団形成は電気設計の母集団形成にまとめています。
三つの症状を分ける
最初に、どの症状かを分けます。
応募がほとんど無い場合は、待つ経路(求人媒体に出して待つ)だけで、こちらから届ける経路(スカウト、紹介、協力工場や取引先とのつながり、学校とのつながり)が無いか、届いても「機械設計業務全般」で自分向けか分からず閉じられているか、扱う製品や装置が見えず「面白そうか分からない」と読まれているかです。
応募はあるが中身が違う場合は、求人票が量産・装置・治具金型のどれかを示していないことが原因です。「機械設計募集」だけだと、量産の筐体の人も、受注装置の人も、金型の人も、全員応募します。
面接まで進んで辞退される場合は、任せる範囲の実態(構想は決められない、部品図だけ)、作る側との関係(作れる設計かを見る人がいない、製造の言いなり)、開発の実態(締切前、出張の頻度)、設計部長と設計の話ができなかった、のどれかです。
どの症状かは、応募者を中身(量産・装置・治具金型・部品)と対象(製品や装置の種類)と経路(大手メーカー、装置メーカー、設計会社、生産技術から)で分類し、応募から一次返信までの日数を見て、面接での候補者の質問(「構想から関われますか」「作れるかは誰が見ますか」「試作の予算は誰が決めますか」が出るか)と辞退の理由を記録すれば分かります。
見直す順番の一番目:求人票に「中身・対象・工程と範囲・分担・実態・環境・設計部長」があるか
求人票を開いて、次の七つが読み取れるかを確認します。
- 中身と扱う製品や装置。 量産製品か受注装置か治具金型か部品か。何の製品や装置か(食品工場向けの搬送装置、医療機器の筐体と機構、プレス金型、など)。一行目で分かる形に。「機械設計業務全般」は書かない
- 任せる工程と範囲。 構想からか、詳細設計からか、解析・試作評価・量産移行までか。構想を自分で決められるか。将来どこまで広げるか
- 電気設計・ソフト・生産技術・製造との分担。 誰が何を担い、機械設計はどこまでか。作れる設計かを誰と見るか、試作の予算を誰が決めるか、設計変更をどう製造に伝えるか
- 開発の実態。 締切前の実態、休日の形、出張(客先での組立や立ち会い、協力工場)の頻度と時期。「による」「あり」で済まさない
- 設計環境。 使っているCAD、解析ツール、試作の設備、協力工場との関係。機械設計者は環境で「設計に集中できるか」を判断する
- 設計部長がどういう人か。 どういう製品や装置を設計してきた人の下に入るか。設計の話を誰とできるか
- 会社の工夫。 実態が厳しい項目に対して、会社が何をしているか。出張後の休み、製図の一部を外注している、試作の判断を設計者に委ねている、など
七つのうち、一つ目の「扱う製品や装置」と三つ目の「作る側との関係」が最も抜けます。製品や装置が見えない求人票は「何を設計するか分からない」で閉じられ、作る側との関係が無い求人票は「作れない図面を描かされて責められる」か「製造の言いなりで設計が決められない」と想像されます。
扱う製品や装置を具体的に書くことが、機械設計の求人票の要点です。機械設計者は、「何を設計するか」で面白そうかを判断します。守秘があって製品名を書けない場合も、「食品工場向けの搬送装置」「精密機器の小型機構」のように、種類と用途と大きさは書けます。
エラベルの見解
相談で多いのは、「機械設計の求人を出して半年、応募がほとんど無い」というご相談です。求人票を見ると、「機械設計募集。機械設計業務全般。3D CAD経験者優遇。やりがいのある仕事です」で、量産か装置かも、何の製品や装置かも、任せる工程も、作る側との関係も無い。そして、出し先が求人媒体だけで、こちらから届ける経路がありませんでした。機械設計の経験者は、いま製品や装置を担当していて求人を探していないので、求人媒体に出して待つだけでは、そもそも目に入りません。
見ていて差がつくのは、「扱う製品や装置と、任せる工程と、作る側との関係を、求人票の前半に書いているか」です。「食品工場向けの搬送装置を、顧客の要求から構想を決め、詳細設計と組立の立ち会いまで担当する機械設計者を探しています。電気設計は別の担当と分担、加工は協力工場で、作れる設計かは生産技術と一緒に見ます。試作の判断は設計者に委ねています」。ここまで書けば、量産の筐体の人は自分向けでないと分かり、装置を構想から担いたい人は「面白そう」「設計者として扱われる」と判断して応募します。エラベルでは、機械設計の担当者に、求人票の前半に「何を設計し、作る側とどう関わるか」を設計部長と決めるところから始めてもらっています。
見直す順番の二番目:出し先が待つ経路からこちらから届ける経路に移っているか
求人票が整ったら、出し先を見ます。機械設計では、待つ経路の比重を下げ、こちらから届ける経路を複数持つことが要点です。
| 出し先 | 向く場合 | 注意 |
|---|---|---|
| 一般の求人媒体 | 待つ経路として、最低限 | 経験者はここを見ていないことが多い。製品や装置を書いた上で、他の経路と併用 |
| 技術者に強い媒体 | 経験者に絞って届けたい | 媒体によって集まる中身(量産か装置か)が違う。公式情報で確認 |
| ダイレクトリクルーティングの媒体 | こちらから届ける経路の中心 | 中身・対象・工程で検索を分ける。担当した装置に触れた文面に |
| 設計部長・社員の知人経由の紹介 | 技術者同士のつながりが厚い | 求人票の七つを設計部長と社員に渡す。紹介した人の負担と見返りを設計する。リファラルが進まない理由 |
| 協力工場・取引先との関係 | 加工や組立の協力工場、部品メーカー、設計会社との付き合いがある | 引き抜きにならないよう、経営者同士で先に話す。設計会社からの転籍は契約の扱いを確認 |
| 大学・高専とのつながり | 若手を採って育てる場合 | 研究室や教員とのつながり。新卒・若手は経験者と別枠で |
| 生産技術・製造からの転向 | 作る側を知る設計者が欲しい場合 | 構想設計と強度の判断は別の経験。教える体制が要る |
| 設計会社・派遣からの転籍 | 受託で同じ中身を担ってきた人 | 一社に腰を据える動機を確認。契約の扱いを確認 |
| 出戻り | 過去に辞めた設計者 | 辞めた理由が任せる範囲や作る側との関係なら、変わったことを伝える。設計部長から声をかける |
出し先の要点は、「こちらから届ける経路を三つ以上持つ」ことです。スカウト、紹介、協力工場や取引先や学校とのつながり。それぞれ届く層が違い、一つに頼ると母集団が細くなります。機械設計は、協力工場との付き合いの中で「独立したい人」「設計をやりたい人」の話が出ることがあり、経営者同士の話が経路になります。
見直す順番の三番目:スカウトが中身と対象と工程で分けられ、担当した装置に触れているか
ダイレクトリクルーティングで返信が来ない場合、検索の条件と文面を見ます。
検索の条件は、中身と対象と工程で分けます。受注装置なら「装置設計」「搬送」「検査装置」「生産設備」と装置の種類と大きさ、量産製品なら「筐体」「機構」「量産設計」「コストダウン」と製品の種類、治具金型なら「治具」「金型」「プレス」「射出」と対象。「機械設計」の肩書だけで検索すると、中身が混ざります。
文面は、一行目で候補者が担当した製品や装置に触れます。機械設計の場合、触れる一点は「担当した製品や装置の種類と大きさと精度」「担当した工程(構想からか、組立の立ち会いまでか)」「使ったCADや解析ツール」のどれかです。「〇〇向けの搬送装置で、構想から組立の立ち会いまで担当されたご経歴を拝見しました。当社の装置も同じ大きさと速さです」。その後に、扱う製品や装置、任せる工程と範囲、分担と作る側との関係、実態、設計環境、設計部長がどういう人かを書きます。担当した装置に触れず、会社の紹介から始まる文面は、技術者に「経歴を読んでいない」と読まれます。文面の型はスカウト文面の構造を参照してください。
見直す順番の四番目:面接で設計部長が図面を見て設計の話をし、一次対応が当日か
機械設計の採用に特有なのが、この段階です。候補者は複数の会社を同時に見ていて、他社の動きが速い。一次対応が遅れると、面接の前に他社に決まります。そして面接では、設計部長と設計の話が通じるかを見ています。
一次対応は当日です。応募や返信があったその日に連絡し、面接の日程を提案し、担当した製品や装置が分かる資料(守秘に触れない範囲で)の提出を案内します。設計部長の予定を締切の合間に先に押さえておき、候補者と合わせます。ここが社内で最も回らない工程で、代行に出す価値が大きい工程です。
面接には設計部長が出ます。候補者の資料を見て設計の考え方と判断を聞くことに加えて、自社の製品や装置の設計の話をします。「この装置で一番難しいのは、この機構の精度と速さの両立で、こう考えている」「いま困っているのはこの部分」。設計の話が通じるかを、双方が確かめる場です。経営者だけの面接では、候補者は「設計を分かっている会社か」を判断できず、辞退します。
そして、任せる範囲と作る側との関係と開発の実態を正直に話します。「構想から任せる。ただ最初の一台は部長と一緒に」「作れるかは生産技術と一緒に見る。製造とぶつかったときは部長が入る」「納期前は正直厳しい。組立の立ち会いの出張は月に数回」。設計部長が実態を話すと、候補者は「正直な会社」と判断します。求人票に書いたことと、ここで言うことを合わせておきます。
面接から次の段階までの日程を、その場で決めます。内定後は、現職の引き止めと、担当中の開発の区切りがあるので、入社日まで連絡を続けます。面接の設計は面接の構造に書いています。
社内で持つ工程と、外に出せる工程
| 段階 | 社内で持つ | 外に出せる |
|---|---|---|
| 求人票の中身 | 中身・扱う製品や装置、任せる工程と範囲、分担と作る側との関係、実態の開示範囲、設計環境、工夫を設計部長と経営者が出す | 聞き取って候補者に伝わる言葉にする。「機械設計業務全般」を消す。守秘の範囲で製品を具体的に |
| 出し先 | 予算と契約の判断。紹介の見返りの設計。協力工場や取引先に声をかける判断 | 中身に合わせた経路の提案、運用、数の整理。紹介の仕組みの運用 |
| スカウト | 中身・対象・工程と任せる範囲の確定 | 中身で分けた検索、担当した装置に触れた一行目の個別化、送信、当日の一次対応 |
| 面接 | 設計部長が資料を見て設計の話をし、判断を聞き、実態を話す。合否 | 設計部長の予定の確保、当日の一次対応、資料の受け取りと守秘の扱い、中身と経路の分類、内定後の連絡 |
分け方の要点は、「扱う製品・任せる工程・作る側との関係・実態は設計部長が出し、届ける工程と当日の対応と資料の段取りは外に出せる」ことです。設計の分かる人は社内にいるので、外に出すのは「採用の工程を回す人」の役です。
エラベルの見解
担当する側から見ると、機械設計の母集団形成で最も効くのは、求人票の前半に「何を設計し、作る側とどう関わるか」を書くことと、届ける経路を三つ以上作ることです。前者で「自分向けか分からない」「製造に責められそう」で閉じられていた設計者が応募し、後者で「求人媒体に出して待つ」だけでは届かなかった経験者に届きます。
エラベルでは、機械設計の案件で担当者を紹介するとき、最初の一か月は求人票の七つの項目を設計部長と一緒に埋め、スカウト・紹介・協力工場や学校とのつながりの三つの経路を動かし始めることに使うようお伝えしています。機械設計の候補者は、扱う製品で面白そうかを判断し、作る側との関係で設計者として扱われるかを判断し、設計部長との設計の話で決めます。その三つを整えるのが、母集団形成の最初の仕事です。
まとめ
- 機械設計の母集団の問題は応募が来ない・中身が違う人が来る・面接で任せる範囲と作る側との関係と実態で辞退されるの三つ。経験者は求人を探しておらず、「機械設計」の一言では中身が伝わらない
- 見直す順番は求人票の中身・対象・工程と範囲・分担・実態・環境・設計部長→出し先をこちらから届ける経路に→スカウトの中身分けと担当した装置への言及→面接で設計部長が設計の話をし一次対応を当日に。前の段階が直る前に次に進まない
- 求人票には中身と扱う製品や装置(一行目)・任せる工程と範囲・電気やソフトや製造との分担(作る側との関係)・開発の実態・設計環境・設計部長がどういう人か・会社の工夫の七つ
- 出し先はこちらから届ける経路(スカウト・紹介・協力工場や取引先や学校とのつながり)を三つ以上。求人媒体は最低限
- スカウトは中身・対象・工程で検索を分け、一行目で担当した製品や装置に触れる
- 面接は一次対応を当日に・設計部長が出て資料を見て設計の話をし、任せる範囲と作る側との関係と実態を正直に話す・内定後は入社日まで連絡を続ける
よくある質問
「作れる設計かを見る人」が社内にいません。書くと来ませんか
いないなら、それを正直に書き、どう補うかを添えます。「作れるかの判断は、協力工場の担当と設計部長が一緒に見る。加工の相談は協力工場に直接できる」。作れる設計かを見る仕組みが無いまま隠すと、入社後に「作れない図面」で製造や協力工場と揉め、離職の原因になります。仕組みが無いなら、採用の前に「誰と見るか」を決めます。それ自体が、機械設計者に「設計者を守る会社」と読まれます。
守秘があって、扱う製品を求人票に書けません
製品名や顧客名は書かなくても、「食品工場向けの搬送装置」「精密機器の小型機構」「自動車部品のプレス金型」のように、種類と用途と大きさは書けることが多い。機械設計者が知りたいのは、製品名ではなく「何の、どのくらいの大きさと精度の、どういう機構の設計か」です。種類と用途と大きさと機構の特徴を書けば、自分向けかを判断できます。書ける範囲は、顧客との契約と守秘の扱いを確かめてからです。何も書かないのが、最も「何を設計するか分からない」で閉じられます。
設計部長が面接に出る時間がありません
設計部長の時間を最小にする形にします。面接の枠は代行が締切の合間に押さえ、資料と経歴は整理して渡し、実態の説明の要点は用意し、設計部長がやるのは「資料を見て設計の話をして判断を聞く」「任せる範囲と作る側との関係と実態を正直に話す」の二つだけ、三十分で。それでも出られないなら、経験の長い設計者が出ます。設計部長が出ない面接は、候補者に「設計の話ができない会社」と読まれ、辞退の原因になります。関与の取り付け方は現場が採用に協力してくれないに書いています。